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(智彦)古山さんに曲を作って頂きたいんです。
私の属する陸軍の馬政課でこの度 映画を作ることになったんです。
「暁に祈る」という題名で 軍馬に対する世間の関心を高めるための作品です。
この映画の主題歌を是非古山さんにお願いしたいんです。
(裕一)はあ…。「露営の歌」は本当にすばらしい曲です。
古山さんが愛国歌謡の第一人者であることは誰もが認めるところです。そんな そんな…。
「暁に祈る」でも 是非その手腕を発揮して頂きたくお願いにあがりました!
あっ… いや もう お声をおかけ頂き本当にありがとうございます。
ちなみに あの…詞は もう出来ているんでしょうか?
あっ いや… 作詞家は現在選定中です。
あの… でしたら作詞家と歌い手をこちらで指定させてもらうことは可能でしょうか?
♪~
♪「泣いて 生まれて 響く命」
♪「きっと嬉しくて 笑っているんだ」
♪「僕らはきっと 出逢うでしょう」
♪「手を引き 背を押し 出逢うでしょう」
♪「きっといつか今日の日も意味を持って ほら」
♪「耳をすませば」
♪「星の見えない日々を 超えるたびに」
♪「互い照らすその意味を知るのでしょう」
♪「愛する人よ」
♪「親愛なる友よ」
♪「遠くまで 響くはエール」
(吟)陸軍の仕事に関われるなんてとっても名誉なことだわ。
裕一さん よかったわね。
(音)映画の主題歌は初めてだから楽しみ。
お姉ちゃん 化粧しとらんね。
今は お国の非常時よ。
着飾る暇があったらやるべきこと やらんと。
やるべきこと…。
例えば… 国防婦人会。
国防婦人会とは かっぽう着に たすき姿で出征兵士の見送りなどに参加していた戦争を支える女性団体です。
あんたんとこの分会長さんから聞いたわよ。 顔 出しとらんって。
いや~… まあね…。
今度の会合は必ず行きんよ。
最近は出征する人も多くてお見送りも大変なんだから。
何か 苦手なんだよね。班長さん 怖そうだし。
また そんな子どもみたいなこと言って。
(華)お母さんは子どもじゃないよ。
大人だよ。
えっ? あっ… えっと… それはね…。
華 あさり 下さいな。(華)はい どうぞ。
ありがとう。
どうぞ。ありがとう。フフッ。
華ちゃんは お利口さんだな~。ヘヘッ。
今 いくつでしたっけ?もうすぐ6歳です。
ああ… かわいい盛りだ。
(戸の開閉音)
古山さんちとは上手につきあってくれよ。彼は陸軍にとって大事な人材だ。
音楽教室って… のんきでいいわよね。
(鉄男)映画の主題歌?大将と久志と僕福島三羽ガラスで やらしてくれるって!
えっ… 本当か!?うん!
大将 久志は引き受けてくれたよ。どうする?
もちろん やるに決まってんだろ!あ~ よかった! 頑張ろうね!
ありがとな! よろしく頼む。こっちこそ。
…で これが資料。
「暁に祈る」。うん。
愛馬精神を啓蒙…。軍馬を題材にした映画なんだって。
馬か…。うん。あんまし縁ねえけどな。
大将ならできるよ! 頑張ろう!おう!うん。
(保)へえ~福島三羽ガラス ついに始動か。
はい。 今日も3人で打ち合わせですって。
(恵)音さんの方は どう?音楽教室 生徒さん集まった?
いや 全然。一人も?
一人も来ません。 無料なのに…。
もしかしたら それが原因だったりして。どういう意味ですか?
ほら… タダって何か怪しいじゃない?
何されるか分かんないって警戒されてるとか。
いやいや いやいや… 無料にしたのは私は教えるプロじゃないし空いた時間で 子どもたちと音楽を楽しめる時間があればいいなと思ったからで。
分かった! 私に任せて。
♪~
出来た! どうかしら? これ。
すっごい! 職人さんみたい。フフッ。
時々 頼まれて 新聞広告描いてたから。へえ~ 初めて聞いた。
これを あとは人の多い場所に貼って…。
あっ!
ご主人 ちょっといいですか?うん うん。
失礼します。 これ 見て下さい。
音楽教室?うん!
この教室の講師を務める古山 音さんは東京帝国音楽学校の声楽科出身でなんと あの「椿姫」の主役にまで選ばれるような実力の持ち主なんです。
へえ~!その音さんがじきじきに教えて下さるってこれ 結構すごいことですよ。
しかも お月謝なしですって。
子どもは国の宝 心豊かに育ってほしい。そのお手伝いができることは音楽家の使命だってそう おっしゃってます。
立派な先生なんだね~!(小声で)そんなこと言ってない…。
あの人 人気の団子屋さんのご主人なんだよ。
お店にチラシ貼ってもらえたら効果あるんじゃない?
なるほど。
すごく感謝されると思いますよ。店に貼っとくよ これ。
あっ ありがとうございます!
フフッ。(団子屋)立派な先生なんだね。
いらっしゃいませ。(恵)いらっしゃい。
(トキコ)あの… この音楽教室はどちらにあるんでしょうか?
はい! うちです! すぐそこです。
うちの息子通わせてみたいんですけれど…。
はい! 是非!
恵たちの協力によって生徒が続々と集まりついに 音の音楽教室が始まることになりました。
古山 音です。 どうぞ よろしく。
(シズ子)音先生 よろしくお願いします。(子どもたち)よろしくお願いします。
先生…。(せきばらい)
では早速 今日は「浜辺の歌」をみんなで合唱しましょう。
(子どもたち)はい!
華も一緒に歌おうよ。私はいい。
歌おうよ。いいの!
♪~
♪「あした浜辺を」
♪「さ迷えば」さん はい。
♪「あした浜辺を さ迷えば」
(笑い声)
(シズ子)ちょっとやめてよ。弘哉君 ひっどい音痴。
(笑い声)
大丈夫 大丈夫。 声はよく出てるから。今のところから もう一回。
はい。♪「あした浜辺を」
(笑い声)
大丈夫 大丈夫。 もう一回やろう。 ねっ?
音先生 さようなら。さようなら。 気を付けてね。
(子どもたち)さようなら~。さようなら。
難しかったね。ね~。
弘哉君 また来週ね。(弘哉)さよなら。
(佐智子)弘哉君。弘哉君 来週も来るよね?
こんなとこ 本当は来たくなかったんだ。
でも 母ちゃんが行ってみろってしつこく言うから。
そのうち 楽しくなるかもよ。
もういいよ。 笑われるだけだし。
そんなこと言わないでまた一緒にやろう? ねっ? 行こっ。
あれ? 鍵かかってる…。こんにちは。あっ こんにちは。
弘哉君のお母さんからも歌が苦手なことは聞いてたんだけど…。
まあ ほら初日だしさ 気長にやろう?
その前に やめちゃうかも。
いや 彼はね… やめないと思う。
どうして?うん? どうしてかな。
華は? 一緒にやったの? 今日。
私はいいの。
何度も誘ったんだけどね。
華 どうしてやらないの?
これにしよ。
(小声で)ねえ… 音楽 興味ないのかな?
まあ そのうちやりたくなる時が来るかもしれないし。
そうだね。 あ… ありがとう。
♪「風の音よ 雲のさまよ」
♪「よする波も かいの色も」
弘哉君 いいかげんにしてよ。きれいな歌が台なし!(澄子)本当よ!
こんなんじゃ歌ってても楽しくない。シズ子ちゃん…。
でも シズ子ちゃんだって少し音程 外れてたよ。
はあ? 私も音痴だって言うの?
2人とも けんかしないの。 ねっ?
もういいよ。えっ?
僕 もうやめます!
あっ 弘哉君!
弘哉君 ちょっといい?
はい。
あげる。
♪~(「浜辺の歌」)
すごい…。フフフ… 吹いてみる?
吹いてみる? ここ。
そうそう。
(ノックとドアが開く音)
私の上官の武田少佐です。
どうも。 こ… 古山裕一です。
初めまして。 村野鉄男です。
(武田)どうぞ お掛け下さい。
はい。失礼します。
では早速ですが…。はい。
こちらが 詞の原稿です。
♪~
軟弱ですな。