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富山新聞

見学会に向けて準備を進める関係者=材木公民館

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金沢・旧材木町小校舎、解体前に別れ 27日、最後の見学会

2020/09/19 01:16

 10月に解体される金沢市旧材木町小校舎の最後の見学会が今月27日に開かれる。材木公民館が卒業生や地域住民に校舎内を見て回ることで、思い出を振り返ってもらおうと企画。明治から昭和にかけて使われた教科書や当時の写真のパネルを展示、来校者がフィナーレに校歌を合唱し、143年の歴史を誇る学校に別れを告げる。

 

 同校は1873(明治6)年に私立椿原小として創立され、89年に市尋常科材木町小となった。2016年に旧味噌蔵町小と統合して兼六小となり、143年の歴史に幕を閉じた。

 

 現在の鉄筋コンクリート造り3階建て校舎は、1956(昭和31)年に前の木造校舎が火災で全焼したことから、58年に新築された。火災発生当時、同校3年だった本田信治さん(73)は「辺りの空全体が真っ赤っかでおとろしかった。火が消えた後はグラウンドがでこぼこになっとったわ」と振り返る。

 

 耐震基準を満たしていない校舎は、プールとともに解体されることが決まり、耐震化されている体育館は地域の避難所として残り、2階に資料が収蔵される。

 

 見学会は卒業生から「解体する前に懐かしの校舎の中を一目見たい」という電話が寄せられたため、材木公民館が企画した。17日に開かれた同公民館の定例会議では、校舎1~3階と屋上を見学し、体育館1階で思い出の品を展示することが決まった。

 

 閉校するまで同校では、毎年恒例の夏祭りが催され、住民が盆踊りや肝試しを楽しんでいた。夜の校舎内を3~4人のグループで探検した思い出は、今でも記憶に深く刻まれている卒業生が多いという。教員や住民が、お化け役として行事に協力するなど地域とのつながりが強い学校だった。

 

 同校最後の校長となった勝田敬子さん(60)=東山1丁目=は「校舎の窓から中庭や卯辰山を見て、四季折々の風景や情緒深い街並みを思い出す人も多いと思う。それぞれのお気に入りの場所を巡ってほしい」と話した。見学会は午前10時から開かれる。