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昭和12年 日中戦争が勃発。
日本軍は中国内陸へ侵攻を開始。
おはようございます。(裕一)あっ おはようございます。
初めのうちは まだ国民の生活に大きな影響はありませんでしたが…。
ばんざ~い! ばんざ~い! ばんざ~い!
(華)何してるの?
あの人がねお国のために戦いに行くんだよ。
立派だね。
お父さんは行かないの?
まだ分からないな~。戦争 いつまで続くんだろうね?
(音)行きましょう。
・ばんざ~い! ばんざ~い!ばんざ~い!
♪~
♪「泣いて 生まれて 響く命」
♪「きっと嬉しくて 笑っているんだ」
♪「僕らはきっと 出逢うでしょう」
♪「手を引き 背を押し 出逢うでしょう」
♪「きっといつか今日の日も意味を持って ほら」
♪「耳をすませば」
♪「星の見えない日々を 超えるたびに」
♪「互い照らすその意味を知るのでしょう」
♪「愛する人よ」
♪「親愛なる友よ」
♪「遠くまで 響くはエール」
♪「朝も昼も夜もずっと そこにある」
♪「暗闇にほら響け 一番星」
♪「愛する人よ 親愛なる友よ」
♪「星影に響くはエール」
華ちゃんは 何を書いてるのかな~?
出来た!どれどれ?
うわ~! 華 上手だね~!
お母さんも見て!上手! もう漢字が書けるなんてすごいね。
すごい! すごいよ 華!
ただね ここのねとめと はらい よくしたらもっとメリハリつけて よくなるからね。
お父さんは いちいち細かいよね。えっ?
ね~。こ… 細かくないよね? もっと ほら…。
華 スイカ食べる?食べる!
じゃあ 手を洗って下さい。
よかったね。やった~!はい。
はあ…。
うん?
何?「露営の歌」。
へえ~ 公募で入選した歌詞だって。出征していく人のための歌だね これ。
へえ~。
家族残して戦争に行くっていうのはつらいことだね…。
そうね。 残された家族も心細いと思う。
お母さん 手 洗った。じゃあ 切ろっか。
やった!
はい 切りましょう。
♪~(鼻歌)うわ~ アハハ!
♪~(鼻歌)(華 音)スイカ スイカ スイカ!
(廿日市)牛島先生は?(杉山)空いていません。
何で誰もいないんだよ~こんな時に限って。
あっ… お疲れさまです。 廿日市さん。
あっ!あの 実はですね…。もう 君でいいや!
頼みたいことがあるんだけど。これ… えっ? はい?
大至急 作んなきゃいけない曲があるんだけど作曲家がつかまんないのよ~。あっ… 詞は出来てるんですか?
うん。 これ。
あっ! えっ?
これ…。(廿日市)えっ!? 何で?
いや… 新聞で見つけて 読んでたら自然とメロディーが湧いてきたんです。
君も やる気出してきてるじゃない!
今 音楽業界は…
時流に乗っかっていかないとね!
うん?
短調? 何で?
出征していく軍人さんのことを思ったら自然と こうなって。
もっと明るい方がいいよな~?いや あの…。
♪「雲わきあがる この朝」
明るいだろ?はい。これ いいと思います!
えっ? そう?
まあ B面だしな…。あっ!
時間もないしな~。はい!しかたない これでいくか。
あ~ ありがとうございます!あとは歌い手をどうするかだな…。
寅田熊次郎が空いています。嫌だ!
あとは… 研究生の佐藤久志。
いいと思います!
まあ いいか… B面だし。
国民の心を捉えたのは明るいA面の曲ではなく哀愁を帯びた短調のB面「露営の歌」でした。
(久志)♪「勝って来るぞと 勇ましく」
♪「誓って故郷を 出たからは」
♪「手柄たてずに 死なりょうか」
♪「進軍ラッパ 聴くたびに」
♪「瞼に浮かぶ 旗の波」
♪「土も草木も」
「露営の歌」は 出征する兵士の見送りに歌われるようになり爆発的な大ヒット。
この曲がきっかけとなり 裕一は時代の波にのみ込まれていくことになるのです。
どうも 奥さん ご無沙汰しています。これ つまらないものですが。
廿日市さん わざわざすみません。 どうぞ。お邪魔します。
今 呼んできますのでこちらで お待ち下さい。
どうも ありがとうございます。はい。
裕一さん!
あら? お嬢ちゃんかな?
かわいいでしゅね~。
お名前は何ていうんでちゅか~?お年は いくつでちゅか~?
ハハハ… 恥ずかしいのかな?
あ~ 廿日市さん こんにちは。あ~ これはこれは 先生。
どうした?どうぞ どうぞ 先生お座りになって お座りになって。
よいしょ。
実は先生…。はあ。
「露営の歌」 なんと… 50万枚突破です!
ご…。50万!?
えっ? そ… そんなにですか?いやいや… まだまだ伸びますよ。
未曽有の大ヒットです。
まあ古山先生は いずれ こうなると私 信じてましたけどね。 ハハハ…。
先生?あと 佐藤久志の抜擢も正解でした。
ああ…。これからはもう人気歌手の仲間入りですよ。
ありがとうございます。
あ~。
あ~ そうそう電話の架設は済みましたか?
あっ はい。 お昼に電話の方が。
そいつは よかった~。 今回は 私がいろいろと根回ししましたから。
ありがとうございます 本当に。ございます~。
これからも どんどん書いて頂きたいんでお願いしますよ。
はあ…。(廿日市)ハハハ…。フフフ…。
もしもし お姉ちゃん?
(吟)音! どうしたの?
レコード会社の人に電話つけてもらったんだけど電話持っとる人お姉ちゃんしか知らんかったから。
℡(吟)何だ そんなこと?
あっ! 見たわよ 新聞。裕一さんの名前 出とったね。
℡一躍 時の人じゃん。
暮らしは何も変わっとらんけどね。
あっ ごめん もうすぐ夕飯だから。 また。
すぐ支度しますね。(智彦)ああ… 音さんか?
裕一さんの会社の人が電話つけてくれたんですって。
妹の旦那様が有名人になるなんて世の中 何が起きるか分からないものよね。
(時計の時報)
かさ。さくら。
らっぱ。(子どもたち)1 2 1 2 1 2!
(音 華)こんにちは。(子どもたち)こんにちは!
1 2 1 2 1 2 1 2 1 2!
ただいま~!ただいま~。
お帰り~。
お二人さん… ちょっと こちらへ。
えっ?はい… はい…。
何 何?何?はい 入って入って 入って入って。
入って 入って…。あっ!うわっ!
ジャン!
わあ…!
えっ… どうしたの? これ。
音とね 華に贈りたかったの 何か。
「露営の歌」のね ヒット記念にさ何か… 何かできないかなと思ってさ。
家族みんなでさ楽しめるものがいいなって思って。
すてき~!あ~ よかった~!
ありがとう 裕一さん!よかった…。
お父さん ありがとう!あ~ どういたしまして。
弾いてもいい?もちろん!
せ~の。
♪「さいた さいた」おっ!
♪「チューリップの花が ならんだ」
こっち こっち!(恵)どこ どこ~?
うわ~! 本当だ オルガンだ!いいでしょう?
うん。 すごくすてき!
見て見て。(恵)うん。
♪~(オルガン)
う~ん! 上手!
すいません。 みんなに見せたいみたいで。
ううん。 オルガンが来たってことは音さんも そろそろ音楽再開?
う~ん…レッスン通いたいんですけどね華 まだ小さいしもう少しお預けかなって。
そっか。・こんにちは~!
はい。(3人)こんにちは 華ちゃん いますか?
こっち こっち!華ちゃん!
お邪魔します。お邪魔しま~す!
どうぞ。早く!
・♪~(オルガン)
♪「さいた さいた チューリップの花が」
♪「ならんだ ならんだ 赤 白 黄色」
♪「どの花見ても きれいだな」
お~ 上手~。(拍手)
お父さん お帰りなさい。うん! ただいま 華。
お帰りなさい。ただいま。 みんな 上手だね。
こんにちは。こんにちは。こんにちは。
はい こんにちは。楽しかった人~?
(3人)は~い!フフフ…。
裕一さん 私 いいこと思いついちゃった。何?
(鉄男)音楽教室?近所の子どもたち集めて歌 教えたいって。へえ~ いいじゃねえか。
子どもたちと歌ってる時本当に いい顔してたんだよ。
本当に歌 好きなんだな。音の夢 いつか絶対かなえてあげたいな。
できるよ。久志だって ちゃんと実現したし。
久志は? 最近 来てる?
いや… ここんとこ ご無沙汰だな。
今日も誘ったんだけどね録音 入ったって。
「露営の歌」以来 2人ともすっかり売れっ子だもんな。
大将だって頑張ってるよ。この間の曲 すごくよかったよ。
全然 売れねがったけどな。
まだまだ作詞だけじゃ食っていけねえ。
しばらくはおでん屋 続けることになりそうだ。
あっ… 久志が言ってたよ。
「人には それぞれ 花開くのに最適な時期があるもんさ」。
似てねえ。(笑い声)
来んのかね… そんな日が。
大将 お代わり!はいよ。
(時計の時報)
ただいま。お帰りなさ~い。
よし…。
えっ… 何をしてるの?
見て これ。 音楽教室のチラシ。
へえ~ いいね!でしょ?
それからね 教室で教える歌も考えたの。
「かたつむり」。
みんなが知ってる歌がいいと思うんだけどほかに いいのあるかな?
ちょっと見せて。
℡あ~ 「浜辺の歌」…。
はい 古山でございます。
音? 近いうちに そっち行ってもいい?
℡お姉ちゃん? 何ぃ?いつも突然押しかけてくるくせに。
裕一さんがいる日を教えてほしいの。
どうも。いらっしゃい。
本日は 古山さんにお話があって参りました!