19.六歳の誕生日と新しいお友達
私は、六歳になった。
久々に【鑑定】してみたら、変化があった。
【デイジー・フォン・プレスラリア】
子爵家次女
体力:45/45
魔力:460/460
職業:錬金術師
スキル:錬金術(4/10)、鑑定(5/10)、風魔法(4/10)、土魔法(2/10)、水魔法(1/10)、隠蔽
賞罰:なし
ギフト:緑の精霊王の加護
隠蔽のスキルが習得できていたのと、『鑑定』のスキルが一つ上がり、『ギフト』欄が増え『緑の精霊王の加護』がついていた。これなんだろう?私精霊とか妖精とか見たことないんだけど……。
それはともかく、前にお母様が、鑑定スキルは、スキル目当ての誘拐の可能性があると心配していたので、早速隠蔽をした。
【デイジー・フォン・プレスラリア】
子爵家次女
体力:45/45
魔力:460/460
職業:錬金術師
スキル:錬金術(4/10)(鑑定(5/10))、風魔法(4/10)、土魔法(2/10)、水魔法(1/10)、(隠蔽)
賞罰:なし
ギフト:緑の精霊王の加護
朝の身支度をして、朝食の席に加わりながら、『隠蔽』のスキルが習得できたおかげで、『鑑定』スキルを隠蔽できたことを報告した。すると、侍女と一緒の外出が許可されることになった。嬉しい!
◆
ギフトは、朝の水やりの時に気づくことになった。
私の畑に何かいる……。
土の上に寝そべったり、葉っぱの上に座っていたり、そこは緑色をした背中に羽を持った生物に溢れていた。
「えっと……?」
かける言葉が見つからない。
というか、むしろ向こうから声をかけてきた。
「デイジー!やっと俺たちに気づいたな」
「遅いわよー!」
「だよー!」
彼らは、私の周りをふよふよ飛び回る。
「えっと、あなたたちは……?」
私はその生き物たちに首を傾げて見せる。
「緑の妖精に決まってるだろ(でしょ)ー!」
妖精さんだったらしい。
「全く!今まであんなに手伝ってあげてたのに、気づかないなんて!」
女の子っぽい個体が私の周りを飛びまわる。
「手伝いって?」
私はそもそも存在を意識していなかったものが、何をしてくれていたかなんて気づいていない。素直に飛び回る女の子に聞いてみた。
「草むしりよ!」
「葉っぱを食う虫もポイってしてやったぞ!」
……そういえば、私の畑の草むしりや虫の除去ってあんまりしたことないな。ダンが気を利かせてやってくれていたのかと思っていた。
彼・彼女らによると、既に彼らは私がダンのお手伝いでバラの世話をしていた頃から居たようなのだ。私がせっせと世話する緑たちは、イキイキとして住み心地が良かったんだって。
そのうち私が畑を作ると、私にくっついてきて、今度はそちらが気に入り、住み着いたということだ。
それなのに私はいつまでたっても気づかない。
業を煮やした妖精さん達が、私が緑の妖精を見えるようにって緑の精霊王様に泣きついたところ、ギフトとして『緑の精霊王の加護』を贈ってくれたんだそう。
そして、やっと意思疎通ができる!と興奮しているのが今、という事らしい。
「うーん、いつも私のお手伝いをしてくれているってことよね、何かもらって嬉しいものとかはあるの?」
うん、手伝ってもらっているからにはお返しが必要でしょう。
「大丈夫よ!あなたの作る栄養剤が大好きだから!でも甘い物も好きね!」
甘い物も大好きで、普段は水やりの時に混ぜた栄養剤をちょっと失敬する程度で十分だという。
「そうだ!あなた今日お誕生日なんでしょう!プレゼントがあるから、カゴを持ってきて!」
女の子の妖精さんから、突然そう言われた。私は、言われるがままにカゴを持ってくる。
すると、「こっちへ来て」とふわふわと一体の妖精の女の子が家の奥の森へ入っていった。私はそのあとを追った。
「ここよ!」
妖精さんがある植物の前で止まる。
そこには、びっしりと実のなったブラックベリーがあった。
「うわあ!すごい沢山!!」
私は感動して、声を上げる。
妖精さんは喜ぶ私を見て目を細めて満足気だ。
私はカゴいっぱいにブラックベリーを詰んで家に帰り、私の誕生日の夕食にはたっぷりのベリージャムがのったデザートが添えられたのだった。
そして、寝る前、こっそり小さなお皿にジャムを取り分け、畑の側に置いておいた。妖精さんたちが集まってきて嬉しそうにジャムを舐めていた。
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