対中国「人権より大局重視」=民主化弾圧も「温かく見守る」―天安門事件外交文書
1989年6月4日に中国共産党・政府が民主化運動を武力弾圧した天安門事件の直後、日本政府が今後の対中政策として「民主・人権」より「長期的、大局的見地」を重視する方針を打ち出していたことが分かった。このほど秘密指定を解除した外交文書に明記されていた。極秘扱いの別の外交文書は、西側諸国による対中共同制裁に反対し、日本として中国を「息長くかつできるだけ温かい目で見守っていく」と記しており、対中配慮姿勢が明確だった。
外務省が時事通信の開示請求に対し天安門事件外交文書ファイル9冊(計3123枚)を公開した。西側諸国が対中制裁を強化する中、日本政府はいち早く政府開発援助(ODA)再開に動いたが、当時の詳細な外交方針が判明したのは初めて。
事件5日後の6月9日、北京の日本大使館は外相宛ての大至急電報で、「諸外国の対中圧力」は「逆効果となり(中国は)ますますその対外態度を硬直化する危険がある」と指摘。「中国政府のせん動により、国民の間に排外思想が広がる可能性すら考えられる」と意見具申した。
同22日に作成された極秘文書「わが国の今後の対中政策」には、「わが国が有する価値観(民主・人権)」より「長期的、大局的見地」を重視し、中国の改革・開放政策を支持すべきだと明記。その上で「今次事態の衝撃がなるべく小さくなるよう対処」するとともに、「西側が一致して対中非難等を行うことにより中国を孤立化」することは「得策でない」と基本的考えを記していた。
6月26日にワシントンで行われた三塚博外相とベーカー米国務長官(共に当時)の会談に向けた「中国情勢―日米外相会談大臣発言要領」と題した極秘文書では、「我々は、過度に反応したり、いたずらに感情的になったりすることを避け」、「息長く」「温かい目」で中国側の状況を見守っていくと記載した。
外務省は6月21日、対中新規援助の延期などを記した極秘文書の中で「人道、人権上の問題をわが国の対中経協(経済協力)政策の基本政策そのものにこれを反映させることは、長期的な対中関係の見地から行き過ぎ」と指摘し、ODAと人権問題を絡ませない方針を示した。
◇天安門事件後の日本の対中外交
【1989年】
4月 胡耀邦前共産党総書記死去
6月 天安門事件
7月 仏アルシュサミットで「中国に関する宣言」
【1990年】
1月 戒厳令解除、対中円借款凍結解除へ中国側と協議
7月 海部首相、米ヒューストンサミットで対中円借款凍結解除の意向表明
【1991年】
8月 海部首相訪中
【1992年】
4月 江沢民総書記が来日
10月 天皇、皇后両陛下訪中
(肩書は当時)。
[時事通信社]
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