どうもさぼ(@ce_sabo)です。
『TMPはマイナスか?プラスか?』
これは臨床工学技士(以下CE)なら一度は疑問に思ったことがあるのではないでしょうか。
この疑問について根拠を示しながら説明していきます。
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TMPはマイナスか?プラスか?
CE:(今のTMPはどのくらいだろう。)
例えば モードがHDでコンソールの表示画面を見ると
静脈圧:100 透析液圧:130
表示されていたとします。
えーと、TMPの式は...
TMP=V圧ー透析液・・・①
なので TMP=100ー130=-30
ん?マイナス?
あ、でも「陰圧」で除水しているから「マイナス」になるのか。なるほどなるほど。
しかし、これで納得したと思いますが、実はこれ、間違いです!!
結論を先に言いますと、
TMPは常にプラスです!!
プラスです。マイナスじゃないんです。
TMPを簡単に説明すると、TMPとは、除水するための原動力となるもの。
専門用語を用いると、TMPによって限外濾過を起こし除水する。
TMPは膜と膜の「圧力差」なので、水分の移動は圧力が高いほう→低いほうへ動きます。
で、実際は、水分は除水ポンプで血液側から水分だけを引っ張って(陰圧をかけて)透析液側に移動します。
この方式を陰圧式といいます。
陰圧式ですが、TMPはプラスです。
よって、透析液側が血液側より圧力が高くなることはまずありません。
TMP=100ー130=-30
このようにTMPがマイナスだと、
圧力が高い方(透析液側)→圧力が低い方(血液側)に水分が移動して、
除水するどころか、逆に水分が血液側に移動して増えてしまいます。
何が間違っているか、それは①の式が間違いです。
①の式は透析の本とか教科書で、
簡易式として用いられているので正確には間違いであり、正解でもある。グレーゾーン。
TMPの本来の式(②)はこうです。
これは4点法と呼ばれる式(②)です。
TMPを計算するうえで一番精度が高いです。
最初の式で何が抜けているかというと「動脈圧」です。
(透析液入口側+透析液出口側)/2は=透析液圧と考えておっけーです。
また、動脈圧は静脈圧より常に高いです。
仮に動脈圧:200だとして、静脈圧(以下V圧):100、透析液圧:130とすると
②の式では
TMP=(動脈圧+静脈圧)/2-(透析液入口側+透析液出口側)/2
=(200+100)/2-130
=150-130
=20
これによって、
TMP=20の力で、血液側から透析液側に水分を引っ張っている(陰圧をかけている)ことがわかります。
まとめ
・除水するときのTMPはマイナスではなく、プラス
・TMPの式は4点法を用いる↓
・除水の方式は陰圧式
読み終わった方は是非
オンラインHDFの場合のTMPも考えてみましょう↓
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