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(五郎)お世話になりました!
(華の泣き声)
(音)もう泣かない もう泣かないよ。もう泣かない。
(華)五郎ちゃん…。
回想 (五郎)ほら その顔。子どもが怖がっちゃいます。もっと… 自分を好きになって下さ
い。居場所なんて どこにもない。
♪~
♪「泣いて 生まれて 響く命」
♪「きっと嬉しくて 笑っているんだ」
♪「僕らはきっと 出逢うでしょう」
♪「手を引き 背を押し 出逢うでしょう」
♪「きっといつか今日の日も意味を持って ほら」
♪「耳をすませば」
♪「星の見えない日々を 超えるたびに」
♪「互い照らすその意味を知るのでしょう」
♪「愛する人よ」
♪「親愛なる友よ」
♪「遠くまで 響くはエール」
梅と幸 文子の対談の日が来ました。
分かりました。よろしくお願いします。
(文子)どうも。あ~ 先生 どうぞ こちらにお掛け下さい。
それでは 幸 文子先生と関内 梅さんの対談を始めます。
(梅)よろしくお願いします。よろしく。
幸先生は 関内さんの受賞作どうお読みになりました?
透明感があって 郷愁をいざなうすてきな作品だと思いました。
ただ…人間描写としてはもう少し深くてもと感じました。
関内さんは先生の最新作 お読みになりました?
読みました。 すばらしい作品です。勉強になりました。
フッ… 偽善者。
あっ… え~っと… 関内さん。はい。
現在 2作目を執筆中と伺いましたが今後のご展望は?
私は 豊橋に帰ります。えっ?
せっかく受賞なさったのに…。
豊橋は 私の全てが詰まった場所です。
家族や友人との思い出 潮騒 馬の足音。
豊橋が いかに大切な場所か離れて初めて気付かされました。
それから… 私には掛けがえのない人ができました。
彼は居場所を探しています。
私が その居場所になりたい。
自分らしくいられる豊橋にその人と帰ります。
ああ… バカバカしい。
私 帰ります。あっ いや 先生 あの…。
結ちゃん!
何?
結ちゃんは どうして本を書くの?
くだらない… 本当にくだらない!
何なの? あんた。
やっと勝てたと思ったのにまた追いついてきて。
今度は勝手に逃げる? 何なの?
私の人生に付きまとわないでよ!目障りなのよ!
…っていう怒りかな 書く理由は。
うん… 分かった。 ありがとう。
あのさ…。
この世には何もしなくても注目される人間がいるの。
それが あなた。
あなたは最初から何でも持ってる。
不公平だと思わない?
私は… ずっと あなたに嫉妬してた。
私に?
うん… あなたに。
(裕一)えっ? 五郎君なの!?
そう。えっ…。そうそう!
久志 五郎君に負けたってこと?そう!
この世には信じられないことが起こるもんだね!
梅は 五郎ちゃんを豊橋に連れて帰りたいらしいの。
(小声で)そうなんだ!
裕一さん 五郎ちゃんがどこに行ったか分かる?
いや… う~ん それは あの…。
お父さん 頼りにならないね~。
ごめんなさい。
五郎さん?
五郎さ~ん!
(物音)
五郎!
あなたは 私のことが好きですか?
好きです。
だったら どうしてあなたは逃げたんですか?
僕は…先生や梅さんのような才能がありません。
何もない人間なんです。
梅さんには… ふさわしくない。
私は あなたを必要としています!
信じられません。
信じろ!
豊橋 私と行こう。
ねっ?
はい。
いや~ 本当によかったね。心配おかけしてすみません。
五郎ちゃん 義弟になるんだね。
五郎叔父さんと梅叔母さん。
…じゃなくて 梅おねえさん。
何? 梅に言われたの?
当たり前でしょう。この年で「おばさん」はきついわ。
あ~ 仕事を見つけないとね 五郎君。僕が言うのもね… あれだけど。
その件については…。うん。
帰ってお母さんに話すつもりなんだけど…。
まさか 五郎君を関内家の跡継ぎにする計画だったとはね~。
梅ちゃんも抜け目ない。ねっ。 結婚の条件まで考えてるとは。
岩城さんに 一人前の職人として認めてもらえたら 結婚します。
ふ~ん…。
頑張ります!フフッ… うんうん。
五郎ちゃん 知ってる?うちの馬具職人の岩城さん…かなり怖いよ。
えっ!?怖いよ かなりね。
ええっ!?
何だかんだあの子が一番しっかりしてるわ。
まあ これで一安心。
五郎ちゃん 梅 結婚おめでとう。うん おめでとう。
2人とも ちょっと気が早いんじゃない?
まずは 一人前の馬具職人になれるように頑張っから。
馬 得意だもんね。
ヒヒ~ン!いろいろありましたが梅と五郎は 2人で新たな道を歩んでいくことになりました。
そして ここに 未練がましい男が一人。
(鉄男)さあ どこの酒でしょうか?
始め!
(久志)越山暖梅!
六海山!
当たり~! 五郎の勝ち~!
よしっ!
梅ちゃんのことは君に任した。
必ず幸せにしろよ。
はい!
よし… ほら行け!
ありがとうございました!
頑張れよ!はい!
しみるな…。
ほら飲め。 今日は とことん飲むぞ。
五郎という よき理解者を得て梅の執筆活動は順調に進みました。
そして 5日後 五郎と梅は豊橋に旅立ちました。
♪~
何か… 静かだね。うん… ねっ。
五郎君が置いてった。
ふ~ん。
いい曲だね。うん。 よ~く書けてるよ。
誰のまねでもない。
才能って何だろうね~?ね~。
あっ… お母さんに言ってるんだよね?うん。 手紙書いた。
よかった。
配達が遅れて音の手紙は まだ届いていませんでした。
(岩城)本当に梅さんまで東京に やっちゃってもいいんですか?
(光子)ええ。 やっと夢がかなったんですもの。
応援するのが親の役目でしょう。
・郵便で~す!は~い!
ご苦労さまです。どうも~。
音から?
「前略 突然ですが お母さんに報告しなければならないことがあります」。
梅が帰ってくる!
えっ!?
ただいま。えっ?
失礼します!
初めまして 婚約者の田ノ上五郎です!
男連れですかん…。
さあ どうぞ 上がって。
失礼します。
こうして関内家の新しい生活が始まりました。
荷物全部… ねえ もう…。
梅の2作目は無事に出版され全国に販売されました。
(岩城)もういっぺん。(五郎)はい!
そいじゃ いかん。
削った面が波打っちゃっとるだら。
おんなじ角度と厚さで削れるようにならんといかんわ。
すみません。
まさか このあと五郎が一人前と認められるまでう~ん年かかるとは誰も思っていませんでした。