量子コンピューター、実用へ前進 岡崎の分子研が新物質開発
2020年9月23日 05時00分 (9月23日 05時01分更新)
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世界最速スーパーコンピューター(スパコン)の計算能力をはるかに超える「量子コンピューター」の実用化につながる微小な新物質を、自然科学研究機構・分子科学研究所(愛知県岡崎市)のチームが世界で初めて開発した。量子コンピューターの実用化を加速し、将来的に新たな医薬品や超電導物質の開発など、さまざまな分野への貢献が期待される。
分子研の大森賢治教授らが、米国物理学会の学術誌「フィジカル・レビュー・レターズ」で発表した。
分子研によると、新物質は、気体の原子を絶対零度(マイナス二七三度)に近い極低温に冷やし、金属状にした人工結晶。三万個の原子が格子状に並ぶ。特殊なレーザー光を照射したことで気体の原子が金属状となり、結晶内の原子を回る電子の動きを二万分の一ミリの精度で制御できるようにした。
現在のコンピューターは「0」か「1」かどちらかの状態しかないビットというスイッチをつないで計算する。一方、量子コンピューターは、量子状態の電子などが持つ「0」と「1」に同時になれるという特殊な性質を利用して複数の計算を並列に行うことができる。量子状態の電子などをどう制御するかがハード面の大きな課題となっており...
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