それを端的に示すのが、9月より開始した「マイナポイント」の還元率だ。マイナポイントの還元額の上限は5000円だが、ドコモのd払いではそれに2500円を上乗せしている。他社が1000円とか多くても2000円としてることから、ドコモの還元率が最も高いというわけだ。
他にも、ドコモのd払いはメルカリと組んで20%のポイント還元率のキャンペーンを実施するなど、ここぞとばかりに攻勢をかけている。かつてのPayPayを彷彿とさせるような大盤振る舞いだが、本当に大丈夫なのかと心配になってくるほどだ。
それでいて筆者には、ドコモの提携相手がイマイチ弱いような気がしてならない。
ネットではアマゾンと組んでいるが、たとえばAmazon Payは使える店舗が数百店と言われており、ほとんど名前を聞かない状況。もう一つのパートナーであるメルカリも、双方のユーザー層がかなり異なることから、やはりミスマッチ感は否めない。
パートナーづくり以上に問題なのは、ドコモにはクレジットカードを推進する事業部はあっても、自前の銀行、つまりドコモ銀行がないことだ。前述したように、ソフトバンクにはジャパンネット銀行がある。
ジャパンネット銀行がPayPay銀行に変わることはすでに述べたが、auには「じぶん銀行」があり、これも「auじぶん銀行」に変わる予定だ。楽天にはあらためて言うまでもなく楽天銀行がある。
これらの銀行は、いずれも既存の金融機関としての銀行とは経営目的も形態も大きく異なるネット銀行だ。当然、ネット取引に特化しており、セキュリティ機能も充実している。その意味では、各グループの“門番”的役割を果たしていると言えるかもしれない。
一方、ドコモにはその門番として頼りになる自前の銀行が存在しない。では、なぜドコモは自前の銀行を持たなかったのだろうか。