おい、ただの初級魔法だぞ
ゴゴゴゴゴゴ……! と。
ジャックの周囲を、再び闇色のオーラが漂い始める。
たったそれだけで地鳴りが発生する。室内が大きく揺れ出す。
「シャァッ!」
ジャックは片腕を突き出すや、漆黒の可視放射を放ってくる。
闇属性の中級魔法、アビメイズ。
高い威力も去ることながら、被弾者のMPを一部奪っていく凶悪な技だ。
「おい、いいのかよ?」
僕はそれを火属性の可視放射で相殺しつつ、大声で問いかけた。
「
「構わぬ。影石の力によって、この室内においてのみ、周囲から隔絶されている。疑似的な亜空間とでもいうべきかな」
「疑似的な亜空間……」
まあ、そうでもしなければ、無関係な人にいつか見つかってしまうか。
僕も王城にこんな部屋があることを知らなかったからな。
こいつらは……だいぶ昔から、アルセウス王国を
そして人造人間という
「…………」
反吐が出る。
リオンなど相手にならないレベルのクズっぷりだ。
「ふぅ……」
気を落ち着かせ、僕はチートコード操作を発動する。
思念体の姿だと、物理攻撃が通らないみたいだからな。
その代わり相手の剣も通らないので、それ以外の力で勝利する必要がある。
―――――――
使用可能なチートコード一覧
・攻撃力アップ(小)
・火属性魔法の全使用
・対象の体力の可視化
・対象の攻撃力書き換え(小)
・吸収
・無敵時間(極小)
・古代兵器召喚(一)
・対象の経験値蓄積の倍加
★無属性魔法の全使用
★%$####&
――――――
色々あって忘れていたが、ダドリーとリオンを倒したことで、それぞれ新しい能力を手に入れた。
その能力は……これだな。
★無属性魔法の全使用
★%$####&
まず、二つ目は意味不明。
以前にも同じような能力があったので、それと似たようなものかな。あのときはいきなり別世界に飛ばされ、初代国王と初代剣聖のやり取りを見せられたものだ。
そして――特筆すべきは無属性魔法である。
魔法に疎い僕だが、こんな属性は聞いたことがない。
火、水、地、風、雷、闇、聖。
魔法の属性はこの7つしかないはずだ。無属性ってなんだよ。
いわゆる《外れ魔法》ってやつか。このスキルの能力はすべて強かったはずだが……
だが。
いつも扱っている剣が振るえない以上、使えるものは使えるしかない。
とりあえず僕は《無属性魔法の全使用》を選択し、魔法を発動してみる。
すると、脳裏に自然と魔法名が浮かんできた。
――初級魔法、波動。
「ぐおっ!!」
途端、呆気なく吹き飛んでいくジャック。
なんだろう。
まったく疲れない。
普通は魔法を使えばMPが消費され、相応の倦怠感を覚えるはずだが。
無属性魔法を使ってもそれがない。
さっきファイアアローを使用したときはそこそこ疲弊を感じたはずなんだがな。
だから僕は何度でも使えた。
波動を。
「ぐほっ!」
「ぎゃっ!」
「いてっ!!」
見えないなにかに
「お、おいっ! 貴様、さっきからなにをしている!?」
「いや、初級魔法」
「そんな初級魔法があるか! さっきからなにも見えないんだが!?」
たしかに、視界上にはなんの変化もない。
僕がいくら魔法を放ってもなにも見えないのは、これが無属性だからか?
わからない。
初めての魔法だからな。
「さて、こんなところかな」
僕は右拳を何度か握る。
まだ慣れないが、なんとなく感覚が掴めた気がする。
「さあ、そろそろ戦いといこうじゃないか……って、どうした?」
「ぜぇ……ぜぇ……どうした? じゃないっ……!!」
ジャックの様子がどこかおかしい。
なぜか全身ズタボロ、息も絶え絶え、傷だらけだ。
「ど、どうしたんだおまえ。まるで強烈な攻撃を受けてきたみたいだぞ」
「その強烈な攻撃を受けてきたんだよ!!!」
「強烈じゃないだろ。僕がやったのは初級魔法だ」
「き、貴様、このアルセウス救済党トップ3を煽ってるつもりか……!!」
「いや、煽ってないが」
ジャックは苦しそうに魔法を発動するや、右手を口元に添えた。
「仕方ない。かくなる上は増援を……」
「あ、波動」
「うぎゃっ!!」
今度は白目を剥いて倒れるジャックだった。
本作におきまして、書籍化&コミカライズが決定しました!
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