トークパレット火曜日「映画情報」

2011年05月10日(火)
★このコーナーでは、公開されている話題の映画を見に行くのか、それとも他の映画にするのか?皆さんの口コミ情報をぜひ判断の一助にしてください。そして、ごらんになった皆さんは、率直なご意見をはがき、メールでぜひお送りください。放送内で紹介した方全員に、番組特製のクオカードをプレゼントしています。

興行通信社 全国映画動員ランキング
期間:2011年5月7日(土)・8日(日)

  第1位 『岳 -ガク-』
  第2位 『名探偵コナン 沈黙の15分(クォーター)』
  第3位 『GANTZ PERFECT ANSWER』
  第4位 『八日目の蟬』
  第5位 『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ黄金のスパイ大作戦』

【今週注目の作品】

★今朝は「日本映画界のドン」の訃報がはいりました。「仁義なき戦い」などの任侠映画や時代劇をヒットさせ、日本映画の黄金期を支えた東映名誉会長・岡田茂氏が5月9日、87歳で亡くなりました。実録映画路線で一時代を築いた岡田さんは、鶴田浩二さんの「人生劇場・飛車角」や、藤純子(富司純子)さんの「緋牡丹博徒」などのシリーズで「任侠路線の東映」を確立させました。「日本侠客伝」「網走番外地」シリーズでは高倉健さんが不動のスターにとなり、菅原文太主演でヤクザの抗争を描いた「仁義なき戦い」は大ヒット。

★一方で、歯に衣着せぬ物言いで知られ、映画経営の近代化を進めるなど、映画界に足跡を残した方です。社長就任2年後には、1年で4億円の赤字を出していたプロ野球の東映フライヤーズを売却、ボウリング場も整理し合理化をはかるなど、東映を盤石の体制にし、一流の会社にした人物と言われています。今後、テレビの追悼番組などで、ちょっと過激だけど強いメッセージのある東映映画が上映されるかもしれませんね。岡田さんの目指した、そんな「大衆が喜ぶ映画」をもう一度、鑑賞し思い出に浸るのもいいでしょう。

★さて、映画動員ランキングの1位には、好調の『名探偵コナン』『GANTZ』などを退け、小栗旬・長澤まさみ主演の『岳‐ガク‐』(5月7日公開)が入りました。この映画は今週の「お題映画」なので、後ほどリスナーの方からの感想を交えて、たっぷりとご説明します。

★この他、新作では『アンノウン』が8位にランクイン。『96時間』のリーアム・ニーソンを主演に迎えた、ベルリンを舞台に繰り広げられるアクション・スリラーです。ベルリンで交通事故に遭ったマーティン・ハリス(リーアム・ニーソン)が意識を取り戻すと、妻が自分のことを忘れ、見知らぬ男(エイダン・クイン)が自分に成り済ましていた。その上、訳も何者かに命を狙われる羽目に。マーティンは真相究明に乗り出し、奪われた身元を取り戻そうと奮闘する。監督は、『エスター』が高い評価を得たジャウマ・コレット=セラ。共演には『イングロリアス・バスターズ』のダイアン・クルーガー、『マイケル・コリンズ』でリーアムと共演したエイダン・クインら国際色豊かな顔ぶれが揃いました。

★この後、明日11日からはナタリー・ポートマン主演の『ブラック・スワン』、来週20日金曜日からは『パイレーツ・オブ・カリビアン』の4作目『生命の泉(3D)』が公開されます。ゴールデンウィークは邦画優勢のランキングでしたが、ここから6月にかけては洋画の話題作が相次いで公開となり、にぎやかな映画館になりそうですね。

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★さて、今週取り上げるのは、初登場1位の 『岳 -ガク-』です。

★原作は石塚真一さんのベストセラー漫画『岳』で、2008年に漫画大賞を受賞した作品です。山をこよなく愛し、山岳救助ボランティアとして人名救助に奔走する青年・島崎三歩と登山者の交流を軸に、山の厳しさをリアルに描き出す本格山岳漫画で「山岳愛好家のバイブル」とも呼ばれているそうです。山でのテクニック論に終始せず人間ドラマも丁寧に描写している作品だからか、山好きに限らず若年層から中高年層まで幅広く親しまれています。

★一方、7日に公開された映画『岳 -ガク-』では、世界の名峰を制覇した後、日本で山岳救助ボランティアとして活動していた島崎三歩のもとに、山のアマチュア・椎名久美が北部警察署山岳遭難救助隊の新人としてやって来るところから始まります。

★山岳遭難救助隊の紅一点・久美は、訓練は辛いものの、三歩のアドバイスもあり山を好きになりかけていた。しかし、救助活動の中で遭難者の死に直面し「山って一体なんなんだろう」と悩み、壁にぶち当たってしまう。その葛藤から、山をこよなく愛し、あっけらかんと人名救助する三歩に噛み付いてみたり、隊長の命令に背いてみたりとムキになる久美だが、ある救助経験から、成長するきっかけをつかんでいく。

★島崎三歩を演じたのが小栗旬さん、救助隊員の久美を演じたのが長澤まさみさん。また、長野県警察の山岳遭難救助隊長を佐々木蔵之介さん、民間のヘリ会社のパイロットを渡部篤郎さん、山小屋を女手一つで切り盛りする女将さんを市毛良枝さんが演じるなど、顔ぶれも豪華。また、日本アルプスの壮大な映像も見どころで、八ヶ岳、八方尾根、奥穂高岳、立山連峰など標高3000メートル級の雪山で過酷なロケを敢行。脇を固めた名優たちの演技とともに、注目されています。

【頂いた感想メールご紹介】

☆「岳」は、コミックスを全巻入手して愛読していた為、上映を楽しみに、8歳と13歳の子どもと見ました。はじめは原作との兼ね合いもあり、小栗さんが主人公の三歩というのはイメージに合わない気がしていました。小栗さんでは、線が細い感じで、長澤さんも然り。しかし、映画を見てみると小栗さんの三歩もなかなか良かった。長澤さんに至っては、すっかりこれでファンになってしまいました。ただ、新任の救助隊員の救助としては、無謀で勝手な行動としか見られない行動は盛り込みすぎな感がしました。映画にするには、やはり劇的な設定が必要なのでしょうけどね。原作は現段階で14巻ありますから、2時間程度に納めるには難しいですね。少年ナオタ、山荘のおばちゃん、ヘリの牧さんなど、捨てきれないエピソードがあまりに多いので、それらをスルーされると残念な感じです。テレビドラマででも、じっくり見たいですね。(40代女性)

☆原作は読まないで行きました。主人公のキャラクターが小栗さんにぴったりで魅力的でした。日本アルプスが素晴らしく、迫力満点でした。映像に魅了されました。登山の撮影もすごかったです。ストーリー的に無理?な感じもありましたが、周りの脇を固めたベテラン俳優さん達が良かったです。(30代女性)

☆日本アルプスでの過酷な雪山ロケで実撮影を敢行した映像はスケール感もあり素晴らしいし、俳優陣やスタッフ陣の苦労は察するモノの、肝心の人間ドラマ部分を「感動モノ」に寄せ過ぎた為、原作の味や良さ、さらに物語の深味が薄れてしまったのが非常に残念な作品だった。空撮による北アルプスの雄大なパノラマ映像の中に動く小さな人影。厳しい大自然を感じさせる実撮影映像は素晴らしいし、俳優陣やスタッフ陣の苦労は想像以上だった事だろう...。しかし、その映像も「物語」があってはじめていきる代物。原作のエピソードを繋げるモノの、各エピソードが短く、人物の心情や感情の流れが伝わり辛く、全体的に散漫気味なのが難点。さらに、原作の「自然への畏敬の念」を「生きろ」というセリフに象徴される過度な感動モノに仕立てたのは、原作の持ち味を歪めてしまったとも感じた。(40代男性)

☆冒頭から滑り落ちる登山者を通して山の迫力、自然の脅威というのが映像から伝わってきました。しかし、こんなに遭難事故が多かったら怖くて山に登ろうなどとは絶対に思わないというのが率直な感想でした。小栗旬さんは役にはまっていましたが、長澤まさみさんはやたら高い声で叫んだり勝手な行動に出たりとレスキュー隊員にしてはちょっと力不足なのではと感じるほど成長がありませんでした。 コブクロの歌で盛り上げようとしていたのでしょうが、それがかえって取ってつけたような感動映画という印象になってしまいました。(30代男性)

☆実のところ、何かチャラチャラしているような先入観があり、「剱岳」ほど関心ありませんでした。あちらは原作が新田次郎、こちらはマンガ、監督もあちらは黒澤組のキャメラマン、こちらは女性の新人救助隊員が登場して・・・しかし、実際に見たら主演の2人が非常に頑張っていて、十分に楽しめました。ストーリーも面白く、明確なメッセージもあり、万人受けしそうです。「剱岳」は山登りばかりが観客でしたからね。山の夕焼けや雲上の景色も美しく、また山に行きたくなりました。(男性)

☆山好きの私としては、かなり期待して見に行ったのですが、ガッカリしました。小栗旬さんが扮する山岳救助ボランテイアの島崎三歩どのようにして生計を立てているのかが全く分からないので、この人物に対して実在感がまるで湧かないし、共感もまるで出来なかった。その上、長澤まさみさん扮するヒロインも、本当に成長できたのは疑問。実際に山の安全へとサポートして下さっている山岳救助隊の方々に対して、たとえ映画の中での見せ場を作るためとは言え、かなり嫌な描写もありました。(50代男性)

☆見に来ている観客は小栗旬さんのファンなのか女性ばっかり。映画は小栗さんのカッコよさを前面に風景の良さでまわりを固め感動のセリフでダメ押し。それに足手まといになることによって場面盛り上げる長沢まさみさん お決まりのストーリー。あまり映画気に入らなかったのは主人公がカッコよすぎるから嫉妬して見てしまったからでしょうか。(50代男性)

【 ま と め 】

★リスナーの方の感想メールのほとんどは「よかった」という意見がベースになっていますが、細かな点で色々と突っ込みたい点や、気に入らなかった点、違和感を感じた点があったようです。特に原作を読んだことがあるという人から多かったご意見が「人間ドラマの描写をもっと丁寧にしてほしかった」というもの。それだけ、懐の深い原作だったようで、完全に再現するのは難しいのでしょうね。個人的には「三歩がいいウエアを着ているのに収入源は何なんだ?ゴアテックスは高いのに・・・」と思ってしまいました。原作を読めば、正解が載っているのだろうか?ああ、こんどゆっくり原作読んでみよう。



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さて来週とりあげる作品は・・・ 『ブラック・スワン』です。

ナタリー・ポートマン主演の心理スリラー。内気なバレリーナが大役に抜てきされたプレッシャーから少しずつ心のバランスを崩していく様子を描くという物語。予告編、不気味すぎです。どんな作品なのか?アカデミー賞主演女優賞受賞作品を堪能したいと思います。

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