1. 表現力が広がるcouldの使い方
2. 表現力が広がるwouldの使い方
3. 表現力が広がるshouldの使い方
4. should/had betterの使い分け
5. have to…/mustの使い分け
6. wish/hopeの使い分け
7. think/hopeの否定形
8. Could you…/Would you…の使い分け
9. Why…?/How come…?の使い分け
10. How about…?/What about…?の使い分け
11. Can you…?/Do you…?の使い分け
12. 習慣について尋ねるDo you eat…?/Do you speak…?
13. can/be able to…の使い分け①
14. can/be able to…の使い分け②
15. could/was able to…の使い分け
couldはcanの過去形として「~できた」という意味でも使いますが、別の意味で使うことも多い助動詞です。
今回は、現在や未来のことについてcouldを使う表現を中心に、どんな場合によく使うのかを見てみましょう。
couldが使えるようになると、微妙なニュアンスをうまく伝えられるようになります。
「~かもしれない」という不確実な可能性を表すには副詞maybe(もしかすると)などが思い浮かぶかもしれませんが、couldでも可能性を表すことができます。
英文法解説書はこんなふうに説明しています。
We use ‘could‘ (not ’can‘) to say that something is possible now or in the future.(何かが現在、あるいは未来において起こりうる(ありうる)ことを伝えるために(canではなく)couldを使う)
現在や未来において「~かもしれない」という可能性を表すときにcouldをとてもよく使います。
ポイントは「現在や未来において」です。
couldはcanの過去形として使うこともありますが、過去についてではなく、現在や未来においての可能性を表すことも多いのです。
仕事で大きなミスをしてしまったときに、
I could lose my job.(職を失うかもしれない)
というふうにも使えます。
懸賞などで「~が当たります!」というフレーズもYou could win…!と表現します。
「仕事を失う」「~が当たる」と断言するのではなく、couldを使うことで「その可能性がある」というニュアンスを出せるわけです。
仲良しの女性2人が久しぶりに会ってカフェでおしゃべりをしています。
何時間話しても話題は尽きません。
そこでひとりが「私たち永遠にしゃべっていられるわ」と言ったとしましょう。
これを英語にすると、どうなるでしょうか。
「できる」なので、canを使ってWe can talk forever.と言いたくなります。
でも、正しくは、
We could talk forever.
です。
ここでcanは使えません。
なぜかと言うと、永遠に話すことは実際には不可能だからです。
ここでいう「永遠にしゃべっていられる」は現実として可能なことではなく、大げさに強調する比喩的な表現です。
こんな場合、日本語では「~できる」と言いますが、英語ではcanではなくcouldしか使えません。
次のような表現も同様です。
・I’m exhausted. I think I could sleep for a week.(すごく疲れた。1週間でも寝られると思う)
・I’m so hungry. I could eat 100 pieces of sushi.(すごくお腹が空いた。寿司なら100個は食べられる)
実際には不可能だが「~できる(ほどだ)」と程度を大げさに強調する場合にcouldを使います。
「~することもできるし、…することもできる」のように可能な選択肢について話したり、提案するときにもcouldを使います。
英文法解説書の説明を見てみましょう。
We use ‘could’ to talk about possible actions now or in the future (especially to make suggestions)(現在、あるいは未来において可能な行動について話す(特に提案をする)ためにcouldを使う)
例えば、デートで「何を食べに行こうか」と言うときには、
We could go for Chinese, Italian, French…(中国料理、イタリアン、フレンチ…なんかがあるよね)
のように言えます。
私は以前、書店で「切手を売っていますか?」と尋ねたら、No, we don’t. But you could go to…(いいえ、でも…に行ってみたらどうですか?)と教えてくれました。
こんなときにもcouldは使えるわけです。
ネイティブはcouldを実に絶妙に会話にはさんできます。
きっぱり断定するのではなくて、「~かもしれない」という不確実な可能性を表現することができます。
実際にcouldが使われている会話などをたくさん聞くとイメージがつかみやすいのですが、辞書や文法書などの例文を読むだけでも使い方のヒントになります。
couldと並んで会話でよく使う助動詞にwouldがあります。
Would you like…?(~はいかがですか?)やI would like…(~がほしいのです)などの表現はおなじみですね。
海外生活をするようになって、ネイティブはwouldをとてもよく使うことに気付きました。
では、どのような使い方があるのでしょうか。
辞書を引いてみてください。
うんざりするくらいたくさんの意味や使い方が出てくると思います。
これを全部覚えるのは無理かもしれませんし、暗記しても忘れます。
それよりも、数多くの意味や使い方に共通するwouldが持つイメージをつかむと、絶対に使えるようになります。
ここで紹介するのは、私が以前一緒に働いていたニュージーランド人女性の話です。
私は彼女からwouldの使い方を学んだと言っても過言ではありません。
と言っても文法を教えてもらったわけではなく、彼女自身がwould使いの名手だったのです。
彼女には息子とその妻、孫がいます。
仕事中に息子の妻への小言を聞くことが多かったのですが、その会話中にwouldが頻繁に出てきました。
例えば「彼女が孫をほったらかして友達とカフェに行ったのよ。私だったらそんなことしないわ」という、よくある不満。
ここに、
I wouldn’t do that.(私だったらそんなことはしない)
とwouldが出てきます。
あるいは「このあいだ彼女が私に…って言ってきたのよ。あなたならそんなこと言う?」という愚痴。
ここに、
Would you say that?(あなただったら、そんなこと言う?)
と、またwouldの登場です。
そして間髪入れずに、
I wouldn’t say that.(私だったら、そんなことは言わない)
と締めくくります。
このwouldのイメージ、伝わったでしょうか。
「もし私だったら…」「あなただったら…」のように「(もし)…だったら」と現実と異なる状況を仮定したり、想像して話すわけです。
仮定法でIf I were you, I would…(もし私があなただったら、私は…)という表現を学んだと思います。
前半のIf I were youという現実と異なる仮定の部分を省略して、後半のI would…だけを言うことが会話では多いのです。
こんな例もあります。
レストランで何を注文するか迷っているとします。
そこに、接客係に「あなただったら何にしますか」とアドバイスを求めるとしましょう。
こんな場合は、
What do you recommend?(何がお勧めですか?)
と尋ねることもできますが、ここでもwouldを使って、
What would you have?(あなた(が私)だったら何にしますか?)
と言えます。
現実と異なる状況を仮定するのでwouldを使うわけです。
『プラダを着た悪魔』という映画がありました。
ストーリーも面白いし、使える会話表現がたくさん出てくるのでお勧めです。
この中で、ファッションマガジンの鬼編集長のアシスタント職に応募してきた主人公に対して、職場の先輩はこう言います
Million girls would kill for this job.(この職に就くためならなんだってやる女の子がたくさんいるわ)
これがwould killではなくて、killだけだったりwill killだったら「この仕事のために殺人をする」と断言してしまうので恐ろしいことになります。
でも、実際に人を殺すわけではありません。
would killを使えば「この仕事のためだったら人も殺す」、つまり「この仕事を手に入れるためなら何でもする」という絶妙な例えを表現できるわけです。
辞書には数多くのwouldの使い方が載っています。
そこに共通するのは「~だったら…する」という仮定、想像のイメージです。
「仮定法にはwouldを使う」と学びましたが、この仮定、想像のイメージをつかめているとwouldがすんなり口から出てくるはずです。
「~するのがよい、~してはどうですか」という助言や提案をするときには助動詞shouldを使うことを学びました。
今回は、それとは違うshouldの使い方です。
例えば、海外からの友達とお花見に行く計画を立てているとしましょう。
メールで「日にちはいつがいい?」と送ったら、次のような返事がきたとします。
Anytime over the weekend should work.
これはどんな意味でしょうか。
週末は仕事があるから無理ということでしょうか。
次のような例もあります。
海外のショッピングサイトで買い物をしたら、英語で確認メールがきました。
こう書かれています。
We’ve shipped the product you purchased. You should receive it within ten business days.
これらのshouldは、会話でもメールでもとてもよく使います。
まず最初の文から見ていきます。
Anytime over the weekend should work.は「週末なら、いつでも大丈夫なはず」という意味です。
次のYou should receive it within ten business days.は「10営業日以内に手元に続くはずです」という意味です。
このように、shouldは「~するのがよい、~してはどうか」だけでなく「~するはず」という意味でもよく使います。
英文法解説書のshouldの項には、こう書いてあります。
We use ‘should’ to say that we expect something to happen.(何かが起きることを予期していると言うためにshouldを使う)
これから何かが起きることを予期している、つまり「~するはず」だということですね。
冒頭のお花見の日程を決めるメール文は「週末なら大丈夫」と予期していることを表し、ネットで買った商品が「10営業日以内に届くはず」ということも、ただの推測ではなく、根拠があって予期しているニュアンスがあります。
このように助動詞shouldは、話す人が「~が起こるだろう」「~だろう」と予期していることを示します。
日常生活でいちばん耳にするかもしれない表現がこれです。
That/It should be fine.(それで大丈夫なはずです)
これも根拠があって予期していることを表しています。
また、私が耳にするたびに響きがおもしろく感じる表現がこれです。
That/It shouldn’t be a problem, should it?(それで問題ないはずですよね?)
です。
「問題ないはずです」も、こんなふうに表現できてしまいます。
順番待ちをしているときに、あとどれくらい待つのか尋ねると、
It shouldn’t take long.(長くはかからないはずです)
のように言われることがあります。
この表現も日常会話でとてもよく使う、ざっくりとした答え方です。
「時間はかからない」と断定はしないが、「かからないはずです」と予期しているニュアンスです。
同じように「かかっても10分程度です」と言いたいときも、
It should only take about 10 minutes.
のようにshouldを使って表現できます。
仕事のメールでも使えます。
「遅くとも6時までに折り返しご連絡できるはずです」なら、
I should be able to get back to you by 6 pm at the latest.
というように使えます。
助動詞shouldのこの使い方も覚えておくと、表現の幅が広がります。
had betterは「~したほうがいい」という意味だと学校で学んだのではないでしょうか。
しかし、「これ、美味しいから食べたほうがいいよ」「今日は雨が降りそうだから、傘を持って行ったほうがいいよ」「あの映画、面白かったから見たほうがいいよ」などのように「~したほうがいい」という場合、常にhad betterが使えるわけではありません。
人に助言したり提案するとき、もうひとつ使える単語があります。
それは助動詞shouldです。
日本語では「~すべきである」と訳すと学んだはずです。
でも、「~すべきである」は「~したほうがいい」よりもきつく響く気がします。
「こうしなくてはいけない」と押しつけるような感じすらします。
助言するなら「~したほうがいい」のほうが柔らかい印象なので、shouldではなくhad betterを使いたくなりますね。
海外生活を始めた当初、学校の先生やホストファミリーが、早く街に慣れるように観光名所を教えてくれたのですが、「美術館に行ってきたら?」とか「博物館は行ったほうがいいよ」と勧めてくれるときに必ず、
You should go to a museum.
と言うのです。
そのたびに「~すべきだなんてきつい言い方するんだ」と思っていました。
ところがある日、この理解が間違っていたことに気付きました。
まさに、目からウロコでした。
当時も今も使い続けている英文法解説書のshouldの項に次のように書いてあったのです。
You should do something=it is a good thing to do or the right thing to do. You can use ‘should’ to give advice or to give an opinion.(You should do something=~するのはよいこと、正しいこと。shouldは助言したり、意見を言うときに使う)
それに対してhad betterはこうです。
I’d better do something=it is advisable to do it. If you don’t do it, there will be a problem or a danger.(I’d better do something=~するのが賢明である。そうしなければ、問題や危険が発生することになる)
実はshouldとhad betterの違いはきついか、やわらかいかという響きの違いではなかったのです。
「~すべき」「~したほうがいい」という日本語訳だけで使い分けてはいけません。
shouldは「~するのはよいことです、正しいことです」となります。
これに対してhad betterは「~しなさい、さもないと問題や危険が生じます」と言うときに使うわけです。
例えば、美味しいレストランを見つけたとして、友達に勧めるときにはshouldとhad betterのどちらを使いますか?
That restaurant is excellent. You should go.(あのレストランは素晴らしいから、行ったほうがいいよ)
が正しい言い方です。
ここではhad betterは使えません。
レストランに行かなかったら問題や危険が生じるとは考えられないからです。
日本語では「あのレストラン、美味しいから行ったほうがいい」となるのでhad betterを使いそうになりますが、日本語に惑わされてはいけないわけです。
では、こんな場合はどうでしょうか。
親がいつも車で通勤しているとします。
ある冬の朝、起きたら路面が凍結していました。
「今朝は危ないから注意した方がいいよ」と言うときには、どちらを使いますか?
上の定義を理解していれば、
You’d better be careful.((運転には)注意したほうがいいよ)
と迷わずhad betterが出てきますね。
運転に注意しないと事故を起こしたり、けがをする可能性があるからです。
shouldは助言したり、自分の意見を言うときに広く使える表現なので、ここでも使えなくはないと思います。
でも、「危ないから気を付けなさい」という場合にはYou’d better be careful.が多いと思います。
「そうしないと危険だから」というニュアンスをきちんと伝えられます。
冒頭の3つの「~したほうがいい」という日本文の場合、had betterが使えるのは2番目の「傘を持って行ったほうがいい」だけです。
動詞句have to…も助動詞mustも意味はみなさんご存じだと思います。
でも、実際に使うとなると、どちらを使ったらよいかわからないこともあるのではないでしょうか。
have to…もmustも「~しなければならない」という意味だと学びました。
でも、まったく同じ意味なら、なぜわざわざ2つの表現を使うのでしょうか。
また、have to…よりもmustのほうが意味が強いとも聞いたことがありますが、本当でしょうか。
英文法解説書に「have to…とmust」という項目があります。
まずhave to…の定義を見てみましょう。
I have to do something=It is necessary to do it, I am obliged to do it.(I have to do something=~する必要がある、~せざるをえない)
です。
I am obliged(私は義務付けられている)と言っているので、「義務として~しなければならない」ということですね。
規則なり、必要なりの外部的な理由があって「~しなければならない」「~せざるをえない」という意味で使うのがhave to…です。
これに対してmustの定義はこうなります。
You can use ‘must’ to give your own opinion (for example, to say what you think is necessary, or to recommend someone to do something). ‘Have to’ is also possible.((例えば、必要があると考えていたり、人に~するように勧めるなどで)自分の意見を述べるときにmustを使う。have toも可能)
「~しなければならない」と自分が考える、つまり主観的な意見を表すのがmustです。
ここで注意が必要なのは最後の一文です。
自分の意見を言う「~しなければならない」にはmustもhave to…もどちらも使えます(口語ではhave to…のほうがよく使われるように思います)。
・It’s getting late. I must/have to go now.(遅くなってきた。そろそろ行かないと)
・I must/have to go to the bank to withdraw some cash.(銀行に行って少し現金を下ろさないと)
・All my socks have holes in them. I must/have to buy some.(靴下は全部穴があいている。少し買わないと)
これらの例文中のmustは「~しなければならない」という自分の意見を表すので、have to…でもOKです。
日常会話の中でhave to…/mustのどちらも使える場合には、have to…の方をよく使うように思います。
mustには確信している響きがあるのに対して、have to…を使うと、外部的な理由から「やむをえず~しなければならない」というやわらかい響きを伝えることができます。
さらに、have to…にはこんな説明があります。
We use ‘have to’ (not ‘must’) to say what someone is obliged to do. The speaker is not giving his/her own opinion.(人が義務としてしなければならないときには(mustではなく)have toを使う。このときに話者は自分の意見を述べているのではない)
「自分以外の誰かが~しなければならない」という事実を口語で伝えるときには必ずhave to…を使います。
mustは使いません。
これは結構見逃しがちですが、大切なポイントです。
Susan can’t meet us tomorrow. She has to work.(スーザンは明日は私たちに会えない。仕事があるから)
この例文の「仕事をしなければならない」は話し手の意見ではなく事実なので、mustは使えません。
ここまでの例では、mustはあまり出番がなさそうですね。
実は、mustは強制力のある指示や規則を表す場合によく使います。
・You must print your name.(名前を(筆記体ではなく)活字体で書きなさい)
・You must wear a helmet if you’re travelling on a motorcycle.(バイクで移動するときはヘルメットを着用しなければならない)
・You must speak fluent English.((求人の募集要項で)流暢な英語を話せなければならない)
「~であってほしい」「~であることを願う」を英語にするときには動詞wish/hopeを使う人が多いと思います。
「~だといいな」のように希望・願望などを表す場合にもwish/hopeを使うことが多いでしょう。
では、wish/hopeはどのように使い分けるのでしょうか。
いきなりwish/hopeの違いと言われてもイメージしにくいかもしれません。
それぞれが使われている文を考えてみましょう。
まずはwishです。
教科書に載っていた仮定法の定番に、
I wish I were a bird.
があると思います。
「私が鳥だったらなあ」という意味でした。
事実と異なる願望を表します。
また、誘いを断るときの表現に、
I wish I could.
というのもあります。
「行けたら(~できたら)よいのですが(行けません/できません)」と丁寧に断る表現です。
では、hopeはどうでしょうか。
「明日は晴れるかな?」に対して、
I hope so.(そうだといいね)
と答えたり、プレゼントを渡すときに、
I hope you like it.(気に入ってもらえるとよいのですが)
という表現もよく使います。
また、メールなどの書き出しで、
I hope you are well.(お元気だとよいのですが)
というのもよく見かけます。
wishの意味を英英辞典で確認してみましょう。
feel or express a strong desire or hope for something that cannot or probably not happen(起こりえないこと、あるいはおそらく起こらないであろうことを強く望んだり、願う)
とあります。
wishは「おそらく実現しないであろうこと」についての強い願望を表すわけです。
これがいちばんのポイントです。
だからこそ、wishは仮定法でよく使うのです。
「私が鳥だったら…」は現実には起こりえない仮定です。
誘いを断るときのI wish I could.も「できない」という前提に立って「できたらよいのだけれど(できない)」という願いを表しています。
このように、実現の可能性がない(または低い)場合の「~だったらよいのだけれど」にwishを使います。
一方、hopeの英英辞典の定義はこうなっています。
To want something to happen and think that it is possible(何かが起きてほしいと望み、そうなることが可能であると考える)
hopeは、実現する可能性があると思っていることが「起きてほしい」という希望を表します。
I hope so. / I hope you like it. / I hope you are well.という例文は、wishと違って、実現する可能性を感じさせます。
後に続く動詞にも違いがあります。
wishの後に続く文にはwere/wasのようなbe動詞の過去形や、助動詞canの過去形couldが使われます(仮定法過去)。
一方、hopeの後に続く文の動詞は現在形が使われることが多いのです。
実現する可能性を感じているので、仮定法にする必要はないわけです。
wishには実現する可能性のない願いを伝える以外に、
express a hope that (someone) enjoys (happiness or success)((人が)(幸福や成功に)恵まれますようにという希望を表す)
という用法があります。
・I wish you luck!(幸運を祈ります)
・I wish you every success in the future.(これからの成功をお祈りします)
この意味で使う場合は、必ず「wish+人+願うこと(名詞)」という形になります。
友達に「明日は雨が降ると思う?」と聞かれました。
次の2通りの返事をしてみましょう。
1.降らないと思う
2. 降らないといいね
どんなふうに英語で表現しますか?
まずは「明日は雨が降ると思う?― 降らないと思う」という会話を英語にしてみましょう。
Do you think it will rain tomorrow?
と質問されたとして、「降らないと思う」はこう言います。
(No,) I don’t think so.((いや、)降らないと思う)
また、会話の答えとしては冗長ですが、
I don’t think it will rain tomorrow.
とも言います。
ここで注意していただきたいのは、英語では「明日は雨は降らないと思う」(think+否定文)ではなく「明日は雨が降るとは思わない」(don’t think+肯定文)となることです。
文の本来の動詞であるthinkを否定してdon’t thinkとなるわけです。
日本語の「明日は雨は降らないと思う」を直訳して、
I think it won’t/will not rain tomorrow.
とは普通は言いません。
では、次に「降らないといいね」と答える場合を考えます。
「~だとよいと思う」「~であることを望む」を表す動詞にはhopeを使います。
では、hopeを使って「雨が降らないといいね」と返事をする場合はどう言いますか?
これも少し冗長なものを含んでいますが、自然だと思う答え方を次から2つ選んでください。
①I don’t hope so.
②I hope not.
③I don’t hope it rains tomorrow.
④I hope it doesn’t rain tomorrow.
これら4つの文のうち、一般的によく使われるのは②と④です。
「~でないことを望む」は「hope+否定文」になるわけです。
「降らないと思う」「降らないといいね」という日本語を英語にする場合、どちらも「雨が降る」という動詞rainを否定語notで否定すればよいのかと言うと、英語のルールではそうはなりません。
thinkを使った文を否定形にする場合はnotが前に出てdon’t think「~とは思わない」となるのに対して、hopeの否定形ではhope…not(~でないことを望む)となります。
会話ではI think so.(そう思う)/I hope so.(そう願う)以外にも、自分の考えや希望を短く答える次のような応答表現をよく使います。
・I believe so.(そうだと思う)
・I expect so.(そうだろうと思う、そのはずだと思う)
・I guess so.(そうだと思う)
・I suppose so.(そうだろうと思う)
・I’m afraid so.(残念ながら、そうです)
これらの否定形はどうなるでしょうか。
英文法解説書では次のように説明しています。
・I believe so. ⇒ I don’t believe so.(そうではないと思う)
・I expect so. ⇒ I don’t expect so.(そうではないだろうと思う)
・I guess so. ⇒ I guess not.(そうではないと思う)
・I suppose so. ⇒ I don’t suppose so./ I suppose not.(そうではないだろうと思う)
・I’m afraid so. ⇒ I’m afraid not.(残念ながら、そうではありません)
混乱しそうですね。
間違えても言いたいことは伝わると思いますが、自然な英語を身につけるために意識してみてください。
特に、I don’t think so. / I hope not. / I don’t think… / I hope…notは会話で使うことがとても多いので、しっかり覚えておきましょう。
「~していただけますか?」と丁寧にお願いしたいとき、どんな表現を使うでしょうか。
いつもCould you…?を使っているという人が結構多いかもしれません。
では、同じように丁寧な依頼の表現とされるWould you…?とはどこが違うのでしょうか。
この2つの表現はなぜ丁寧なのでしょうか。
Could you…?もWould you…?も依頼をするときの丁寧な表現と学んだと思います。
では、現在のことを話すのに、なぜ過去形の助動詞could/wouldを使うのでしょうか。
実はこの過去形は、相手との距離をとるための便宜的な使い方です。
英語では、現在のことを話す場合にわざわざ過去形を使って相手との距離を置く⇒ストレートな感じを出さない⇒遠回しな表現になる、ということがよくあります。
この「遠回しな」というところが大切です。
特に頼みごとをする場合には、ズバッと直球のような表現よりも、相手にあまり負担を感じさせない遠回しな表現や、相手に断る余地を与える表現が丁寧とされています。
過去形の助動詞could/wouldを使う⇒相手との距離を置いて遠回しになる、というところからCould you…?/Would you…?が丁寧な表現になるわけです。
では、Could you…?とWould you…?には意味の違いがあるのでしょうか。
この問題のポイントはCan you…?とWill you…?の違いです。
Can you…?は「~できますか?」という意味です。
助動詞canには能力、可能性の点から「できる」という意味がありますから、Could you…?は能力、可能性の点からできるかどうかにポイントを置いています。
それに対して、Will you…?は「~してくれますか?」という意味で、快くしてくれるかどうかという相手の気持ち、意向を尋ねています。
それがWould you…?にも当然反映されているわけです。
つまり、Could you…?/Would you…?はどちらも「~していただけますか?」ですが、Could you…?はできるかどうか、Would you…?はその気持ち、考えがあるかどうかというニュアンスの違いがあります。
例えば、知らない土地で駅までの行き方を尋ねるとします。
Could you…?/Would you…?のどちらの表現も使えますが、Could you…?を使うことが多いでしょう。
駅への行き方を教えることができるか、という能力、可能性にポイントがあるからです。
Would you…?を使うと、(能力的には可能という前提で)快く教えてもらえますか?教えるのが嫌ではないですか?というニュアンスになります。
一方、騒がしくしている人に「少し静かにしていただけますか?」という場合には、
Would you keep it down?
ということが多いでしょう。
快く静かにしてくれるかどうか、静かにするのが嫌ではないかどうかを尋ねることになるからです。
こうしたニュアンスの違いを理解しておくことは大切だと思います。
人に何かをお願いするときには、Could you…?/Would you…?以外にも、
・Would you mind…?(~していただいて嫌ではないですか?)
・Would you be able to…?(~していただくことは可能ですか?)
などの表現を使います。
ただ、過去形で表す丁寧表現は、「距離を置く」感じがよそよそしいと受け取られる可能性もあります。
あまりよく知らない人にお願いするときや、相手が親しくても面倒なことを頼まなければならないときには丁寧な表現が好まれますが、そうではない場合にはさほど神経質になることはないでしょう。
日本語では年上・目上の人に丁寧な言葉を使うのは当然とされていますが、これがそのまま英語に当てはまるわけではありません。
慣れるまでは一苦労かもしれませんが、相手との関係やその場に適した言葉選びも大切です。
「なぜ~なのか」と理由を尋ねるときには疑問詞whyを使うことが多いですね。
例えば、パーティーに行ったときに知り合いの女性を見かけたとします。
「なぜ彼女がいるの?」と尋ねるなら、
Why is she here?
です。
でも、カジュアルな会話ではこんな言い方もあります。
How come she is here?
「なぜ」の疑問詞Why…?がHow come…?に置き換わります。
これらの微妙な違いを考えてみましょう。
まずは疑問詞whyの定義を英英辞典で確認しておきましょう。
for what reason or purpose(どんな理由で、何の目的で)
理由や目的を尋ねるときに使うわけです。
Why is she here?は彼女がここにいる理由、目的を尋ねています。
how comeも理由や目的を尋ねる表現です。
会話の中でHow come?(なぜ?)だけでも使いますし、How come she is here?(なぜ彼女がここに?)のように後ろに文を続けることもあります。
Why…?と違ってカジュアルなフレーズなので、改まった場面やビジネスの場面では避けるほうがよいでしょう。
ではhow comeの定義も確認しておきましょう。
≪informal≫ said when asking how or why something happened or is the case(≪インフォーマル≫何かがどのようにして起きたか、なぜ起きたか、あるいはなぜそうであるのかを尋ねるときに使われる)
まず≪インフォーマル≫と使用上の注意が書いてあります。
そして、「(何かが)どのようにして、なぜ起きたのか、なぜそうなのかを尋ねる」とあります。
冒頭に出てきた2つの例文を見ましょう。
・Why is she here?
・How come she is here?
どちらも「なぜ彼女がここにいるの?」という基本的な意味は同じです。
でも、厳密に言うと、この2つの質問の背景には微妙な違いがあります。
Why…?を使った質問では、単純に彼女がここにいる理由、目的を答えとして求めています。
それに対して、How come…?による質問は「(彼女がここにいるはずはないと思っていたのに)一体なぜいるの?」という意外、驚きのニュアンスを含んでいます。
そもそも「彼女はいない」と想定していたことを示します。
このように、想定していたことと現実が食い違っているときにHow come…?をよく使います。
そして、想定していなかった驚きの「なぜ?」を表すこともあれば、軽い非難のニュアンスを含む場合もあり、声の調子や表情、文脈から判断します。
また、How come…?は必ずしも答えを求めているとは限りません。
そうなったいきさつ、経緯を知りたかったり、あるいは理由が知りたいのではなく、ただ「なぜなの?」という納得できない気持ちを表すこともあります。
それに対して、Why…?は文字どおり理由、目的を尋ねる質問です。
Why…?は理由を求める質問ですから、ざっくり言い換えればI want to know the reason.(理由が知りたい)ということになり、口調によっては威圧的に響いたり、きつく挑戦的に聞こえる場合があります。
それに比べてHow come…?はやわらかく響くために、カジュアルな会話で好まれるのです。
冒頭の2つの文に戻ります。
・Why is she here?
・How come she is here?
語順に注意してください。
疑問詞whyの後は普通の疑問文と同じで「動詞+主語」の語順になります。
how comeの後は「主語+動詞」で、平叙文の語順です。
how comeの後にはいつも平叙文が続くということに注意が必要です。
日常会話でとてもよく使う表現にHow about…?/What about…?があります。
見た目がよく似ていますね。
どちらも「~はどうですか?」と訳すことが多いのですが、使い分けの基本的なルールを復習しましょう。
会話の中で相手の質問に答えた後に、「あなたは(どうなの)?」と相手にも同じ質問を返すことがあります。
その場合にはHow about you?/What about you?はどちらでもOKです。
例えば、Where do you work?(どこで働いているの?)と聞かれて、I work at a local hospital.(地元の病院です)と答えた後に「あなたは?」と聞き返すとします。
この場合には、
・How about you?
・What about you?
のどちらも使います。
また、What are you doing this weekend?(今週末の予定は?)のように聞かれた場合も、
I’m going to the beach. How/What about you?(ビーチに行きます。あなたは?)
のように、どちらも使います。
What about…?よりもHow about…?をよく使う典型は提案する表現です。
パートナーと「明日の休み、何をしようか?」という話になったとします。
「映画に行くのはどう?」と提案したい場合は、
How about going to the cinema/movies?
のようにHow about…?を一般的によく使います。
How about a movie?
というバリエーションもありますが、いずれにしてもWhat about…?ではなくHow about…?をよく使います。
また、「明日の待ち合わせは何時にする?」と言うときに、
How about eleven?(11時はどう?)
のように提案する場合にもHow about…?が活躍します。
また、「~してくれない?」と人にカジュアルに依頼するときにもHow about…?を使うことがあります。
・How about lending me five bucks?(5ドル貸してくれない?)
・How about helping me out a little?(ちょっと手伝ってくれない?)
のような感じです。
次にWhat about…?をよく使うパターンを見てみましょう。
こんな会話を想像してください。
A:週末、泊りがけで温泉に行こうよ。
B:月曜日の試験はどうするの?
週末に試験勉強を予定していたBは、Aからの提案に乗り気でなく、質問で返します。
こんな場合にWhat about…?を使います。
What about the exam on Monday?
と言えば、「じゃ、試験はどうするの?(勉強できないじゃない)」というニュアンスになります。
このような場面でHow about…?はほとんど使いません。
相手の発言にある問題点を指摘したり、話の内容に関して「~はどうなるの?」「~に着いてはどう?」と相手の意見を求めるときにWhat about…?をよく使います。
How about…?は相手に「~についてはどう感じる?」と尋ねるのに対して、What about…?は「~についてはどう考える?」と、具体的な相手の意見を求める感じです。
実際には、提案するHow about…?の代わりにWhat about…?を使う人もいます。
混乱してしまいそうですが、提案するときに使うWhat about…?は多くの辞書で《略式》とされているので、How about…?で覚えておけば間違いなさそうです。
次の文を英語で言ってみてください。
「あなたはお酒が飲めますか?」
さて、どんな文になりましたか?
「飲めますか?」は「~できますか?」なので、Can you drink alcohol?という文がひらめいた人もいると思います。
実は、動詞drinkには「~を飲む」という意味の他に「お酒を飲む」という意味もあるので、わざわざdrink alcoholという必要はありません。
これは日本語と同じですね。
「今日飲みに行く?」と言えば、お酒のことです。
「何を飲みに行くの?」と聞き返したりはしません。
だからと言って、私の周りのネイティブはCan you drink?と聞いてくることはありません。
それはなぜでしょうか。
「アルコールを飲める?」という意味でCan you drink?は間違いとは言えないかもしれません。
実際に、
・I can’t drink at all.(私はまったく飲めません)
・I can’t drink much.(私はあまり飲めません)
などと言うことはあります。
でも、canは「~する能力がある」という意味なので、人(特に話し相手)に対する質問に使うと直接的に響きすぎることがあります。
人と初めて食事に行ったとします。
まずはドリンクの注文です。
自分は「やっぱり最初はビールだな」と思っても、相手がお酒を飲めるかどうかわからなかったら、気を遣ってこんなふうに尋ねますね。
「お酒は召し上がりますか?(飲みますか?)」と。
この「召し上がりますか?」は、「飲むことができますか?」という能力ではなく、飲む習慣があるかどうかを尋ねる質問です。
能力ではなく習慣を尋ねる、これは日本語でも英語でも同じです。
したがって、英語で「あなたはお酒が飲めますか?」は、
Do you drink?
となります。
シンプルに現在形を使った疑問文にすれば、習慣を尋ねることができます。
この質問なら、様々な理由でお酒が飲めない人も、実際に飲めるが飲まない人も、
No, I don’t drink.(いいえ、飲みません)
と答えることができます。
参考までに、Can you drink…?という表現をよく使うのは次のような場合ではないかと思います。
・Can you drink the tap water?(水道水は飲めますか?)
・Can you drink coffee while pregnant?(妊娠中にコーヒーを飲んでもいいですか?)
この場合の動詞drinkは「お酒を飲む」という意味ではないので、後に目的語を続けて、「~を飲んでも大丈夫ですか?」というニュアンスで使うことが多いように感じます。
Can you…?/Do you…?に関連して、表題のような英語での質問についても考えておきましょう。
日本には外国からの観光客が急増しています。
とりあえずの共通語は英語ということで、世界各国の人々と英語でやりとりする機会も増えるでしょう。
そんなときに心に留めておきたい異文化交流のヒントです。
「~は食べられますか?」も日常的によく使う文です。
これも「お酒は飲めますか?」と同じで、その習慣があるかどうかという質問にすると、質問する側の意図も伝わりやすいと思います。
Do you eat…?(~は食べますか?)を使って、
Do you eat Japanese food?(日本食は召し上がりますか?)
のような感じですね。
Can you eat…?と尋ねても間違っているわけではありません。
ただ、
Yes, I can. But I don’t.(はい、食べられますけど、食べません)
という答えが返ってくる可能性があるかもしれません。
相手が食べられる(あるいは飲める)かどうかを質問したいときにはDo you like…?(~は好きですか?)で尋ねることもできます。
・Do you like Japanese food?(日本食は召し上がりますか?)
・Do you like natto (=fermented soybeans)?(納豆は召し上がりますか?)
・Do you like beer?(ビールは召し上がりますか?)
この質問なら、「食べたことがない」「お寿司が好き」「あまり食べない」「飲めるけど普段は飲まない」などと相手も自分の事情に合わせて答えることができます。
納豆のよう日本独特の食べ物だったり、あまり海外では食べないような食材の場合は、
Have you eaten natto before?(納豆を召し上がったことはありますか?)
のように尋ねてみましょう。
また、友達を家に食事に招くときには、「食べられないものはありますか?」と尋ねたりします。
この表現も、
・Is there anything you can’t eat?
・Is there anything you don’t eat?
で意味に違いがあります。
前者は、アレルギーや健康上の理由で食べられないものを尋ねる質問です。
後者は、嫌いなものや習慣として食べないものを含めて口にしないものを尋ねることになります。
「英語が話せますか?」と尋ねたいときにCan you speak English?と言うと失礼になるので、
Do you speak English?
を使うほうがよいという意見があります。
その理由もすでに述べてきたことと同じです。
特定の言語を話すという習慣について尋ねる質問に能力を問うcanを使うことは不自然と感じる人もいます。
そのため、
・How many languages do you speak?(何か国語を話しますか?)
・I speak English and Japanese.(英語と日本語を話します)
のように言うわけです。
日本語をそのまま英語に直訳すると不自然になったり、意図していない響きを持つことがあります。
実際に使われている英語表現から学ぶということが、伝わる英語を身につけるために大切です。
助動詞canと、形容詞を使ったbe able to…はどちらも「~できる」という意味です。
では、この2つはどう使い分けるのでしょうか。
英文法解説書にはcan/be able to…の違いがこう書かれています。
You can say that somebody is able to do something, but can is more usual.(人が能力として~できることをbe able to…と言えるが、canのほうが一般的に使われる)
「~できる」という能力を表す場合にcan/be able to…はどちらも使います。
ただ、口語ではcanのほうを圧倒的によく使います。
be able to…を使うとフォーマルすぎるというか、ちょっと不自然な感じがすることもあります。
しかし、文法のルールでcanが使えない場合がいくつかあります。
文法的に助動詞を入れることができない場合にはbe able to…を使います。
助動詞(will/should/may/might/mustなど)とともに使う場合は必ず「助動詞+be able to…」の形になります。
・She will be able to walk soon.(彼女はすぐに歩けるようになるだろう)
・Unfortunately, I won’t be able to attend the meeting.(残念ながらその会議には出席できません)
・Applicants must be able to speak fluent English.(応募者は流暢な英語を話せなければならない)
のような感じです。
助動詞の後にcanを続けることはできません。
canには過去分詞がないので「have/has+過去分詞」で表す完了形を文の動詞にする場合にはbeの過去分詞beenを使って「have/has+been able to…」になります。
否定形で使われることが多いです。
・I haven’t been able to eat much.(このところあまり食べられません)
・I haven’t been able to contact him for a week.(彼と1週間連絡がとれない)
不定詞を表すtoの後に助動詞を続けることはできないので、必ずbe able to…の形になります。
・I’ve always wanted to be able to play the piano.(ピアノが弾けるようになりたいとずっと思っていた)
・Do I need to be able to work full time?(フルタイムで働けないといけませんか?)
前の項では「~できる」という意味を表すbe able to…の使い方を復習しました。
今回はフォーマルなbe able to…よりも圧倒的によく使う助動詞canの使い方です。
be able to…との意外な使い分けを発見できるかもしれません。
前項で、能力を表す場合にcan/be able to…のどちらも使うが、canのほうをよく使うと説明しました。
次のような場合には、ほぼcanを使います。
see(~を見る)/hear(~を聞く)/smell(~のにおいがする)/taste(~の味がする)/feel(~を感じる)/remember(~を覚えている)/understand(~を理解する)/believe(~を信じる)/decide(~を決める)などの感覚・判断を表す動詞とともに使う場合はcanが一般的です。
・I can see you.(君の姿が見える)
・Can you hear me?(私の声が聞こえますか?)
know how to…(~する方法を知っている)という意味で能力を表すときはcanを使うことが多くなります。
・I can cook.(料理ができます)
・Can you drive a car?(車を運転できますか?)
一方、be able to…は特定の状況や場面で「~できる」というニュアンスで使うことが多いように思います。
例えば、
Are you able to cook?
は手をけがしている人に「料理はできる?」と尋ねたり、時間や器具の制約がある状況で「料理はできる?」と質問する感じです。
英文法解説書によい例文が載っていますので、まず紹介します。
Watch me, Mum; I can stand on one leg. (not…I’m able to stand on one leg.)(ママ、見て。片脚で立てるよ)
話しているその瞬間の行為について「~できる」という場合にはcanを使い、be able to…は使わないというわけです。
受動態の文ではcanを使うことが多くなります。
This can be used as a sofa or a bed.(これはソファとしてもベッドとしても使える)
のような感じです。
主語が人ではなく、もの・場所が「~できる」と言いたい場合にはcanを使うのが一般的です。
This room can sleep up to three adults.(この部屋では大人3人まで泊まれます)
ややこしくなってきたときには、まずは文法的にbe able to…しか使えないパターンをマスターしましょう。
その他の場合には圧倒的にcanのほうが出番が多いので、とりあえずcanを使うというのも手かもしれません。
なお、canの否定形はcan’tか、省略せずに書くならcannotです。
can notと2語に分けてしまう人が意外に多いので、気を付けてください。
また、過去形について「~できた」を表すcouldとwas able to…の使い分けは注意が必要です。
2回に分けて「~できる」を表すcan/be able to…の使い方について考えました。
今回は過去について「~できた」を表すcould/was able to…の使い分けを考えたいと思います。
実はcan/be able to…の使い分け以上に間違えやすいのが、過去形のcould/was able to…の使い分けです。
もう一度しっかり基本を復習しましょう。
例えば、ある男性を探していたとします。
その男性を見つけることができました。
「彼を見つけられた」と言いたい場合、次の2つの表現のどちらを選びますか?
①I could find him.
②I was able to find him.
「~できる」という場合はbe able to…よりもcanのほうをよく使います。
ですから、過去の場合もcouldでよいかと言うと、そうではありません。
この場合には②が正しい表現です。
それはなぜでしょうか。
could/was able to…の使い分けについて、英文法解説書は次のように説明しています。
We use ‘could’ for general ability. But if you want to say that somebody did something in a specific situation, use ‘was/were able to’ or ‘managed to’ (not ‘could’)(couldは一般的な能力を表すときに使う。特定の状況で誰かが何かをしたと言いたいときには、was/were able to…かmanaged to…を使う(couldは使わない))
一般的な能力の話ではなく、具体的な状況の中で何かをやり遂げたという意味の「~できた」はwas/were able to…、もしくはmanaged to…(~できた)で表します。
一度だけ~できたという過去の出来事、事実を表すときにcouldは使えません。
これが、前述のI was able to find him.が正しいという理由です。
「見つけた」という過去の出来事、事実を表しているのでcouldは使えないのです。
couldを使うと、文脈によっては未来の可能性のニュアンスで伝わってしまうことがあります。
では次に、couldを使うのが自然な場合を見てみましょう。
was able to…よりもcouldで表すことが多いのは、過去に持っていた一般的な能力を表す場合です。
・I could run fast when I was a child.(子供のときは速く走れた)
・My son could count to 0 at 18 months.(息子は1歳半で10まで数えられました)
see(~を見る)/hear(~を聞く)/smell(~のにおいがする)/taste(~の味がする)/feel(~を感じる)/remember(~を覚えている)/understand(~を理解する)/believe(~を信じる)/decide(~を決める)などの感覚・判断を表す動詞とともに使う場合にはcouldが自然です。
We could see the sea from our hotel room.(ホテルの部屋から海が見えた)
ひとことで言うのは難しいのですが、「~できたすべて」「~できた最善/唯一のこと」という場合にcouldを使います。
・All I could say was “I’m sorry.”(私が言えたことは「ごめんね」だけだった)
・It was the best thing we could do.(それが私たちにできた最善のことだった)
以上のように、「~できた」はcould/was able to…を使い分ける必要があります。
しかし、それが否定形の「~できなかった」になると一気に簡単になります。
どの場合にもcouldn’tが使えるのです。
否定形ではwasn’t able to…よりもcouldn’tのほうが一般的です。
・I couldn’t find him.(彼を見つけることができなかった)
・We couldn’t see the sea from our hotel room.(ホテルの部屋から海は見えなかった)