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admin が 2019/12/13(金) - 11:57 に投稿
 
 
 
 
 

#02

『化学グランプリ2019』
開催レポート

世界へ挑戦するのは誰だ!?

Challengingfortomorrow

 

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#02

『化学グランプリ2019』開催!
世界への挑戦するのは誰だ!?

2019年8月19日(月)・20日(火)、東京都八王子市にある工学院大学八王子キャンパスで、『化学グランプリ2019』の二次選考および表彰式が開催されました。今回は、一次試験を乗り越えた76人の中高生がさらなる難問に挑戦する姿や、表彰式の模様をお届けします。

ABOUT

REPORT

『化学グランプリ』とは?

『化学グランプリ』は、日本全国の高校生以下の学生の「化学の実力」を競い合うイベントとして1999年から行われています。まず筆記試験の一次選考が行われ、成績優秀者は合宿形式の二次選考に挑みます。その中から総合得点の上位5名が大賞に選ばれます。また、世界各国の高校生が化学の実力を競う『国際化学オリンピック』の代表候補の選定も兼ねています。

『化学グランプリ2019』は、全国から集まった3,983名の中から、一次選考を突破した76人の中高生が更なる高みを目指して二次選考の熱い戦いが繰り広げられました。二次選考の様子や表彰式の模様をお伝えします。

『化学グランプリ』の目的・魅力とは?

『化学グランプリ』は化学の普及と、日本人ならではの感性と考えを持つ、世界標準の科学者の育成を目的に行っています。日本の化学力は世界に比べて劣っており、最先端の研究をするためのベースが不足している状況です。そのため、『化学グランプリ』のような今後10年、20年先を見据えた裾野を広げる活動が重要です。また、参加した学生にとっては、知識だけでなくかけがえのないものが得られるよい機会になります。特に、同じ志を持つ仲間との出会いは、今後の大きな財産にもなるでしょう。

三好德和先生

徳島大学大学院教授
化学グランプリ・オリンピック委員会委員長

当大学で『化学グランプリ』が開催され、非常にうれしく思います。当大学の実験室は、実際にそこで実験を行う研究員たちがアイデアを出し合って設計したもので、他の最先端研究を行う大学に匹敵するものだと自負しております。中学生や高校生だと設備の整った施設で実験を行うことはなかなかないと思いますので、皆さんにとってこの二次選考が良い経験になるとうれしいです。

小林元康先生

工学院大学教授

SELECTION

二次選考の内容

二次選考は、実験を伴う記述式試験が行われました。問題は全部で4問あり、4時間の制限時間の中で実験を行い、その結果をレポートにまとめます。いかに正しく、合理的に実験を行い、実験の観察結果や考察を的確に記述できるかが問われます。

二次選考の模様

〔写真右〕一流の施設での実験。緊張しながらも一つ一つ問題をこなします。
〔写真左上〕白衣を着用するとまるで企業の研究員のような出で立ちです。

『化学グランプリ』の選考は、国際化学オリンピックの選抜試験であると同時に、高校などで学ぶ化学ではあまり扱われないような、私たちの身近なところに化学が用いられることに気付かせるような問題になっています。
2019年の一次選考では、水環境や半導体の基礎物性、イオン結晶、有機化合物の異性体に関する問題が出されました。高校で学ばない化学の知識なども扱われますが、問題文中に必ずその説明が含まれます。そのため、初めて見る知識であっても、説明文を読解し、自らの知識と統合して問題に取り組むことが必要です。

また、実験を行う二次選考では、2010年の日本の化学者のノーベル賞受賞理由になった有機合成反応の問題が出されました。二次選考でも読解力は必要ですが、更に丁寧な実験操作や得られたデータの適切な処理が求められます。参加した学生たちは、『化学グランプリ』に挑戦することで、幅広い興味・関心が得られたでしょう。

松本真哉先生

横浜国立大学大学院教授
化学グランプリ・オリンピック委員会普及広報小委員会委員長

試験に挑んだ学生たちの声

〔写真左〕黒瀬さん

難しく、4時間では時間が足りませんでした。ただ、どの問題も興味深くて、特に4問目の溶液の蛍光の色や蛍光波長を記入する問題は、起こる事象が目で確認できるので面白かったです。

黒瀬淳平さん(灘高校2年)

今回は「クロマトグラフィー」の問題でしたが、以前海外の研究者の方と同じような実験をしたことがあったのでタイムリーでした。うまく自分の知識を生かして解くことができたと思います。

福田ゆいさん(洛南高校3年)

SPEECH

交流会恒例の1分スピーチ!

二次選考終了後に参加者全員での交流会が行われました。この交流会は毎年実施されており、恒例となっているのが「一人1分スピーチ」です。学生たちは『化学グランプリ』の次回開催地の提案や自分の学校の自慢、また好きな実験・理論をPRして同志を求めるなど、思い思いのスピーチを行いました。

栄光学園高校から参加の森田亨さん(栄光学園高校3年)は、なんと中学2年時から5年連続での参加! 1分間スピーチでは、『化学グランプリ』に参加するともらえるオリジナル電卓を過去4回分披露しました(2018年度は電卓の配布がなし)。

「今回で5回目の参加ですが、初めて二次選考に進むことができました。挑戦5回目でようやく振り向いてもらえたと感動しています。昨年は電卓がなくて残念でしたが、今年は復活してうれしいですね。」

森田亨さん(栄光学園高校3年)

LABORATORY

TDK面白実験教室の模様

翌20日は、表彰式の前にTDKの技術者によるTDK面白実験教室が行われました。


技術・知財本部の菊池さんが登壇し、静電気が電化製品に与える影響や、静電気を抑制するTDKの「積層チップバリスタ」を紹介しました。積層チップバリスタは、皆さんが使っているスマートフォンなど身近な製品にも用いられているもの。非常に小さな製品ですが、静電気を抑えて電化製品を守っている、「なくてはならないもの」なのです。

イベントの後半では、菊池さんの「静電気に触れるのが怖い」という発言をきっかけに、学生たちが次々に静電気に触れるという展開に。弱くしているとはいえ、静電気発生装置に触れても「平気」という学生が多く、これには菊池研究員もびっくり。意外な展開でしたが、学生たちにとっては貴重な体験になりました。

〔写真〕菊池さん

私たちの製品や研究にはまだまだ課題が多くあります。「積層チップバリスタ」の場合、電圧が加わると抵抗値が非線形になる理由が明らかになっていません。また、添加物を加えた独自の酸化亜鉛系の材料を採用していますが、添加物を加えると静電気がカットできる理由も実は明らかではないのです。他にも、静電気発生装置を使った破壊実験のシミュレーションモデルもできていません。ぜひ今回の実験に参加した中高生の皆さんには、これら課題に取り組み、解決してもらいたいですね。

イベントに参加した学生たちの声

実は二次選考に参加するまで、TDKが電子部品メーカーだと知りませんでしたが、イベントはすごく面白かったです。静電気に触れてみましたが、確かに筋肉がピクピクする感じはしましたけど、痛くなかったですね(笑)。

西山拓希さん(一宮高校3年)

静電気が家電に大きな影響を与えたり、電子機器に抑制する装置が組み込まれたりしているのを学べたのは良かったです。特にあんなに小さなチップで静電気を制御しているのは驚きましたし、そうした製品を作る技術力もすごいなと思いました。

柴綾香さん(甲府南高校3年)

積層チップバリスタの性質がすごく面白いと思いました。あまり静電気については勉強したことがありませんでしたが、この機会に勉強してみるのもいいと思いましたね。

林璃菜子さん(南山高校1年)

AWARD

表彰式・各受賞者のコメント

いよいよ結果発表です! まずは大賞、金賞、銀賞、銅賞の受賞者が発表されました。

見事に上位5名に入り、大賞を受賞したのは辻田健樹さん(洛南高校2年)、川島功暉さん(大阪星光学院高校3年)、桜田晃太郎さん(海陽中等教育学校6年)、内藤成彬さん(徳島文理高校3年)、藤本達也さん(広島学院高等学校3年)。5人には表彰状のほかに、TDKから副賞が贈られました。

総合最高得点者に贈られる「日本化学会賞」は辻田健樹さんが受賞。日本化学会副会長の中村聡先生から、表彰状と副賞が授与されました。

〔大賞:受賞者のコメント〕

大賞だけでなく日本化学会賞も受賞できるなんて信じられないです。二次選考では回答に自信がないところが多々ありましたが、勘が冴えていたのかもしれません。それと一次選考で高得点が取れていたのも大きかったと思います。今後は来年トルコで行われる『国際化学オリンピック』出場を目標に、さらに知識を深めていきたいと思います。

辻田健樹さん(洛南高校2年)

〔先生のコメント〕

化学会が授与する最も権威のある賞が「日本化学会賞」です。今回お贈りした賞はさしずめそのジュニア版です。将来、もしシニアの日本化学会賞を受賞すれば、恐らく初めてのジュニアとシニアのダブル受賞者になれますので、ぜひ今後もその頭脳を化学界で生かし、精進してください。

中村聡先生

日本化学会副会長

2次選考で行われた実験試験の最高得点者に贈られる「TDK特別賞」は、後藤優奈さん(白陵高校2年)が受賞しました。後藤さんは昨年度の『国際化学オリンピック』の候補にも選ばれていましたが、今回も見事に優秀な成績を収めました。

〔TDK特別賞:受賞者のコメント〕

2次選考の実験は手応えがあったので「もしかしたら……」とは思いましたが、本当に受賞できてすごくうれしいです。これまでに実験したことのある問題が出たのがよかったですね。今後は、これまで行ったことのない実験や新しい分野の知識を深め、実力を高めていきたいと思います。

後藤優奈さん(白陵高校2年)

〔TDK:佐藤さんのコメント〕

企業では、学術的な研究をするのはもちろんですが、それ以上に手を動かすことが重要です。そのため、実験試験の最高得点者に特別賞を贈ることになりました。化学だけでなく、何事においても「自分から積極的に何かを得ようとする姿勢」が大事です。今回の『化学グランプリ』に参加した学生たちも、TDK主催のイベントで積極的に前に出てくるなど、好奇心の強さを垣間見ました。ぜひこれからもその好奇心の強さを武器に活躍してくれることを期待します。

佐藤 さん

TDK 技術・知財本部室長

「日本化学会賞」「TDK特別賞」のほかに、高校1年生以下の参加者の中で最も高得点だった小池佑弥さん(向陽高校1年)に「工学院大学長賞」が贈られました。来年度の活躍も期待ですね。

今回の化学グランプリ2019の上位入賞者から、来年トルコで行われる『国際化学オリンピック』の候補者が選出されます。候補者たちは強化合宿に参加し、その中から出場選手が選ばれます。世界トップレベルの学生が集結する場ですから、貴重な経験になることは間違いないでしょう。

国際化学オリンピックとは

1968年に始まった、高校生の化学の国際大会。1年に一度開催され、今では世界80の国と地域から約300人もの高校生が参加して開催されています。大会は10日間開かれ、それぞれ5時間に及ぶ実験課題と筆記問題が出題され、成績優秀者には金・銀・銅のメダルが授与されます。第51回の今年はフランス・パリで開催。2021年には日本(大阪)での開催が予定されています。

参加するには

日本の初参加は2003年。以来、毎年4人の代表生徒が参加して、好成績を収めています。

生徒は日本国内の「化学グランプリ」に参加して上位の成績を収めるか、推薦によって代表候補に。その後、筆記試験、選抜合宿で選考が行われ、代表生徒が決定します。厳しい門をくぐり抜けた、文字通りの精鋭たちです。

  • ⇒国際化学オリンピック
  • ⇒日本科学オリンピック委員会

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