ネイティブらしい英語表現―Part 1―

ネイティブらしい英語表現―Part 1―

1. ネイティブらしいWould you like…?の使い方

Would you like…?(~はいかがですか)は丁寧な表現と理解している人が多いと思います。

Do you want…?よりもWould you like…?の方が丁寧な尋ね方だと学んだと思います。

では、こんな疑問を感じたことはあるでしょうか。

どれくらい丁寧で、どんな場面、状況で使えばよいのだろうかと。

私が実際に海外生活して感じたWould you like…?の使い方について書いてみます。

丁寧に申し出る

英英辞典には、こんなふうに書かれています。

used in polite offers or invitations(丁寧な申し出や誘いに使われる)

Would you like…?が丁寧な表現であることは間違いないようです。

ただ、「丁寧」というと、どこか改まって特別な感じを受けるかもしれませんが、Would you like…?はまったく特別な表現ではありません。

むしろ、日常生活でとにかくよく使われます。

フレンドリーな接客のカフェで注文を取るときでもWhat would you like?(何になさいますか?)を普通に使います。

スーパーで「レジ袋はいりますか?」と尋ねるときにもWould you like a bag?を一番よく耳にすると思います。

人に「私が~しましょうか?」と申し出るときにはWould you like me to…?もよく使います。

よく知らない人とのコミュニケーションでは、

・Would you like…?(~はいかがですか?)
・What would you like?(何をご希望ですか?)
・Would you like to…?(~をなさりたいですか?)
・Would you like me to…?(私が~しましょうか?)

を使うのが基本と考えてよいと思います。

家族・友人に対してもWould you like…?

以前、友人の家に遊びに行って驚いたことがあります。

友人が奥さんに「お茶飲む?と尋ねるときに」Would you like a cup of tea, Susie?(スージー、お茶を飲みますか?)と言ったのです。

Would you like…?は結構丁寧な表現だと思っていた私は「えっ、家族にもWould you like…?を使うの?」と、びっくりしました。

そして、その友人は私にも「何を飲む?」と聞いてくれたのですが、それもやっぱりWhat would you like to drink?でした。

Tea, please.(紅茶をお願い)と答えたら、返ってきたのはWhat would you like? Camomile? Earl Grey? Or English breakfast?(何がいい?カモミール?アールグレイ?普通の紅茶?)でした。

友達なのでもっとカジュアルな表現でもよさそうですが、若者言葉ではない大人の会話では友達にもWould you like…?を普通に使っているのを耳にします。

子供に対してもWould you like…?

そして、私がもっと驚いたWould you like…?の使い方があります。

親が小さい子供に対してもこの表現を使うことです。

ちょっとビックリですね。

娘と歳が近い子のママたちとおしゃべりしたり、お茶したりすることがあります。

すると、ママたちは1歳の子に対してWhat would you like to eat?(何食べたい?)とかWould you like a banana or sandwich?(バナナかサンドイッチを食べる?)と話しかけています。

Would you like…?を日本語に訳すと「~はいかがですか?」となりますが、この場面にその訳は合いません。

でも、親は子供に小さい頃から丁寧な言葉遣いを教えるためにWould you like…?を使うわけです。

相手を選ばずに使えるwould like

話す相手によって尊敬語や謙譲語を使い分ける日本語では、丁寧な表現は目上の人に対して使うという意識が身につくのかもしれません。

英語の丁寧な表現はそれとは違って、相手を選んで使うのではなく、自分に言いたいことを丁寧に表現することにポイントがあるわけです

こうしたwould likeの使い方はイギリス英語の影響が強いのかもしれません。

丁寧な表現を選んで失敗することはありません。

年下の相手に対してwould you like…?はおかしいかな、客の立場で店員さんにI would like…(~をお願いします)というのはおかしいかな、などと思わずに、自信をもって使ってください。

2.「もしよろしければ」と控えめに言う表現

「もしよろしければ」「もしよかったら」という表現は日本語でよく使います。

少し控えめに何かをお願いしたり勧めたいとき、押しつけがましく響かないようにしたいときに付け加える表現です。

これは英語でどう言えばよいのでしょうか。

そもそも、英語にも「もしよろしければ」という表現はあるのでしょうか。

if you like / if that’s OK / if you don’t mind

日本語の「もしよろしければ」は控えめに提案や依頼をしながら、相手の意向を尊重する響きを感じさせます。

英語にもこれらに相当する表現はあります。

「もしよろしければ、それあげるよ」と言いたい場合には、「もしそれを好むなら」という意味のif you likeを使って、

You can have it if you like.

と言えます。

「もしよろしければ、車で迎えに行くよ」と言いたければ、

I can pick you up if you like.

となります。

「もしよければ、私がそちらに行きますけど」と言いたいとします。

自分の提案が相手にとって都合がよいかどうかわからない場合にif that’s OK / if that’s all rightを使って、

・I’ll come to you if that’s OK (with you).
・I’ll come to you if that’s all right (with you).

と言えます。

「あなたが気にしないなら…」というニュアンスの場合にはif you don’t mindを使って、

I’d rather stay if you don’t mind.(もしよろしければ、私は家にいたいのですが)

などの表現もよく耳にします。

「機会があれば…」「時間があれば…」という意味では、

・Please call me if you have a chance.(機会があれば、お電話ください)
・Please call me if you have time.(時間があれば、お電話ください)

なども使えるでしょう。

一番伝えたいことを先に言う

これらの表現はそれぞれ微妙なニュアンスの違いがありますが、日本語との大きな違いは文中の位置かもしれません。

日本語の場合は「もしよろしければ~してください」「もしよろしければ~したいのですが」のように「もしよろしければ」が文の始めにきます。

一方、英語では文の終わりにくることが多いように感じます。

「~してください」「~したいのです」をまず先に言ってから、その後に、

・if you like
・if that’s OK/all right
・if you don’t mind
・if you have a chance
・if you have time

を付け加える感じです。

まずは一番伝えたいことを先に言う、という言葉の順序がいかにも英語らしい感じです。

I’d like to have a look if that’s OK.(もしよければ、ちょっと見たいのですが)

必ずしも付け加えなくてよい

「もしよろしければ」に相当する表現をいくつか紹介しましたが、必ずしもこれらの表現を付け加える必要はないと思います。

・Would you like to…?
・Do you mind…?
・How about…?

などの表現には、すでに相手の意向を尋ねるニュアンスが含まれているからです。

「もしよかったら、パーティーに来ませんか?」と誘うとします。

Would you like to come to the party?

これは「パーティーに来たいですか?」というよりも、「パーティーに来ませんか?」と誘う自然な言い方です。

カフェにコーヒーを買いに行く同僚に、

Do you mind getting one for me?

と言って、自分にもコーヒーをお願いしてもよいでしょう。

How about a movie?

は、「映画でもどう?」となりますが、そこには「もしよろしければ」というニュアンスがすでに含まれています。

3. Would you mind…?への答え方

いきなり英語で話しかけられると、どう答えるか頭でわかっていても、とっさに英語が出てこないときがあります。

普段から英語でやりとりしていないと、せっかく身につけた英語の知識が役に立たないのです。

その典型がWould you mind…?という質問への答え方なのかもしれません。

Would you mind taking a picture?

東京や京都など海外からの旅行客が激増している都市で、いきなりこう話しかけられたら何と答えますか?

Would you mind taking a picture?(写真を撮ってもらってかまいませんか?)

あまり英語が得意でなくても、taking a pictureが聞き取れて、相手がカメラを持っていれば、写真を撮ってほしいんだということは雰囲気でわかるでしょう。

そこで、とっさにこう答えてしまったりします。Of, Yes, yes!と。

相手がよほど意地悪な人でない限り、Thank you.と言いながらカメラを渡してくれるでしょう。

でも、これはちょっとおかしな答えです。

Would you mind…?は「~することはいやですか?」

Would you mind…?は「~していただけますか?」という意味だと学んだ気がします。

そして、応じる場合はNo、断る場合はYesで答えるということでした。

紛らわしいですね。

この答え方に悩んでしまうのは、「~していたいただけますか?」という訳し方のせいではないでしょうか。

動詞mindは「~をいやがる」という意味です。

したがって、Would you mind…?は「~することは嫌ですか?」という意味です。

これなら混乱しませんね。

Yesと答えれば「はい、いやです」と断ることになります。

Noと答えれば「いいえ、いやではありません」と応じることになります。簡単です。

No, problem. / Sure. / Sorry,…

Would you mind…?に対して私がよく耳にする答えは次のとおりです。

「もちろんいいですよ」と応じる場合は、

・No problem.
・No, not at all.

などを使います。

とっさのことで頭が混乱してしまったときは、

Sure.(どうぞ)

でよいと思います。

Sure.は答えとして正しくないという意見もありますが、実際に使われていますし、Yesよりは相手に正しく伝わると思います。

断るときは、やわらかく伝えます。

Sorry, I’m in a hurry.(ごめんなさい、急いでいるので)

のように、(I’m) sorry…と言ってから理由を付け加えるだけです。

YesもNoも関係ないので、これなら簡単ですね。

日本語でもそうですが、特に英語では断るときには理由を付け加えることが多いように感じます。

Yes, I do (mind).(はい、いやです)とだけ答えたのでは、シンプルすぎて感じが悪くなります。

許可を求めるときはDo you mind…?

動詞mindは依頼だけでなく、許可を求めるときにも使います。

Do you mind if I sit here?(ここに座ってもいいですか?)
Do you mind if I use this chair?(この椅子を借りてもいいですか?)
Do you mind if I borrow your pen?(ペンを借りてもいいですか?)

「~してもいいですか?」と自分の希望を伝えつつ相手の都合、気持ちにも配慮する、丁寧でやわらかい表現です。

答え方は、

・No problem.
・No, not at all.
・Sure.
・Go ahead.(どうぞ)
・I’d (=I would) rather you didn’t.(そうしないでいただけますか)
・Sorry, it’s taken.(ごめんなさい、使用中です)

のようになります。

Do you mind if I use this chair?に対して、ネイティブの人でもニコニコしながらYeah, go ahead.(はい、どうぞ)と答えたりすることもあります。

何事も教科書どおりにはいきません。

表情で気持ちを伝えることも大切です。

4.「はい、どうぞ」と応じる表現

あなたの机の上にペンがあります。

同僚がそのペンを借りようとして、Can I borrow your pen?(ペンを貸してもらえる?)と聞いてきました。

「はい、どうぞ」と英語で答えるとしたら、何と言いますか?

Yes.(はい)とかYes, you can.(はい、いいです)でも意味は通じるでしょう。

でも、ネイティブはもっと心地よく響く表現をとてもよく使います。

Sure. / Certainly.

日本語の「どうぞ」にはいろいろな意味があります。

今回は「~してもいいですか?」と聞かれたときに許可したり、促したりする意味での「はい、どうぞ」です。

冒頭の「ペンを貸してもらえる?―どうぞ」や、遊びに来た友達に「トイレを借りてもいい?―どうぞ」などと答えるときにも、気持ちよく「いいですよ」と伝えたいですね。

そんなときにも「もちろん、どうぞ」というニュアンスの、

Sure.

をよく使います。

ちょっと高級なレストランやホテルなどでは、

Certainly.

という答えが返ってくることもあります。

Go ahead.

実はネイティブがとてもよく使う、カジュアルな言い方が他にもあります。

それは、

Go ahead.

です。

みなさんは、おそらく「お先にどうぞ」という意味で覚えているのではないでしょうか。

ドアのところで人と一緒になったり、順番待ちしているときに、「どうぞ、お先に」と相手に先を譲る表現ですね。

After you.(どうぞ、お先に)の方が丁寧と言われたりもしますが、ニコッと笑ってGo ahead.と先を譲ってくれる人もたくさんいます。

このGo ahead.は「はい、どうぞ」「もちろん、いいですよ」と許可したり、相手を促すときにもよく使われます

・Can I use your bathroom?―Sure, go ahead.(トイレ借りてもいい?―はい、どうぞ)
・Can I ask you a question?―Sure, go ahead.(ひとつ質問してもいいですか?―はい、どうぞ)
・Can I take this chair?―Yes, go ahead.(この椅子を持って行ってもいいですか?―はい、どうぞ)

という感じです。

Sure. / Yes.と言って許可したうえで、Go ahead.と促すと、気持ちよく応じている響きが出ます。

簡単な表現ですが、慣れないとなかなか口からスッと出てきません。

相手を先へ促すGo ahead.

go aheadの使い方をもう少し。

家でパスタマシンを買って使ってみたら不良品とわかったときのことです。

レシートを持って店に戻ると、快く新品交換に応じてくれたのですが、店員さんが持ってきた交換品の外箱がボコッとへこんでいました。

商品箱が破損していることは珍しくないので、念のため箱の中を確認してよいか尋ねると、返ってきた言葉がYeah, go ahead.(ええ、どうぞ)でした。

あるいは、店内で写真を撮ってもよいか店員さんに尋ねてもGo ahead.が返ってきます。

go ahead.の文字通りの意味は「先に進む」です。

前項の例文もすべて「相手を先へ促す」イメージです。

「~してもよいですか?」に対するGo ahead.は「先に進んでください=どんどんそうしてください」、道を相手に譲るときのGo ahead.も「お先にどうぞ=先に行ってください」と、相手を先へ促します。

このイメージをつかめれば、行動や計画を先に進めてもらうgo aheadもスっと理解できると思います。

例えば、友達がコンサートに誘ってくれました。

「平日だけど、行ける?行けるならチケット取るけど」と言われて、「休みがとれるかな…」と不安はあるけれど「チケット取って、お願い!」と答えるとします。

そんなときにも、

Go ahead and get me a ticket!

と言えます。

日本語の「どうぞ」という訳だけにとらわれずに、どんどん使ってみてください。

5. 「はい、どうぞ」と手渡す表現

友達に「ちょっとテーブルの上の本を取ってもらえる?」と言われて、その本を渡してあげるとき、日本語では「はい」と言いながら手渡しますね。

もう少し丁寧に「はい、どうぞ」と言うかもしれません。

この、何かを手渡したり差し出すときの「はい」「はい、どうぞ」は英語で何というのでしょうか?

Here you are.(はい、どうぞ)しか思い浮かばないという人のために、一緒に考えてみましょう。

手渡すときにPlease.とは言わない

「どうぞ」に相当する英語としてpleaseを思い浮かべるかもしれません。

でも、pleaseは基本的にはお願いをするときに使う単語です。

手渡すときに言う「はい、どうぞ」に使うのはちょっと変です。

また、Go ahead.は「どうぞ、そうしてください」と相手を促す表現なので、これも使えません。

Here you are.より使われるHere you go.

学校で学んだ表現がHere you are.です。

何かを渡しながら「はい、どうぞ」という意味で使います。

でも、海外で生活し、働くようになって気付いたことがあります。

それは、Here you are.を使っている人が意外と少ないということです。

もちろん国や地域、個人によって差があるので一概には言えませんが、私はなぜかあまり耳にしません。

その代わりに、例えば店で商品やおつりを渡されるときによく耳にするのはこんな「はい、どうぞ」です。

・Here you go.
・There you go.
・There you are.

使い分けは気にしなくてよい

さて、気になるのはこれらの表現の違いですね。

Here you are.がいちばん丁寧だと感じる人もいるようですが、実際のところ特に違いはないようです。

念のために英英辞典の定義を見てみると、

(informal) Here you are / Here you go:
used when you are giving something to somebody(人に何かをあげるときに使われる)
(informal) There you are / There you go:
used when giving somebody a thing they want or have asked for(人に、その人が望むもの、あるいは求めたものを与えるときに使われる)

とありました。

多少の違いがあるようにも思えますが、注文した品を持ってきてくれる接客係もHere you go.(はい、どうぞ)はよく使うので、厳密にこのように使分けられていないと思います。

日本語では、接客係がドリンクをテーブルに置きながら「はい、どうぞ」とはあまり言わないと思いますし、おつりをお客に渡すときにも「はい、どうぞ」とは言わないでしょう。

しかし、英語では何かを手渡すときには無言で渡すのではなく、これらの表現を言うように心掛けると感じがよくなります。

There you go! / There you are!のこんな使い方

There you go.には、「はい、どうぞ」とは別にこんな使い方もあります。

例えば、子供に靴紐の結び方を実演しながら教えていて、子供が自分でやってできたときなどにThere you go!(やったね、できたね)という感じで使います。

説明したり、やって見せたことを相手がちゃんとできたときのYou did it right!(ちゃんとできたね)というニュアンスです。

また、There you are!は、誰かを探していて、その人がふと現れたときに「あっ、そこにいたの」というニュアンスでもよく使います。

6. やわらかく否定する表現

日本語は人間関係を重視するために遠回しな表現が好まれ、英語はYes/Noをはっきり伝える表現が好まれる、そんなイメージがあるかもしれません。

でも、何でもYes/Noをズバッとハッキリ言うわけではなく、英語にも「やんわり」言う方法があります。

日本語と同じで、英語でも遠回しに言う方が相手にやわらかく響きます。

特に注意したいのが、相手の意見を否定するときです。

私がネイティブから学んだ、やんわりと相手の意見を否定する言い方を紹介しましょう。

youを主語にして否定しない

まずは日本語で想像してみてください。

「君、間違ってるよ」と「君の言っていること、間違っているよ」。

どちらが相手にとって強く否定的に響くでしょうか。

私は「君、間違ってるよ」だと思います。

よほどのことでない限り、否定するのはあくまでも「相手の言っていること」であって「相手(の人格)」ではないはずです。

これは英語でも同じです。

主語をyouにすると、相手は自分そのものが否定されたと感じるかもしれません。

You’re wrong.(あなたは間違っている)よりThat’s wrong.(それは間違っている)の方が受け入れやすいでしょうが、That’s wrong.もまだまだきつく響きます。

「not+反対語」を使う

これはネイティブと話していて、私がいつも感じることです。

相手の意見を否定するときには、「not+反対語」をうまく使うのです。

例えば「それは間違っている」と言うときには、That’s wrong.ではなく、

・That’s not right.(それは正しくありません)
・That’s not correct.(それは正しくありません)

という表現をよく耳にします。

「間違って」という意味を表す形容詞にはwrongやincorrectがあります。

でも、あえて遠回りをしてwrongの反対語であるrightや、incorrectの反対語であるcorrectを使って、それをさらにnotで打ち消す言い方をするわけです。

これだけでもずいぶん耳に優しく響きます。

あるいは「その考えはいまいちだね」も、That’s a bad idea.(ひどい考えです)とは言わず、

That’s not a good idea.(それは良い考えではありません)

のように言います。

「私はあなたに反対です」と言いたいときも、ズバリI disagree with you.と言うのではなく、

I don’t agree with you.(私はあなたに賛成しません)

と少し遠回りした言い回しを使います。

さらには、notとともにvery(とても)やreally(本当に)、quite(まったく)、exactly(まさに)などの程度を表す副詞を使うと、もっと響きを和らげることができます

That’s not a good idea.(それは良い考えではありません)/That’s not right.(それは正しくありません)/It’s not what I want.(それは私が欲しいものではありません)よりも、

・That’s not a very good idea.(それはあまり良い考えではありません)
・That’s not quite right.(それは完全に正しいわけではありません)
・It’s not exactly what I want.(それは私が欲しいものとは少し違っています)

の方が、それぞれやわらかい響きになります。

I don’t think…を使う

最初のYou’re wrong.に比べると、だいぶやわらかい響きの英語になってきましたが、もっと間接的に表現することができます。

それは相手の発言内容そのものを否定するのではなく、「私はそうは思いません」「私の考えは違います」と自分の意見として述べる方法です

この言い方であれば、相手が正しいか間違っているかではなく、自分の意見は違うと相手を否定せずに伝えることができます。

英語ではとても簡単です。

否定したい内容の前にI don’t think…を付けて、その後の文を肯定形に変えるだけです。

That’s not very good idea. / That’s not quite right.は、

I don’t think that’s very good idea.(それはあまり良い考えとは思いません)
I don’t think that’s quite right.(それは完全に正しいとは思いません)

となります。

どうですか、You’re wrong.と比べてください。

言われた身になると、受け入れやすいと思います。

自然と相手の意見に耳を傾けようという気持ちにもなってくるから不思議です。

7. やわらかく断る表現

同僚に飲みに誘われたり、友達に遊びに誘われたときに気乗りがしなくて「今日はやめておきます」と言いたいときがありますね。

あるいは、衣料品店で店員さんに勧められて買うかどうか迷った末に「やっぱりやめておきます」と断りたい場合もあります。

「やめておきます」「遠慮します」を英語でどう言えばよいでしょうか。

I think I’ll pass.

例えば、同僚に「仕事の後一杯どう?」と誘われたけど行きたくないという場合、日本語でも「今日はパスする」と言ったりします。

これは英語でもそのまま通用して、

I think I’ll pass.(やめておきます)

これで「やめておきます」「遠慮しておきます」という意味になります。

この動詞passの定義は英英辞典では、

to say that you do not want something that is offered to you(受けた申し出を望まないということ)

となっています。

食後に「コーヒーはいかが?」と聞かれたような場合にもI’ll pass.は使えそうです。

I thinkを前に入れるとやわらかい響きになります。

I’ll leave it.

次に紹介する表現は、私は日本では知らなかったのですが、海外ではとてもよく耳にするものです。

例えば、衣料品や靴を買おうかどうか迷っているとします。

試着して店員さんが「いかがですか」と声をかけてきたけれど、あなたは納得がいかず「やっぱりやめておきます」と言いたい。

そんなときには、

I’ll leave it.(やめておきます)

をよく使います。

わりと感じよく断れる表現なので、「買わないと言ったら申し訳ないかな…」と悩む必要がなくなります。

I’d rather not.

最後に、丁寧な「やめておきます」を紹介します。

それは、

I’d rather not.(やめておきます)

という表現です。

これも、誘われたり、食べ物や飲み物を勧められたけれど「やめておきます」と言いたい場合に使います。

例えば、Would you like to join us for dinner together?(今夜一緒に食事をいかがですか?)と誘われたときに、Thank you, but I’d rather not. Today’s my son’s birthday.(ありがとう。でもやめておきます。今日は息子の誕生日なんです)と断ることができます。

直訳すると、「どちらかというと望みません」という意味なので、遠回しにやわらかく断ることができます。

少し改まった表現なので、親しい友達にはあまり使いません

誘いや提案を断る場面ではいろいろな表現が登場します。

教科書に載っているNo, thank you.(いいえ、ありがとう)も悪くはないですが、No, I’m fine.(いいえ、結構です)もよく使います。

また、誘いを断る場合にはここで紹介した以外にも、I’m sorry but…(申し訳ないですけど…)に続けて理由を述べてもよいでしょう。

8. やわらかく「嫌い」と伝える表現

一般に日本語では自分の好みをあいまいに表現するのに対して、英語でははっきり伝えるというイメージがありませんか?

確かに、日本語では好き嫌いをストレートに言うのではなく、ちょっとぼかして表現することが好まれるところはあります。

例えば、友達が家に招待して手料理を振る舞ってくれたとします。

あまり好きではない食べ物が出されたら、「ちょっと苦手なので…」と、やんわり「嫌い」ということを伝えたりしますね。

では、英語ではそんなときにI don’t like this.(これは好きではありません)とはっきり言うでしょうか。

実は英語でも、やんわり「嫌い」と伝える表現の方が好まれます。

遠回しに言うほど丁寧に響く

「嫌い」「好きではない」「あまり好きではない」は程度の差こそあれ、どれも基本的には「嫌い」を表しています。

では、この中で一番きつく感じる言い方はどれでしょうか。

「嫌い」がストレートで強く響きますね。

「好きではない」は「嫌い」より少しやわらかい印象です。

これは「嫌い」の反対語である「好き」を使って否定するという遠回しな表現になっているからです。

遠回しに言うほど丁寧に響くわけです。

動詞hateは使わない

実はこの法則は英語にも当てはまります。

「嫌い」を動詞hate(~をひどく嫌う)で表現してしまう人がいます。

しかし、hateはとても強い響きを持つ動詞なので、ネイティブはめったなことでは使いません

母親に叱られた幼い子が、母親に向かってI hate you.(お母さんなんて大嫌い)と言ったりしますが、多くの親は子供がhateという動詞を使うと注意します。

食べ物や物事について「嫌い」という場合は、hateではなく、

I don’t like…(~が好きではない)

という言い方が一般的です。

しかし、相手に失礼にならないように言いたい場合には、もう少しやわらかく「あまり好きではない」と言えると、与える印象も変わってきます。

not…very much/not really

友達の家に招待されて、嫌いなセロリが入っているサラダを勧められたとします。

I don’t like celery.(セロリは好きではありません)と言うよりも、

・I don’t like celery very much.(セロリはあまり好きではありません)
・I don’t really like celery.(セロリはあまり好きではありません)

の方がやわらかく響きます。

このnot…very much / not really…(あまり~でない)は、英語では実によく使います。

very muchやreallyを特につけなくてよい場合でも、口調や印象をやわらかくするために使います

ただ、reallyを使う場合は語順に注意が必要です。

I really don’t like celery.と言ってしまうと「セロリは本当に好きではありません」と強調する意味になってしまいます。

必ずnot reallyという語順になるように気を付けましょう。

not a big fan of…

don’t likeを使わずに「好きではない」と言えると、もっとやわらかい響きになります。

例えば、

I’m not a big fan of celery.(セロリはあまり好きではありません)

と言われたらどんな想像をしますか?

a fanは「私は阪神ファンです」の「ファン」です。

a big fanは「すごいファン」ということです。

したがって、上の文は直訳すると「私はそれほどセロリの熱狂的なファンではありません」となり、つまりは「セロリはそんなに好きではない」ということです。

日本語の「ファン」は、有名人やスポーツチームに対して使いますが、英語ではこういう使い方もあります。

この言い方は英語らしくて私は好きです。

また、名詞favorite(大好きなもの)を使って、…is not my favorite.と言っても、やわらかく「嫌い」を表せます。

9. 丁寧なNoの伝え方

誘いを断らなければならないとき、うまくNoを伝えるのは難しいと感じたことがあるのではないでしょうか。

感じが悪く響かないようにするためにはどう言えばよいのか。

日本語でも気を遣うのに、英語となるとさらに難しく感じてしまうものです。

そこで感じよく誘いを断るNoの伝え方を考えてみます。

Noははっきり伝える

誘われたときにNoと答えるのは悪いことではありません。

誘われたけれど行けない、もしくは行きたくないというときには「行けるかどうかわからないけれど…」と言葉を濁すのではなく、はっきりNoと伝えるべきです。

ただ、Noをどのように伝えるかは大切です。

例えば、「飲みに行かない?」と誘った時に返ってきた答えが「行かない」という一言だけだったら、ちょっと感じが悪いですよね。

これは英語でも同じこと。

感じよくNoというためには、押さえておきたいポイントがあります。

理由とポジティブ情報を続ける

一番大切なのはNoだけですませないことです。

具体的には、

(1)断る理由 (2)ポジティブ情報

を続けるのがよいと思います。

誘いを断る場合には、一般的には理由を続けます。

例えばSorry…に続けて、

・I have plans tonight.(今夜は予定があります)
・I have something else this evening.(今夜は別に用事があります)
・I’d rather stay at home tonight.(今夜は家にいたいのです)
・I have a lot of work to do today.(今日はしなくてはいけない仕事が多くて)
・I’ll be at work this Saturday.(土曜日は仕事なので)
・I’m going to be out of town this weekend.(今週末は遠出するので)

のような感じです。

理由は短くてかまいません。

長く説明する必要はありません。

そして、理由に続けてポジティブ情報を付け加えることが結構大切です。

ポジティブ情報とは、例えばこんなものです。

・Another time will be great.(またの機会にね)
・Let’s catch up soon.(近いうちに会おうね)
・Can I take a rain check?(またの機会でもいい?)
・Have a fun!(楽しんできてね)
・Enjoy!(楽しんできてね)

丁寧な前置き表現

誘いを断る場合にはSorry, I can’t.(ごめん、無理なんだ)のように、sorryを使うことが多いと思います。

それで問題ないのですが、他にも誘いを断るときにぜひ使いたい表現があります。

・I’m afraid…(残念ながら)
・Unfortunately,…(残念ながら)
・I wish I could go, but…(行けたら行きたいのだけれど…)

などです。

これらを前に付けることで「残念だけれど…」「行けたら行きたいのだけれど…」というニュアンスが出せます。

I’m afraid I can’t make it. I’ll be working this Saturday.(申し訳ないけど行けないんだ。土曜日は仕事なので)
Unfortunately, I have plans this weekend.(残念だけど、今週末は予定があるんだ)
I’d love to go, but I have to look after the kids tonight.(行けたら行きたいんだけど、今夜は子供たちの面倒を見ないといけなくて)
I wish I could go, but I have a lot of work to do today.(行けたら行きたいんだけど、今日はしなくてはいけない仕事が多くて)

これらの前置き表現は丁寧に断るときの定番で、単に「行けない」と答えるのとは与える印象が大きく変わります。

サラっと口から出るようにしておきたいですね。

誘ってもらって本当に行きたかった場合はもちろん、あまり気乗りしないけれど丁寧に断りたい場合にも、「興味はある」という気持ちを示すことがうまく断るポイントのような気がします。

Unfortunately, I already have plans. But have a great time at the party!(残念だけど、予定があって。パーティーを楽しんでね)のように、ほんの少し言葉を加えるだけでかなり印相が変わります。

10. 丁寧に響く過去形の質問

先日スーパーのレジで会計をしてもらっていたときのこと。

レジの女性が肉をスキャンしながら、こんな質問をしてきました。

Did you want a separate bag for this?(これ、別の袋を用意しましょうか?)

現在の話をしているのに、なぜDo you want…?ではなくDid you want…?なのでしょうか?

そんな「過去形の謎」に迫ってみたいと思います。

現在の希望を尋ねるDid you want/need…?

冒頭の場面は明らかに、今袋が必要かどうかを尋ねています。

それなのにDid you want…?と過去形で質問しています。

なんだか居心地が悪く感じるかもしれませんが、実は意外によく耳にします。

例えば、レストランで食事を終えたころに接客係が来て、

Did you want coffee or tea?(コーヒーか紅茶をお持ちしますか?)

と尋ねられたり、お店に入って商品を見ていると、

Did you need any help?(お手伝いしましょうか?)

と声をかけられたりします。

動詞want(~を求める)やneed(~を必要とする)を使って「現在」の希望を尋ねるときに、Did you want/need…?のように過去形で言うわけです。

現在のお願いをするCould/Would you…?

英語の動詞には時制があり、過去のことを表す場合に過去形を使うと学びました。

そのルールに従って、普通は現在のことは現在形、過去のことは過去形の動詞を使って文を作ります。

もちろん、それが基本ルールです。

でも、現在のことなのに過去形の動詞で表すこともルール違反ではありません。

その代表例をみなさんもすでにご存じのはずです。

例えば、Can you…?(~してもらえますか?)の丁寧な言い方は何でしたか?

Could you…?(~していただけますか?)ですね。

同じようにWill you…?(~してもらえますか?)よりもWould you…?(~していただけますか?)の方が丁寧です。

どちらも現在のお願いをするために助動詞could/wouldを使っています。

過去形を使うと丁寧に響く

現在のことについて過去形の動詞を使う理由がわかったのではないでしょうか。

Do you want…?ではなくDid you want…?を使うのは、過去形の方がやわらかくて、丁寧な表現になるからです。

なぜ過去形の方が丁寧に響くのでしょうか?

現在形の動詞を使った質問文は直球で、相手にストレートに響きます。

動詞を過去形にすると、相手との距離をとって、直接的な響きを和らげることができるのです。

冒頭に出てきたレジの女性も、Do you want…?ではなくDid you want…?と尋ねることで、カジュアルな感じを出しつつ、やわらかく、丁寧な表現をしていたわけです。

11. 「そうしてもらえると助かります」と答える表現

英語圏を旅行中に大きなスーツケースを持って駅の階段を上がっていたら、たまたま通りかかった人が「手伝いましょうか」と声をかけてくれたとします。

「そうしてもらえると、とても助かります」と言いたいけれど、Thank you.(ありがとう)としか言葉が出てこない。

もちろんThank you.だけでもわかってもらえますが、「そうしていただけたら助かります、ありがたいです」と言えれば、もっと自分の気持ちが伝わるはずです。

Yes, please.の代わりにThat would be great.

日本語でも、「~しましょうか」と助力を申し出てくれた人に対して「そうしてもらえると助かります」とよく言います。

出かけようとしていたときに「車で送って行こうか」と言ってもらえたら、「ありがとう、助かる!」と言って感謝すると思います。

こんなときに、Yes, please.(はい、お願いします)に代わる返事としてとてもよく使われる「そうしてもらえると助かります」には、実は定番の表現があります。それが、

That’s would be great.(そうしてもらえると助かります)

です。

「そうしてもらえるならありがたい、助かる」という仮定の表現なので、助動詞wouldを使います。

これは、会話の中で決まり文句のように頻繁に使います。

「~しましょうか」という申し出を受けるときにThat would be great.だけで使うこともありますし、Thank you.に続けてThat would be great.と言うこともあります。

相手の申し出に対して、丁寧にYes, please.と答える表現です。

「それはいいですね」の意味にもなる

That would be great.は他の場面でも使います。

例えば、カフェの店員さんにWould you like another coffee?(コーヒーのお代わりはいかがですか?)などと聞かれたときです。

Yes, please.やI’d love one.(ぜひいただきます)といった返事が定番ですが、ここでThat would be great/awesome.と答える人もいます。

この場面では「そうしてもらえると助かります」とは少し違って「それはいいですね」「それ、いいね」のように申し出を受ける感じになります

イギリス英語圏ではThat would be lovely.も使います。

また、男性でもlovely(素敵な、素晴らしい)という形容詞を日常的によく使いますが、アメリカでは男性はあまり使わないようです。

私は海外生活を始めた当初は、もちろんThat would be great.という表現は知りませんでした。

でも、職場でお客と話していると、毎日必ずと言っていいほど耳にするフレーズだったので、覚えて使うようになりました。

仮定法のwouldは「使いこなすのが難しそう…」と思ってしまうかもしれませんが、That would be great.は決まり文句としてかたまりで覚えてしまいましょう。

使えるようになると、表現の幅が広がること間違いなしです。

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