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いじめられていた俺は気づけば世界最強になっていた ~陰キャ高校生、自宅ダンジョンにてレベルが100を超えたのでいじめっ子をボコボコにできるようになりました~ 作者:木嶋隆太
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第3話


 異世界への行き方、か。


 都市伝説的なものはいくつかある。ただ、俺はまったく信頼していないので、それをサリアに勧めるつもりもなかった。

 というか、異世界への行き方が確立されているのならば、恐らくこの世界の人間はもっと減っているのではないだろうか?


「……そ、そうだ! 迷宮! 迷宮を攻略すれば、もしかしたら何かわかるかも!」

「そうか……頑張ってな」

「お、お兄さん! 手伝って!」


 急に何をいうんだこのこは。

 俺の指を掴み、強引に引っ張ってくる。見た目の割にわりと力があるこだな。


「いや、俺別に冒険者とかじゃなくてな。まったく戦ったこともないような雑魚なんだよ。迷宮の攻略なんて無理だ」

「そこは私も補助するからぁ! お願いだよ! 手伝ってよ!」


 それまでの余裕な態度はどこにもない。涙で顔を濡らし、泣きじゃくる彼女に頬が引きつる。

 なんとかできるのならまあ俺もなんとかしてやりたい気持ちはなくもない。


 だが、異世界の迷宮といえば魔物の巣窟だ。そんな場所を俺のような冴えない、それも学校ではいじめられているような陰キャオタクが攻略できるはずもないだろう。


 ……サリアが補助するといっているが、それだって恐らく雀の涙程度の補助のはずだ。


「いや、俺は無理だって」

「い、色々できるんだよ! 私大サービスしちゃうから! 迷宮で稼げるポイントを集めれば農業とか、鍛冶とか、そういうのができるんだよ! それでレベルをあげて、武器を強化して、おいしいものを食べればきっと弱そうなお兄さんでも迷宮攻略できるから」

「弱そうな?」


 確かにそうなのだが、はっきりと言われるのはまた違う話だ。サリアは俺の方を見て、慌てた様子で口に手を当てる。


「あっ、口滑った! じゃなくて! ごめんなさい! とにかく、お願いだよ! 協力してよ!」


 図々しい言い方であるが、彼女は助けを求めるように俺の手を引っ張ってきた。迷宮の攻略なんてできるはずがない。第一、危険ばかりで俺にメリットがあるわけでもないんだ。そう思ったときだった。

 俺の中に一つの考えが浮かんだ。


「スキルとかって獲得できるのか?」

「もちろんだよ!」


 それを聞いた瞬間、これまで断ろうと考えていた俺の考えがぐらついた。

 スキル。それは少し魅力的だった。誰だって一度は思ったことがあるのではないだろうか?

 魔法のような力を使ってみたいと。かめ○め波的な技を使ってみたいとかな。俺もその1人だった。


「魔物って強いのか?」

「きちんと成長していけば問題ないよ!」


 俺が迷宮攻略を行う気配が見えてきたからか、彼女の声の調子もあがっていた。

 スキルと危険、その他の情報を考えていく。


 スキルがどの程度のもので魔物がどの程度かは分からない。

 ……余裕そうならやってみてもいいかもしれない。


「なるほどな……分かったよ。できそうな範囲でやってみる。ただ、マジで戦闘したことないから弱いんだから、あんまり期待するなよ?」

「ありがとねお兄さん! それじゃ、これからよろしくね!」


 サリアが嬉しそうに笑い、俺の方へと乗ってきた。


「それで、まずは何をすればいいんだ?」

「ステータスの獲得にいこっか!」

「ステータス?」

「うん。とりあえず、ついてきてよ。一階層で色々やるからついてきてよ!」

「あー、じゃあちょっと待ってくれ。飲み物持ってくから」


 まだ長くなりそうなので、俺は一度そう断ってから、部屋の冷蔵庫へと向かう。冷蔵庫をあけると冷気がぶわっと出てきた。

サリアは物珍しそうにそれを覗き込んでいた。


「わっ、なにそれ?」

「冷蔵庫だ。中に入れたものを冷やすことができるんだ」

「すごいね! わー、夏とか気持ち良さそう!」


 夏に万が一冷蔵庫を開けっ放しにするのなら、サリアを注意する必要があるな。ただ、サリアくらいのサイズなら冷蔵庫に入ることも可能だろう。

 サリアの世界にも四季というのがあるんだな、とかのんびり思いながら俺はカレンダーをみた。


 今は3月の春休みだ。俺はもうすぐ高校二年になり、妹は高校一年へとなる。ちなみにこの家には俺以外暮らしていない。

 妹は高校の寮に入ったし、父は海外出張でしばらく戻ってきていない。母は……俺と妹が小さい頃に事故でなくなってしまった。


 季節は春。まだ、涼しさを求めるような季節ではないが、果たして夏までサリアはいるのだろうか。

 俺は冷蔵庫で冷えていたペットボトルを取り出す。オレンジジュースだ。サリアは俺が取り出したジュースが気になるようだ、じっと顔を寄せていた。


「な、なにこれ?」

「オレンジジュースだ」

「ジュース? ってことはおいしいの?」

「ああ、まあな。飲んでみるか?」


 ……迷宮攻略のこと、忘れているんじゃないだろうか?

 彼女の前で軽くペットボトルを揺らすと彼女は目を輝かせた。

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