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町人Aは悪役令嬢をどうしても救いたい【完結保証】 作者:一色孝太郎
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第7話 町人Aは怪しげなお店で錬金術師となる

2020/08/15 ご指摘いただいた誤字を修正しました。ありがとうございました

2020/08/15 ご指摘いただいた鑑定結果の間違いを修正しました。ありがとうございました

コツコツとどぶさらいを続け、そして稽古に学校にせどりにと忙しい毎日を送り、俺はついに 11 才となった。


そんなある日、俺のギルド口座の貯金がついに 1,500 万セントに到達した。


こうして目標額の貯金を終えた俺はルールーストアへと向かった。店の場所については既に調べがついている。


ギルドから中央通りを通って繁華街を突っ切り、そしてそこから高等学園の方へと歩いて住宅街を抜ける。すると小さな商店街があり、そこから路地に入ると治安の悪い地区がある。


その地区の裏路地に地下へと続く暗い階段、ここがルールーストアへの入口だ。


もちろん、【隠密】スキルを使っているので絡まれる心配はない。


ルールーストアが開くのは午後 5 時から 7 時の 2 時間だけ。


俺は午後 5 時ぴったりに入口へとやってきた。


怪しい。


それが入り口を見ての最初の感想だ。


灯りのほとんどない裏路地。表通りからは見えないような位置にぽつりとある階段。階段の入り口にも降りた先にも灯りはなく、ここに店があるようにはとても思えない。


これはもう、怪しさ大爆発というやつだ。


とはいえ、進まなければ何も手に入らない。俺は意を決して階段を降りる。


階段は一度二か所の踊り場があり、最後まで降りると扉がある。


『ルールーストア』


(かす)れた看板にそう書かれているが、営業している雰囲気はない。


俺は意を決して【隠密】スキルを解除すると、ドアノッカーを叩く。


しばらくすると中から老婆の声が聞こえてきた。


「誰だい?」


俺はドアに対して【鑑定】スキルを使う。ルールーストアに入店するには符牒(ふちょう)が必要で、しかも毎日変わるのだ。そしてその正しい合言葉を答えなければ中に入ることはできない。ゲームの場合は勝手に進めてくれるので気になったことはないが、実際にこれをやるとなると中々に面倒くさい。


俺は【鑑定】スキルが返してきた言葉をそのまま答える。


「今日は東の森で兎が跳ねた。明日は南に移るがその前に食事にしたい」


ガチャ。


ドアの鍵が開けられたのでそのまま店内へと潜り込む。


ゲームで見たあのルールーストアがそこにはあった。


小さな六畳ほどの店内には所狭しと怪しげな品が置かれている。骸骨、トカゲの尻尾、本、乾燥した草花、何に使うのかさっぱりわからない品物ばかりだ。


そして奥のカウンターにはしわくちゃの老婆が座っている。


「いらっしゃい。何をお探しだい?」

「『錬金のスクロール』だ」


老婆の眉がピクリと動く。そして、くつくつとくぐもった笑い声をあげる。


「いいね。あんた気に入ったよ。1,400 万でどうだい?」

「ああ、それでいい」


老婆がニヤリと笑うと、ちょいとお待ち、と言いながら店の奥へと歩いていった。


そしてしばらくするとスクロールと小さな石を持って戻ってきた。


「こいつが『錬金のスクロール』だよ。こっちの魔石はゴブリンの魔石だ。サービスで 3 つ、つけておくよ」


俺はすかさず【鑑定】スキルを使ってスクロールを鑑定する。


────

名前:ただのスクロール

説明:錬金と書かれているスクロール。メモや習字など様々な用途に利用できる。

等級:普通コモン

価格:1,000 セント

────


俺は舌打ちをするとスクロールをつき返す。


「冗談はよせ。あるのか、ないのか、どっちだ?」


すると老婆は驚いた表情をし、そのあとニヤリと笑う。


「合格だよ。坊や、しっかり目利きが出来てるじゃないか。こっちが本物だよ」


そういってカウンターの下からスクロールを取り出す。


────

名前:錬金のスクロール

説明:【錬金】のスキルを習得できるスクロール。一度使うと消滅する。

等級:叙事詩エピック

価格:13,000,000 セント

────


今度は本物のようだ。ついでにサービスという魔石も鑑定してみる。


────

名前:ゴブリンの魔石(大)

説明:長く生きて大きくなったゴブリンの魔石

等級:非凡アンコモン

価格:30,000 セント

────


なるほど、こちらは嘘ではないらしい。スクロールが少し高いのは癪だが、予算内だ。これで良しとしよう。


「わかった。それでいい。支払いはギルドカードで頼む」


そうして俺はギルドカードで支払いを済ませるとスクロールと魔石を受け取る。


俺は店のカウンターでスクロールを広げると、そのまま右手をのせる。


スクロールが一瞬眩しく光り、そして次の瞬間には消える。

俺はギルドカードからステータスを確認する。


────

名前:アレン

ランク:G

年齢: 11

加護:

スキル:【隠密】【鑑定】【錬金】

居住地:ルールデン

所持金: 1,028,005

────


「確かに、錬金のスクロールだな」

「毎度あり」


老婆はそう言うとひひひ、と怪しく笑ったのだった。


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