あんまり幸福じゃないのでで、友原章典先生という先生の『実践幸福学:科学はいかに「幸せ」を証明するか』っていう本よんでたら(良い本なので読みましょう)、年寄になったら昔話をすると幸せになるって書いてたのでやりましょう。
まあ加藤の論文をきっかけに、2000年代のことを思い出してたんですが、やはり印象強いのは、フェミニズムとかジェンダー論とかってものが、学問的におかしいんじゃないかと思いはじめたころのきっかけですね。2000年代にはいって今働いている会社に就職して、事情から「ジェンダー論」みたいなものを担当しなければならなくなり、それなりに勉強したんですよ。そしたら、どれ読んでもなんかへんな感じがするわけです。何読んでも出典がはっきりしなかったり、怪しげなことが書いてあったり、今では(2000年当時としても)おかしげなことが大手振るって説明されているわけです。そのなかで出会ったのが「ミードの表」問題。これは文献を調査しながらはてなブログで連載したんですが、今読んでも読者にはよくわからなくなっているので、簡単に昔話したいと思います。ジェンダー論読んでたら、マーガレット・ミードのSex and Temperament あたりの話について、同じような表が掲載されていることに気づいたんですよ。
みんな同じような表を貼ってるんだけど、どれもこれも同じようでなんかおかしい。そしてそれを読むと、なんか孫引きを繰り返しているように見えるし、途中でいろいろ変わってるし、この人々は学者としてやばいな、って思いました。
簡単に問題を整理すると、Mead (1935) Sex and Temperamentから、村田 (1987)で作成された表を、井上(1989)が引用し、それを伊藤(1996)が縦横変換して誤植を入れ、それを伊田(2004)がさらに伊藤の名を出さずにパクリ、別の本の出典を加えてる、感じですか。村田1987(初版は1979)はごく初歩的な発達心理学の教科書であり、ジェンダー論の基礎文献につかえるようなものではありません。
私がこの一連の表を調査して発見したのは、ここらへんの人はマーガレット・ミードの本(Sex and Temperament)をほとんど読まないままに、仲間内かなにかで表だけ真似しあっているのかもしれない(推測)、ということでした。
こういう人々の言うことは信頼できない、とそのとき確信したのです。伊田先生は男性フェミニストということで一時期脚光を浴びて話題になってましたが、影が薄くなりましたね。伊藤先生はその後も第一人者として活躍していますが、色々変なことを言っていて私はまったく信頼していません。
伊藤公雄『男性学入門』(2005)
男性学入門
- 公雄, 伊藤
- 価格¥1,340(2020/08/29 17:39時点)
- 出版日1996/08/01
- 商品ランキング327,306位
- 単行本366ページ
- ISBN-104878932589
- ISBN-139784878932588
- 出版社作品社
伊田広行『はじめて学ぶジェンダー論』2004
はじめて学ぶジェンダー論
- 広行, 伊田
- 価格¥2,090(2020/08/29 17:39時点)
- 出版日2004/03/01
- 商品ランキング731,396位
- 単行本223ページ
- ISBN-104272350188
- ISBN-139784272350186
- 出版社大月書店
『ジェンダーというメガネ』(2003)
Ferris Books (3) ジェンダーというメガネ―やさしい女性学
- 諸橋 泰樹
- 価格¥770(2020/08/29 17:39時点)
- 出版日2003/03/01
- 商品ランキング878,986位
- 新書202ページ
- ISBN-104901713027
- ISBN-139784901713023
- 出版社フェリス女学院大学
出典は「マーガレット・ミード「男性と女性」 1935」
「アラペッシュ」「ムンドグモール」「チャンブリ」
井上知子他『生き方としての女性論』(1989)
生き方としての女性論
- 知子, 井上
- 価格¥47(2020/08/29 17:39時点)
- 出版日1989/08/01
- 商品ランキング2,369,779位
- 単行本301ページ
- ISBN-104782301375
- ISBN-139784782301371
- 出版社嵯峨野書院
村田孝次 『教養の心理学』4訂版、培風館、1987
教養の心理学
- 村田 孝次
- 価格¥2,310(2020/08/29 17:39時点)
- 出版日1987/09/01
- 商品ランキング852,270位
- 単行本206ページ
- ISBN-104563055603
- ISBN-139784563055608
- 出版社培風館
自称「フェミニストを信頼していない」