挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
ブックマーク登録する場合はログインしてください。
おい、外れスキルだと思われていた《チートコード操作》が化け物すぎるんだが。 〜実家を追放され、世間からも無能と蔑まれていたが、幼馴染の皇女からめちゃくちゃ溺愛されるうえにスローライフが楽しすぎる〜 作者:どまどま
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました
60/90

おい、変なランクをつけるな

「ガアアアアアアッ!」


 僕の眼前で、巨大な獣――ファングボーンが咆哮ほうこうを轟かせる。


 さすがは指定Cの魔物。

 その迫力は伊達ではない。


「ブルオオオオオオアッ!!」


 再び叫声をあげると、ファングボーンは土煙をあげながら突進を敢行。


 それはまさしく猪突猛進。

 かなりのスピードだ。


 さすがにダドリーには劣るものの、あの巨体に体当たりされたらさぞ痛いだろう。


 こういうときは――アレの出番だな。


 僕はスキル《チートコード操作》発動。

 選ぶ能力は《無敵時間(極小)》。


「アリオスさん! 危ない!」


 Aランク冒険者のカヤが叫んでくる。


 だが問題ない。

 この能力の効果は、以前、弱い魔物で実証済みだ。


「グルアアア――ァ?」


 僕にぶつかったファングボーンが、きょとんと両目を見開く。


 ま、さすがに驚くよな。

 文字通りファングボーンのすべてを使った攻撃が、僕にまったく通じていないのだから。


 いまの僕は傷ひとつ負っていない。

 痛みも感じていない。

 ただただ静かに、焦りを滲ませるファングボーンを観察していた。


「さて、そろそろいくぞ」


 僕は剣を抜き、攻撃の体勢に入る。


 このスキルの持続時間はもって5秒。再使用には3分のクールタイムが必要となる。……どういう原理かはわかりかねるが、これがこの一週間、僕の導き出した結論だ。


「淵源流、一の型、冥府ノ一閃」


「ウグアアアアアアッ!」


 僕の繰り出す剣技に、ファングホーンはなすすべもなく倒れた。






「……あの、アリオスさん?」


「はい?」


「な、なんか、また強くなってませんか? あの決闘の時とはもう比べ物にならないような……」


「はは……そうですかね」


 まあ、あのときから強力なスキルを二つも習得したからね。

 新たな境地に達したことは間違いないだろう。


 ……とはいえ、真の剣聖はおごる人物にあらず。


 あの初代剣聖のように、いかに強くとも謙虚に進んでいくべきだと思う。ダドリーに勝ったからといって、それで慢心するつもりは毛頭ない。


「僕なんてまだまだですよ。もっともっと……強くならないと」


まだまだ・・・・って……ファングホーンの攻撃にびくともしていないように見えたんですけど」


「そうですね。5秒だけいっさいダメージを受け付けない力を得たので」


「なにそれやばい!!」

 カヤが大きく目を見開く。

「はぁ……敵わないですね、もう……」


 呆れ気味に額に手をやるカヤ。


 だって本当のことだ、仕方ない。


 ――ダドリー・クレイスとの決闘から一週間。

 僕は順調にギルドの依頼をこなしていた。ランクは相変わらずDのままだが、謎の信頼度によって、Cランクの依頼までなら受けられるようになっていた。


 今回、指定Cのファングボーンと戦っていたのもそれが理由だ。


 そして《たぶんいらないけど念のため》という理由でカヤもついてきた。


 本当に謎の信頼度である。


 ギルドマスターのアルトロも、

「アリオス殿ならどんな依頼でも達成できると思うがのう」

 と言っていた。


 これも買いかぶりすぎである。


 まあ、それでもBランクの依頼を僕に振ることはさすがに難しかったようだ。

 実力の問題ではなく、本部の都合的に。


「アリオスさん、これなら近いうちCランクへの昇格もあるんじゃないですか? というより、Sランクより上の存在になるかも……」


「Sランクより上……?」


「規格外ってことです。まさにアリオスさんにぴったりの言葉ですね!」


「や、やめてください……」


 なんだよランク《規格外》って。

 もはや常軌を逸しているじゃないか。


 僕はコホンと咳払いをかますと、ファングホーンの死体を見下ろして言った。


「……ともあれ、こいつを処理したら帰りましょう。もう日が暮れますし」


「そうですね。私としては、もっと二人の時間を楽しんでもいいですが」


「なに言ってんですか、もう……」


 僕はため息まじりに呟く。

 そうしてファングボーンの死体に歩み寄ろうとした――その瞬間。


「…………む」


 僕はぴたりと動きを止める。

 そして視線だけを後ろに向け、相手・・の出方を窺う。


「どうしました――って……」


 カヤも遅れて謎の気配に気づいたらしい。表情を引き締め、僕と同じ方向に目を向ける。


(アリオスさん。なにか……いますね)


(ええ。悪意は感じませんが……いったいなんでしょうか……)


 もしかしてアルセウス救済党の手の者か。


 いや、だったら悪意がないのはおかしい。僕の立場だったら恨まれていて当然のはず。


 じゃあ、この気配はいったい……


「たす……けて……」


 ――ドサッ。

 奇妙な音が聞こえたのはそのときだった。


 いまのはなんだ。

 もしかしなくても、「助けて」と言っていたような……


 僕はカヤと目を合わせると、警戒しつつ気配の方向に進む。


「あっ……これは……」


 カヤが大きく見開いた。


 痩せ細った少女が、草むらのなかに倒れていたからだ。


「この子は……奴隷……?」


 カヤが小さな声でそう言った。

【恐れ入りますが、下記をどうかお願い致します】


すこしでも

・面白かった

・続きが気になる


と思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします。


評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます。


今後とも面白い物語を提供したいと思っていますので、ぜひブックマークして追いかけてくださいますと幸いです。


あなたのそのポイントが、すごく、すごく励みになるんです(ノシ ;ω;)ノシ バンバン


何卒、お願いします……!

  • ブックマークに追加
ブックマーク登録する場合はログインしてください。
ポイントを入れて作者を応援しましょう!
評価をするにはログインしてください。

感想を書く場合はログインしてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。