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いじめられていた俺は気づけば世界最強になっていた ~陰キャ高校生、自宅ダンジョンにてレベルが100を超えたのでいじめっ子をボコボコにできるようになりました~ 作者:木嶋隆太
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第2話

 迷宮。

 サリアははっきりとそういった。

 迷宮ってあれだよな? ゲームとかで良く出てくるダンジョンだよな? 異世界系のライトノベルでよくある魔物とか出てくる場所だよな?


 俺はサリアをこの世界外の人間と認識しはじめているのだが、彼女はどうやら未だ俺を彼女の理解内にいる人間だと思っているようだ。

 その齟齬によって、恐らくこのような差が生まれているのだろう。


「……いや、迷宮以外にって。迷宮ってのはなんだ?」


 これでもそれなりのオタクだ。

 もちろん理解はしている。しているが……俺の知っている迷宮とは違うかもしれないので確認だ。

 俺の問いかけに、サリアは不思議そうに首を傾げている。


「えー、お兄さん冒険者なのにそんなのも知らないんだー? お馬鹿さんだね?」

「……帰るか」


 俺がそういうと、妖精は慌てた様子で小さな四枚の羽をうごかした。

 虫のような耳障りな音はない。むしろ、彼女が飛ぶ姿は美しい光の砂のようなものがうかんでいた。


「わー、待って待ってよ! 冒険者なんだから迷宮攻略しないとダメでしょ!?」

「いや、だから俺は冒険者じゃないから」

「そんなこと言ってー。じゃあなんでわざわざ入ってきたの?」

「いきなり、家の地下に迷宮とやらの入り口ができたからだ。何かと思って降りてきたらここについたんだよ」

「え? 私の迷宮家の地下にできちゃったの? あちゃー、失敗!」


 げっとばかりに彼女は落ち込んでいた。

 ……あちゃー、どころの問題ではないんだがな。


「それじゃあ、ちょっとあなたの家とやらを見てもいい?」

「……はぁ、まあいいけど」


 それで夢かどうかもはっきりするのではないだろうか。

 特別、彼女を家にあげて困るということもないので、俺はサリアと共に階段を上がっていく。

 しばらくして、木造の造りになったところで俺は靴を脱いだ。


「え、どうして靴ぬぐの?」

「いや、家にあがるからな」

「家の中では靴履かないの?」


 履かないだろ、と思ったのだが頭ごなしに否定してはだめか。

 海外でも、土足の国は多かったはずだ。


 最近は、衛生面を考えて靴を脱ぐというのも増えてきたようだが、それでもまだ完全にゼロというわけではないだろう。そもそも、どちらが正しいのかなんてわかった話ではないしな。

 サリアも日本人ではないのだから土足が当たり前なのかもしれない。


「俺の国では、土足じゃないんだよ」

「変なのー」


 変といったサリアに、俺は苦笑を浮かべるほかない。

 やがて、我が家の一階についたところで、彼女は不思議そうに目をぱちくりとさせていた。


「……何、この家?」


 俺はなんと答えれば良いのかわからず、ふわふわと飛んでいた彼女を誘導するようにリビングへと入った。

 リビングの明かりは消していた。近くにあるスイッチで電気をつけると、びくっとした様子でサリアは天井を見上げた。


「ま、魔鉱石!?」

「いや、違う。電気だ」


 蛍光灯とかいってもわからないだろうと思ったので、俺は電気とだけ伝えた。

 俺はもうサリアを完全に異世界の人だと思って扱っていたので、雷魔法とかあれば電気のほうが伝わりやすいと思ったからだ。

 しかし、サリアは首をかしげていた。俺の気遣いは無駄だったようだ。


 他に、サリアが異世界人だと断定するのにふさわしいものはあるだろうか?

 そうおもったとき、テレビが目についた。ありきたりだが、異世界の人なら箱の中に人が封印されている! とか驚いてくれるかもしれないよな。


 蛍光灯の近くで目を覆いながらサリアが飛び回って観察していたので、俺はテレビの主電源をつけるためにテレビへと近づいた。

 ちょっぴりいたずら小僧の気分でテレビの電源を押してみた。


 と、ちょうどバラエティ番組がはじまった。出演者たちの笑い声がリビングに響くと、サリアがまたしても驚いたように跳ねた。

 その衝撃で彼女は頭を蛍光灯にぶつけ、小さく悲鳴をあげた。


「い、いたた……って、そ、それは何の魔法!? 箱の中に小人がたくさんいるわ!」


 ……小人、ではない。実際の人なのだが、妖精のサリアには驚きが多かったようだ。


「こいつらは俺が捕まえた妖精の仲間だそうだ」

「……え?」

「次はおまえの番だなサリア」


 サリアの反応が面白かったので俺がそういうと、彼女は顔を青ざめてがたがたと震えた。


「い、いやぁ! 無理ぃ!」


 そういって彼女はリビングを逃げるように飛び回った。

 ……冗談だったのだが、どうやら本気にしてしまったようだ。まだお互いに信頼関係がない状況で冗談を言うのは良くないな。

 俺は反省しながら首を横にふった。


「悪い、サリア。今のは嘘だ。これはテレビっていってな、この世界のある別の場所の情報を映し出す機械だ」


 実際は違うのだが、あまり細かい説明をしてもサリアには理解できないだろう。彼女の知能を軽んじているわけではなく、未知の物体に対して適切な情報を理解できるはずがないからだ。


 俺だってあの迷宮に関しても、わからないことが多い。ただ、俺の場合はオタク知識のおかげである程度理解できるだけだ。


「て、テレビ?」

「ああ、それでこっちはパソコン、キッチン、電気ケトル、冷蔵庫……」


 とりあえず、この部屋にあった恐らくはサリアの世界にはないだろう物について伝えていく。

 それでサリアが「ここは異世界」と理解してくれれればとおもったのだが、彼女は俺の想像以上の反応をした。


「嘘!? ど、どこなのここ!?」

「地球の、日本っていう世界なんだ。たぶんだが、おまえの知る世界とは違うんじゃないか?」

「ち、違うよ! 私はアリスレルっていう世界で暮らしていたんだよ!? 地球はもちろん、日本なんて言葉も聞いたことないよ!」


 驚いたように声を上げるサリアに、俺はとりあえずうなずくしかなかった。


「ど、どうしよう!? 元の世界にどうやって戻ったらいいの!? この世界に戻り方とかないの!?」

「ないな……」


 ……どうやら、やっと異世界に来てしまったと理解したようだ。

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