第一章: 初めましてとご挨拶
11話: SANチェックです
祝、日間ランキング1位!!!!!!
いやもう、本当に嬉しい………
ランキングが全てでは無いですが、評価を頂けている1つの形として、素直に嬉しいです!
今後ともよろしくお願い致します!
※この物語はフィクションです。実在の人物や団体、法律などとは関係ありません。
喫茶店。
コーヒーを飲みながら、俺はふとある事に思い至り、オレンジジュースのストローに口を付けるチーナに話しかけた。
『なあチーナ。学校の男子がチークキスとかハグをしようって提案してきても、やらない方がいいからな』
"チークキス"…………それは、お互いの頬と頬を擦り付ける、ハグと同様ロシアで用いられる挨拶だ。
あくまで頬と頬でキスするだけであり、ちゅっ!て音は音だけならしてる所謂エアキス。頬に唇でキスする人もいるが、恋仲レベルor孫が可愛いシニアが大半だ。
どちらにしても、お互いの肌が触れ合う行為である。
『うん。日本にはない文化だって聞いたから、もともとそのつもりではあったんだけど、どうして?』
不思議そうに小首を傾げるチーナに、俺は説明する。
『日本では他の国と比べて、異性と触れ合う機会が圧倒的に少ない。気軽に触れ合えるのは恋仲の男女くらいで、基本ハードルが高くなってる。だから、男にとって女に触れようとする行為は下心を含むもので、いろんな大義名分こさえてそれを実行しようとするんだよ。それにチークキスのやり方知らない奴が、唇当てて来るかもしれないしな』
少し長くなった説明を、頷きながら真面目に聞いてくれるチーナ。
話しやすい。詩織信者共に、爪の垢を煎じて飲ませてやりたいくらいだ。
俺の説明を聞き終えて、再度チーナがコクリと頷く。
『確かに、少しわかる気がする。クラスの男子の目……少し気持ち悪い感じがしたし、笑顔も嘘くさくてなんだか信用出来ない』
『ま、日本では信用を得るための作り笑いなんだけどな』
とりあえず、チーナの返答を聞いて安心した。
今後、半端にロシアの文化を調べた男子共が、そんな提案をしてくる可能性は大いに有りうる。
特に佐々木。あいつは怪しい。
それから、今日のスケジュールを少し相談し合ってから、買い物を始めるために喫茶店を出て移動する。
休日ということもあって人の多い通路を、目的の店を探しながら歩く。
にしても…………目立つな。
すれ違う人のほとんどが、こっちを見てくる。
厳密にはチーナを、だが。
彼女も視線を感じ取ったのか、若干俺の後ろに隠れるように歩き始めた。
あ、チャラ男3人組がこっち指さしてる。
これは、警戒しといた方がいいかもな。
『はぐれるなよチーナ。日本人のナンパはしつこいぞ』
『目立ってるのはヨリじゃないの?』
なわけあるかい。
『ばーか。チーナが美人だから目立ってるに決まってるだろ。ちゃんと自分で警戒しとけ』
『………………』
あれ、なんか静かになった。
まぁいいか。店を探そう。
そう思った時、
『あの、ありがと。ヨリも…………男らしくてカッコイイよ』
『は?』
なんか急に褒められた。
ロシア人女性って、男性から一方的に褒めちぎられるだけで、女性側から褒める事は滅多に無いって思っていたんだが、偏見だったのだろうか。
きっとそうだ。
『俺なんて、まだまだだよ。ほら、着いたぞ』
若干照れているのを半ば誤魔化しつつ、目的の店に着いたことで話題を逸らす。
着いたのは、もちろん服屋。
目的は水着。
今の季節、海水浴シーズンギリギリということもあってか、特設の水着コーナーにはチラホラとセールの札が見て取れる。
『さぁ、好きな水着買ってこい。俺も自分の探すから』
俺も訓練用の海パンしか持っていない。
そのため買っておかなければならないため、ここからは別行動……………のはずだったのだが
『え………私日本の流行りとか分からないし、一緒に選んでよ』
『俺が分かると思ってんのか!?』
ベリーハードなミッションを依頼された。
いやいやいや、さすがに無理でしょう。
女子の水着選ぶとか、カップルでもハードル高いんじゃないか?
『ヨリが、"俺と一緒にいろ"って言ったんじゃない』
『そんな情熱的な事言った記憶ねぇよ!? はぐれるなって、それだけだろ』
かんべんしてくださいよおおぉ!
『大丈夫だ!さすがに女性水着のコーナーでナンパしてくるなんて、成功率低いからまずしてこない!安心して行ってこい!』
『日本語読めないから!タグとか注意書き読んで貰わないと分からない!』
なぜか異様に頑ななチーナ。
遂に俺の手首を掴んで軽く引っ張り始めた。
チーナって、意外と頑固なのか?
とにかく、このままではまずい。
"やーだあの彼氏、あんなに可愛い彼女困らせちゃってぇ!"
みたいな事を近くのおばちゃん達が言っている。
てかおばちゃん、その持ってる水着自分用ですかい!? 大丈夫なのそのデザイン!?
じゃなくってぇ!
もーーー!しゃーない!
『わかった!わかったから引っ張るな!』
これ以上目立つことと、水着選びに付き合うことを天秤に掛けた上で、泣く泣く後者を選択。
仕方なくチーナについてレディース水着コーナーへ。
ビキニを着たマネキンや、ラックにずらりと並べられたレディース水着達。
はい、SANチェックです。
これは不定の狂気待ったなし。
あれですかね、恐怖症で逃げ出すとかでお願いします。
『どれがいいと思う?例えば………これとこれだと、どっちがいい?』
そう言って、水着がかかったハンガーを両手に持って見せてくる。
片方はフリルのついた水色のビキニ。もう片方は、ビキニの上に白Tシャツとデニム風のホットパンツを着用するタイプだ。
俺に相談されてもなぁ………。
正直、海水浴自体は基地内の海岸で毎年見かけるが、あくまで軍人かその家族…………いずれにしても、アメリカ人が楽しんでいるだけ。
故に日本人女性の流行りなんて全く分からん。
こういう時、慣れてる陽キャの方々はどうしてるんだろうか。
そもそも水着に流行とかあるのか?
周りに合わせて毎年毎年買い直すとか………あります?
うーん、知らん。全く分からん。
『だから、俺にも流行は分からないんだって。というか、両方めちゃくちゃ似合うと思うんだが』
チーナが来て似合わない水着って、ウェットスーツくらいなんじゃないか?
いや、ウェットスーツでも似合うな。
最強かよ。
『え〜。ヨリはどっちがいいの?』
『俺の意見なんて聞いてどうすんだよ』
僅かに頬をぷ〜っと膨らませて苦言を呈してくる。
可愛いかよ。リスか?
『ヨリは、どっちがいい?』
ぐぐいっと2つの水着を突き出してくるチーナ。
意地でも俺の意見を聞く気か?
はぁ…………少しでも日本人の意見を聞きたいってことか?
勘弁してくださいよおぉ。
選ぶまで引き下がってくれそうにないので、仕方なく2つの水着を見比べる。
『ったく。そうだなぁ…………こっちとか』
俺が指さしたのは、Tシャツタイプの方。
チーナはお世辞にも胸がふくよかとは言えないから、こっちの方が似合うかもしれない。
それに、あまり肌を出して欲しくない。男共の劣情を刺激するし、少しでも隠れている方が熱中症対策になる。
そして少し…………ほんとちょびっとだけ、俺の好みが入っている。
どのくらい少しかって言うと、筋肉注射くらい?
あ、これ魔力の強さだわ。
『そっか………。じゃあ、試着してみるね』
『じゃあ、俺は店の外で待ってるか……』
『何言ってるの。試着室の近くで待ってて』
ぐっ………。
待っている間、女性水着コーナーで男1人という気がふれそうな時間を耐え抜き、ついに試着室のカーテンが開かれた。
『どうかな?』
『!!』
少しはにかみながら後ろに腕を組む、水着姿のチーナ。
似合っていないはずが…………無い。
流行じゃないとか、人気の水着じゃないとか関係なく、否定される余地の無い可憐さ。
『…………似合ってる』
思わず素直な感想が漏れる。いつもの俺なら、もう少し回りくどく褒めるだろうが、今回ばかりは勝手に言葉が出てきた。
アホみたいな顔して言って無いだろうか不安になる。
チーナの水着姿が、これ程の破壊力になるとは………。
あれ、何故にチーナまで顔赤くなってる?
『そっか。じゃあ、これはキープで』
あ、カーテン閉められた。
ていうか、まだ終わらないんですね……。
多少げんなりしつつ、その後も他の店も含めしばらく水着を見て回った。
いくつか試着もして、結局先程俺が選んだやつを購入なされた。
はぁ、身が持たん………………
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SAN値チェックというのは、正気度が削られる時の合言葉みたいなものです。
詳しくはクトゥルフ神話TRPGで検索してみてください!
チーナが可愛い!っというご感想をたくさん頂いています!
めちゃくちゃ嬉しいのですが、やったぜ!っとも感じておりますすみません汗
ロシア美少女は偉大