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WEBインタビュー一覧
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アリスインプロジェクト
ガールズ演劇ユニット、アリスインプロジェクトの代表作「アリスインデッドリースクール」、初演から10年の節目を迎えた今年は、設定を変えたスピンオフともいえる作品の上演も実現し、ちょっとした騒ぎになっている。そんな中、満を持して送り出されるのがこの「アリスインデッドリースクール〜コネクト」だ。劇場の規模も大きくなり、さらにこれまでにこの作品やアリスインプロジェクト作品に関わった女優達が集結した、ひとつの頂点ともいえる作品になることだろう。そこで主人公の漫才コンビ、墨尾優と百村信を演じる堀越せなと白石まゆみ。そして前作に引き続き紅島弓矢を演じる栗生みな。氷鏡庵を演じる八坂沙織に話を聞いた。
● 堀越せな(ほりこし・せな)
宮崎県出身。2016年にテレビアニメ「アイカツ!」の劇中曲を歌うグループAIKATSU☆STARS!に参加し2018年まで活動。その後、天音みほとの二人組ユニット「Mi☆nA」を結成する。舞台へは2017年のアリスインプロジェクト作品で「真説・まなつの銀河に雪ふるほし」で初舞台。その後、いくつものプロジェクトに参加して女優としての活動を展開している。
● 白石まゆみ(しらいし・まゆみ)
東京都出身。アイドル活動を経て高校卒業後の現在はフリータレントとして活躍中。2019年「真約 魔銃ドナ-」で舞台に進出し初主演を務め、新たな御船彼岸子を作り上げて好評を得る。最近ではFRIDAYデジタルの目覚まし美女図鑑でグラビアも初体験。
● 栗生みな(くりゅう・みな)
長野県出身。劇団を経て俳優、歌手として幅広く活動中。俳優としては、ほぼ毎月舞台に出演しておりシリアスな一人芝居から2.5次元やコメディまでその出演数は80にも登る。アーティストとしても舞台やアニメの主題歌をメインに表現力の高い歌声に定評があり、ライブイベントも年に数回開催するなど活躍中。
● 八坂沙織(やさか・さおり)
東京都出身。「avex アイドルオーディション 2010」への参加をきっかけにアイドルグループ・SUPER☆GiRLSのメンバーとして2014年まで活躍する。2011年にアリスインプロジェクトの「時空警察ヴェッカーχ ノエルサンドレ」で初舞台。その後、オッドエンターテインメントや柿食う客、その他多くの舞台に参加する。2014年には東宝ミュージカル「サ・ビ・タ ~雨が運んだ愛~」に出演。ミュージカル女優としての活動もスタートさせている。2016年の「魔銃ドナー」では主役の御船彼岸子を好演。この役を今回共演する白石まゆみが受け継ぐこととなった。
――― 今回の「アリスインデッドリースクール」は10年目という事もあって劇場の規模も大きくなりました。その公演に出演するに当たっての意気込みを、まずはこれまで何回か出演されている栗生さんから伺います。
栗生「自分の中にはかなりのプレッシャーがあります。10年間ファンの皆さんに愛されている作品で、その節目の再演ですしそもそも「命」を扱う作品ですから。当然今年も良かったと言われるようにキャストも一丸となって取り組まないと。でもその反面期待もあってワクワクしている自分もいます」
八坂「今年は他にも「オトナインデッドリースクール」「オヤジインデッドリースクール」もあって、私は「オトナ……」にも出演します。お祭りみたいな年ですけれど、その中で本家デッドリーはこれだけなのでしっかり演じたいです。2017年に出演したときと同じ役なですから、私自身進化していかないといけないなあと思います」
――― では、この作品に初めて参加するおふたりはどうでしょう?
堀越「ええ、私はこの作品は初めてで、これまでは観客の側でした。歴代の私の大事な先輩たちが演じてきた作品ですから、どう引き継いで行くかが課題です。今回ご一緒する先輩方からも色々学んでいきたいですね」
白石「ツイッターで出演を発表した途端、ものすごい反響を頂きました。「デッドリーに出るなんて凄いね」とか「あの屋上がまた見られるんだ」とか。この作品がどれだけ皆さんに愛されているかがよくわかりました。だからこそ、より良い作品にしたいとは思いますが、先輩にも力を貸していただいて、全力で挑みたいです」
――― 栗生さんと八坂さんはお二人からは盛んに「先輩」扱いされているますね(笑)。その意識は凄く高いものですか?
八坂「役柄もこっちは3年生で、2人は1年生ですからね」
堀越「栗生さんとは2回目の共演なのですが、その時は絡む部分がなくて」
栗生「なかったね」
堀越「今回はしっかり絡むので、それが楽しみですね。八坂さんはいままでいろいろな作品に出られているのを沢山拝見してきたので、初共演は光栄です」
白石「私にとって八坂さんは「魔銃ドナー」で同じ役を演じた先輩なんです。凄い演技をされたと聞いていたのでとてもプレッシャーがありました。友だちからも八坂さんの凄さを聞かされてきましたし」
――― 逆に先輩から見てこのお二人はどんな印象でしょう?
栗生「二人とも初々しいですよね。私が女の子に出会ったときの第一印象は、もれなく“カワイイ”だけなんです(笑)が、ここから稽古を通じてお互いの個性を知り合うことになりますね。私は昨年も同じ役でしたが、新しいメンバーだとまた違った人間関係による紅島像が生まれると思います。紅島というキャラクターは、私自身と言うより周囲によって作り上げてもらうものなので、どうなるか楽しみです」
八坂「せなちゃん(堀越)は初めての共演ですが、読み合わせの時、役にぴったりだなあと思いました。まゆみん(白石)の「魔銃ドナー」はは先日観に行きました、私とは全く違うアプローチの御船彼岸子ができていました。天真爛漫で可愛くて……これは皆がついていきたくなるわ、と思いました。私には天真爛漫がなくて(笑)、自分にないものを沢山持っているまゆみんがどんな役作りをしてくるかが楽しみです」
――― もはやアリスインプロジェクトのガールズ演劇は、今の演劇シーンでひとつの立ち位置を確保したと思うのですが、皆さんの中でここの舞台はどんな位置づけがされているんでしょうか?
八坂「私は初舞台がアリスインプロジェクトだったので、ここが完全にスタート地点、大事な場所です」
栗生「私も初舞台はここで、それもダブルキャストからのスタート。それだけにまさに原点と言うべき場所です。だから参加する度に初心に戻る気がしています。里帰りみたいですね。そして今でも声をかけてくれるのは嬉しいですね。がこの舞台ですから、恩返しもしたいし、自分自身の振り返りもできる場所でもあります」
堀越「私もここが初舞台です。今でも女性だけの舞台というのはアリスインプロジェクトだけで、稽古などで女の子ばかりの空間にいるとフワフワします(笑)。でも私もいつの間にか上の方になってきたので、高校生の出演者とかに会うと凄いなー、って思っちゃいます」
白石「私はまだアリスの舞台しか体験していませんし、周りの女の子といってもほぼみんな先輩です。だって高校生でも先輩、という状況もあるわけですよ。前回は演出の細川さんで、凄く丁寧に教えてくださったのですが、今回はまた違う方なのでそこも楽しみですね」
――― 全員初舞台がアリスインプロジェクト! 面白い繋がりですね。今回の「アリスインデッドリースクール~コネクト」は、それぞれのキャラクターの関係性がクローズアップされることで「コレクト」というサブタイトルがついているそうですが、八坂さんと白石さんは演じた役の繋がりがあるし、堀越さんは今回の役を非常に近い先輩の遠藤瑠香さんがやっていたという繋がりがあるし、いろいろなコネクトが作品を越えて見えてきますね。
八坂「まあ突き詰めれば、最終的には人類皆兄弟だから(笑)」
――― 大きく出ましたね(笑)。では最後に観客に向けてのメッセージをお願いします。
堀越「私自身2年半振りのアリスインプロジェクトなので凄く緊張していますが、沢山の先輩達と、10周年を迎えるこの作品で気合いを入れて、優として全力でこの世界観を生きていきたいと思います。今回は7公演ですから全部来て欲しいですね」
白石「前作「魔銃ドナー」では役と実際の自分のキャラクターがそのままだと言われましたが、今回は正反対の役なのでそこも楽しみにしていただきたいです。そして10周年を迎えるこの作品に参加できることを凄く光栄に思っています。皆の心に残る“屋上”を残したいなあと思ってます」
栗生「ガールズ演劇でここまで一人一人のキャラクターが立っていて、それぞれが主役並にほぼ出突っ張りというのはなかなか無いですね。私自身も10年も続いている作品は観たことがないので、そんな節目の作品に出演できることは心から幸せだし、ありがたいと思います。この二人みたいな若いメンバーには予想外のパワーがありますが、そこにベテランが融合していく楽しさもあると思います。精一杯頑張ります」
八坂「今回のデッドリーは7公演で、ゲスト以外は全部シングルキャストなんですね。いつものアリスの舞台はWキャストが多いんですけれど。だからより凝縮されて濃厚なデッドリーがお送りできるんじゃないかと思います。劇場で一緒にコネクトしましょう。私は「オトナインデッドリースクール」にも出ているので、そちらともコネクトしてもらいたいです(笑)」
(取材・文:渡部晋也 撮影:安藤史紘)