サトリイヌの世の中ナナメ読み!

深川奇譚

2018年8月30日

秋の気配を感じる前に奇談をひとつ披露しておきたい。皆さんは「深川通り魔殺人事件」を憶えておいでだろうか?時は1981年6月17日午前11時半、東京都江東区深川の商店街で起きた殺傷事件である。被害は死亡者4名と負傷者2名。

40代以上の方なら 犯人の中年男が猿ぐつわをかまされ 警官に取り押さえられてる映像が記憶に残っているのではないだろうか?犯人のハゲた頭部、鮮明な白いブリーフに白いハイソックスというシュールな画像は見事に犯行の狂気を表していた。犯人である川俣軍司には7度の逮捕歴があり、この犯行の2ヶ月前に府中刑務所を出所したばかりであった。

「寿司職人になろうと、面接を受けたが断られ 腹が立った」というのが犯行の理由なのだが、被害者の主婦2名、児童、乳飲み子には当然 面識などなく、たまたまそこを歩いていて災難に遭遇したのだ。不運の2文字で片付けられるのは あまりにも忍びない。川俣軍司は覚醒剤を常用しており、彼が口走った「電波に操られた」という発言は この事件の異常性を一段と際立たせた。

ただ、ここまでなら「統合失調症」の病名で一応 説明がつく。この事件が怪奇の色合いを帯びるのはここからである。

ほぼ知られてないのだが川俣軍司の祖父は数十年前に ある人物に殺害されている。通り魔事件で加害者である川俣軍司。その祖父は 遠い昔、とある殺人事件の被害者だったわけである。殺人なので当然その事件には 犯人が存在する。その祖父を殺した犯人こそが、深川通り魔事件でたまたま殺された主婦の祖父だというのだ。殺人犯の孫が数十年の時を経て、殺した被害者の孫に1億分の4人の確率で刺殺されたのだ。

しかも その祖父同士の殺人事件があったのが「森下」という土地である。深川とは同じ江東区で 小名木川をはさんで隣接している。川俣軍司は元々は茨城出身であり、その地に引き寄せられた事実だけでも 不気味な因縁を感じる。因果応報という言葉すら陳腐に聞こえる奇妙な事件である。川俣軍司が口走った「電波に操られた」の電波というのは 祖父の怨霊だったのだろうか?

この記事をネットで拾って1週間になるのだが、この事件がまったく頭から離れない。実は私の身内にも一人、統合失調症の患者がいる。電波イコール怨霊説にはかすかに心当たりがあるのだ。

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