AG03は、ヤマハから発売されている小型ミキサーです。オーディオインターフェイスとしても使えます。
どのような場面で使うのかというと、ゲーム実況のようにマイクの音質が重要なときです。
たとえば、
- マイクの「サーッ」というノイズが気になる
- マイクの音にリバーブ(エコー)をかけたい
というようなときです。
今回は、このAG03の使い方について詳しく見ていきましょう。Windows PCの使用を前提としています。
PS4にUSB接続して使う製品ではないので、注意してください。
目次 [非表示]
AG03は、どこが優れているの?
ライブ配信の定番
AG03は、多くの配信者が使っています。ライブ配信の定番製品と言っても過言ではありません。
PCマイクも使える
本格的なプロ用マイクはもちろん、PCマイクも接続できます。いままで使っていたヘッドセットも問題なく使えます。
- ヘッドセット(3.5mmミニプラグ)
- ダイナミックマイク
- コンデンサーマイク
リバーブはボタン一発
ライブ配信では、カラオケのようにマイクの音を響かせたいときがあるでしょう。たとえば、乾杯するシーンや、歌配信です。
こんなときはリバーブをかけましょう。本体のボタンを1回押すだけです。
手元のフェーダーでマイク音量をスッと調節
配信中、マイクの音を一瞬でミュートにしたい場面も多いはずです。たとえば、くしゃみや、親フラをイメージしてください。
すばやい操作が要求される場面ですが、AG03なら心配ありません。手元のフェーダーをスッと下げればよいのです。一瞬です。
自分の声を聞かない設定にできる
ゲーム実況のとき、かりに自分の声がヘッドホンから聞こえてくると違和感を覚えるでしょう。
このように「自分の声を聞きながらだとしゃべりづらい」という場合は、ミュートスイッチを押しましょう。筆者のお気に入りの機能です。
ループバック機能搭載
近年は使用する機会が多くないかもしれませんが、ループバック機能を搭載しています。
これはPCの音をライブ配信・録音できる機能です。ON/OFFは切り替えられるので、必要なときのみ使いましょう。
購入まえに確認しよう
AGシリーズについて
AG03の上位モデルとしてAG06があります。
両機種の比較を簡単にまとめました。AG06はマイクを同時に2本接続して使えますが、通常は価格の安いAG03でじゅうぶんです。
マイク入力数 | ステレオアウト | フェーダー | |
AG03 | 1系統 | × | スライド式 |
AG06 | 2系統 | ○ | 回転式 |
かつてはAG03-MIKUという製品もありました(生産終了)。この記事では同製品の画像を使っていますが、使い方はAG03と同じです。
付属品
USBケーブルが付属されています。あとでこれを使ってAG03とPCをUSB 2.0で接続しましょう。
また、Cubase AIという音楽制作ソフト(DAW)も付属されています。ライブ配信では使いませんが、必要であれば無料ダウンロードできます。
使う準備をしよう
ドライバーをインストールする
AG03をPCにつなげるまえに、ドライバーをインストールしましょう。これをやらないとAG03が動作しません。
- 公式サイトにアクセスする。
- 「Yamaha Steinberg USB Driver V2.0.3 for Windows 10/8.1/7」をダウンロードする。
- ZIPファイルを解凍し、「setup.exe」(「setup」)をダブルクリックする。
- 画面を順に進めていく。
- インストールが完了する。
USB 2.0で接続する
つぎに、AG03とPCを付属のUSBケーブルで接続します。ポイントは2つです。
- USB 3.0ではなく、USB 2.0に接続する
- USBハブは使わず、直接接続する
電源スイッチをON
忘れやすいところですが、必ず電源スイッチをONにしてください。白色に点灯します。
マイク、ヘッドホンを接続しよう
マイク、およびヘッドホンを接続します。
3.5mmミニプラグのヘッドセットであれば、「HEADSET」の部分に接続しましょう。もちろん、スタンドマイクでもかまいません。
ダイナミックマイク、およびコンデンサーマイクの場合は、コンボジャックに接続します。
また、コンデンサーマイクの場合にかぎり、「+48V」スイッチ(ファンタム電源)を押してください。そうしないとコンデンサーマイクが動作しません。
PCの音・マイクの音を聞いてみよう
PCの音を聞く
まず、Windowsのサウンド設定の画面を開き、「ライン (AG06/AG03)」が選択されていることを確認します。
▲この画面を開くには、デスクトップ画面の右下にあるスピーカーアイコンを右クリックし、「サウンドの設定を開く」をクリックします。
つぎに、レベルツマミでPCの音の大きさを調節します。12~3時の位置にしておきましょう。
PCで音楽または動画を再生し、音が聞こえることを確認してください。ヘッドホンツマミで自由に音量調整してかまいません。たとえば、「ゲームは大音量でプレイしたい」というときは、このツマミを右に回します。
マイクの音を聞く
つぎはマイクの音の確認です。フェーダーを太線よりも上の位置に合わせ、なおかつ「GAIN」ツマミを12時の位置に合わせます。
マイクに向かって声を入れてください。「SIG」が緑色に点灯すれば成功です。
自分の声がヘッドホンから聞こえるのを解除したい場合は、「MONITOR MUTE」スイッチをONにします。好みでON/OFF切り替えましょう。ライブ配信・録音には影響しません。
マイク音量を調節しよう
フェーダー
フェーダーは、通常は太線より上の位置にしておきます。
もしマイクの音をミュートにしたい場合は、このフェードをいちばん下にしてください。ライブ配信で重宝します。
「GAIN」ツマミ
「GAIN」ツマミは、12時の位置を基準にし、マイク音が小さい場合は少しずつ大きくしていきましょう。
マイク音量が適切かどうかは、本体右側のレベルメーターで判断できます。大きな音を入れたときに、「PEAK」が一瞬点灯するくらいが適切です。
なお、本体「左側」の「PEAK」が点灯したときは音割れしています。
マイク関連の機能を使いこなそう
自分の声をモニタリングしない
「MONITOR MUTE」スイッチをONにすることで、自分の声をヘッドホンから出さないようにできます。
あくまでも一般論ですが、以下のようなケースでは同スイッチをONにする(ミュートにする)ことが多いでしょう。
- ゲーム実況
- Discord、Skypeでの通話
しかし、歌声を入れたいときなどは、逆に同スイッチをOFFにするとよいかもしれません。自分の声を聞きながらのほうが歌いやすくなります。
リバーブ(エコー)をかける
「EFFECT」ボタンを押せば、リバーブをかけることができます。カラオケでいうところのエコーです。
もしリバーブの設定を細かく行いたい場合は、AG DSP Controllerをインストールしましょう。公式サイトでダウンロードできます。
コンプレッサーをかける
コンプレッサーは、大きい音と小さい音の音量差を少なくし、音量をそろえる機能です。「COM/EQ」ボタンを押せばONになります。
意味がよくわからない場合は、ONにする必要はありません。これもリバーブと同様、AG DSP Controllerをインストールすることで細かな調節ができます。
ライブ配信・録画用に設定しよう
「TO PC」スライドスイッチに注意
イメージしづらいかもしれませんが、「TO PC」スライドスイッチはどのような音をPCへ出力するのかを決める機能です。
ゲーム実況では、「INPUT MIX」または「LOOPBACK」にしておきましょう。必要に応じて切り替えます。
説明 | |
DRY CH1-2G | 各チャンネルの素の音をPCへ送る |
INPUT MIX | マイクの音をPCへ送る |
LOOPBACK | PCの音とマイクの音を本体でミックスし、PCへ送る |
ここでの設定によっては、以下のようなことが起こりえます。注意してください。
- マイクの音が左からしか聞こえない
- マイクの音にリバーブがからない状態でライブ配信・録音される
- マイクの音が入らない
- PCの音が二重になる
OBS Studio
OBS Studioの場合の設定例です。
- 「TO PC」スライドスイッチを「INPUT MIX」にする。
- 「設定」→「音声」を開く。
- 「デスクトップ音声」で「既定」を選択する。
- 「マイク音声」で「ライン(AG06/AG03)」を選択する。
Bandicam
Bandicamの場合の設定例です。
- 「TO PC」スライドスイッチを「INPUT MIX」にする。
- 「ビデオ」→「詳細設定」→「音声」タブを開く。
- 「基本オーディオデバイス」で「(既定のデバイス)」を選択する。
- 「追加オーディオデバイス」で「AG06/AG03」を選択する。
- 「2つのオーディオデバイスの音声をひとつのトラックにミックスする」にチェックを入れる。
▲「追加オーディオデバイス」に「AG06/AG03」が2個表示されますが、下のを選んでください。上のを選ぶとPCの音が二重になるうえに、マイクの音を録音できません。
ShadowPlay
ShadowPlayの場合の設定例です。
- 「TO PC」スライドスイッチを「INPUT MIX」にする。
- マイクの設定画面を開く。
- 「マイク」で「AG06/AG03」を選択する。
- 「1つのトラックを作成する」が選択されていることを確認する。
まとめ
AG03は、とても優秀な製品です。
- 初心者にわかりやすい操作方法
- ライブ配信との相性のよさ
- リーズナブルな価格で音質アップ
発売当初から筆者はAG03を推してきました。この価格でこの使いやすさという点を考えると、唯一無二の製品だからです。
重要な操作は4つだけです。
もしあなたがライブ配信を始めようとしていて、なんとなくオーディオ機器に興味があるなら、AG03をいちばん最初に購入候補にしてください。
安心のヤマハです。
質問・コメント
discordで友達とFPSをしようと思ったのですが
AG03の「HEADSET」にヘッドホンとマイクのところにさしてやっているのですがpcの音が相手にも聞こえるらしいんです。聞こえなくするにはAG03の所をいじればいいのでしょうか?
それともパソコン本体の設定でしょうか?
パソコンもAG03も初心者なのでご教授お願いします
状況がよくわからないのですが、ライブ配信でしょうか?
それとも、2人で同じPCゲームをやりつつ、Discordで会話する感じでしょうか。
AG03の「TO PC」スライドスイッチを「INPUT MIX」にします。
Discordの設定画面(歯車→「音声・ビデオ」)を開き、
「入力デバイス」を「ライン(AG06/AG03)」にします。
また、もしヘッドホンから通話相手の声を出しつつ、ゲーム音をモニターから
出しているのであれば、既定の再生デバイスを変更し、
ヘッドホンからゲーム音(と通話相手の声)を出すように設定します。
https://vip-jikkyo.net/microphone-test#output
AG03のヘッドセット出力部分に何種類かのヘッドホンやiPhone3.5mmイヤホンを刺したのですが、電源接続のみの状態でもホワイトノイズが聞こえてきます。
コンデンサマイクを接続し、モニターミュートを解除すると更に大きく聞こえます。
しかし、実際の録音には影響ないらしく、ホワイトノイズは乗らずに(きこえていないだけ?)録音できています。
出力だけ壊れてしまっているのでしょうか?それともこうゆうものだと思いますか?
そういうものだと思います。
レベルツマミとヘッドホンツマミを最小にしても、
「サーッ」というノイズが多少聞こえます。
たしかに録音・配信には問題ないです。
PC音源のカラオケで、PCとスピーカーの間にAG03を入れ マイク入力する事可能ですか。
PC⇒ AG03 ⇒スピーカー
⇑
マイク入力
PCの音をAG03を通してスピーカーで再生することは可能です。
AG03の右上にある端子とスピーカーをつなげればよいので。
ただ、USBスピーカーは接続できません。
また、スピーカーから出ている音をマイクで拾うと
ハウリングが起きて「キーン」という音が出たり、
PCの音が響いたような状態になることがあります。
ですので、基本的にはヘッドホンなりイヤホンなりを
使う必要があります。