挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ブックマーク登録する場合はログインしてください。
おい、外れスキルだと思われていた《チートコード操作》が化け物すぎるんだが。 〜実家を追放され、世間からも無能と蔑まれていたが、幼馴染の皇女からめちゃくちゃ溺愛されるうえにスローライフが楽しすぎる〜 作者:どまどま
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました
69/90

おい、眠りながら戦うな

「どわわ!!」


 翌朝。

 目を覚ました僕は、思わず素っ頓狂な声をあげた。


 アルド家の奴隷――エム。


 彼女の上半身が、僕の顔に覆い被さっていたからだ。


「すー……すー……」


 当の本人はまだ爆睡している様子。よだれを垂らしている様は可愛く見えるが――いまはそれどころじゃない。


「アリオス様……アリオス様……」


 いったいどんな夢を見てるんだ。


 寝相か?

 寝相が悪いのか?


 昨夜、僕とレイは見守りも兼ねてエムと同じ部屋で眠った。

 もちろん間違いがあってはいけないので、女性陣をベッドに寝かせて、僕は床で寝ていたのに。


 この寝相。やばすぎだろ。


 もしかしなくても、レイと同等レベル……


「むにゃむにゃ……」

「!?」


 今度は反対方向からレイが寝返りを打ってきた。彼女の寝相の悪さは相変わらずだ。


「あんた……なにアリオスをそそのかしてんのよ……」


 寝言か?

 これは寝言なのか?

 僕にはもう、なにもわからなかった。


「駄目よ……駄目だからね……」


 ポカ。

 眠ったままのレイが寝返りで右肘をエムに見舞う。


「痛い……」


 ポカポカ。

 同じく眠ったままのエムが裏拳をレイに敢行。


 ポカ。

 ポカポカポカポカ。


 おい、寝たまま戦うな!!


「皆さん朝ご飯できましたよー……って、えっ!?」


 そしてメアリーに見つかるまでが、もはや朝のデフォルトと化していた。




「あれアリオス、どうしてそんなに疲れてんの?」


 みんなで朝食を食べながら、レイが開口一番こう言った。


「くっ、誰のせいだと思っとるんだ……」

「えっ、なんで?」

「もういい……」

「むー」


 不満そうに頬を膨らませるレイ。


「アリオス様、可哀想に……」


 唯一事情を知っているメアリーだけが癒しだった。


「ふふっ……」


 そのやり取りを聞いていたエムが、ふっと微笑みを浮かべる。


 睡眠時と違って、意識があるときの彼女は物静かだった。

 睡眠時と違ってな。


「エムちゃん、遠慮しないで食べていいですよ? お代わりも用意してますからね」


 優しい言葉を投げかけるメアリーに、エムは嬉しそうに「はい!」と頷く。


 そのままモグモグとご飯を頬張る彼女は、傍目から見ても可愛かった。


 ――同志Aは本当におっしゃっているんだよな。かのアリオス・マクバが、人造人間ホムンクルスをたしかに確保したと――


 昨日の構成員の言葉が嫌でも思い起こされる。


 ホムンクルス。

 奴はたしかにそう言っていた。

 どう見ても普通の女の子にしか見えないエムが、ホムンクルス……人造人間であると。

 なんらかの実験をしているのだと。 


 見た目だけだと、だいたい十六歳ほどか。どこにでもいる普通の子にしか見えないのに。


「…………」


 僕の顔からその心情まで悟ったのだろうか、レイもちょっとだけ切なそうにエムを見つめる。


 とりあえず、今後はアルド家の近辺を探っていく必要があるだろう。

 これと連動して、レイやカヤたちの戦闘力も一緒に高めていきたい。

 アルセウス救済党がなにをしてくるか、正直わからないからな。


 ちなみにだが、アルセウス救済党の構成員は即刻、王都に護送されることになった。


 もちろん、ただ護送するだけじゃない。


 魔導錠まどうじょう――手にはめることで魔力の使用を抑えつける魔導具――を使用することで、同じてつを踏まないようにしている。


 ま、影石も魔力を流し込むことで効果を発揮するからね。

 魔力を制御しておけば、さすがに逃げられることはないだろう。


「私……いま、すごくびっくりしてます」

 食事の手を止めたエムが、ぽつりと呟く。

「こんな幸せな気分があるんだなって……生きててよかったと思えるなんて……」


「エム……」


「皆さん、ありがとうございます。私には、これといってお返しできるものがないんですけど」


「はは……いいんだよ」

 申し訳なさそうにしているエムの頭を、僕は優しく撫でてみせる。

「いままでずっと辛い思いをしてきたと思う。お疲れさま。よく耐えてきたな」


「あ……」


「あとは僕たちに任せてくれ。どうにかしてみせるから」


 エムの表情が桜色に染まる。


「この気持ちはなんでしょうか……。わかんないですけど、なんだか幸せな気分です」


「はは……そうか」


 彼女の笑顔をずっと守るためにも。

 やるべきことを必ずやっていかないとな。


 余談だが、構成員を新たに倒したことで、次の能力も手に入っている。

 それもうまく使って動いていこう。


 決意を新たにし、僕は朝食を終えるのだった。

本作におきまして、書籍化&コミカライズが決定しました!

本当にありがとうございます。



【恐れ入りますが、下記をどうかお願い致します】


すこしでも

・面白かった

・続きが気になる


と思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします。


評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます。


今後とも面白い物語を提供したいと思っていますので、ぜひブックマークして追いかけてくださいますと幸いです。


あなたのそのポイントが、すごく、すごく励みになるんです(ノシ ;ω;)ノシ バンバン


何卒、お願いします……!

  • ブックマークに追加
ブックマーク登録する場合はログインしてください。
ポイントを入れて作者を応援しましょう!
評価をするにはログインしてください。

感想を書く場合はログインしてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。