今回は旭光学(ペンタックス)のPENTAX METER2の修理をご紹介します。

お客様が整備中にメーター調整ネジを回してしまい、ネジが取れてしまったとの事でお預かりしました。
PENTAX METER2は、SP以前のSVやS2等の露出計を内蔵していないカメラのペンタプリズム部の上に装着して使用する専用露出計です。
お預かりした物は塗装が縮緬ではないので2型でも後期の物ではないでしょうか。(ちなみに1型は丸みを帯びたデザインです)
さて、早速蓋を開けてみます。

一見状態は良さげに見えます。
メカ部分は全く問題なしです。
それに対して電気系統は・・・・

抵抗生きてますが、緑青に包まれています。
スイッチ部も上物を外すとこの通り。

劣化した配線は測定器には禁物です。何本かの配線は新しい線に交換しました。
問題のメーター調整部ですが、ボディの一番下にあるためメーターを取り外す必要があります。
メーターは筒状のボディシェルにすっぽり治まっています。
抜け止めのくさびのように打ち込まれたラグ端子を引き抜きメーターを取り出しました。

0調整のU時型の部分が広がってしまっています。
動きも何処か引っかかるような感じです。
部品があれば交換したいところですが、ありませんので、何とかこれを生かして整備を行います。
左の調整ネジとワッシャがメーターと供に送られてきて物で、これが外れてしまった訳です。

右の部品はそれと対になるメーター調整部品。
ここはネジ止め後、半田でゆるみ止めしてあったはずなのですが、腐食でゆるみ止めの半田が弱くなっていたのかも知れません。
元通りに組上げて、抵抗値を調整して完了です。

私のSVに搭載してみました。

メーターダイヤルとの接合部です。

PENTAX METER2
発売:1960年代前半(旭光学)
形式:PENTAX Sシリーズ専用外付け露出計(シャッターダイヤル連動)
露出計:CDS使用、反射光式、平均測光
電池:水銀電池1.35V
今回はRICOH CX-1で完成写真を撮影しましたが、コンデジで物撮りは難しいですね。
次は絞りをコントロール出来るカメラが欲しいです。
CX-1は最小絞り固定はあるのですが画像が目に見えて甘くなります。
お客様が整備中にメーター調整ネジを回してしまい、ネジが取れてしまったとの事でお預かりしました。
PENTAX METER2は、SP以前のSVやS2等の露出計を内蔵していないカメラのペンタプリズム部の上に装着して使用する専用露出計です。
お預かりした物は塗装が縮緬ではないので2型でも後期の物ではないでしょうか。(ちなみに1型は丸みを帯びたデザインです)
さて、早速蓋を開けてみます。
一見状態は良さげに見えます。
メカ部分は全く問題なしです。
それに対して電気系統は・・・・
抵抗生きてますが、緑青に包まれています。
スイッチ部も上物を外すとこの通り。
劣化した配線は測定器には禁物です。何本かの配線は新しい線に交換しました。
問題のメーター調整部ですが、ボディの一番下にあるためメーターを取り外す必要があります。
メーターは筒状のボディシェルにすっぽり治まっています。
抜け止めのくさびのように打ち込まれたラグ端子を引き抜きメーターを取り出しました。
0調整のU時型の部分が広がってしまっています。
動きも何処か引っかかるような感じです。
部品があれば交換したいところですが、ありませんので、何とかこれを生かして整備を行います。
左の調整ネジとワッシャがメーターと供に送られてきて物で、これが外れてしまった訳です。
右の部品はそれと対になるメーター調整部品。
ここはネジ止め後、半田でゆるみ止めしてあったはずなのですが、腐食でゆるみ止めの半田が弱くなっていたのかも知れません。
元通りに組上げて、抵抗値を調整して完了です。
私のSVに搭載してみました。
メーターダイヤルとの接合部です。
PENTAX METER2
発売:1960年代前半(旭光学)
形式:PENTAX Sシリーズ専用外付け露出計(シャッターダイヤル連動)
露出計:CDS使用、反射光式、平均測光
電池:水銀電池1.35V
今回はRICOH CX-1で完成写真を撮影しましたが、コンデジで物撮りは難しいですね。
次は絞りをコントロール出来るカメラが欲しいです。
CX-1は最小絞り固定はあるのですが画像が目に見えて甘くなります。
2011.08.12 / Top↑
千代田光学精工 minolta SR-1修理の続きです。

前回で一通りの修理と整備を終え、納品前の最終チェックもまもなく終わりに近づいたときに事は起きました。
巻き上げ時に突然手応えがなくなったのです。
やーな気持ちで既に貼ってある貼り革を剥がし前板を外してシャッターユニットを取り出してみると、
見事?にシャッター後幕が真っ二つに・・・・ん~Exaktaに続いてこれもか
このシャッター幕には空気抜きと思われる穴が開いているのですが、あたかもそこが切り取り線であるかのように切れておりました。

写真は元の幕位置を記録するためにテープで仮止めしてあります。
すぐに依頼人様に連絡し、シャッター幕を2枚とも張り替える事に。
貼り換えやすい3型だったのは不幸中の幸いでした。
各部の幕位置を記録します。

シャッター幕には幾つか種類があるのですが、このカメラの物は両面絹引きのものでした。
幸い在庫がありましたので早速幕を張り替えて、シャッターを調整して試験のやり直しとなりました。
このカメラ、所々遮光が甘いところがありモルトで塞いであげる必要があります。

う~ん2台整備したのと同じかも。
レンズ整備(AUTO ROKKOR-PF 1:1.8 f=55mm)
レンズは若干のカビと、絞りの粘りがあります。

展開するとこんなかんじ
レンズと絞りのユニットは一かたまりです。

後玉だけに若干カビが生えていましたので除去しました。
レンズを取り外し、絞りを洗浄しました。

年式の割にはレンズの状態は良好でした。
修理が完了したSR-1

後ろ姿、エレガントです。

このカメラまだまだ使えますよ。
minolta SR-1(3型)
発売:1962年(千代田光学精工)
型式:フォーカルプレーンシャッター式一眼レフ
シャッター:布幕横走りフォーカルプレーンシャッター
シャッタースピード:B, 1~1/500
露出計:なし(SR-METER2搭載可能)
AUTO ROKKOR-PF 1:1.8 f=55mm
レンズ構成:5群6枚
最小絞り:F22
フィルター径:55mm
前回で一通りの修理と整備を終え、納品前の最終チェックもまもなく終わりに近づいたときに事は起きました。
巻き上げ時に突然手応えがなくなったのです。
やーな気持ちで既に貼ってある貼り革を剥がし前板を外してシャッターユニットを取り出してみると、
見事?にシャッター後幕が真っ二つに・・・・ん~Exaktaに続いてこれもか
このシャッター幕には空気抜きと思われる穴が開いているのですが、あたかもそこが切り取り線であるかのように切れておりました。
写真は元の幕位置を記録するためにテープで仮止めしてあります。
すぐに依頼人様に連絡し、シャッター幕を2枚とも張り替える事に。
貼り換えやすい3型だったのは不幸中の幸いでした。
各部の幕位置を記録します。
シャッター幕には幾つか種類があるのですが、このカメラの物は両面絹引きのものでした。
幸い在庫がありましたので早速幕を張り替えて、シャッターを調整して試験のやり直しとなりました。
このカメラ、所々遮光が甘いところがありモルトで塞いであげる必要があります。
う~ん2台整備したのと同じかも。
レンズ整備(AUTO ROKKOR-PF 1:1.8 f=55mm)
レンズは若干のカビと、絞りの粘りがあります。
展開するとこんなかんじ
レンズと絞りのユニットは一かたまりです。
後玉だけに若干カビが生えていましたので除去しました。
レンズを取り外し、絞りを洗浄しました。
年式の割にはレンズの状態は良好でした。
修理が完了したSR-1
後ろ姿、エレガントです。
このカメラまだまだ使えますよ。
minolta SR-1(3型)
発売:1962年(千代田光学精工)
型式:フォーカルプレーンシャッター式一眼レフ
シャッター:布幕横走りフォーカルプレーンシャッター
シャッタースピード:B, 1~1/500
露出計:なし(SR-METER2搭載可能)
AUTO ROKKOR-PF 1:1.8 f=55mm
レンズ構成:5群6枚
最小絞り:F22
フィルター径:55mm
2011.08.10 / Top↑
今回は千代田光学精工 のminolta(ミノルタ) SR-1の修理をご紹介します。
1958年1月ミノルタは一眼レフSR-2を発売します。
その半年後の7月に廉価版のSR-1(初代)を発売しました。
SR-1にはその後何回か改版があり、今回ご紹介するのは3型です。

初期型とこの型ではカメラ内の構造からして異なり、事実上違うカメラを同じ名前で売っていたようなものです。
後に発売したNEW SR-1もそれまでのSR-1とは全く別物で、露出計がない点を除けば後継機SRT-101そのものです。
今回のカメラは依頼人様が過去に活用されていたカメラとの事ですが、ここ暫くは手付けずの状態だったようです。
シャッター幕が走りきらない、スロー不良(過去から)などカメラとして機能しない状態で、故障修理と各部点検整備を承りました。
現役復帰を目指して早速修理開始です。
3型はこのようにファインダー、ミラーボックス、シャッターが一体ではずれます。

暫く動いていないスローガバナはミラー下に隠されています。(ほこりを拾いやすい配置かも知れません)
ガバナは外して清掃し、適宜給油を行いました。
このように外れる構造のカメラは整備性が良く、各幕軸への給油等も容易で順調に修理作業は進みます。
唯一手間取ったのは、ミラーアップ解除機構の調整です。
動作確認を進めるうち、ミラーがまれに戻らない現象があり、ボディ側のミラーボックスのリターンタイミングを調整する偏心ネジで最適な点を見つけるのに時間がかかりました。
過去にもこの偏心ネジは調整された形跡があり、調整が狂いやすい部分なのかもしれません。
気を付けるのはミラーボックス&シャッターをボディに組み込む際のボディ下のカム位置です。
カム角度がずれたまま組み付けると、巻き上げが1回で終わらなかったり、シャッターを切った瞬間にフィルムが横に少し移動するぶれ写真の製造機になってしまいます。
トントン拍子に整備は進み修理は終了、最終チェックを行います。
ところが・・・・・
このあと最終チェック中に大問題が発生しました。
続きは次回とします。
1958年1月ミノルタは一眼レフSR-2を発売します。
その半年後の7月に廉価版のSR-1(初代)を発売しました。
SR-1にはその後何回か改版があり、今回ご紹介するのは3型です。
初期型とこの型ではカメラ内の構造からして異なり、事実上違うカメラを同じ名前で売っていたようなものです。
後に発売したNEW SR-1もそれまでのSR-1とは全く別物で、露出計がない点を除けば後継機SRT-101そのものです。
今回のカメラは依頼人様が過去に活用されていたカメラとの事ですが、ここ暫くは手付けずの状態だったようです。
シャッター幕が走りきらない、スロー不良(過去から)などカメラとして機能しない状態で、故障修理と各部点検整備を承りました。
現役復帰を目指して早速修理開始です。
3型はこのようにファインダー、ミラーボックス、シャッターが一体ではずれます。
暫く動いていないスローガバナはミラー下に隠されています。(ほこりを拾いやすい配置かも知れません)
ガバナは外して清掃し、適宜給油を行いました。
このように外れる構造のカメラは整備性が良く、各幕軸への給油等も容易で順調に修理作業は進みます。
唯一手間取ったのは、ミラーアップ解除機構の調整です。
動作確認を進めるうち、ミラーがまれに戻らない現象があり、ボディ側のミラーボックスのリターンタイミングを調整する偏心ネジで最適な点を見つけるのに時間がかかりました。
過去にもこの偏心ネジは調整された形跡があり、調整が狂いやすい部分なのかもしれません。
気を付けるのはミラーボックス&シャッターをボディに組み込む際のボディ下のカム位置です。
カム角度がずれたまま組み付けると、巻き上げが1回で終わらなかったり、シャッターを切った瞬間にフィルムが横に少し移動するぶれ写真の製造機になってしまいます。
トントン拍子に整備は進み修理は終了、最終チェックを行います。
ところが・・・・・
このあと最終チェック中に大問題が発生しました。
続きは次回とします。
2011.08.08 / Top↑
Ihagee Exakta varex(VX)の修理の4回目です。
前回までにカメラボディ側の整備は全て完了しました。
レンズはCarl Zeiss jena(イエナ) Biotar 58mm F2をお預かりしています。

ヘリコイドが重くて終端でジャリッとすることは第一回目で書きました。
レンズは拭き傷は気になりますが、カビなどは殆どなくきれいです。
このレンズ外から見た分にはどこから分解して良いのか良くわかりません。
マウント側からでした。

なかなかの部品点数です。

絞り羽根は12枚とかなり豪華。

内側ヘリコイドです(清掃後)

この組み合わせは動作もスムーズ。
清掃して新しいグリスを塗布しました。
外側ヘリコイドです(清掃後)

こちらはグリスが固くなり、砂も噛んでいました。
操作感の悪さはこちらが原因です。
清掃してすりあわせの後新しいグリスを塗布しました。
組み上がったヘリコイドです。

凄く滑らかな操作感を取り戻しました。
各レンズも清掃し、元通り組み上げてレンズは終了。
お客様には相当長い間お待ちいただきましたが、完成しました。

なんとも魅了されるデザインのカメラです。
機会があれば個人的に手に入れたいと思います。
このカメラまだまだ使えますよ。
Exakta varex (VX)
発売:1950年 Ihagee社(東ドイツ)
型式:フォーカルプレーンシャッター式一眼レフ
シャッター:布幕横走りフォーカルプレーンシャッター
シャッタースピード:B, 6~1/1000秒
露出計:なし
マウント:Exacta / Topconマウント
Carl Zeiss Jena Biotar 58mm F2
レンズ構成:4群6枚 ダブルガウス
最小絞り:F22
追伸
Biotarレンズの写り

試写の一枚です。
前回までにカメラボディ側の整備は全て完了しました。
レンズはCarl Zeiss jena(イエナ) Biotar 58mm F2をお預かりしています。
ヘリコイドが重くて終端でジャリッとすることは第一回目で書きました。
レンズは拭き傷は気になりますが、カビなどは殆どなくきれいです。
このレンズ外から見た分にはどこから分解して良いのか良くわかりません。
マウント側からでした。
なかなかの部品点数です。
絞り羽根は12枚とかなり豪華。
内側ヘリコイドです(清掃後)
この組み合わせは動作もスムーズ。
清掃して新しいグリスを塗布しました。
外側ヘリコイドです(清掃後)
こちらはグリスが固くなり、砂も噛んでいました。
操作感の悪さはこちらが原因です。
清掃してすりあわせの後新しいグリスを塗布しました。
組み上がったヘリコイドです。
凄く滑らかな操作感を取り戻しました。
各レンズも清掃し、元通り組み上げてレンズは終了。
お客様には相当長い間お待ちいただきましたが、完成しました。
なんとも魅了されるデザインのカメラです。
機会があれば個人的に手に入れたいと思います。
このカメラまだまだ使えますよ。
Exakta varex (VX)
発売:1950年 Ihagee社(東ドイツ)
型式:フォーカルプレーンシャッター式一眼レフ
シャッター:布幕横走りフォーカルプレーンシャッター
シャッタースピード:B, 6~1/1000秒
露出計:なし
マウント:Exacta / Topconマウント
Carl Zeiss Jena Biotar 58mm F2
レンズ構成:4群6枚 ダブルガウス
最小絞り:F22
追伸
Biotarレンズの写り
試写の一枚です。
2011.08.06 / Top↑
Ihagee Exakta varex(VX)の修理の3回目です。
前回までにシャッター管制部、スロー/セルフタイマー部、巻き上げ部のなどメカ部分の整備が完了しています。
剥がしたシャッター幕を採寸します。(上が先幕、下が後幕)

幕は片面ゴム引き、シャッターリボンは4.5mmとあまり見ない広い幅の物です。
先幕ですが、リボンを巻き上げ軸に4周も絡めてありました。
測った寸法で新しく幕を作り直します。
テンション軸は分解できないため洗浄油に漬け込み洗浄してから、油で溶いたグリスを浸透させます。

でもバネが大分へたっていまして、部品があれば交換したいところです。
いやはや、
シャッター貼り位置で調整する事数回・・・何回貼り換えたか覚えてません。
弱ったバネのテンションと、スリット幅の兼ね合いで・・・無限ループに突入するかと思いました。
このカメラは後幕の配置が直線的なため、かなりゆるくしても後幕の幕速が早くなってしまいます。
対して先幕はバネの経たりと、経路が長く色々動かすための動力でもあることからテンションの割に速度が上がりません。
なんとか、この辺という折り合いをつけて調整しました。

張り終えましたが、後から写すの忘れました。
光学系の整備をします。
ファインダーは焦点板兼コンデンサーレンズが下から差し込まれているだけですので、手で引けば抜けます。
ちょっと危ない構造ですね。

プリズムはコルクで固定されています。

各レンズとプリズムを清掃して、ファインダーユニットは完了。
ボディの整備はここまで、次回はレンズを整備します。
前回までにシャッター管制部、スロー/セルフタイマー部、巻き上げ部のなどメカ部分の整備が完了しています。
剥がしたシャッター幕を採寸します。(上が先幕、下が後幕)
幕は片面ゴム引き、シャッターリボンは4.5mmとあまり見ない広い幅の物です。
先幕ですが、リボンを巻き上げ軸に4周も絡めてありました。
測った寸法で新しく幕を作り直します。
テンション軸は分解できないため洗浄油に漬け込み洗浄してから、油で溶いたグリスを浸透させます。
でもバネが大分へたっていまして、部品があれば交換したいところです。
いやはや、
シャッター貼り位置で調整する事数回・・・何回貼り換えたか覚えてません。
弱ったバネのテンションと、スリット幅の兼ね合いで・・・無限ループに突入するかと思いました。
このカメラは後幕の配置が直線的なため、かなりゆるくしても後幕の幕速が早くなってしまいます。
対して先幕はバネの経たりと、経路が長く色々動かすための動力でもあることからテンションの割に速度が上がりません。
なんとか、この辺という折り合いをつけて調整しました。
張り終えましたが、後から写すの忘れました。
光学系の整備をします。
ファインダーは焦点板兼コンデンサーレンズが下から差し込まれているだけですので、手で引けば抜けます。
ちょっと危ない構造ですね。
プリズムはコルクで固定されています。
各レンズとプリズムを清掃して、ファインダーユニットは完了。
ボディの整備はここまで、次回はレンズを整備します。
2011.08.04 / Top↑