航空機用一定周波数発電装置「T-IDG®」を新開発
2006年11月14日
川崎重工は神鋼電機と共同で、世界で初めて大型航空機にトラクションドライブ※1無段変速機を適用した一定周波数発電装置「T-IDG®(Traction Drive IDG)」※2を新開発しました。 IDG(Integrated Drive Generator)とは、航空機の主電源供給装置で、発電機(交流)と、発電機を一定回転数で駆動する定速駆動機構を組み合わせ一体化したもので、ジェットエンジンに搭載・駆動されます。この定速駆動機構の働きにより、航空機はエンジン回転数に拘わらず一定周波数の安定した電力を得ることが可能になります。 当社が新開発した「T-IDG®」は、定速駆動機構として従来用いられてきた油圧式無段変速機に替わり、高速トラクションドライブ無段変速機を大型航空機用に初めて適用したもので、従来型に比べ大幅な効率・耐久性を向上するとともに、高い制御性により良好な電源品質を実現し、航空機の燃費・信頼性向上に大きく貢献できます。「T-IDG®」の開発において、当社はトラクションドライブ無段変速機とIDG全体のとりまとめを、神鋼電機は発電機および発電機の制御部分について担当しました。 「T-IDG®」に適用したトラクションドライブ無段変速機は「ハーフトロイダル型」と称されるもので、向かい合った富士山型ディスクに挟まれたローラーの角度を変えることで無段階に速度制御することができます。当社は、トラクションドライブ無段変速機を航空機に適用するに当たり、次の技術開発により実用化に成功しました。
新開発の「T-IDG®」では、変動するエンジンからの駆動回転数(約5,000~10,000rpm)をトラクションドライブ無段変速機で調速し、発電機を一定速度で回転させることにより、常に一定周波数(400Hz)の交流電力を航空機に供給します。今般開発した「T-IDG®」の発電容量は90kVAであり、今後は250kVAまで大容量化が可能です。 当社は、今後「T-IDG®」を世界の航空機に適用すべく製品化を図っていく予定です。
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