おい、にじり寄るな
「お、アリオスだ!」
「来た来た!」
「婆さん、早くせんか!」
ラスタール村に到着した僕を、多くの人が出迎えてくれた。
ちなみに僕は王都で休んでからの帰郷だ。
さすがに疲れたからね。
余談だが、ダドリーやヴァニタスロアとの戦いを経て、能力を二つ手に入れることができた。
――――――
使用可能なチートコード一覧
・攻撃力アップ(小)
・火属性魔法の全使用
・対象の体力の可視化
・対象の攻撃力書き換え(小)
・吸収
★無敵時間(極小)
★古代兵器召喚(一)
――――――
うん。
二つともヤバい匂いがプンプンする。
まず《無敵時間(極小)》。
字面からなんとなく意味はわかるものの――本当にその通りだとしたら化け物すぎだろ。
マジで何事だよ。
そしてもう一方の《古代兵器召喚(一)》。
ここまでくると訳わからん。
まず古代兵器ってなんだ。
およそ聞き慣れない言葉だが、しかしおとぎ話には存在するんだよな。
女神の
……いや、まさか、な。
その古代兵器を召喚するっていう意味だったら、マジで突き抜けてんぞ。
めちゃくちゃ強力だろうし、おいそれと使えるものではない。
しばらくは様子見だな。
いまはそんなことより――束の間の平和を楽しもう。
せっかくみんなが入り口で出迎えてくれたわけだしな。
「アリオス様……お待ちしておりました」
いの一番に頭を下げてきたのは僕のメイド――メアリー・ローバルトだ。
「アリオス様ならきっと、あのダドリーを打ち倒してくれると信じておりました。しかも観客たちを守ろうとするあの勇姿……ふふ、かっこよかったの一言です♡」
「はは……ありがとな」
「どうですか? 夜になったら二人で……」
「だからあんたはやめい!」
レイの鋭い突っ込みが入った。
しかもめっちゃ早かったぞ。僕ですら見逃すところだった。
「ふふ、でも実際、あのデカブツとの戦いはすごかったわよ?」
カヤも苦笑まじりに会話に入ってきた。
「隙のない身のこなしに、的確な状況分析……。剣の腕以外でも、私じゃアリオスに敵わないわね……」
「いやいや、なにを……」
あくまで《攻撃力の書き換え》と《対象の体力の可視化》があったからこそ勝てたわけで。
Aランク冒険者にそこまで言われるのは恐れ多い。
「というわけでアリオス、夜になったら私に
「あんたもやめぃ!」
レイがまたしても割り入った。
今回もめっちゃ早かったぞ。カヤですら「ああっ」と驚いている始末だ。
「まったく。二人とも油断も隙もないんだから……!」
ブツブツと小言を吐くレイ。
なんでそんなに一生懸命なのか、それがわからない。
「ま、ともあれ」
レイは僕に振り返ると、改めて訊ねてきた。
「これからのこと、どうする? ラスタール村にお世話になるのは、あくまで一時的にだったよね?」
「ああ、それな……」
一時的にこの村に住まわせてもらう。
当初はたしかにそのつもりだった。どうせ行く宛もないし、なるようになればいいと思っていた。
けど。
僕には目標ができた。
もっと強くなって――真の剣聖になるという目標が。
それに、王都と違ってここは静かだからな。
仲間たちに囲まれながら、のんびりと過ごすのも悪くはない。王都ではめまぐるしく一日が過ぎていったが、ここならゆっくりとくつろぐことができる。
「村の方々が迷惑じゃなければ……今後もここに住みたい」
僕は改めてレイや村人たちを見渡すと、静かに告げた。
「僕にできることは少ないけど……新米冒険者として皆さんのお役に立てれば――」
「はっはっは。なに固いこと言うとるんじゃい」
そう言いながら肩に手をまわしてきたのは、ギルドマスターのアルトロだ。
もう酒が入っているんだろうか。
顔が真っ赤である。
「アリオスはもう立派な村の住人じゃ。誰も拒否するわけがなかろうて」
「うんうん!」
「なんならずっといていいんだぞ!」
「私とのけっこんも忘れないでね!」
アルトロに同調するように、村人たちも次々に声をあげる。
僕を否定する者は――誰もいなかった。
「みなさん……ありがとうございます」
こんな僕を温かく迎え入れてくれるなんて。
ここは――なんて良いところなんだろう。
「うふふ。よかった♪」
最高の笑顔を浮かべながら、僕の腕に絡みつくレイ。
「よかったでしょ? この村に来て」
「ああ……良い気分だ」
「ちょっとレイミラ様、あなただけ抜け駆けはずるいです!」
「レイ、あんたって女はっ……!」
「わわわわ……!」
今度はメアリーとカヤが乱入してきて、レイがあたふたする番だった。
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