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（五郎）梅さん…。
（梅）あっ…　どうぞ。
ありがとうございます。
あ～。
僕…　梅さんが書いた小説　好きです。
特に　お父さんが娘の葛藤を知って気落ちするところすごく共感できて。
どうして梅さんは　こんなにも人の気持ちが分かるんだろうって感動しました。
僕は　駄目な人間です。
居場所なんて　どこにもない。
でも　梅さんは違う。
すばらしい小説を書く才能と人を慈しむ心がある！
もっと…　自分を好きになって下さい。
五郎さん？
（いびき）
♪～
♪「泣いて　生まれて　響く命」
♪「きっと嬉しくて　笑っているんだ」
♪「僕らはきっと　出逢うでしょう」
♪「手を引き　背を押し　出逢うでしょう」
♪「きっといつか今日の日も意味を持って　ほら」
♪「耳をすませば」
♪「星の見えない日々を　超えるたびに」
♪「互い照らすその意味を知るのでしょう」
♪「愛する人よ」
♪「親愛なる友よ」
♪「遠くまで　響くはエール」
（華　五郎）笑ったら駄目よ　あっぷっぷ！
ヒヒ～ン！　ブルルル…。
（華）フフフ…。
はい　華ちゃんの負け。お母さんも　やって。
（音）え～？
やだよ～。（笑い声）
昨日は　かなり飲んでたね。
すいません。もう　あんな醜態は今回限りにします。
飲みたい時もあるよ。そういう時は飲んだらいい。
先生には音さんがいるから強いんですね。
お母さんの方が怖いからね～。
な～に～！？
キャ～！　フフッ。
ペンペン　ペンペン…。キャ～！
ペンペン　ペンペン…。（笑い声）
どうだ！　どうだ！　ペンペン　ペンペン…。（華）アハハ　駄目…。
うん？　もう一回。　ペンペン　ペンペン…。（華）アハハハ！
効かないな～　これは。
背中　グリグリ　グリグリ…。（華）アハハハハハ！
（久志）いや　うれしいな。梅ちゃんの方から会いたいなんて。
あの　鉄男さんは？仕入れに行った。
その間　番しててくれってさ。もう冗談じゃないよ！
見てよ　これ。　僕　おでん屋に見える？
結構　似合ってます。フッ　もう勘弁してよ。
はい　梅ちゃんの大好きなちくわ！
頂きます。
…で　相談って何？
え～…。はい　分かった！
音さんに僕たちのことを反対された。へっ？
もう全然関係ない！周りは全く関係ない！
新しい物語をこれから２人で作っていこう。
そういうことじゃなくって。うん？
これ　お返しします。
いやいや　いやいや…。
頂く理由がありませんから！これは　これは　ささやかなお祝いなの。
とにかく　お返しします。分かった！　じゃあ銀座で　梅ちゃんの好きなものを買う。
私　２人で会うのは金輪際ちょっと…。
どうして？
私　変なんです。変？
もう…　小説さえ書ければ一生独りでいいって思っとったのにあの人のことを思うと胸が　こう

　キュッとなって気になるっていうかほっとけんっていうか…。
梅ちゃん…　それは恋だよ。
恋？　そっか…　恋か…。
一体　どこのどいつ？実は…。
はい　聞きたくない　聞きたくない。いい。　やっぱり　いい。
私　どうしたらいいですか？いや　それを僕に聞く？　いいから。
だって…　久志さん　詳しいんでしょう？経験豊富なんでしょう？
いやいや　まあまあ…　そう。そう　豊富…　なんだけれども。
ほかに頼れる人がおらん。ねえ　私　どうすればいいですか？
（五郎）古山先生のお使いで伺いました！
（廿日市）だから　声がでかいっつってんだよ　君は。
これ　新しい歌詞。　届けて。はい。
絶対　落とすなよ。確かに。
…で　どうなの？　君。「どう」っていうのは？
大先生の下で何か学んだのかって聞いてんだよ。
それは…。この世界　才能だからな。
一に才能　二に才能　三に才能！
技術は学べても才能は　そうはいかないから。
言ってる意味分かるな？
はい…。
才能なかったら飯なんか食っていけねえぞ。
♪～
僕って　才能ないんですかね？
（裕一）えっ！？　いや…　そんな…そんなことないよ…　ないよ　うん。
♪～
五郎さん。
（五郎）梅さん…。
才能か…。
言われた瞬間　目の前が真っ暗になって。
努力しても…しょせん　自分は駄目なんだって。
ねえ　五郎さんは　本気で音楽で　身　立てたいの？
えっ？
「私たちの急務は　ただただ眼前の太陽を追いかけることではなく自分らの内に高く太陽を掲

げることだ」。
島崎藤村先生の言葉。
大事なのは　五郎さんがどう生きたいかってことだと思う。
どう生きたいか…。
私だって自分に才能あるかなんか分からんよ。
でも…　文学は私の太陽なの。
人から才能ないって言われたっていい。
五郎さんの太陽って何？
それは…。
大丈夫。五郎さん　駄目な人なんかじゃない。
駄目なだけの人　好きにならんもん。
えっ？
私…　五郎さんのことが…好き。
先　帰る。
何で僕が振られるの？あげくに相談まで乗ってさ。
（鉄男）梅ちゃんのお目当てって誰なんだ？
予想が外れることを祈る。
知ってんの？　知ってんの？　誰？ごちそうさん。
お前　気付いてないのか？全く。　誰　誰　誰　誰？
恐るべき鈍感さ！本当　変わんないな　そういうところ。
だ…　誰？（藤丸）こんばんは～。こ…　こんばんは。
あっ。　えっ？おっ！　フフッ。
いつものでいい？あっ　今日はいいの。
うん？
やっと気付いたんだ…何が一番大事かってことを。
フフッ　うれしい。
じゃあな！えっ？さあさあ。
あっ　ちょっと　ねえ…　誰　誰　誰　誰？ちょっ　久志！　ねえ…。久志？
…ってか　立ち直り　早いよね。ハハッ　本当だな。
はあ…。
裕一。うん？
おめえもよいつまでも　ウジウジしてねえではっきり言ってやったらどうだ。うん？　何を？
はあ…　ごまかすな。　このづぐだれが。
あっ…　懐かしいね。
（秒針の音）
今日は　もう。
先生　食べ終わったら　お話があります。
先生…　僕には才能がないんでしょう？
も…　申し訳ない。
先生が謝ることじゃありません。
先生のそばにいて　骨身にしみました。
突然押しかけてきた僕を受け入れてくれて…ありがとうございました。
子どもの頃に売られて居場所のない僕にとって　ここは初めて…　心から安らげる場所でした

。
音さんにも　華ちゃんにも優しくして頂いて…。
五郎君…。
次の道　見つかるまでここ　いていいんだよ。
駄目です！　これ以上皆さんに　ご迷惑はおかけできません。
五郎君…。
困ったら　いつでも来てね！　ねっ？
先生！
よしよし…。
（華の泣き声）五郎ちゃん　元気でね。
はい！　ありがとうございました。（泣き声）
華ちゃん…　泣かないで。
華ちゃん泣くと　僕も泣いちゃうから。
（華の泣き声）
お世話になりました！
五郎ちゃ～ん…。五郎ちゃん…。
もう泣かない。　もう泣かない。
五郎ちゃん…。