国会召集来月に もっと早く開くべきだ
2020年9月25日 07時23分
首相が代われば国会で所信を表明し、各党の代表質問に答える。当たり前のことだが、菅義偉首相の場合、一カ月も先だという。前内閣の継承にすぎないから、説明は不要とでも考えているのか。
臨時国会の召集時期について、自民党の森山裕国対委員長はきのう、立憲民主党の安住淳国対委員長に対し、十月二十日以降になるとの見通しを伝えた。自民党幹部によると召集日は同月二十三日か二十六日になる、という。なぜそんなにずれ込むのか。
安倍晋三前首相の持病悪化による退陣表明を受けた今回の自民党総裁選は「政治空白を避ける」ためとして、全国的な党員・党友投票を省いた方式で行われた。
だとしたら菅氏は首相指名後、間を置かず、内政・外交の課題にどう臨むのか、国会で自らの考えを明らかにし、与野党の質問に答える責務があるのではないか。
菅氏が党総裁に選出されたのが十四日、首相に指名されたのは十六日だ。所信表明が十月下旬になるとしたら、首相指名から一カ月以上も間が空くことになる。
今回と同様、総裁任期の途中で首相が交代した過去の例を見ると福田康夫、麻生太郎両首相ともに内閣発足の五日後に所信表明を行い、代表質問にも応じている。
「政治空白を避ける」と言いながら、国会を開かず、政治空白をつくるのは矛盾ではないのか。
首相就任から一カ月以上も所信表明を行わないのは、よほど緊張感が足りないか、森友・加計学園や桜を見る会の問題など、前政権の疑惑を追及されたくないからなのか。そのいずれでも、主権者たる国民を代表する国会を軽視していると指弾されても仕方がない。
森山、安住両氏は新型コロナ対策を巡り、十月七、八両日に衆参両院の内閣委員会で閉会中審査を行うことでも合意した。菅内閣発足後、初の国会審議ではある。
とはいえ野党側はなぜ、臨時国会の早期再召集と所信表明、代表質問の実施を強く求めないのか。
新内閣の支持率が高く、政権との対決姿勢を強めれば、衆院解散の引き金を引きかねない。そう考えるのなら弱腰すぎる。
菅首相は就任会見で「何が当たり前なのかをしっかりと見極めた上で、大胆に実行する。これが私の信念だ」と述べている。
審議を急ぐべき法案がないとしても、首相が代われば、所信表明演説と代表質問を行うことは、国民には「当たり前」だ。より早期の臨時国会召集を求めたい。
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