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おい、外れスキルだと思われていた《チートコード操作》が化け物すぎるんだが。 〜実家を追放され、世間からも無能と蔑まれていたが、幼馴染の皇女からめちゃくちゃ溺愛されるうえにスローライフが楽しすぎる〜 作者:どまどま
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おい、ふざけてる場合か

「ぁぁぁぁぁああああ……!」


 打ち上げられたダドリーが、悲鳴とともに落下してくる。


 ドンッ!!

 その際、地面に全身を打ち付けなかったのはさすがというべきか。右手で落下の衝撃を吸収し、片膝をつくだけに留まっている。


 曲がりなりにも剣聖候補。

 かつてのC級冒険者とは違う。


「ち……くしょう……!」

 剣聖候補は完全に怒っていた。

「ちっくしょぉぉぉぉぅう! ふざけんな! なんだいまのは!?」


「淵源流」

 僕は構えを解かぬまま、静かに答える。

「その昔、初代剣聖が編み出した伝説の流儀だ」


「え、淵源流だとぉ……!?」

 ダドリーが血走った表情で歯ぎしりをする。

「認めねぇ! 認めねぇぞ! 最強は俺だ! 《白銀の剣聖》にマクバ流を身につけた俺こそが最強のはずなんだ!」


「ああ……そうだな」


 ダドリーはたしかに強い。

 それは認めよう。

 だからこそ油断はしない。


 ダドリーの動きを見極めたうえで、的確に攻撃をする必要がある。


「らあああああああああっ!!」


 雄叫びをあげながら突進してくるダドリー。


 が、動きが丸見えだ。

 スピード自体はかなりのものだが、視線がそのまま攻撃の軌道を向いている。これでは受け止めてくれと言っているようなもんだ。


「だあああああっ!!」


 〇・八秒後。

 振り下ろされた剣撃を、僕は事もなげに受け止める。


 ……あれ?

 こんなもんか?

 手を抜いているんだろうか。

 もしくは高度な心理戦か?


「だりゃ! とぅりゃ! はっはっはっは、どうだぁぁぁぁぁあ!!」


 そのまま超高速で剣を打ち込んでくるダドリー。


 やはりおかしい。

 攻撃があからさまに弱すぎる。


「どうだポンコツ野郎!! てめぇには防御だけで精一杯だろうが!」


「いや……これくらい・・・・・ならそうでもないが」


「は……」


「だっておまえ本気じゃないだろ? 遠慮ならいらんぞ」


《白銀の剣聖》がこの程度なわけないからな。

 このまま勝ったって仕方ない。


「は……はははは。そこまで言うなら、本気だしてやるよ!」


 ダドリーは叫び声を発するや、さらに激しく剣を打ち込んでくる。


 一撃。

 二撃。

 僕はすべて受け止める。


「おい」


 三撃。

 四撃。

 やはりすべて受け止める。


「おまえふざけてるだろ? 全然本気じゃな――」


「はぁ……はぁっ……」


 ん?

 待て待て待て。

 ダドリーの奴、かなり辛そうな表情なんだが。


 嘘だろ?

 まさか疲れてるのか?


「……そら」


 ある種の予感を抱いた僕は、ダドリーに向けて足払いを行ってみる。

 と。


「ぶこるぉぉぉぉっ!」


 ずっこけた。

 後頭部を思いっきり打ち付けて。


 うん。

 やっぱり遊んでるな。

 そうとしか思えない。


 僕相手には、まだ本気を出すつもりがないということか。


 観客たちを仰ぎ見れば、あれだけダドリーを応援していた者たちもシンと静まり返っている。それどころか――ダドリーの強さを疑問視する声さえあがり始めた。


「お……おい、なんか思ってた展開と違うぞ?」

「もしかしてあの剣聖候補、めちゃくちゃ弱いんじゃねえ?」

「そ、そうかしら? 私にはアリオスが強すぎるだけに見えるけど」


 まあそう思うのも無理はない。

 僕から見ても、いまのダドリーはただの間抜けにしか見えないからな。


「おい、起きろよ」

 僕は剣聖候補を見下ろしながら問いかける。

「もう小手調べはこれまでだ。そろそろ本気出そうぜ」


「て……てめぇ、本気で言ってんのかよ……」


 ダドリーはなぜか泣きそうな表情を浮かべていた。


 ★


 一方その頃。

 バトルアリーナの上座にて。


 剣聖リオン・マクバはかつてない焦燥感に駆られていた。


 ――まずい。

 あれは非常にまずい。


ダドリーの本気が、まったくアリオスに通じていない。

 詳細は不明だが、アリオスは謎の急成長を遂げてしまっている。アジト制圧の件すら頷けてしまうほどに。


「――オン殿。リオン殿。聞いてるかな」


「……はっ」

 レイファー第一王子の呼びかけで我に返った。

「失礼致しました。考え事をしておりまして……」


「この状況で考え事とはね。そんな呑気な状況かな」


「で、殿下……」


 レイファーは基本、感情を表に出さない。

 だから現在も真顔のままなのだが――彼から滲み出る怒りに、さしものリオンもすこし怯んでしまった。


「リオン。もしアリオス殿が勝ったら、レイミラの長期休暇を許す。そういう条件だったね」


「は、はい……」


「しかしそれはアリオス殿が勝てばの話。間違いなくダドリーが勝つから問題ない――そう言ったのは誰だい?」


「そ……それは」


 しどろもどろになるリオン。


 ――あまりにも予想外だったのだ。

 アリオスがこんなにも強くなっているなんて。

 ダドリーより遙かなる高みに上っているなんて。


 ありえないはずだったのに。


「……ダドリーには勝ってもらいます。なんとしてでも」


「よろしく頼むよ」


 念のため、保険を仕掛けておいてよかった。


 アリオスが本当に単独でアルセウス救済党の構成員を倒していた場合、さすがにいまのダドリーでは分が悪い。だから保険として、仕掛け人を置かせてもらった。


「――聞こえているか。ダドリーの身体能力を強化せよ。ダドリーの身体能力を強化せよ――」



 

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