大内裕和中京大教授、続々と盗用発覚!/『ヒューマンライツ』誌の記事にも流用

 大内裕和中京大教授の盗用問題で、続々とあらたな盗用が見つかっている。月刊『ヒューマンライツ』2014年3月号に執筆した記事のなかにも、私(三宅)が『選択』2012年4月号に書いた記事の内容と酷似する記述があった。

◆月刊『ヒューマンライツ』2014年3月号に掲載された大内氏の記事「現在の奨学金の制度―何が問題か」(該当部分)

 原資の確保を優先するのであれば、元本の回収がなにより重要なはずであるが、日本学生支援機構は二〇〇四年以降、回収金はまず延滞金と利息に充当する方針を続けている。二〇一〇年度の利息収入は二三二億円、延滞金収入は三七億円に達する。これらの金は経常収益に計上され、原資とは無関係のところへ行っている。
 この金の行き先の一つが銀行で、もう一つが債権回収専門会社である。二〇〇(原文ママ)年度期末で民間銀行の貸付残高は約一兆円で、年間の利払いが二三億円である。債権回収専門会社は同年度、約五万五〇〇〇件を日立キャピタル債権回収など二社に委託し、一六億七〇〇〇万円を回収していて、そのうち約一億四〇〇万円が手数料として払われている。

(6頁下段1行目〜7頁1行目)


↑月刊『ヒューマンライツ』2014年3月号の大内氏の記事。

◆元記事[『選択』(2012年4月号)三宅記事

 原資の確保であれば元本の回収がなにより重要だ。ところが、日本育英会から独立行政法人に移行した〇四年以降、回収金はまず延滞金と利息に充当するという方針を頑なに実行している。一〇年度の利息収入は二百三十二億円、延滞金収入は三十七億円に達する。これらの金は経常収益に計上され、原資とは無関係のところへ消えている。この金の行き先のひとつが銀行であり、債権管理回収業者(サービサー)だ。一〇年度期末で民間銀行からの貸付残高はざっと一兆円。年間の利払いは二十三億円。また、サービサーについては、同年度で約五万五千件を日立キャピタル債権回収など二社に委託し、十六億七千万円を回収、そのうち一億四百万円が手数料として払われている。

(101頁3段目13行目〜4段目4行目)


↑『選択』2012年4月号の三宅執筆記事

 元記事に「1億400万円」とある部分は大内原稿ではなぜか「約1億400万円」になっている。私が持っている元データ(文科省回答文書)は、概算ではなく実数である。大内氏がデータを改竄した疑いがある。
 
 記事末尾には参考文献を紹介した注釈があるが、そこには、該当部分について大内氏が盗用を行った『日本の奨学金はこれでいいのか!』があるだけで、盗用元の『選択』2012年4月号の記載はない。
 
 同様の盗用はまだほかにもあるにちがいない。

大内裕和中京大教授に盗用新発覚!/『選択』三宅記事を『JP総研リサーチ』に流用

 大内裕和中京大教授の盗用問題で、またまたあらたな盗用が見つかった。2017年4月発行の『JP総研リサーチ』37号に執筆した記事のなかに、私(三宅)が『選択』2012年4月号に書いた記事の内容と酷似する記述があったのだ。

◆『JP総研リサーチ』(2017年3月発行)に掲載された大内氏の記事(該当部分)

 原資の確保を優先するのであれば、元本の回収がなにより重要なはずであるが、日本学生支援機構は2004年以降、回収金はまず延滞金と利息に充当する方針を続けている。2010年度の利息収入は232億円、延滞金収入は37億円に達する。これらの金は経常収益に計上され、原資とは無関係のところへ行っている。
 この金の行き先の一つが銀行で、もう一つが債権回収専門会社である。2010年度期末で民間銀行の貸付残高は約1兆円で、年間の利払いが23億円である。債権回収専門会社は同年度、約5万5000件を日立キャピタル債権回収など2社に委託し、16億7000万円を回収していて、そのうち約1億400万円が手数料として払われている。

(15頁右段17行目〜最終行)

★記事は『JP総研リサーチ』のホームページでも読める。https://www.jprouso.or.jp/system/servlet/yusei.UserPage?pname=index&dir=lab&sub=reserch

◆元記事[『選択』(2012年4月号)三宅記事

 原資の確保であれば元本の回収がなにより重要だ。ところが、日本育英会から独立行政法人に移行した〇四年以降、回収金はまず延滞金と利息に充当するという方針を頑なに実行している。一〇年度の利息収入は二百三十二億円、延滞金収入は三十七億円に達する。これらの金は経常収益に計上され、原資とは無関係のところへ消えている。この金の行き先のひとつが銀行であり、債権管理回収業者(サービサー)だ。一〇年度期末で民間銀行からの貸付残高はざっと一兆円。年間の利払いは二十三億円。また、サービサーについては、同年度で約五万五千件を日立キャピタル債権回収など二社に委託し、十六億七千万円を回収、そのうち一億四百万円が手数料として払われている。
(101頁3段目13行目〜4段目4行目)

 なお、大内氏のJP総研リサーチ記事では、サービサーの手数料額について「約1億400万円」と記載しているが、これはおかしい。というのは、この数字は私が『選択』記事を書く際(2012年2月)に文部科学省に取材し、得た回答で、概数ではなかったからだ。「委託手数料:104百万円(回収金額に成功報酬率を乗じた金額)とあり、そのままの数字を選択記事に記載した。大内氏が「約1億400万円」と概数を書いたということは、十万円以下の数字を知っているか、「1億400万円」が概数であるとの証拠を持っていることになる。

 元データを持っていることは十中八九ないだろう。選択記事から抜き出したデータに、根拠なく「約」をつけた可能性が高いと私は思っている。断定はできなが、仮にそうであれば、もちろん研究者として失格である。

大内裕和・中京大”盗用”教授の見苦しい言い逃れ

  大内裕和・中京大教授の「奨学金本」盗作問題は、同氏著の『奨学金が日本を滅ぼす』(2017年、朝日新書。現在出庫停止)に加えて、『日本の奨学金はこれでいいのか!』(2013年、あけび書房)の1章大内氏執筆部分においても発覚した。朝日新書本は「あけび本」の2章三宅執筆部分から盗用し、あけび本の1章大内記事は雑誌『選択』2012年4月号の三宅執筆記事から盗用していた。

 この事実を踏まえて大内氏の代理人弁護士から14日付で届いた回答書(『朝日新書』の盗用について私が7月にしていた質問に対するもの)を見ると、その破廉恥ぶりに言葉を失いそうになる。 

〈表現(文章表現・構成が酷似している点=三宅注)についても、貴殿の『日本の奨学金はこれでいいのか!』2章発表以前に、拙著『奨学金が日本を滅ぼす』のご指摘の箇所で使用している表現は、私が自分の講演や雑誌論文、雑誌インタビュー記事、著書などで発表しています。
 「2010年度の利息収入は232億円、延滞金収入は37億円に達する。これらの金は経常収益に経常され、原資とは無関係のところに行く」(2013年10月14日、「反貧困世直し大集会2013」、主催:「反貧困世直し大集会2013」実行委員会、大内裕和の講演レジュメ)。
 「2010年度の利息収入は232億円、延滞金収入は37億円に達する。これらの金は経常収益に経常され、原資とは無関係のところに行っています。」(大内裕和「教育における格差と貧困」『日本の奨学金はこれでいいのか!』第1章24頁17行〜25頁2行)〉


↑2020年9月14日付の大内氏回答書。「剽窃・盗用」ではないという。


 ↑「剽窃・盗用」ではないとする根拠に大内氏が掲げる『日本の奨学金はこれでいいのか!』(20
13年10月、あけび書房)1章(大内氏著)の記述。

 あきれたことに、「私が自分の講演や雑誌論文、雑誌インタビュー記事、著書などで発表しています」と豪語している文章は、私が『選択』2012年4月号で書いた無署名記事と瓜二つなのだ。

10年度の利息収入は232億円、延滞金収入は37億円に達する。これらの金は経常収益に計上され、原資とは無関係のところへ消えている。

(『選択』2012年4月号〈奨学金「取り立て」ビジネスの残酷〉より)


 ↑ 雑誌『選択』2012年4月号の三宅記事

 大内氏が私の著作を丸写しにしている、あるいは看過できない程度に模倣していることに疑いの余地はない。他人の著作を自分のもののように盗用しておきながら、それを難じられると、「すでに自著などで発表していたのだ」とばかりに、こんどは別の雑誌から盗用した文書を持ち出したのだ。おそらく『選択』の記事が私の筆によるものと知らなかったのだろう。ここまでくると、もはや人格を疑わざるを得ない。

★「若者のミカタ」で売り出し中、大内裕和中京大学教授の「奨学金本」は盗用だらけのトンデモ本だった!
(1)(2)(3)(4)(5)

★【訂正】大内裕和中京大教授、雑誌『選択』の三宅記事からも盗用!

大内裕和中京大教授から回答届く 「盗用・剽窃ではない」

 7月下旬に大内裕和中京大学教授に送っていた盗用疑惑に関する質問に対して、大内氏の代理人弁護士を通じて9月14日付で回答が届いた。

 ★2020年9月14日付大内裕和氏回答書(PDFファイル約2・5Mバイト)

 あらかじめ大内氏には公開することを伝えてあるのでここに公表する。なお、偽造・改竄など万が一のトラブルを避けるため、データに一部加工をほどこした。

 すでにほかの文字媒体や講演で発表している内容・表現なので盗用・剽窃ではないといった主張のようだ。予想していたとおり、謝罪の意思はみじんも感じられない。やむを得ないが、私とすれば、大内氏が非を認め、真摯に謝罪し、彼の非行によって被った害についてしかるべき償いをするまで追及をつづけざるを得ない。おそらく研究者生命を賭して大内氏はこの回答を行ったのであろうが、こちらもジャーナリスト生命がかかっている。

 フリージャーナリストである私は、商品である原稿や発言の信用以外に身を守るものを持っていない。事実を誤ったり、誤記をするなどといった悪意のないミスは赤面するほどあるが、他者の著作物を破廉恥に写して自分の文章であるかのように発表するなどといった、文筆家の基本的なモラルに反する破廉恥な行為をしたことは誓ってない。もちろん、しようとも思わない。幸い売れっ子ではないので必要もない。読者を裏切ることはジャーナリストという自分の職業を自分で否定するようなものである。

 盗作問題への対応で本来の仕事に甚大な悪影響が出ている。それでも追及をやめないのは、これを放置することもまた、読者への裏切りにつながると思うからである。

【訂正】大内裕和中京大教授、雑誌『選択』の三宅記事からも盗用!

※記事内容に一部誤りがありました(★★★部分)。お詫びの上、訂正した上で再掲します。

 私(三宅)の著作物からの盗用が問題になり、『奨学金が日本を滅ぼす』(朝日新書)の出庫停止に発展した大内裕和中京大教授について、あらたな盗作が発覚した。2013年10月に筆者三宅らとの共著で発刊した『日本の奨学金はこれでいいのか!』(あけび書房)の第1章、大内氏が記述した箇所の一部が、雑誌『選択』2012年4月号に三宅が無署名で寄稿した記事の一部ときわめて似ているのだ。

 
 問題が見つかったのは、あけび書房本の1章大内氏記述部分、24頁16行目から25頁6行目の記述だ。

◆『日本の奨学金はこれでいいのか!』1章 大内氏記述

 原資の確保を優先するのであれば、元本の回収がなにより重要なはずです。ところが日本学生支援機構は2004年以降、回収金はまず延滞金と利息に充当する方針を続けています。2010年度の利息収入は232億円、延滞金収入は37億円に達します。これらの金は経常収益に計上され、原資とは無関係のところへ行っています。
 この金の行き先の一つが銀行で、もう一つが債権回収専門会社です。2010年度期末で民間銀行からの貸付残高はだいたい1兆円で、年間の利払いは23億円です。サービサーは同年度、約5万5000件を日立キャピタル債権回収など2社に委託し、16億7000万円を回収していて、そのうち1億400万円が手数料として払われています。

(24頁16行目〜25頁6行目)


↑『日本の奨学金はこれでいいのか!』(2013年10月刊行)1章大内氏の記述部分

 これが、『選択』2012年4月号の〈奨学金「取り立て」ビジネスの残酷〉と題する記事の一部と酷似している。記事は私三宅が書いた。著作権も私に所属する。

◆『選択』三宅記事

 原資の確保であれば元本の回収がなにより重要だ。ところが、日本育英会から独立行政法人に移行した〇四年以降、回収金はまず延滞金と利息に充当するという方針を頑なに実行している。一〇年度の利息収入は二百三十二億円、延滞金収入は三十七億円に達する。これらの金は経常収益に計上され、原資とは無関係のところへ消えている。この金の行き先のひとつが銀行であり、債権管理回収業者(サービサー)だ。一〇年度期末で民間銀行からの貸付残高はざっと一兆円。年間の利払いは二十三億円。また、サービサーについては、同年度で約五万五千件を日立キャピタル債権回収など二社に委託し、十六億七千万円を回収、そのうち一億四百万円が手数料として払われている。

(101頁3段目13行目〜4段目4行目)


↑ 雑誌『選択』2012年4月号に三宅が寄稿した記事。インターネットで公開されている。
 https://www.sentaku.co.jp/articles/view/11610 

 いかがだろうか。ところどころ「てにおは」を変えたり改行しているくらいで、ほとんど同じ文章、構成だ。むろん、引用であることはまったく示されていない。
 
 ここで興味深いのは、日立キャピタル債権回収会社ら2社の2010年度の回収額と手数料額だ。どちらの記事も、回収額16億7000万円、手数料1億400万円と一致している。注意ぶかい方なら矛盾に気づくはずだ。

★★★
 大内氏が1章で上記データを記載した同じ本(『日本の奨学金はこれでいいのか』)の2章で、じつは私が別の数字を書いている。回収額が2社で約28億円、手数料収入は同2億4000万円だ。

 こうした食い違いが起きたのは、公表主体と公表時期によって数字が違ったからだ。「16億7000万円/1億400万円」は、2012年2月に文科省高等教育局学生・留学生課が私に回答した内容である。一方、2013年9月に日本学生支援機構が私に回答した内容は「回収額約28億円/手数料約2・4億円」だった。私は『選択』の記事(2012年4月)では前者の数字を紹介し、『日本の奨学金はこれでいいのか』(2013年10月)では後者の数字を記述した。
 
 文科省と支援機構で数字の差が生じた理由については、現在日本学生支援機構に問い合わせているところだ。

 おそらく、大内氏はこうした事情を知らずに、『選択』の記事からデータを流用したのだろう。そして、『日本の奨学金はこれでいいのか』が刊行された後は、私がそこに記述した日本学生支援機構の発表データを、『奨学金が日本を滅ぼす』という別の自著に流用したと思われる。
★★★
 大内氏のモラルのなさには愕然とするが、ことここに及んでも大内氏を共同代表者に掲げ続け、責任を問う気配のない奨学金問題対策全国会議という市民団体の自浄力のなさにもまた、失望を禁じ得ない。  

大内裕和中京大教授の「奨学金本」に出庫停止措置

 読者のみなさん、こんにちは。
 
 大内裕和中京大教授の著書に私の著作物からの「盗用」がなされている問題で、少し進展がありました。問題の著書『奨学金が日本を滅ぼす』(朝日新書、2013年)の発行元である朝日新聞出版が、同書を出庫停止、電子書籍の販売中止措置をとった旨記載した「回答書」が届きました。同社に問題を通報してから回答まで1ヵ月と3週間がかかった計算ですが、この間、同社は大内氏や担当編集者から事情を聞き、検討をしていた模様です。出庫停止、電子書籍出版停止措置をとったということは、それなりに問題があるとの認識なのでしょう。私なりにそう理解しています。

 しかし、出荷ずみの紙本の販売はつづけるほか、同社自身の責任についてはまったく言及をしておらず、釈然としない部分もあります。引き続きこれらの点について質問をしたところです。

 一方、大内氏は代理人弁護士を通じて、当方の質問に回答してきました。結論からいえば、盗用剽窃にはあたらないとのことです。謝罪の意もいっさいありませんでした。表現・構成がきわめて酷似したのは偶然の産物ということなのでしょうか。
 
 引き続き、動きがあれば報告したいと思います。

大内裕和中京大教授の「奨学金本」にあらたな疑問点発覚 ーー回収手順の無理解か、それとも意図的なごまかしかーー

 中京大学教授・大内裕和氏の著作『奨学金が日本を滅ぼす』(2017年、朝日新書)に筆者三宅の著作(『日本の奨学金はこれでいいのか』第2章、あけび書房2013年)からの盗用・剽窃が濃厚に疑われ、現在、朝日新聞出版や中京大の調査が行われている問題で、大内本にあらたな疑問点があることが発覚した。

 問題の箇所は『奨学金が日本を滅ぼす』の80P、延滞債権の回収が強化されているという部分の次の一節だ。

 〈それでも滞納が続くと、9ヵ月目には裁判所に支払い督促の申し立てが行われます。〉

 「奨学金ローン」の返還を滞納して9ヵ月目に入ると支払い督促という法的手続き(一種の裁判)を起こされるとの記述だ。

 奨学金ローン回収や対応の実務に通じている者ならすぐに首を傾げることだろう。筆者も疑問を禁じ得なかった。どんなに回収を急いだところで、日本学生支援機構が公表している回収方法では、「9ヵ月目」の支払い督促申し立てはあり得ない。

 つまりこういう仕組みである。
 
 支払い督促の申し立てには、一括繰り上げ請求をしていることが大前提となる。

 奨学金ローンは、20年以内に年賦または月賦で返還するよう法令で決まっている。一般のローンとは仕組みが異なる。一般のローンは、分割払いは「期限の利益」の特約によってはじめて可能となる。延滞した場合はこの「期限の利益」を喪失して一括請求される旨、契約書に明記している。
 
 奨学金ローンには「期限の利益」の概念がないので、遅れたとしても、まだ返還期日がきていないものまで前倒しで請求することはできないーーはずである。ところがじっさいには返還期日未到来のものまで一括で繰り上げて請求する、いわば貸しはがしが頻繁に実行されている。その際、日本学生支援機構が使っている根拠が、日本学生支援機構法施行令5条5項(旧4項)だ。

 同項には「支払能力があるにもかかわらず」という前提条件が記載されているが、そんなことは完全に無視して、「延滞9ヵ月以上」で連絡や返還猶予の手続きをしない利用者に対して、乱発している。違法性がきわめて高い回収である。

 

 支払い督促申し立ては、この一括請求をした後でなければ手続きのしようがない。

 一括請求は日本学生支援機構から利用者に対する通知文で行われ、通常、支払い期限を約1ヶ月後に設定される。月々の1万5000円や2万円の返済が滞っている人に300万円とか400万円を1ヶ月後に耳をそろえて返せ、と迫る。それで払えなければ支払い督促を裁判所に申し立てるという流れである。

 つまり、どんなに早くやっても延滞10ヶ月以降の支払い督促申し立てなのだ。一括請求がなければ支払い督促はやりたくてもできない。

 〈それでも滞納が続くと、9ヵ月目には裁判所に支払い督促の申し立てが行われます。〉という大内氏の記述は、したがって明らかに誤りである。上に述べた一括請求という違法な取り立ての段階があることを理解していないか、そうでなければ意図的に無視しているとしか考えられない。

 奨学金問題対策全国会議という市民団体の代表でありながらこうした重要な部分に誤りのある著書を出すというのは、いったいどうしたことか。
 
 
 なお、9月8日付で、大内氏に以下の質問をメールで送った。

  同書80ページに「それでも滞納が続くと、9ヵ月目には裁判所に支払い督促の申し立てが行われます。」との記述があります。日本学生支援機構が私に回答した内容では、9ヵ月以上延滞した場合に一括繰り上げ請求を行うとのことです。支払い督促の手続きは一括繰り上げ請求(支払い期限は通常約1ヶ月)の後に支払いがないことを踏まえて行われるものですから、論理的には最短でも延滞から10ヵ月はかかる計算です。

 つきましては、「9ヵ月目には裁判所に支払い督促の申し立てが行われます」との記述は、どのような根拠によるものなのでしょうか。また、支払い督促の前に一括繰り上げ請求がなされていることを明記していないのはなぜですか、それぞれご説明願います。

以上