おい、手柄は俺のじゃないのかよ?
★
一方その頃。ルーレ村付近では。
「はっはー!」
Bランク冒険者――ユージェス・カルアは高らかな笑い声をあげていた。
「死ねゃあオラ! はっはー!」
襲いかかるホワイトウルフたちを、剣の一太刀によって返り討ちにする。
「よっ! ユージェス様!」
「さすがです!!」
「はっはー、そんなでもねえよ?」
しつこい連携で襲ってくるホワイトウルフの群れを、ユージェスはことごとく倒していった。
おかげでそこそこの傷は負ってしまったが、善戦の甲斐あってか、ホワイトウルフの数は次第に減少。
残り数匹だ。
ここまで持ち込めばもう勝敗は決したも同然。群れていないホワイトウルフなど、低級の冒険者でも勝てる。
最後の一振りでホワイトウルフを全滅させたユージェスは、「はん!」と鼻を鳴らす。
「口ほどにもねえ。ザコどもがよ」
剣を振りながら威張るユージェスを、後輩の冒険者が持ち上げる。
「いやいや! ホワイトウルフは強敵ですよ! ユージェスさんが強すぎるんです!」
「あー。そうかなぁ。へっへっへ」
「そうですとも! あんな《外れスキル》のポンコツ剣士とは比べるまでもありません!」
「あー。あいつね。いたなぁ、そんな名前のポンコツ」
「いやー! なんたって剣聖様の息子のくせに《外れスキル》の所持者ですからね! ポンコツのなかのポンコツですよ!!」
「はっは。おめー、わかってるじゃねえか」
と。
カタッカタッカタッ……!
馬の
数台の馬車、そして大勢の冒険者たちだ。
「へっ、なんだ。いまさら加勢かよ」
ユージェスはドヤ顔で鼻を伸ばすと、のっそりと冒険者たちに歩み寄っていく。
「遅えよおまえら。ホワイトウルフならとっくに――」
だが、先頭に立つBランク冒険者にかけられた言葉は、ユージェスの想像だにしないものだった。
「そこをどけ! おまえなぞに用はない!!」
「え」
Bランク冒険者はユージェスを素通りし、そのはるか後方にいた人物たちに声を張る。
「いた! いたぞ! ユウヤと……アリオスだ!」
「は? え? アリオス?」
ユージェスの頭が真っ白になる。
なんで。
なんでだよ。
なんであんなポンコツの名前が出てくるんだよ。
ホワイトウルフを全滅させたのは俺だぞ。この俺様だぞ。
あんなポンコツなんざ、どうでもいいだろうが……!
「皆さん! 来てくださいましたか!!」
爽やかな声で挨拶するのは、あのポンコツ剣士――アリオス・マクバ。
「アリオス、聞いたぞ! アルセウス救済党のアジトを掴んだんだって?」
「はい。中には貴重な情報もありそうです。手分けして押収できませんか?」
「よしきた! アリオス、すげー手柄じゃねえか!! しかもとんでもない宝石を手に入れたんだって?」
「いえいえ、とんでもないです。そんなことより、一刻も早くアジトへ!」
「おう! そうだな!」
そんなやり取りの後、冒険者たちがいずこへと消えていく。さっきアリオスが走り去っていったのと同じ方向に。
「あ、あれ? 俺の手柄は……?」
そう呟くユージェスに反応する者は、誰もいない。
いや。
いやいやいや。
俺だってホワイトウルフを倒したんだぞ? 目立っていいはずだぞ?
「ま、日頃の行いのせいだな」
同級の冒険者にぼそりと耳打ちされた。
【恐れ入りますが、下記をどうかお願い致します】
すこしでも
・面白かった
・続きが気になる
と思っていただけましたら、ブックマークや評価をぜひお願いします。
評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすればできます。
今後とも面白い物語を提供したいと思っていますので、ぜひブックマークして追いかけてくださいますと幸いです。
あなたのそのポイントが、すごく、すごく励みになるんです(ノシ ;ω;)ノシ バンバン
何卒、お願いします……!