英語のMagic Words

英語のMagic Words

1. No, thank you./Yes, please.をきちんと使う

先日カフェでコーヒーを飲んでいたのですが、座った席がたまたまレジの近くでした。

お客と店員さんのやりとりを何気なく観察していると、あることに改めて気付きました。

それはThank you.(ありがとう)とPlease(お願いします)の大切さです。

英語によるコミュニケーションを考えるうえで、まずは基本から始めましょう。

英語のMagic Words

英語圏での生活経験がある人はご存知かもしれませんが、英語ではThank you.とpleaseを日常的によく使い、耳にしない日はないくらいです。

日本語では、「ありがとう」という意味で「すみません」ということもあります。

でも、英語で「ありがとう」はあくまでもThank you.であって、Sorry.ではありません

また、日本語ではわざわざ「ありがとう」と言わないような場面でもThank you.を使い、とにかく出番が多い表現です。

そして、それと同じくらいpleaseもよく使います。

断るときにはNo, thank you.

「Thank you.という表現をよく使いますか」と問われれば、「使っています。」何かしてもらったら必ずThank you.と言います」と答える人も多いと思います。

確かに、何かしてもらった時にThank you.と感謝の気持ちを伝えることは最低限のマナーでしょう。

では、それ以外の場合はどうでしょうか。

何かを断るときにもきちんとThank you.を使えているでしょうか。

Would you like…?(~はいかがですか?)/Do you want…?(~がほしい?)と質問されると、(頭ではわかっていても)ついYea/Noだけで答えてしまう人も多いのではないでしょうか。

しかし、Noと答える場合にも、後にthank youを続けて、

No, thank you.(いいえ、結構です。ありがとう)

と答えることがコミュニケーションの基本です。

私がカフェで観察していたときも、Would you like your receipt?(レシートはいりますか?)と毎回尋ねる店員さんに対して、「いりません」と答えるお客も必ずNo, thank you.と答えていました。

この表現以外に、

・No, I’m all right.(いいえ、結構です)
・No, I’m good.(いいえ、大丈夫です)

を使っているお客もとても多かったのですが、いずれにしても後にThank you./Thank.を続けることが多いのです。

お願いするときにはYes, please.

では、次にpleaseです。

「please=どうぞ」ではありません。

Do you mind if I sit here?(ここに座っても構いませんか?)と聞かれて、「どうぞ」と答えるつもりでPlease.と言ってしまいそうになるかもしれませんが、この場合はPlease.は使いません。

pleaseは「どうぞ」と勧めるのではなく、「お願いします」という依頼の意味で使うことが断然多いのです。

例えば、店で何かを注文するとき、日本語ではよく「~をください」と言いますが、わざわざ「~をください。お願いします」とは言いません。

「ください」にpleaseの意味が含まれているからでしょう。

あるいは、自宅で家族に「お茶飲む?」と聞かれたら、「うん、飲む」と答えることもあります。

「うん、飲む。お願いします」とはあまり言いませんよね。

でも、英語ではこのような場合にpleaseを付けることが基本中の基本です。

意外に思うかもしれませんが、Would you like…?/Do you want…?の答えがYesの場合にはほぼ確実に、

Yes, please.(はい、お願いします)

を使います。

子供がYes.とだけ答えたりすると、親はたいていWhat’s the magic word?(ほら、なんて言うの?)と促して、その子にYes, please.と言い直させます。

たとえ家族であろうと、お願いをする場合にはYes, please.が当たり前なのです。

対極の意味を表す丁寧な表現

No, thank you.とYes, please.は同じくらい頻繁に使います。

人からの申し出を断るときにはNo, thank you、申し出を受けるとき、あるいはお願いする場合にはYes, please.が基本と考えてください。

この2つは対極の意味を表す丁寧表現です。

簡単すぎて何を今さらと思うかもしれませんが、日常会話の基本中の基本としてNo, thank you./Yes, please.を見直していただければと思います。

2. 必ず覚えておきたいpleaseの使い方

Thank you.(ありがとう)と並ぶ英語のMagic Word(魔法の言葉)がplease(お願いします)です。

この単語は、丁寧にお願いするときに使うと考えて間違いではありませんが、それだけではpleaseの本来の使い方を誤解してしまうことがあります。

必ず覚えておきたい2つの使い方

私は、日常生活で必ず覚えておきたいpleaseの意味と使い方は次の2つだと思います。

①used to make a request more polite(依頼をもっと丁寧にするために使われる)
②used when accepting something politely or enthusiastically(丁寧に、あるいは大喜びで申し出を受けるときに使われる)

丁寧な響きを強めるplease

pleaseはまず、何かを依頼する際に、丁寧な響きを強めたいときによく使われます

レストランで食事中に水が欲しくなったとします。

接客係にExcuse me, water please.(すみません、水をお願いします)と言っても、もちろん通じます。

でも、pleaseを付けていても丁寧な表現ではありません。

実は、pleaseの役割は、依頼する表現に付け加えて、丁寧な響きを強めることです。

ですから、まず第一に依頼する表現をきちんという必要があります。

例えば次のような表現です。

・Could/Can you…?(~していただけますか/~もらえますか)
・Would/Will you…?(~していただけますか/~もらえますか)
・Could/Can I…?(~してよろしいですか/いいですか)

これらにpleaseを付けることで「お願いします」という意味が強まって、丁寧な響きが強まるわけです。

名詞にpleaseを付けるだけでは丁寧になりません。

Can I have some water, please?(お水をください、お願いします)

のように依頼すれば丁寧になります。

申し出を受けるplease

口語英語に慣れていないと忘れがちなpleaseがこれです。

相手からの申し出を受けるときに使います。

相手が何かを申し出てくれたり、提案してくれたときに、ネイティブは必ずと言ってよいほどpleaseを使います。

・Would you like some more tea?―Yes, please.(「もう少し紅茶をいかがですか?」「お願いします」)
・Do you need a bag?―Yes, please.(「袋は必要ですか?」「お願いします」)
・What would you like to drink? Tea, coffee, or water?―Uh, coffee, please.(「何をお飲みになりますか。紅茶、コーヒー、お水がありますが」「ええと、コーヒーをお願いします」)

のような感じです。

Yes, please.(はい、お願いします)は決まり文句としてそのまま覚えておくとよいでしょう。

3番目の例文のように、いくつかの選択肢の中から選ぶように言われた場合は「名詞+please」で答えても構いません。

しかし、自分から「~をください」と頼む場合には、Could/Can I have…(,please)?のように丁寧な表現を使う方がよいと思います。

「Please+命令形」には注意が必要

注意したいのが「Please+命令形」の使い方です。

英語の命令形は主に、相手にとって利益になるとき、言われたとおりにするのが自然なとき、規則を表すときに使います。

そこにpleaseを付けて「どうぞ~してください」となります。

・Please come in.(どうぞお入りください)
・Please have a seat.(どうぞお座りください)
・Please let us know if you need any further assistance.(さらに助けが必要な場合はお知らせください)
・Please do not touch.(触れないでください)

のような感じです。

Please reply as soon as possible.(至急お返事をお願いします)のように、相手への依頼を「Please+命令形」で言うと、相手にNoと断る余地を与えず威圧的な響きになることがあります。

Could/Would you…?/Would you mind…?(~していただいてよろしいですか?)など依頼の表現を使う方がよいでしょう。

3. Thank you./Thanks./Thank you very much.の使い分け

Thank you.(ありがとう)という表現には、Thanks/Thank you very much.という言い方もあります。

これらの表現はどのように使い分けるのでしょうか。

Thank you very much.はThank you.の丁寧な言い方なのでしょうか。

意外と耳にしないThank you very much.

「日本人はThank you very much.を使いすぎる」という指摘が著名なネイティブの方が書いた本にあるようです。

私も同じように感じることがあります。

日本人ならThank you very much.と言いそうな場面でも、実際にはThank you.で済ますことが多く、Thank you very much.って最近言われたのはいつだった…?と、なかなか思い出せないくらいです。

その代わりに、とにかくよく耳にするのはThank you./Thanks.です。

Thank you.の温度差

では、なぜThank you very much.はあまり耳にしないのでしょうか。

私はそこには「Thank you.の温度差」があるのではないかと思います。

・Thank you.(ありがとう)
・Thank you very much.((丁寧な)ありがとう、ありがとうございます)

でも私が感じるネイティブの使い分けは次のようになります。

・Thank you.((丁寧な)ありがとう、ありがとうございます)
・Thank you very much.(本当にありがとうございます)

ちょっとズレがありますね。

これが「Thank you.の温度差」です。

日本人がよくThank you very much.を使うのに対し、ネイティブは普段の生活でそう頻繁には使わない理由はこの温度差があるのではないかと思います

基本はThank you./Thanks.

最も一般的な感謝を伝える表現がThank you.です。

実は、この表現自体がすでに丁寧な言い方です

例えば、建物に入るときに、前を歩いていた人がドアを押さえてあなたが来るのを待っていてくれたら、Thank you very much.と言いたくなるかもしれません。

しかし、後に続く人のためにドアを押さえて待つことは、英語圏では自然に行われるマナーです。

このような一般的な親切や助力に対してはThank you./Thanks.を使うことが多いのです。

Thanks.は(友人や同僚など)親しい人々に対して使いますが、世間一般の人々に対して「ちょっとした事柄」について感謝する場合にも使います

例えば、カフェや店頭でお釣りやレシートをもらったりしたときですね。

少しカジュアルな印象です。

インターネットで買い物をしたときに店から送られてくるメールでは、Thank you for your order.(ご注文いただき、ありがとうございます)のようにThank you.が一般的です。

Thank you very much.はまず見かけません。

日本語の感覚では、お客に対してThank you.だけでは丁寧さが足りない気がするかもしれませんが、ここでvery muchはちょっと大げさな感じがします。

特に強い感謝を表すThank you very much.

では、そのThank you very much.の使い方です。

日本語で「本当にありがとうございます」という場面を思い浮かべてみてください。

例えば、道に迷ってしまい、通りがかりの人に行き方を尋ねたら、途中までわざわざ連れて行ってくれたとします。

このように、相手が自分のためにわざわざ骨を折って何かをしてくれたときによく使うのがThank you very much.です。

あるいは、困っている時に助けてくれた場合などです。

特に強く感謝の気持ちを伝えるときに使います。

相手がお客様だから、目上だからという、日本語の敬語とは使い方が異なります。

Thank you very much.はフォーマルに響くので、普段の会話では少しよそよそしい印象を与えることがあるかもしれません。

そんなときには、

Thank you so much.(本当にありがとうございます)

を使うと、ややカジュアルになって気持ちが通じやすくなります。

4. ネイティブらしいThank you.の使い方

日本語の会話でも普通に使うThank you.ですが、ネイティブが使っているのを聞いていると、ただのThank you.も、ちょっとした工夫でネイティブらしくなることに気付きました

相手の名前を後に続ける

友達に何かをしてもらったときにThank you.は反射的に口から出てくると思います。

そのとき、ネイティブは、

Thank you, Yoko.(ありがとう、陽子)

のように、かなりの頻度で相手の名前を後に続けます

日本語では「ありがとう」の一言で済ませることが多いので、最初は慣れないかもしれませんが、ぜひ試してみてください。

相手はきっと親しみを感じてくれるはずです。

余談ですが、バスの乗客が降りるときには、Thank you, driver!(ありがとう、運転手さん)と声をかけて降りていきます。

それもかなり多くの人がそう言っています。

何に感謝するか伝える

次に、英語の授業でも学んだThank you for…を使って、「~してくれてありがとう」と何に感謝するかを具体的に伝えます。

例えば、何かを手伝ってもらったときに、

Thank you for your help.(手伝ってくれてありがとう)

友達が「コーヒー飲む?」と聞いてくれたら、

I’m good, but thanks for asking.(私は大丈夫。でも、聞いてくれてありがとう)

ホームパーティーでは、招かれた人がホストに対して、

Thank you for having me.(招いてくれてありがとう)

というのもよく耳にします。

就職面接などで、わざわざ自分のために時間を割いてもらったときには、

Thank you for your time.(お時間をいただき、ありがとうございます)

も使います。

そして、何かをしてもらったときの軽い感謝には、

Thank you for that.((それ、)ありがとうね)

のように、Thank you for…は頻繁に使います。

いつもThank you.の一言で済ませずに、何に感謝するかを具体的に言ってみましょう。

グンと生きた感じの英語になってきます。

Sorry.ではなくThank you.

日本語では感謝の言葉として「すみません」ということがあります。

お礼はThank you.です。

Sorry.は謝罪や同情を表すときに使います。

路上で前から来る相手に道を譲ってあげたときにSorry.が返ってくることはめったにありません。

普通はThank you.と言われます。

使うべきでない場面でSorry.と言ってしまうと、Sorry for what?(何を謝ってるの?)と聞かれることもあります。

相手に感謝する場合はSorry.ではなくThank you.です。

どんどん使いましょう。

5. Thank you.への答え方

英語ではThank you.(ありがとうございます)を本当によく使います。

単にThank you.と言うこともあれば、理由を具体的に述べて感謝するThank you for…(~をありがとうございます)もとてもよく使います。

それほどよく使うということは、相手から言われる機会も多いということです。

Thank you.と言われたときの答え方をまとめてみます。

You are welcome.ではなくYou’re welcome.

学校では「Thank you.と言われたらYou are welcome.と答える」と学びました。

そして、You are welcome.は「どういたしまして」という意味だと学んだように思います。

私は「You are welcome.と答えると、ちょっと上から目線になってイヤミに聞こえる」と聞いたことがありました。

でも、私の周囲のネイティブは普通に使います。

ただし、You’re welcome.という短縮形です。

You are…とはっきり言うことはあまりないように感じます。

接客してくれた店員さんにThank you.と言うと、You’re welcome.と返ってきますし、道を教えてくれた人にThank youと言うと、You’re welcome.と返ってきます。

「~してあげたのだから感謝されて当然」という上から目線で言っている雰囲気はありません。

「あなたのThank you.を受け止めましたよ」くらいのニュアンスでしょうか。

カジュアルすぎない、ほどよく丁寧な表現なので、一番使いやすいのではないかと思います。

もっと丁寧な言い方として、次の表現も使います。

・You’re very welcome.
・You’re most welcome.
・You’re more than welcome.

「どういたしまして」のバリエーション

日本語で「ありがとう」と言われたときに毎回「どういたしまして」と答えるわけではありません。

「いえ」「いえいえ」「いいえ」とか「こちらこそ」ということも多いと思います。

英語でも同じです。

Thank you.に対する答え方はYou’re welcome.だけではありません。

思いついたものを挙げてみましょう。

・No problem.
・Not a problem.
・No worries.
・That’s OK.
・That’s all right.
・Not at all.
・Don’t worry about it.
・Don’t mention it.
・(It’s)my pleasure.
・Anytime.
・You bet.(カジュアル表現)
・Sure.(カジュアル表現)

あえて日本語訳はつけませんが、「問題ないです」「気にしないで」「いいですよ」「いつでもどうぞ」など、どれもThank you.に答える表現です。

Not at all./Don’t mention it.は、個人的には他の表現に比べて日常生活ではあまり耳にしないように感じます。

ただ、それほど神経質に「この場面ではどれを使うのが正解かな?」と悩む必要はありません。

ひとつだけが正しいということはありません。

Thank you.には必ず言葉で答える

どの場面でどの答え方が最適なのかと悩んで沈黙してしまうと、Thank you.と言った相手も困ってしまいます。

それでは本末転倒です。

Thank you.と言われたらYou’re welcome.でも何でもいいから答える→慣れてきたら違うパターンも入れてみる、でよいと思います。

感謝の言葉には言葉で答えることが大切です。

お礼に対して無言でいることが失礼なのは日本語の場合と同じです。

そして、自分からも積極的にThank you.を使いましょう。

そうすると、相手がどう答えるかも観察できて、それが上達の近道になります。

こんな表現も使える

私がよく耳にするのはダントツでNo worries.です。

これは、No problem./Not a problem.のように「たいしたことではありません」というニュアンスで答えるカジュアルな表現です。

ニュージーランドやオーストラリアで特によく使われるフレーズですが、アメリカでも使われているようです。

Thank you.と言われて、「いやいや、こちらこそありがとう」と言いたいときには、

Thank YOU.(こちらこそ、ありがとうございます)

という答え方もあります。

youを強く発音して強調することで、相手への感謝の気持ちを返すことができるので、私はこのフレーズが好きです。

6. Thank you.を使わない感謝の表現

英語で「ありがとう」は基本的にThank you.ですが、英語は日本語以上に相手に対する感謝を口に出して言うことが多いと思います。

そこで、ワンパターンにならないように、いろいろな感謝の表現を覚えておきましょう。

動詞appreciateを使う

感謝を伝える表現でよく使うのが動詞appreciateです。

「~に感謝する」という意味で、後には人(感謝する相手)ではなく物事(感謝する事柄)が続きます

ビジネスの英語でよく使いますが、日常的にもよく使う便利な動詞です。

・I really appreciate it.(本当にありがとうございます)
・Thank you. I appreciate it.(ありがとうございます。感謝します)
・Thank you so much for your help. I really appreciate it.(助けていただいて、大変ありがとうございます。本当に感謝しています)
・I appreciate your help.(ご協力ありがとうございます)
・I appreciate your advice.(助言していただいて、ありがとうございます)
・I would appreciate it if you could/would…(~していただけるとありがたく思います)

また、受動態で物事(感謝する事柄)を主語にして…is much appreciated.という形でも使います。

(It’s) much appreciated.(ありがとうございます)

形容詞kindを使う

もっと簡単な単語を使って「ありがとう」と伝えることもできます。

それは「親切な、やさしい」という意味を表す形容詞kindを使う言い方で、

That’s (very) kind (of you to…).

です。

この表現は、「~してくれるとはご親切ですね」という意味で学校でも学んだのではないでしょうか。

ただ、その使い方がよくわからないという人も多い気がします。

使い方は簡単です。

「頼んだわけではないのに、相手がわざわざ~してくれた」というときにピッタリの表現なのです。

この「頼んだわけではないのに」がポイントです。

頼んだわけではないのにしてくれたのは「親切」からの行為ですから、形容詞kindを使えるのです。

Thank you.だけではそっけないかなと感じたときに役立つ表現ですね。

以前に働いていたカフェでは、セルフサービスではないのに、多くのお客が飲み終わったコーヒーカップをカウンターに持ってきてくれました。

そして、Great coffee. Thank you.(コーヒー、美味しかったよ。ありがとう)と言って帰っていきます。

とても良い習慣だと思ったので、私もカフェに行ったときに同じようにすると、

Oh, that’s very kind of you.(ああ、どうもご親切にありがとう)

と言われたりします。

あるいは、海外旅行のお土産を渡したときなどに、

That’s very kind. You shouldn’t have. Thank you.(わざわざありがとう。こんなことしてくれなくてもよかったのに。ありがとう)

と言われることもあります。

日本語で「ご親切にありがとうございます」「わざわざどうもありがとう」という場面で気軽に使ってみましょう。

形容詞sweet/gratefulを使う

kindと同じ意味を表す形容詞sweetを代わりに使うこともできます。

同僚がコンビニに買い物に行ったついでに飲み物を買ってきてくれたら、

That’s (very) sweet of you.(わざわざありがとう)

と言えば、喜んでいる気持ちが伝わります。

また、日常会話ではあまり耳にしませんが、「感謝して、ありがたく思って」という意味の形容詞gratefulを使って、

・I’m grateful for…(~していただいてありがとうございます)
・I’m grateful to you for…(~していただいて、あなたに感謝しています)

のように言うこともできます。

感謝の気持ちは具体的に言えば言うほど丁寧になり、相手に伝わりやすくなります。

7. No, thank you.を使わない断りの表現

「結構です」「必要ありません」「いや、大丈夫です」と何かを断る場面を想像してください。

レストランで飲み物のお代わりを勧められたとき、店頭で「レシートはいりますか?」と聞かれたとき、「飲み物を買ってこようか?」と言われて「ううん、大丈夫」と断るときなどに、No, thank you.以外にどんな表現が使えるでしょうか。

No, thank you.の意外な難しさ

「結構です」と断るときにNo, thank you.と言うと冷たく響くという意見があります。

でも、ネイティブは実際にNo, thank you.を使います。

ただ、言い方と、言うときのトーンが意外と大切なので、私たちのようなノンネイティブにとってはなかなか難しい表現のような気がします。

さらに、No, thank you.はレストランやお店でサービスを断る場合によく使い、友人や知人が「~しましょうか」とわざわざ言ってくれたときには別の表現を使って断ることも多いように思います。

やわらかく断るNo, I’m fine.

No, thank you.以外で一番よく耳にする、やわらかな断りの表現がこれです。

・No, I’m fine.(いいえ、結構です)
・Would you like some water?―No, I’m fine. Thank you.(お水はいかが?―いいえ、結構です。ありがとう)

I’m fine.は学校では「元気です」という意味で学んだと思います。

しかし、実際の会話ではNo, I’m fine.(いいえ、私は大丈夫です)の形でNo, thank you.の代わりに使うことが断然多くなります。

No, thank you. I’m fine.のようにも言います。

No, thank you.の後にI’m fine.と続けることで、相手にやわらかく響きます。

That’s fine.と答えるネイティブもいますが、これは「はい、それでいいです」「いいえ、結構です」のどちらにも解釈できるので、No, that’s fine.と言えば断ることがはっきりします。

カジュアルに断るI’m good.

カジュアルな言い方では、

I’m good.(大丈夫です、結構です)

もよく使います。

I’m good.も「元気です」という意味の表現として知られていますが、英英辞典には形容詞goodについてこんな意味も載っています。

used to tell someone that you have everything that you need(必要なものはすべてそろっていると伝えるために使われる)

形容詞satisfied(満足して)の意味に近いので「(もう)いりません」となるわけです。

若い人たちが使うことが多いように思いますが、とてもよく耳にします。

goodの代わりにOK/all rightも使います。

断りを表すDon’t worry about…

カフェで働いていたときにとてもよく耳にした表現がもうひとつあります。

Don’t worry about…(~は結構です)

です。

Don’t worry.はI’m sorry.(ごめんなさい)に答える表現としても使いますが、「気にしないで」という意味です。

そこから「~は結構です」という断りの表現としても使うわけです。

例えば、Would you like your receipt?(レシートはいかがなさいますか?)と聞かれて、

Don’t worry about it.(いえ、結構です)

と答えたり、支払いをしながら、

Don’t worry about the receipt.(レシートは結構です)

と言います。あるいは、

Don’t worry about the change.(おつりはいりません)

のように言えば、かっこよく響くかもしれません。

Thank you.を続けると丁寧に響く

わざわざ「~しましょうか」と申し出てくれた人に対して断る場合には、日本語でも、「いえ、大丈夫。ありがとう」と言いますね。

英語でもそれは同じです。

上で紹介したI’m fine./I’m good.は単独でも使えますが、やはりThank you./Thanks.を続ける方が相手に気持ちが伝わります

断る理由を一言添えることも丁寧になります。

8. Excuse me.とひと声かける

「すみません」は日本語のMagic Word(魔法の言葉)です。

道に迷って近くの人に尋ねたいとき、通路を人が塞いでいて通れないとき、会話中の人に至急の用事で声をかけたいとき、レストランで注文をしたいとき…こんな場面で「すみません」の一言で何を求めているかを伝えられます。

では、英語ではどのように声をかけるでしょうか。

「ちょっとすみません」のExcuse me.

上記のような場面で使うのはExcuse me.です。

日本語では「すみません」と訳しますが、謝罪の表現ではないので「ちょっとすみません、失礼します」の方がニュアンスを理解しやすいと思います。

ほとんどの場面が「すみません」だけで片付く日本語と違って、Excuse me.は意外と使い方が難しいかもしれません。

Excuse me.は、人に声をかけて注意を引きたいときに使います。

知らない人に道を尋ねたり、時間を尋ねるときですね。

急いでいるので道を通してもらう、立ち話をしている人が道を塞いでいて通れないというときにも使います。

この場面で使うExcuse me.が一番多いのではないかと思うくらい、私はよく使います。

通行人を通すために道の端によけたり、邪魔にならないようにする習慣を身につけている人が多い日本と違って、道を塞いで立ち話、通行人が来ても道を譲らないということがよくあるのです。

そんなときは「なぜ脇によけてくれないの」とイライラせずに、Excuse me.と一言声をかけます。

そうするとOh, sorry.(あっ、失礼)と言いながら道をあけてくれます。

Thank you.と気持ちよく答えて通りましょう。

これが日本なら、すべて「すみません」で済んでしまいますね。

やっぱり魔法の言葉です。

それからExcuse me.は途中で席を外したり、(偶然に体が触れたり、くしゃみをしたときなどの)軽い非礼を謝るときにも使います

マナー違反にもなるExcuse me.

飲食店などで「すみませーん」と大きな声で店員さんを呼ぶ光景は日本で珍しくないと思います。

しかし、海外で外食する際は気を付けましょう。

超高級レストランでなくても、声を大きくしてExcuse me!と離れたところにいる接客係を呼ぶのはマナーに違反します。

では、用があるときはどうしたらよいのでしょうか。

目線を送って、気付いてもらえたら軽く手で合図します。

近くに接客係がいるときはExcuse me.と小さく声をかけて構いません。

どうしても気付いてもらえないときは、自分から近づいていきます。

日本では当たり前のような行動が実は海外ではマナー違反だったり、日本の常識が他の国では通じなかったりします。

英語を学んでいくうえで、そうした文化の違いにも気付くようにしたいものですね。

なお、会話中の人に急ぎの用事で声をかけるときにはExcuse me.でもよいのですが、よく使う表現がもうひとつあります。

(I’m) sorry to interrupt.(お話し中のところ、失礼します)

です。

動詞interruptは「~を遮る、中断させる」という意味です。

覚えておくと便利ですよ。

9. ネイティブらしいI’m sorry.の使い方

一声かけるために使うExcuse me.(ちょっとすみません)に対して、I’m sorry.(ごめんなさい)は謝罪の表現としてご存じだと思います。

この表現もネイティブは巧みに使いこなします。

使えるとぐっと表現力が高まる形容詞sorryの活用法を見ていきましょう。

軽い謝罪、失礼を表すSorry about that.

学校で学んだ記憶はないように思うのですが、日常生活でとてもよく使う表現に、

Sorry about that.(すみません、ごめん)

があります。

例えば、カフェで接客中の店員さんがすぐに注文を受けられないときにI’ll be with you in a minute.(すぐに伺います)などと言って接客を終わらせてから、Sorry about that.と言いながら注文を聞いてくれたりします。

他にも例を挙げていくときりがないほど、「ごめんなさいね」と軽く謝るときに使われます

I’m sorry about…/I’m sorry for…の使い分け

Sorry about that.は日常生活でとてもよく使いますが、実は自分の責任を認めて謝罪する意味では使いません

その理由は、次の2つの文の違いにあります。

・I’m sorry about the mess in my room.(部屋が散らかっていてごめんなさい)
・I’m sorry for what I said to you yesterday.(昨日言ったことは申し訳なかったです)

さて、この2つの文の違いは何でしょうか。

最初の文はI’m sorry about…を使い、「部屋が散らかっていること」を謝っています。

次の文はI’m sorry for…を使い、「昨日の自分の発言」を謝っています。

どちらも謝罪を意味しています。

しかし、I’m sorry about…は状況に対して謝っているのに対して、I’m sorry for…は「自分がした行為」を謝っているのです。

この違いが前置詞about/forの使い分けに表れています。

基本的にI’m sorry about…もI’m sorry for…も謝るときに使いますが、forを使う方が自分の非や責任を全面的に認めて謝罪する表現になります

「お気の毒に」のI’m sorry.

I’m sorry.の形容詞sorryは「すまなく思って、後悔して」という意味ですが、さらに「気の毒に思って」という意味もあるのです。

・I’m sorry to hear your mother is unwell.(お母さんの体調が悪いと聞いてお気の毒に思います)
・I’m so sorry to hear about your daughter.(娘さんのこと、大変お気の毒です)

のように使います。

会話ではもう少し短い、

I’m sorry to hear that.(それはお気の毒に)

が、残念な知らせなどを聞いたときに答える表現です。

同情して「~はかわいそうに」と言いたい場合には、

I feel sorry for him/her.(彼/彼女はかわいそうに)

となります。

近親者に不幸があった人に対してお悔やみの気持ちを伝える、

I’m so sorry for your loss.(お悔やみ申し上げます)

にもsorryを使います。

10. I’m sorry.への答え方

Thank you.(ありがとう)と言われたときだけでなく、Sorry.(ごめんなさい)と言われたときにも返事をするのがマナーです。

でも、何と答えたらよいのか一瞬迷うことがあります。

すぐに何か言わなくてはと思っても、答え方がわからなければ言葉が出てきません。

これを機に覚えてしまいましょう。

「大丈夫です」のバリエーション

待ち合わせをしていて、約束の時間に5分遅れて現れた友達が「遅れてごめんね」と言われたら何と答えますか。

長時間待たされたわけではないのだから、「ううん、大丈夫」というのではないでしょうか。

あるいは、電車で知らない人に足を踏まれて「すみません」と言われたら、「いえ」などと答えると思います。

大きな迷惑をかけられたのでなければ、相手の気持ちの負担を軽くするような言葉を返すことが基本になるでしょう。

それは英語でも同じです。

Sorry.と言われたら、次のように答えるでしょう。

・That’s/It’s all right.
・That’s/It’s OK.
・No problem.
・No worries.
・Don’t worry about it.

どれも「大丈夫です、気にしないで」という意味でよく使います。

相手もSorry.と言えばこれらの答えが返ってくと予想しています。

単にNo.と返されたり、返事がなかったりすると、落ち着かないでしょう。

謝る必要などありませんよ」という意味を込めて答えたいときには、こんな表現も使えます。

・Don’t be (sorry).(謝らなくていいですよ)
・It’s not your fault.(あなたの責任ではありません)
・(There’s) no need to apologize.(謝る必要はありません)
・You don’t need to apologize.(謝る必要はありません)
・I’m the one who should be sorry.(謝るのは私の方です)

Sorry.の温度差

以前働いていた職場のレストランで、ネイティブではない新人の接客係が料理を出す際にお客の衣服にソースをこぼしてしまいました。

I’m so sorry.(大変申し訳ありません)と謝る接客係に、幸い、その常連客はNo problem. It’ll come out.(シミは取れるから大丈夫だよ)と笑顔で言ってくれたのですが、接客係はその後もお客にSorry.を繰り返してしまいました。

きちんと謝って許してもらえた後もSorry.を言い続けると、逆に相手を不快にさせてしまうことがあります。

謝罪の気持ちを伝えて、気持ちよくIt’s OK./Don’t worry.と受け入れてもらえたら、それ以上Sorry.を繰り返す必要はありません。

ノンネイティブがI’m terribly sorry.(大変申し訳ありません)と言ってしまいそうな場面でも、ネイティブはSorry.の一言で一件落着ということもあります。

このあたりは文化の違いで興味深いなと思ったりします。

11. sorryを使わない謝罪の表現

先ごろ、YouTubeで話題になったBBCニュースの動画がありました。

韓国政治が専門の大学教授が自宅からスタジオにいるキャスターと生中継で真剣な議論をしているときに、愉快な珍事件が起きて番組の進行がストップしてしまいます。

そのときに大学教授が再三謝ったのですが、そのフレーズを紹介します。

丁寧な謝罪を表すMy apologies.

まずはBBCニュースで登場した謝罪の表現が次の3つです。

・Sorry.(すみません)
・Pardon me.(失礼しました)
・My apologies.(申し訳ありません)

どれも「すみません」という謝罪の表現ですが、このMy apologies.というフレーズを耳にしたことはありますか。

「謝罪する」という意味の動詞がapologize、その名詞形がapology(複数形:apologies)です。

そこから、My apologies.は「お詫びします、すみません、申し訳ありません」という意味になります。

丁寧でフォーマルな感じなので、特にビジネスでよく使います。

取引先へのメールの返信が遅れたりしたときなどによく使うので、覚えておくとI’m sorry.の繰り返しから抜け出します。

単数形apologyと複数形apologies

ここで、apologyの意味を英英辞典で見てみましょう。

a word or statement saying sorry for something that has been done wrong or that causes a problem(してしまった悪いこと、問題を引き起こす事柄について謝罪する言葉や発言)

となっていますが、実は注意しなければならないことがあります。

I’m sorry.の意味で使う場合には、必ずMy apologies.と複数形にします。

・My apologies. I seem to have misplaced the book you lent me.(申し訳ありません。お借りした本をなくしたようです)
・My apologies for delay in replying to your email.(いただいたメールへの返信が遅くなって、すみません)

のような感じです。

さらに、次の表現はビジネスメールやレターで好まれる、丁寧でフォーマルなものです。

Please accept our (sincere) apologies for any inconvenience caused.(ご不便をおかけして(心より)お詫び申し上げます)

もちろんapologyは単数形でも使われて、「謝罪」という意味になります。

・I owe you an apology.(あなたに謝らないといけません)
・I received a letter of apology from the company.(その会社から謝罪の手紙が届いた)

12. Pardon?/Pardon me.

pardon(~を許す;許しという単語を一度は聞いたことがあると思います。

では、Pardon?(何と言いましたか)/Pardon me.(すみません)はどうでしょうか。

Pardon?もPardon me.もよく耳にするので、実際にどのように使われているのかを紹介します。

聞き返すPardon?

まずはPardon?からです。

相手が言ったことが聞き取れなかったり、意味がよく分からなかったりして「何と言いましたか?」と聞き返すときによく使います。

アメリカ英語ではPardon me?とも言うようですが、イギリス英語ではもっぱらPardon?です。

I beg your pardon?(何とおっしゃいましたか?)は丁寧な表現ですが、かしこまりすぎている印象があったり、「何ですって?」のように怒りや不快な気持ちで聞き返すときにも使うので、単純に聞き返すならPardon?で十分だと思います。

「もう一度言ってください」と聞き返す表現には、

・(I’m) sorry?
・What’s that?
・Excuse me.
・Could you say that again?

などもあります。

Pardon me.はExcuse me.と同じ

動詞pardonには「(人や行為)を許す」という意味があるので、失礼なことをしてしまったとき、これから失礼になりそうなことを言ったりしたりするときに、Pardon me.(失礼しました、失礼します)を使います

Excuse me.(失礼しました、失礼します)と同じ意味ですが、Pardon me.の方が丁寧でフォーマルに響きます

個人的な印象では、年配の方がよく使っています。

・Oh, pardon me. I wasn’t looking where I was going.((人にぶつかって)失礼しました。ちゃんと前を見ていなかったので)
・Pardon me for interrupting you, but I have to go.(お話し中に申し訳ないですが、もう行かなくてはなりません)

また、相手が言ったことを訂正したり、反対するときの丁寧な前置き表現としても使います

Pardon me, but I don’t understand.(失礼ですが、理解できません)

イギリス英語でのPardon me.

イギリス英語でPardon me.をとてもよく使う場面、それはおならやげっぷをしてしまったときです。

これもExcuse me.と同じ使う方なのですが、イギリス英語ではPardon me.を使う人も多いのです。

先日はスーパーで、隣のレジに並んでいる女性が連れていた男の子がおならをしてしまいました。

すると、その女性がすかさずOh, pardon me.(あら、ごめんなさい)と子供の代わりにレジの人に謝っていました。

ちなみに「おなら」はfart、「げっぷ」はburpと言いますが、これらを遠回しにrude noise(下品な雑音)と表現することもあります。

Pardon my French.とは?

最後に、Pardon my French.というイディオムを紹介します。

直訳すると「私のフランス語をお許しください」という意味ですが、実際には汚い、あるいは下品な言葉を使ってしまったとき、もしくは使う前に「失礼しました」「失礼!」という意味で使います。

Excuse my French.も同じ意味です。

自分から積極的に使う機会はなくても、誰かが言ったときに「?」とならないように、意味だけは覚えておくとよいでしょう。

13. Sorry.よりThank you.

「お待たせしてすみません」を英語で言うと、どう表現しますか。

I’m sorry to have kept you waiting. / Sorry to keep you waiting. / Sorry for making you wait.などを思いつくでしょうか。

確かに、これらの表現は「お待たせしてすみません」という意味です。

でも、私は待たされたときにこう言われたことは実はあまりありません。

その代わりにもっとよく耳にする表現があります。

to keep you waiting / to have kept you waiting

「お待たせしてすみません」の英語表現としてよく紹介されるのが(I’m) sorry to keep you waiting. / (I’m) sorry to have kept you waiting.だと思います。

to keep you waiting / to have kept you waitingの違いから復習してみましょう。

例えば、スターバックスに入って注文しようと思ったら、先客が10人以上並んでいたとします。

順番を待って自分の番が来たときにレジ係から言われる「お待たせしてすみません」はどちらの表現でしょうか。

この場合にはSorry to have kept you waiting.が正解です。

「順番が来た」すなわち「待たされる状態が今終わった」ので、現在完了形のto have kept you waitingを使います。

では、Sorry to keep you waiting.を使うのはどんな場合かというと「待たされる状態がこれからも続く」ときです。

列で順番を待っているお客のところに店員さんが来て、メニューを渡しながら言う「お待たせして(いて)すみません」にはSorry to keep you waiting.がしっくりきます。

Sorry.ではなくThank you.

これで、Sorry to keep you waiting. / Sorry to have kept you waiting.の使い分けはわかりました。

この2つのフレーズは文としては正しいのですが、スターバックスの店員さんはおそらくこうは言わないと思います。

実際に私が同じような場面でよく耳にする表現はまったく違います。

それは、

Thank you for waiting.(お待ちいただいて、ありがとうございます)

です。

カフェやレストランだけでなく、様々な接客の場面でとてもよく耳にする表現です。

こう言われると長く待たされても怒る気になれないので、私もわりと好きな表現です。

Thank you for your patience.(お待ちいただいてありがとうございます)

もあります。

名詞patienceは「忍耐、辛抱」という意味ですが、英英辞典にはとても良い定義が載っています。

the ability to stay calm and accept a delay or something annoying without complaining(落ち着いて、遅れや苛立たしいことを不平を言わずに受け入れられる能力)

Thank you for waiting.はそれほどフォーマルでない場面でよく使いますが、Thank you for your patience.は改まった雰囲気を感じさせます。

また、電話の途中で相手を保留にしたり、待たせたときには次の表現をよく使います。

Thank you for holding.(受話器をそのままでお待ちいただき、ありがとうございます)

I’m sorry to keep/to have kept you waiting.やSorry for making you wait.と言う表現は使わないということではありません。

ただ、個人的な事情で待たせた場合を除いて、あまり耳にしないと思います。

日本語では相手に少しでも負担をかけた場合は詫びるのが基本なので、英語で話す場合もついSorry.が多くなるでしょう。

しかし、大勢のお客が順番に並んでいる状況で多少待たせるのは仕方のないことです。

そんなときにはThank you for…を使います。

英語ではSorry.よりもThank you.―つまり詫びるのではなく、感謝を伝えるわけです。

これも文化の違いということになるのでしょうが、英語で話すときには日本語の「すみません」を直訳しすぎないほうがよいと思います。

14. してしまったことの謝罪にI’m sorry to…は使わない

約束の時間に遅れて到着したら、たいていの人はこう言います。

「遅れてすみません」と。

では、これを英語でどう言うのでしょうか。

これが意外と間違えやすいのです。

遅刻の謝罪はI’m sorry I’m late.

遅刻して言う「遅れてすみません」を英語にすると、次の表現が思い浮かぶのではないでしょうか。

・I’m sorry for being late.
・I’m sorry to be late.
・I’m sorry I’m late.

結論から言うと、I’m sorry I’m late.が最も一般的です

I’m sorry for being late.も使われるかもしれませんが、私の周囲では耳にしません。

してしまった(過去の)ことについて謝る場合は「I’m sorry (that)+文」で言うことが多い気がします。

学校英語では「~して申し訳ない」をI’m sorry for…やI’m sorry to…と学んだ気もするので、このどちらかを思い浮かんでも無理はないと思います。

私も以前は英語に触れる機会がそれほどなかったので、I’m sorry for being late. / I’m sorry to be late.も使えると思っていました。

でも、I’m sorry to be late.と言われたネイティブは戸惑うようです。

それはなぜでしょうか。

I’m sorry for/about…

まずは形容詞sorryの使い方を復習しましょう。

私が愛用している英文法解説書から引用しながら考えていきます。

前置詞のfor/aboutが後ろに続く場合の使い方は、こう解説してあります。

You can use sorry for or sorry about (doing something) to apologize for something you did before.(自分が過去にしてしまったことについて謝るためにsorry for/about…を使う)

I’m sorry for/about what I said yesterday.(昨日言ったこと、ごめんなさい)

I’m sorry to…

次にsorry to…を使った「すみません」の定義を見てみると、こう書いてあります。

We also say sorry to…to apologize at the time we do something.(何かをするときに詫びるためにsorry to…も言う)

例えば、こんな感じで使います。

・I’m sorry to interrupt, but do you have a minute?(お話し中に申し訳ないけど、ちょっといいですか?)
・I’m sorry to bother you again.(たびたびすみません)
・Sorry to be a pain, but can you send me more information?(お手数ですが、もっと詳しい情報を送ってもらえますか?)

相手からI’m sorry to…と言われると、ネイティブは「おっ、これから謝罪されなければならないようなことをされる/言われる」と身構える感じになるようです。

I’m sorry for/about…とI’m sorry to…の違い

さて、I’m sorry for/about…とI’m sorry to…の大きな違いがわかったでしょうか。

この違いがI’m sorry to be late.と言わない理由です。

I’m sorry for/about…は「apologize for something you did before」なので、すでにしてしまったことについて「~してしまって申し訳ない」という意味です。

I’m sorry to…は「apologize at the time we do something」ですから、何かをするに際して「申し訳ないですが今から~します」という意味です。

I’m sorry to be late.の意味を考えてみると、おかしいことに気付きます。

「申し訳ないですが、今から遅れます」となってしまいます。

遅刻したという過去の行為についての謝罪にはなりません。

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