どうもさぼです。
透析するにあたって必ず必要なもの。それはダイアライザーです。
最近では、非常に多くのダイアライザーが発売されており、機能の向上や新しい効能とか多岐に渡ります。
ダイアライザーが色々ありすぎて、「何を使えばよいのかわからない」という方もいるのではないでしょうか。
ダイアライザーの選定を行う前に、今回はダイアライザー等の透析膜の名称・機能分類について述べようと思います。
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膜の正しい名称
皆さんの施設では何種類くらいのダイアライザーを使い分けていますか?
患者さんでしたら、自分のダイアライザーはどんな種類で、分類的にはどこかちょっとは気になるはず。
まずは、単語の意味から行きます。
単語の意味は意外と大事なんです。
結構誤解している人いるんですよね。CEですら間違えてる人います。
よく見かけるのが、HDF用の膜のことを「ダイアライザー」って言う人。
しかしこれ 、 間違い です。
正確にはHDF用のフィルターは「ヘモダイアフィルター」と言います。
分かってる人は読み飛ばしてください。
以下にまとめました。
治療モード(英語) | 治療モード(日本語) | 膜の名称 |
HD | 血液透析 | (ヘモ)ダイアライザー |
HDF | 血液透析濾過 | ヘモダイアフィルター |
HF | 血液濾過 | ヘモフィルター |
ちなみにhemoは血液という意味で、filterは濾過という意味らしいです。
透析は英語でdialysis(ダイアリシス)だからダイアライザーって言うんです。
膜の分類(旧分類と新分類)
次行きましょう。次は「分類」です。
ダイアライザーは旧分類と新分類があります。分類は2,3年前?に新しくなりました。
知らなかった人は、是非新分類を覚えましょう。
医学の知識・情報は常に進化・発展します。
ガイドラインは今後も頻繁に更新されると思うので、是非目を通して頂きたいです。
ダイアライザーの分類について、簡単にまとめました。
旧分類
Ⅰ | β2MGのクリアランス 10 mL/min未満 |
Ⅱ | 10~30 mL/min未満 |
Ⅲ | 30~50 mL/min未満 |
Ⅳ | 50~70 mL/min未満 |
Ⅴ | 70 mL/min以上 |
新分類
[引用]
川西秀樹他、血液浄化器(中空糸型)の機能分類 2013 - 日本透析医学会 PDFダウンロード.透析会誌46(5):503.2013
更に分かりやすくこんなのも作ってみました。(2018.519更新)
何が変わったのかというと
旧分類Ⅰ~Ⅴ型 → 新分類Ⅰa、Ⅰb、Ⅱa、Ⅱb型
具体的にどう変わったかというと、β2MGのクリアランスだけじゃなくて、β2MGのクリアランス+Albのふるい係数による分類に変わった。という感じです。
ここでいうクリアランスとは、簡単に言うと、値が大きくなる程、β2MGというの物質がよく除去できるということです。
Albのふるい係数も、大きいほどよく抜けるよという感じでいいと思います。
注意して見て欲しいことは新分類のβ2MGのクリアランスが70以下がⅠ型、70より大きい場合がⅡ型ということです。
旧分類と新分類を比べてみると
旧Ⅰ~Ⅳ型→新Ⅰ型 、 旧Ⅴ型→新Ⅱ型
となっていることです。
何が言いたいかというと、、、
①現行のダイアライザーは昔のダイアライザーと比べて飛躍的に性能が向上した
ということが分かります。
更に、Albのふるい係数が分類の条件に加わったということは、
②性能は向上する反面、Albも抜けるので使い分けに注意が必要である
ということが考えられます。
実際Albが抜けるダイアライザーは多くて、オンラインHDFでもこの考え方は重要になってきます。
それと更に忘れてはいけないのがもう一つありました。
新分類ではⅠa、Ⅰb、Ⅱa、Ⅱb型以外の、特別な機能を持つ膜としてS型というのができました。
なんか特別感があって、いいですよね。僕はS型好きです。
先程引用させていただいた、ガイドラインを見るとS型の説明があります。
S型血液透析器について 特別な機能として、生体適合性に優れる,吸着によって溶質除去できる,抗炎症性,抗酸化性を有するなどと定義しているが,従来の除去性能(尿素,β2-MGのクリアランス)だけではその特徴を表現しきれない血液透析器を実質的に表す.
[引用] 川西秀樹他、血液浄化器(中空糸型)の機能分類 2013 - 日本透析医学会(PDFダウンロード).透析会誌46(5):503.2013
現在、S型の膜は、EVAL膜とPMMA膜の2種類がガイドラインで認められています。
まとめ
・膜の正しい呼び名・名称は以下の通り。正しく覚えましょう。
治療モード(英語) | 治療モード(日本語) | 膜の名称 |
HD | 血液透析 | (ヘモ)ダイアライザー |
HDF | 血液透析濾過 | ヘモダイアフィルター |
HF | 血液濾過 | ヘモフィルター |
・ダイアライザーの機能分類は新しい方を使いましょう。
旧Ⅰ~Ⅳ型→新Ⅰ型 、 旧Ⅴ型→新Ⅱ型
・更に新しくS型という分類が増えた。
・機能分類が新しくなったのは以下の背景が考えられる。
①現行のダイアライザーは昔のダイアライザーと比べて飛躍的に性能が向上した
②性能は向上する反面、Albも抜けるので使い分けに注意が必要である
本日も読んでいただきありがとうございました。
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