おい、この威力は予想外だぞ
ブオーン。ブオーン。
周囲に警報音のようなものが鳴り響いている。
さすがは大物領主の屋敷だけあって、防犯のための魔導具はしっかり配備されているようだ。
ブオーン。ブオーン。
侵入者の存在を告げる警報音が、けたたましく響いている。
「みんな……うまくやってくれているみたいだな……」
僕はぽつりとそう呟いた。
――陽動と潜入。
それが、アルド家を制圧するための作戦だった。
まずは正面玄関からカヤたちが
カヤもレイも、みんな強くなったからね。
いくらアルセウス救済党が相手でも問題ないと判断した。
しかも、今回はウィーンまでいるからね。さぞ目立つはずだし、陽動にはもってこいだろう。
「侵入者だ! 出会え出会え!」
「謎の屑鉄が現れたらしいぞ! しかも恐ろしく強いそうだ!」
「くっ……! よりによって同志Aがいないときに……!!」
狙い通り、アルセウス救済党は完全にパニックに陥っているようだ。
外壁越しに、慌ただしそうな声がいくつも聞こえてくる。気配を探ってみても、かなりの人数が正面玄関に向かっているのが見て取れる。
特攻するならいまかな。
いま現在、僕たちはアルド家の裏手で待機していた。
見るも巨大な外壁がそびえているが、特徴的なのは大きさだけじゃないだろう。
「……防御魔法が、貼られているな」
それも、先日制圧したアジトの比じゃない。大物領主を守るからには、そのへんの防犯もしっかりしているということか。
「ア、アリオスさん。どうするんですか? この壁はかなり頑丈で、誰にも突破できないって聞いてますけど……」
「関係ないさ。ぶっ壊していくよ」
「……えっ」
仮に潜入が僕だけであれば、どこかの木から飛び移ればいいんだけどね。
戦闘に慣れないエムがいる現状では、それは少しばかり危険である。
だから、強化された壁だろうがなんだろうがぶっ壊せばいい。
「む、無理ですよ。これはアルセウス救済党の人たちが何人も魔法を重ねがけしてるみたいですし……」
「なるほど。道理で堅そうなわけだ」
言いながら、僕はスキル《チートコード操作》を発動。
今回は二つの能力を併用するつもりだ。
まずは攻撃力アップ(小)で自身の力を強化。
そのうえで、《対象の攻撃力の書き換え》を発動し、自分の攻撃力を四倍に引き上げる。
――ドクンと。
自分でも恐ろしいと感じるほどの高まりを、僕は感じた。
いける。
この力があればきっと。
そんな確信とともに、僕は外壁を思いっきり殴打する。容赦もなにもない、本気の一撃だ。
――ガタッ!
――ガタタタタッ!!
果たして、僕の試みは成功したようだ。
強固な防御魔法が展開されているはずの外壁が、すさまじい勢いで崩壊していく。崩れていく。
「え……嘘……」
エムがぽかんと口を開ける。
「え? 壊したんですか? 素手で?」
「ああ。これくらいなら造作もない……って、あれ?」
……タタタタッ、と。
崩壊の音がやけに長く続いている気がする。
いったいなにが起きているのか。
そう思いながら遠方に目を向けて、僕はびっくり仰天した。
――壊れているのは外壁どころじゃない。
敷地内のいくつもの建物が、衝撃を受けて連鎖的に崩れていっている。さすがに一番大きな建物――たぶんあそこにユーフェアス・アルドがいるのだろう――は無事だが、他の細々とした建物は見る影もない。
「な、なあ……。罪ない人たちも巻き込んでないよな……?」
さすがに不安になった。
「いえ、大丈夫です。見張りの意味合いを兼ねて、外壁近くの住居にはアルセウス救済党が住んでいたはずですから……」
「そ、そうか……」
よかった。
マジでほっとした。
「そ、それにしてもアリオスさん……。いま、なにをしたんですか?」
「いや。スキル使って殴ったらこうなった」
「それはおかしい!!」
盛大な突っ込みをいただきました。
いや。
ここまでの破壊力になるなんて、さすがに僕自身もびっくりしたけどね。
けどまあ、これで制圧が楽になったことには変わりない。このまま突き進むべきだろう。
「ま、とりあえず先に進もう。ユーフェアスは、あそこの……一番大きい屋敷にいるんだよな?」
「はい! おそらくそうかと思います!」
「了解」
かくして、僕とエムのアルド家制圧が始まるのだった。
本作におきまして、書籍化&コミカライズが決定しました!
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