英語でのコミュニケーションの基本表現―Part 1―

英語でのコミュニケーションの基本表現―Part 1―

1. Hello./Hi.の使い分け

英語の日常のあいさつと言えばHello.(こんにちは)とHi.(やあ)ですね。

この2つの違いは何でしょうか。

英語を特に勉強したことがなくても感覚的にわかるような気もします。

でも、実は辞書にも載っていないことが多い、そして日本人にはわかりにくいHello./Hiの使い分けがあるのです。

Hello./Hi./Hey./Hiya.の違い

せっかくなので、Hello./Hi.以外のあいさつ表現としてHey.(やあ)とHiya.(やあ)も併せて考えてみます。

すべて日常的なあいさつとして使います。

厳密に言えばHello.は一番フォーマルです。

ちょっと改まってあいさつするとき、スピーチの冒頭などではHello.が多く使われます。

Hi.はもう少しカジュアルで、同僚や友達、身内などに対して使うことが多いのですが、カジュアルな接客の店などでも頻繁に耳にします。

Hey.はカジュアルなあいさつとして使えますが、少し品位に欠ける響きがあります。

「ちょっと!」と人を呼び止めるときにも使うので、あいさつでは避ける方がよいかもしれません(相手との親しさ、声の調子にもよります)。

Hiya.は書き言葉で使うことはあまりない、Hi.よりもさらにカジュアルなあいさつです。

女性がよく使います。

同じ表現の繰り返しを好まない

英語では、同じ単語や言い回しを繰り返し使うことを好みません。

これは書き言葉で特に顕著なのですが、会話の中でも同じ言い回しばかり何度も使っていると表現力に欠ける印象を与えてしまうこともあるようです。

日本語でもそうですね。

文の最後に「~です」だけを繰り返していると単調になって、表現力に疑問を持たれてしまいます。

英語では同じ表現の繰り返しを好まない傾向が特に強く、日本語の場合以上にネイティブは抵抗を感じるようです。

そこで、Hello.と言われたらHello.とおうむ返しで答えるのではなく、Hi.とかHiya.と表現を変えることが多いのです。

Hello.にはHi.で、Hi.にはHello.で

実際に、以前の職場で接客の際にHello.なりHi.とあいさつして、お客が何と答えるか注意深く聞いてみました。

すると、かなりの確率でHello.と言えばHi.かHiya.、Hi.と言えばHello.と返ってきました。

Hello.に対してHello.、Hi.に対してHi.と返ってくることはほとんどありませんでした。

顔なじみになれば店員さんが親しげにHi./Hiya.と声をかけてきたり、初対面でもHi.と言われることも珍しくありません。

日本の店員さんとお客の距離感とは違う気がします。

でも、Hello.と言われたらHi.と表現を変えて答えるというのは、日本語にはない感覚です。

日本語で「こんにちは」と言われれば、たいてい「こんにちは」と答えます。

こんな違いも面白いですね。

皆さんも、英語で話すときにはHello./Hi.の使い分けをぜひ意識してみてください。

2. Hi, there./Hello, there.のthereの意味は?

Hi, there.(やあ)というあいさつを耳にしたことはあるでしょうか。

私は最初は知らなかった表現ですが、店やカフェなどで店員さんにHi, there.と声をかけられることがとても多いのです。

なぜこんなところにthereが出てくるのでしょうか。

このthereはどんな意味なのでしょうか。

なぜわざわざthereを付けるのか

Hi, there.があいさつの表現であることは、Hiで始まることからもわかると思います。

声の調子にもよりますが、とてもフレンドリーに響く表現で、お店などでよく耳にします。

例えば、カフェで注文の順番待ちをしていて、いよいよ自分の番になったらレジの店員さんから、

Hi, there. What would you like?(こんにちは。何になさいますか?)

と言われたりします。

衣料品店で商品を見ていると店員さんが寄ってきて、

・Hi there. Do you need any help at all?(こんにちは。お手伝いしましょうか?)
・Hello, there. Are you all right?(こんにちは。お手伝いしましょうか?)

のように声をかけられることもあります。

Hi, there./Hello, there.はHi./Hello.ということです。

では、なぜわざわざthereを付けるのでしょうか?

「そこのあなた」ではない

副詞thereには「そこに、そこで」という意味がありますから、私は最初はHi, there.は「そこのあなた」という意味かと思っていました。

でも、そうではなかったのです。

このthereはこんな意味でした。

used to attract somebody’s attention(人の注意を引くために使われる)
used as an indefinite substitute for a name(名前の代わりの漠然とした名称として使われる)

このthereは特に意味はなく、相手の注意を引くための呼びかけとして使うわけですね。

Hi, there.で「やあ」ぐらいの感じです。

そして、興味深いのは2番目の説明にあるsubstitute for a name(名前に代わるもの)という定義です。

あいさつには名前を添える

私は、この定義を見たときに、とてもしっくりきました。

英語のあいさつでは、相手の名前を添えることが本当に多いのです。

Hi, John./Hello, Diana.という感じですね。

相手の名前がわかっている場合は、Hi./Hello.の後に相手の名前を続けてあいさつするのが普通です。

でも、店員さんはもちろんお客様一人ひとりの名前を覚えているわけではありません。

そこで、Hi, there./Hello, there.と言うことが多いのかもしれません。

面識のある人に対しても使うことがあるそうですが、私はほとんど耳にしたことがありません。

初対面の人からのフレンドリーなあいさつとして耳にすることが圧倒的です。

Hi, there.とあいさつされたら、Hi./Hello.で答えればよいのです。

ちなみに、このあいさつはメールでも使われます。

面識のない人からのメールやメールマガジンなどでは、Hi./Hello.よりカジュアル、フレンドリーに響くあいさつとしてHi, there.という呼びかけをとてもよく目にします。

3. 「久しぶりですね」と伝える表現

誰かと会ったとき、最初に英語で何とあいさつしたらよいのか悩んでしまうものです。

その相手が長い間会っていなかった人だとしたら、なおさらです。

日本語では「久しぶりですね」という場面で、英語では何と言えばよいのでしょうか。

ほとんど耳にしないLong time no see.

「久しぶりですね」という英語表現として、多くの人が最初に思いつくのはLong time no see.だと思います。

私もそうでした。

しかし、海外生活を始めてから「ネイティブは本当にLong time no see.を使うのかな」と疑問に思うようになりました。

実際にLong time no see.と言われることがほとんどないからです。

前の職場で働いていたとき、日常的にほとんど顔を合わせる機会のない役員がいました。

会うときはいつも「久しぶり」だったわけですが、その人の口からLong time no see.を聞いたことは一度もありませんでした。

また、常連のお客がしばらく顔を見せず、久しぶりに来たときにはLong time no see.ではなく、別の表現を耳にすることが多かったのです。

では、それはどんな表現なのでしょうか。

「久しぶり」には現在完了形が合う

「久しぶりですね」というあいさつで私がよく耳にするのは、

・It’s been a while.
・It’s been (such) a long time.

です。

どちらの表現も後に…since we last met.(最後に会ってから)という語句が省略されているのですが、ここで注目したいのは動詞がhas beenという現在完了形になっていることです。

現在完了形を使うことによって「今まで長い間ずっと」というニュアンスが出るので、「久しぶりです」にぴったりくるわけです。

あるいは、

・I haven’t seen you in a while.
・I haven’t seen you in ages.
・I haven’t seen you for ages.

などを使う人もいます。

直訳すれば「長い間会っていませんね」ということから、「久しぶりですね」という意味になります。

ここでも現在完了形を使っています。

特にagesを使って「何年も」と大げさに言う表現は友達同士でとてもよく使います。

「久しぶりですね。元気にしていましたか?」の「元気にしていましたか?」も現在完了形を使って、

How have you been?

がしっくりきます。

現在形のHow are you?は「元気ですか?」と現在の状態を尋ねるのに対して、How have you been?は過去から現在までの期間を意識した表現です。

さらに、

What have you been up to?

も「最近どうしていましたか?」という近況を尋ねるフレーズとして、とてもよく使います。

親しい人に使えるLong time no see.

ところで、Long time no see.は文法的におかしいと感じませんか?

これは、もともと中国語を話す人たちが英語を話す人たちとビジネスをするときに使っていた表現で、中国語で「久しぶり」を意味する「好久不見」を英語に直訳したものだそうです。

英語の文法に当てはめて説明できないのも当然かもしれませんが、そのまま現在に至っています。

英語で書かれたサイトで、Long time no see.は「コミカルに響くので、フォーマルな場面では使わない」と書いているものがいくつかありました。

ただ、親しい人に対しては問題なく使えるようです。

Long time no see.から派生した表現にLong time no speak. / Long time no talk.などがあります。

友人がメールでHi! Long time no speak.と書いてきたときはギョッとしましたが、他の友達も使っていました。

こんなカジュアルな表現があるということは知っておいてよいかもしれません。

また「久しぶり」という日本語にとらわれずに、

Good to see you again.(また会えてうれしい)

と表現してもよいでしょう。

まずは自分でしっくりくる表現をひとつ使ってみて、そこから少しずつバリエーションを増やしていくのがよいと思います。

4. Nice to meet you. / Nice to see you.の使い分け

Nice to meet you.(はじめまして)もNice to see you.(会えてうれしいです)も人に会ったときのあいさつに使います。

ただ、きちんとした使い分けが必要です。

meet/seeはどちらも動詞で「~に会う」という意味がありますが、どのような使い分けが必要でしょうか。

初対面限定のNice to meet you.

Nice to meet you.は初対面の人に対して使うあいさつの表現で、「はじめまして」と訳されます。

一方、Nice to see you.は副詞again(再び)を後に付けたりして、すでに会ったことがある(つまり面識のある)人に再会したときのあいさつに使います。

それはなぜでしょうか。

すでにあったことのある人になぜNice to meet you again.と言わないのでしょうか。

実は、そうは言えない理由があるのです。

meet/seeはここが違う

meetは「会う約束をして会う」、seeは「偶然に会う」。

そんなふうに理解していないでしょうか。

次の例文を見てください。

・Meet me at the office at 3 p.m.(オフィスで3時に会いましょう)
・I saw him at the station.(駅で彼を見かけました)

なるほど、上の理解で正しそうですね。

でも、seeは次のようにも使います。

・I’ll see you at 3 p.m.(3時に会いましょう)
・I’m going to see my grandma.(祖母に会いに行きます)

約束しているのか、偶然なのかでmeet/seeを使い分けるのではなさそうです。

しかし、meetとseeには決定的な違いがひとつあります。

英英辞典のmeetの定義はこうなっています。

make the acquaintance of (someone) for the first time(初めて誰かと知り合う)

meetは「~と知り合いになる」という意味です。

Nice to meet you.は「お知り合いになれてうれしいです」という意味になるので初対面の相手にしか使えません。

すでに面識のある人にNice to meet you.と言ってしまうと、相手は心の中で「以前にお会いしましたけど…」とつぶやいてしまうかもしれません。

Nice you meet you again.という言い方ができないはずですね。

「初めて会う」のにagainはありえませんから。

次にseeの定義を見てみましょう。

meet (someone one knows) socially or b chance(知っている人に付き合いとして、あるいは偶然に会う)

seeは「知っている~に会う」という意味です。

Nice to see you (again).は面識のある相手にしか使えません。

なお、イギリス英語ではNice to meet you. / Nice to see you.をLovely to meet you. / Lovely to see you.ということもあります。

出会いを表すmeet

ネイティブは、meetに「会う」という意味だけでなく、「~に初めて会う」というニュアンスを感じるようです。

カップルに知り合ったきっかけを尋ねるときには、

Where did you two meet?(2人はどこで出会ったの?)

を使います。

Where did you two see?とは言いません。

「そのレストランで初めて彼女に会ったんだ」という意味でI met her at the restaurant.とは言いますが、I saw her at the restaurant.とは言いません。

「~に初めて会う」は必ずmeetを使うと覚えておきましょう。

5. 初対面での名前の尋ね方

初対面の人に英語で名前を尋ねるときはどのように言いますか?

「なるべく失礼のないようにMay I…?を使って尋ねましょう」と教えられた気もします。

人と初めて会ったとき、あるいは電話でも必ず相手の名前を尋ねる必要が出てきます。

ここでまた基本に戻って考えましょう。

まず自分から名乗る

まずは、これまでに習ったMay I have your name?(お名前をうかがえますか?)のような「丁寧に相手の名前を尋ねる表現」を一度忘れましょう。

丁寧な表現を使うより、実はもっと大切なことがあります。

それは、自分から先に名乗ることです。

いくら丁寧な表現で名前を尋ねたとしても、自分は名乗らずに相手に名前を尋ねることは、残念ながらあまりよい印象を与えません。

いきなりMay I have your name?と尋ねるのではなく、

Hi, I’m Taro.(こんにちは、太郎です)

と自分から名乗るのがスマートです。

そして、手を差し出して握手を求めるのもよいでしょう。

そうすれば、相手はHi, I’m John.と返してくれるはずです。

わざわざ名前を尋ねる必要はありません。

Hi, I’m Taro, and you are…?(こんにちは、太郎です。あなたのお名前は…?)

と最後の部分の言葉を濁しながら言っても、相手はI’m John.と返してくれるはずです。

自己紹介なしで始まる会話

海外暮らしを始めたころ、日本との違いに驚いたことがありました。

それは、初対面の相手ともすぐに打ち解けて、おしゃべりがはずんでしまう人が少なくないということです。

公園で、カフェで、あるいは飛行機の中で、隣の人とかなり親しそうに話してると思ったら、知り合いではなく、たまたま話していただけという場面に何度も遭遇しました。

そんなときにはたいてい、たわいもない話題から始まるので、わざわざ名乗って自己紹介をする機会はないかもしれません。

でも話の途中や最後で名乗ることもあります。

そんなときには、

By the way, I’m Taro.(ところで、私は太郎です)

と言いながら笑顔で握手を求めると自然です。

意外とよく使うWhat’s your name?

What’s your name?(お名前は何ですか?)は失礼な尋ね方といわれますが、意外とよく使います。

ホテルや企業の受付などの改まった接客ではMay I have your name (,please)?をよく使いますが、それ以外の場面では多くのネイティブがWhat’s your name?と尋ねます。

コーヒーショップで注文時に名前を聞くことがありますが、その場合もWhat’s your name?が多く使われます。

個人的な印象としては、自分が名乗る必要がない接客などの場面ではWhat’s your name?を一般的に使うように思います。

電話で「どちら様ですか?」と相手の名前を尋ねる場合には、

・May I ask who’s calling, please?
・Who am I speaking to?

などをよく耳にします。

同じ「どちら様ですか?」でも、玄関や部屋のドア越しに尋ねる場合は、

Who is it?

となります。

聞いた名前は必ず口に出す

相手の名前を聞いたら、とにかく口に出しましょう。

自己紹介で相手の名前を聞いたときには、

Nice to meet you, John.(はじめまして、ジョン)

のように答えて相手を名前で呼びかけることはとても大切です。

名前が聞き取れなかったり、忘れてしまった場合にはできるだけ時間を置かずに、

Sorry, what was your name again?(すみません、お名前は何とおっしゃいましたか?)

と確認します。

名前を思い出せずにうやむやにしてしまうよりも、もう一度尋ねる方が失礼になりません。

What was your name again?と過去形で尋ねることも忘れずに。

6. 初対面での会話に役立つ表現

日本は海外からの旅行者が激増していますね。

先日、街の中心から近いビーチ沿いの公園に娘を連れて出かけたときのこと。

他にもたくさん子供が来ていて、何人かのお母さん、おばあちゃんと話す機会がありました。

そこでよく聞かれた「ここに住んでいるの?それとも旅行中?」など、初対面の人との会話のきっかけになる表現を紹介したいと思います。

日本国内で海外からの旅行者と話す機会があったとき、海外旅行先で人と話す機会があったときに役立ててもらえればうれしいです。

まずは定番の質問から

まずは、日本国内でも海外旅行先でも定番の「このあたりに住んでいるのですか?それとも旅行中ですか?」という質問です。

私は見た目バリバリのアジア人ですから、この質問を受けることが少なくありません。

私がよく耳にするのはこんな表現です。

Do you live here, or are you visiting?(ここに住んでいるのですか、それとも旅行中ですか?)

これは「ここに住んでいますか?」と「旅行で来ているのですか?」を合体させた表現ですが、それぞれ別の言い方もあるので、いくつか紹介したいと思います。

「この辺に住んでいるのですか?」

「この辺に住んでいるのですか?」「地元の方ですか?」と尋ねるには、次のような表現があります。

Do you live here?(ここに住んでいるのですか?)

この表現はhereが何を指すかがあいまいで、地域や国を指すと理解されることもあります。

・Do you live around here?(このあたりに住んでいるのですか?)
・Do you live near here?(このあたりに住んでいるのですか?)

といえば、近くに住んでいるのかどうかを尋ねていることがはっきりします。

・Are you from here?(ここの出身ですか?)
・Are you from around here?(このあたりの出身ですか?)

という表現も、出身地に限らず「この辺に住んでいるのですか?」「地元の方ですか?」と尋ねる場合にも使います。

「旅行中ですか?」

「旅行中ですか?」を英語にするとまずAre you travelling?を思いつくかもしれません。

でも、個人的な印象で言うと、こう聞かれることは少ないように感じます。

もっとよく耳にするのがすでに出てきた、

Are you visiting?(旅行(滞在)中ですか?)

です。

これで「(旅行などで短期間)滞在中ですか?」となります。

Are you on holiday?(休暇中ですか?)

もわりとよく耳にします。

アメリカ英語ではAre you on vacation?となりますね。

Where are you from?には注意が必要

注意してもらいたいのがWhere are you from?(ご出身はどちらですか?)という表現です。

これは初対面の人にいきなり尋ねるべきではないデリケートな質問です。

海外出身者のように見えても、その国に長く住んでいる可能性もあるからです。

雑談の中で自然にそんな流れになったら尋ねるというのがスマートだと思います。

また、その場合にもまず自分の出身について話してから質問するのがよいと思います。

まずはAre you from around here?と尋ねる方がよいでしょう。

7. 別れのあいさつの基本

人と会って別れるとき、日本語では「じゃあね」「またね」「さよなら」などとあいさつします。

では、英語ではどんな表現を使うでしょうか。

私がよく耳にするフレーズを中心に、別れのあいさつをいくつかまとめてみます。

個人の好みや地域性もありますが、参考になればと思います。

Bye.系のあいさつ

私が日常生活で一番よく耳にする別れのあいさつはBye.(さよなら、それじゃね)です。

友達、ビジネスの相手、店員さん、お客など、誰に対しても使えるのでどれも便利です。

次に紹介するSee you.(またね)系のフレーズの後にBye.で締めくくることも多いので、出番が多いのかもしれません。

学校では別れのあいさつとしてまずGoodbye.(さようなら)を学んだと思います。

実は普段の会話ではほとんど耳にしません。

とてもフォーマルで、かしこまった表現だからです。

個人的な印象としては、年配者が親しくない人に使う感じでしょうか

また、再び会うことのない相手との別れの際に使うことが多い表現です。

Bye-bye.(じゃあね)は子供っぽい表現とよく言われます。

確かに子供に対して使うことはあっても、大人同士の間で使っているのは耳にしたことがないように思います。

しかし、「バイバイ」ではなく「ババイ」という発音でなら、特に女性が使っている印象があります。

また、電話を切る前のあいさつに使うこともあります。

電話ではBye now.(それじゃ)もよく耳にします。

See you.系のあいさつ

See you.(それじゃあまた)はよく知られているあいさつだと思います。

I’ll see you.を略した表現ですが、再び会う可能性がない相手に対しても使います

後にlater(後で)/ soon(すぐに)/ tomorrow(明日)などの語句を続けるバリエーションがたくさんあるのがこの表現の特徴です。

See ya.(じゃあね)はとてもよく耳にするSee you.のくだけた言い方です。

とてもカジュアルな表現なので、ビジネスでは控える方がよいかもしれません。

See you later.(またね)も親しい者同士でよく使うカジュアルなあいさつです。

直訳すると「また後でね」ですが、laterは数時間後、明日、明後日、1週間後、そのうちいつか、など特にいつとは決まっていない、曖昧な未来を指します。

再び会うかどうかわからない相手に対しても使いますが、その可能性がない人に対しては使いません。

See you soon.(またね)も同じです。

See you+日付・曜日・時間など

次にいつ会うか予定がはっきりしている場合には「じゃ、また~に会おうね」という表現をよく使います。

・See you tomorrow.(じゃあ、また明日ね)
・See you in the morning.(じゃあ、また明日の朝ね)
・See you next week.(じゃあ、また来週ね)
・See you (on) Monday.(じゃあ、また月曜日に)
・See you next Saturday.(じゃあ、また来週の土曜日に)
・See you in two weeks.(じゃあ、また2週間後に)

さらに、会う約束をした後すぐに「じゃ、またね」という場合には、

・See you then.(じゃあ、その時に)
・See you at three.(じゃあ、3時に)
・See you at the party.(じゃあ、パーティーで)

次回の予定が決まっていなくても、

See you sometime next week.(じゃあ、また来週のどこかで)

これらはすべてI’llが省略されています。

I’ll see you tomorrow.のように省略しないで言っても構いません。

Cheers.

イギリス英語でよく耳にする表現がCheers.(じゃあね)です。

カジュアルな表現ですが、親しい者同士や、メールの締めとしてもよく使います。

以上の表現は単独で使うこともあれば、組み合わせて、

See you later. Bye.(じゃあ、またね)

のように言うことも多くなります。

8. Have a nice day.で締めくくる

親しい仲間と遊んで家に帰るときの別れ際に、どんな言葉であいさつするかは学びました。

ところが、国が違えば別れ際もちょっと違って面白い、そんな話をしましょう。

とにかく長い別れ際

先日、こんな別れ際に遭遇しました。

バスを待っていたとき、目の前でカップル2組4人が立ち話をしていました。

その4人が「今日は会えてよかった」などと口々に言い出したので、「あ、そろそろ別れるんだな」と想像していると、その別れ際が長いこと。

It was great seeing you, guys.(みんな、会えてよかったよ)

と言いながらハグし合って…とそこまでは普通です。

日本ではめったに路上でハグしませんが、海外では会ったときにハグ(特に久しぶりに会ったとき)、そして別れるときもハグは当たり前の光景です。

その4人もカップル同士でハグした後、See you guys.と言って反対方向に歩き出しました。

ところが、2組は何度も振り返ってはSee ya. Love you.(またね。愛してるよ)と声をかけ合い、最後にHave a good day.(=よい一日を)で締めるまで延々とそのやりとりを繰り返しました。

ここまで長い別れ際にはなかなかお目にかかれないと感じた出来事でした。

ぜひ使いたいHave a nice day.

日本では人と別れる際に「よい一日を」と言葉をかけることは少ないと思います。

テレビの朝の番組で司会者が「それでは皆さん、今日もよい一日を」と言うくらいでしょうか。

でも、海外では別れ際に「よい一日を」が付き物です

See you later.(それじゃ、また)と言った後に、

・Have a nice day.
・Have a good day.
・Have a great day.

私は日本を離れてから、なかなかこれに慣れませんでした。

ついついSee you later.と言っただけで終わってしまいます。

それで悪いわけではないのですが、相手から先にHave a nice day.と言われて「あっ、また忘れてた」と気付くことがよくありました。

我が家の隣に住むご家族の旦那さんはとてもフレンドリーで、会ったら必ず話しかけてくれるのですが、彼も別れ際に必ず、

・Have a nice afternoon.(楽しい午後を)
・Have a lovely evening.(楽しい夜を)

などと言ってくれます。

こんなふうに言われると、それだけでうれしくなります。

お店でもよくSee ya. Have a nice day.と言われます。

とてもポジティブな感じがして、私は良い文化だなと思います。

Have a nice day.と同じ意味で、

Have a good/nice one.

もわりとよく耳にします。

「oneって何?」とうろたえないように、覚えておくとよいかもしれませんよ。

Have a nice day.などは誰もが知っているフレーズだと思いますが、使うタイミングがわからなかったり、タイミングを逃してしまうと使えずに終わったりします。

別れ際にひとことHave a nice day. / Have a good one.と、今日から使ってみませんか。

9. 「お疲れさま」と声をかける表現

日本語の生活では欠かすことのできない「お疲れさまです」という表現。

みなさんも普段から使っているはずです。

私も日本で働いていたときは、出社から帰宅するまで数えきれないほど使っていました。

そんな「お疲れさま」は英語で表現できるのでしょうか。

「お疲れさま」は英語に訳せない

改めて考えてみましょう。

「お疲れさま(です・でした)」はどんなときに使うでしょうか。

(1)廊下やエレベータで同僚、上司に会ったとき
(2)同僚、上司と電話で話すときのあいさつとして
(3)大きな仕事をやり終えた人をねぎらうとき
(4)仕事を終えて帰宅する人へのあいさつとして

「お疲れさま」はいろいろな場面で使われますね。

本来は相手の疲れを気遣って使う表現だったのでしょうが、相手の疲労に関係なく、あいさつとして定着している気もします。

では、こんな便利な「お疲れさま」を英語に訳せるでしょうか。

残念ながら、「お疲れさま」に相当する便利な表現は英語にはありません

場面や状況に応じてふさわしいフレーズを使い分ける必要があります。

Hi.で済ませる

廊下やエレベーターで同僚、上司に会ったときの「お疲れさまです」は単なるあいさつと考えてよいでしょう。

したがって、英語ではHi.(こんにちは)か、Hi,…と相手の名前を続けて言うだけですから簡単です。

そして、How’s it going?((今日は)どうですか?)やHow are you? / How are you doing?(元気ですか?)のように続けます。

同僚、上司と電話で話すときのあいさつもHi.で済みます。

Hi, John. It’s Taro here.―Hi, Taro. How’s it going?(「やあ、ジョン。太郎ですけど」「やあ、太郎。調子はどう?」)

のように簡単に挨拶してから、すぐに用件に入ります。

Great work.とねぎらう

大きな仕事をやり終えた人をねぎらう場合にも、次のような表現が「お疲れさま」に相当します。

・Great work.
・Good work.
・Great job.
・Good job.
・Well done.
・Great effort.

いずれも「よくやりましたね」というほめ言葉としてよく使います。

チームで大きな成果を上げたときには、後にeveryone(みんな)やteam(チーム)を続ければ「みんな、よくやったね」となります。

相手の「疲れをねぎらう」というよりは「成果や努力をほめる」感じです。

See you tomorrow.とあいさつする

日本の職場では、勤務時間を終えて「お先に失礼します」と声をかけると「お疲れさまでした」と返ってきます。

英語圏ではシンプルに別れのあいさつだけです。

定番は

・See you tomorrow.(また明日)
・Have a good evening.(楽しい夜を)

などですが、金曜日には

Have a great/good weekend.(よい週末を)

ということが多いですね。

直訳できない文化・習慣の違い

本来は仕事の疲れを思いやってねぎらう「お疲れさまです」をそのまま日常のあいさつとして使う習慣が、英語にはありません。

英語のHi./Hello.は同僚や上司に対しても使いますが、日本語の「こんにちは」を職場で使うことは少ないでしょう。

場面や相手によって「お疲れさまです」と「ご苦労さまです」を使い分ける必要もあります。

こうした違いは文化・習慣の違いです。

言語は文化や習慣と切り離せないので、外国語の学習は外国の習慣や文化を知ることにもつながります。

さらに、それが日本語の使い方を見つめ直すきっかけにもなります。

英語に訳しにくい日本語は、その日本語の使い方やニュアンスを考えることで意外な答えが見つかったりします。

10. 会話のきっかけの見つけ方

みなさんの中には英会話スクールなどで話す英語を学んでいる人も多いと思います。

教室ではインストラクターがその日の話題を提供してくれたりして、英語での話のきっかけもつかみやすいものです。

しかし、実際にコミュニケーションの場では、軽くあいさつを済ませても、How are you?(元気ですか?)から先に話が進まない、話題に困ってしまうという悩みがあるものです。

そんな悩みの解決策を考えてみましょう。

まずは天気の話から

どんな相手に対しても使えて、一番簡単な話題は天気です。

特別に気の利いたことを言わなくても、寒い日だったら「今日は寒いね」とか「部屋の中は暖かいね」など、簡単な文で話のきっかけを作れます。

ただし、ひとつ重要なポイントを外さなければ。

単にIt’s cold today.(今日は寒いです)でも伝わるとは思います。

では、この状況を日本語でイメージしてみましょう。

「今日は寒いです」という事実を淡々と言われるのと、「今日は寒いねー」と感情を込めて言われるのとでは、後者の方が会話が進みそうな気がしませんか?

英語も同じです。

相手に会話のためのボールを投げるつもりで、感情を込めてIt’s sooo cold!(なんて寒いんだろ)と言ってみたり、Cold today, isn’t it?(今日は冷えますね)と話を振れば、相手も「最近寒いですよね。このあいだの大雪で転んじゃって…」などと、話を先へ広げてくれるかもしれません。

相手の情報を引き出す

ただ、毎回天気の話ばかりではワンパターンになりがちです。

でも、他に何を話そうかと心配する必要はありません。

会話する相手は目の前にいるわけですから、そこから糸口を見つけましょう。

相手の話の引き出しをひとつ開けてみるわけです。

例えば、週明けに人と会った場合は、

How was your weekend?(週末はどうだった?)

と尋ねてみます。

午後に人と会ったら、

How’s your day been? Busy?(今日はどう?忙しい?)

と聞いてみましょう。

相手について差し障りのない簡単な質問をするわけです。

そうすれば「このところなんだか忙しくてね」などと、何かしら答えてくれるはずです。

会話のキャッチボールが始まります。

自分のことを話してみましょう。

相手をほめる

相手をほめる。

これは本当に簡単で、効果は絶大です。

人をほめることに慣れていないと、最初は少し違和感があるかもしれませんが、服装やアクセサリー、持ち物など、相手のセンスがうかがえる点を何か一つほめてみましょう。

私は以前、灰色の生地にトトロの顔が書いてあるTシャツを着ている人に出会ったので何気なく、

I like your T-shirt.(素敵なTシャツですね)

と言ってみたところ、本人お気に入りのデザインだったようで、「いいでしょう!トトロ知ってる?」とすごい勢いで話しかけられたことがありました。

あるいは、

・I like your tie.(そのネクタイ、いいですね)
・That looks good on you.(それ、似合いますよ)
・Your hair looks great.(髪型、すごくいいね)

など、ほめるものは何でもよいのです。

「実は彼女からもらったんだ」などと、ちょっと照れながら話してくれるかもしれません。

とにかくI like your…とほめてみましょう

親しくない人にいきなり服装のことを言って失礼にならないかなどと心配しなくても大丈夫です。

人からほめられれば、誰だってうれしいものです。

特に初めて会う人だったりすると、お互いに少し緊張して何を話してよいのかわからない、というのはよくあることです。

日本語の場合も同じことがよくありますが、誰もが適当に切り抜けていきます。

それが英語でのやりとりになってしまうと、急に不安が重くのしかかってきて、何を話したらよいのかわからなくなってしまうわけです。

最初から難しいことを話す必要はありません。

簡単な一言で始めてみましょう。

11. 会話がはずむ相づちの打ち方

英語で話していて、いまいち会話がはずまないと悩むことはありませんか?

私は日本で英語を勉強していたとき、相手の言っていることは何となく理解できても、気の利いた相づちが打てなくて会話が長続きしないというのが大きな悩みでした。

その後海外で働いてお客と話す機会も増えるようになってから、相手が会話の間にどんな相づちをはさんでくるのか必死で盗んでみました。

相づちの定番表現

相づちの筆頭と言えば、みなさんご存知の、

Really?

があります。

でも、何度もReally?を連発するのは芸がありません。

そんなときは、

Is that so?(そうですか?)

なども使えます。

「いいね!」と言いたいときには、

That’s great!

があります。

形容詞greatをawesome/wonderful/amazing/fantasticなどに置き換えることで変化をつけられます。

相手に同意したいときは、

・I think so, too.(私もそう思う)
・You’re right.(そのとおりです)
・(That’s) true.(確かにそうですね)

などもよく聞きますが、もっと感情を込めて「まさにそのとおり!」と言いたいときには、

・Exactly!
・Totally!

なども使えます。

That’s terrible!(それってひどい!)

も場面によっては使えそうです。

Yes.を多用しない

覚えておきたいのは、相づち代わりにYes.を多用しないということです。

yes, yes, yes…と繰り返したくなる気持ちはわかるのですが、そこは我慢して違う表現で置き換えてみましょう。

・Of course.(もちろん)
・Sure.(確かに)

などもありますが、

Absolutely!(そのとおり!)

をぜひ使ってみてください。

相づちのバリエーションを増やすだけでなく、感情を込めて反応することによって、相手がもっと話したくなるようなムードを作ることも大切です。

一番簡単な疑問形相づち

最後に紹介するのは、疑問形で返すだけの相づちです。

このパターンの相づちは実はとてもよく使われていて、私はこれが一番簡単な相づちだと思います。

例えば、こんな感じです。

・I went to Paris last month.―Did you?(「先月パリに行きました」「そうでしたか」)
・I drink beer every day.―Do you?(「毎日ビールを飲みます」「そうですか」)

相手が言った文に時制を合わせる必要があるので、慣れるまでは少し難しく感じるかもしれませんが、相手の発言をしっかり聞いて練習を重ねれば、意外と簡単です。

以前お客にChilly, isn’t it?(肌寒いですね)と話しかけたらYes, it is. Isn’t it?(寒いですね、本当に)と返ってきたことがあって笑いそうになりましたが、これは使えると思ってからよく耳を澄ましていると、海外ではこの手法がよく使われていることに気がつきました。

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