MENU
【ちょっとしたコツ】黒ニンニクの作り方 臭い対策は「酢に漬けること」

【ちょっとしたコツ】黒ニンニクの作り方 臭い対策は「酢に漬けること」

私が黒ニンニクを作ろうと思ったのは、2012年の春先のことです。その何年か前に、隣町の企業が異業種参入して黒ニンニクの製造を始め、このあたりでもちょっとしたブームになりました。私も初めて黒ニンニクを食べましたが、ニンニクとは思えないおいしさでした。【解説】高井治成さん(71歳 農業 岐阜県)

解説者のプロフィール

黒ニンニクを持つ高井さん。これが5合炊きの炊飯器1回で仕上がった量

母の言葉をヒントに酢を使ってみる

 私が黒ニンニクを作ろうと思ったのは、2012年の春先のことです。その何年か前に、隣町の企業が異業種参入して黒ニンニクの製造を始め、このあたりでもちょっとしたブームになりました。私も初めて黒ニンニクを食べましたが、ニンニクとは思えないおいしさでした。

 その頃は、製造方法もわからず、素人には製造できないと思っていましたが、しばらくしてから黒ニンニクの作り方が巷で流布し、炊飯器で簡単に作れることがわかりました。わが家もニンニクを栽培しているので、黒ニンニクを作ってみようと思い立ちました。
 とはいえ、作った人からは、ニンニクのにおいがきつく、鼻がひん曲がりそうだとか、郵便配達員さえもその家の前は顔をそむけて通るといった噂を聞いていました。インターネットで検索しても、においは避けて通れないようでした。

 そんなときに思い出したのが、母の言葉でした。元気だった頃、母は口ぐせのように「ニンニクは酢に漬けるとにおいが抜ける」と言っていました。
 そこで、一晩酢に漬けて作ってみることにしました。
 使う炊飯器は、知り合いから譲り受けた不要品です。2週間連続して通電するので、安全面で不安があったため、私は寝室の枕元のコンセントに差し込んで、出来上がりを待つことにしました。

2週間、炊飯器を枕元に置いて作った

 さて、問題のにおいです。普通はにおいを避けるために、黒ニンニクは居宅から離れた車庫や物置で作るのが定石だそうです。それを枕元で作るのですから、いくらおばあちゃんの知恵とはいえ、はたしてどれだけにおいが消えるか、半信半疑でした。
 ところが、それほど心配することはありませんでした。黒ニンニクを作っている2週間の間、くさくて目が覚めたり、眠れないということはありませんでした。

 においはまったくゼロというわけにはいきませんが、「鼻がひん曲がるほど」のにおいに比べたら、激減と言えると思います。
 いっしょの部屋で寝ている家内からも、「くさい」という言葉は聞かれませんでした。家族の苦情もなく、においが部屋にこもることもなく、さすがに昔の人の知恵はたいしたものだと思いました。
 しかし、においの感覚は人それぞれです。ですから、私のやり方で作っても「くさい」と感じる人はいるかもしれません。それでも、私のレシピで作った人たちから、「くさくて困った」という話は一度も聞いていません。

 酢は黒ニンニク専用にして、継ぎ足しながら何回も使っています。また、うまみを増すために、私は塩こうじをまぶして黒ニンニクを作っています。
 私のレシピで作る黒ニンニクは、塩こうじを使うせいか、まわりの皮まで真っ黒になります。この皮にもエキス(私は「養醇液」と呼んでます)がねっとりついているので、取っておいてお茶にして飲んでいます。黒ニンニクの皮茶です。フルーティな香りがほのかにします。

 黒ニンニクは毎晩1〜2片食べます。毎年の健康診断も問題ありません。もともと健康な私ですが、さらに元気になったようです。

最初、黒ニンニクは枕元で作った(右隅にあるのが炊飯器)

高井式 黒ニンニクの作り方

[準備するもの]
◎炊飯器(5合炊き)
◎ニンニク(炊飯器に入る量)
◎酢(できれば米酢)適量
◎塩こうじ 適量
◎ビニール袋
※塩こうじは、都合がつかなければ使わなくてもかまわない

❶ニンニクは汚れた外皮だけを取り除く。
❷炊飯器の内釜にニンニクを入れ、ニンニクが隠れるくらい酢を注ぎ、24時間置く。(この浸した状態を24時間保持するので、酢は朝に入れるとよい)

❸翌朝、酢から取り出して、半日(曇天なら1日)天日に干す。(使い終えた酢は、また次回使うので、容器に入れて保存する)

❹ビニール袋に大さじ2杯の塩こうじを入れ、そこにニンニクを5〜7個ぐらい入れて、表面に塩こうじがまんべんなく付くように袋をよく振る。全量終わるまで繰り返す。

❺塩こうじをからめたニンニクを炊飯器に移して、隙間なく詰め、ふたをする。
❻保温スイッチを入れて、そのままの状態で2週間待つ。(仕上がり予定日を紙に書いてふたに貼っておくとよい)
❼2週間たったら完成。(表面のねばりが強い場合は天日で乾燥させるとよい)

食べ方・飲み方

・おいしいので食べすぎてしまいがちだが、食べるのは1日1〜2片。
・皮にも「養醇液」がついているので、熱湯を注いでお茶として飲む。

備考

・塩こうじを使わない方法も試しましたが、においに差はありませんでした。
・私の場合、保温スイッチを入れたら2週間はふたをあけないで作っています。

酵素の働きが弱くなりにおい物質が少なくなる(弘前医療福祉大学教授 佐々木甚一)

 黒ニンニクを作るときに発生するにおいは、アリインというイオウ化合物が分解されて生じる、アリシンという香気成分が主体です。アリナーゼという酵素が働いて、アリインがアリシンに変化します。しかし、ニンニクを酢に一晩漬けると、酵素のアリナーゼの活性が弱くなるのではないでしょうか。酵素はたんぱく質でできており、たんぱく質は酸や熱に弱い性質があります。酢によってアリナーゼが壊れると、アリインがアリシンに変化せず、におい物質も生じなくなります。「酢に漬けるとニンニクのにおいが消える」といった先人の知恵は、経験則に基づくものです。昔の人の知恵はすごいものだと改めて思います。

※これらの記事は、マキノ出版が発行する『壮快』『安心』『ゆほびか』および関連書籍・ムックをもとに、ウェブ用に再構成したものです。記事内の年月日および年齢は、原則として掲載当時のものです。

※これらの記事は、健康関連情報の提供を目的とするものであり、診療・治療行為およびそれに準ずる行為を提供するものではありません。また、特定の健康法のみを推奨したり、効能を保証したりするものでもありません。適切な診断・治療を受けるために、必ずかかりつけの医療機関を受診してください。これらを十分認識したうえで、あくまで参考情報としてご利用ください。

関連するキーワード
関連記事
タマネギに含まれるのは植物性乳酸菌で、生きて腸まで届きます。腸内環境がよくなると、免疫力のアップや自律神経のバランスが整います。血中コレステロールの低下による高脂血症の予防・改善、大腸がんのリスク低減などにもつながります。 【解説・レシピ考案】中村美穂(管理栄養士・フードコーディネーター)【料理・スタイリング】古澤靖子
更新: 2019-09-10 22:10:00
越冬も終盤に差し掛かると、生の野菜が食べたくなるもの。年明け(南極の夏季)にヘリで補給物資を少しだけ持って来てくれるのですが、待ち遠しかったですね。 久しぶりの生タマネギを使った料理で、仲間たちがいちばん喜んでくれたのが「タマネギみそ」。【解説・レシピ】西村淳(南極料理人・作家)【料理・スタイリング】古澤靖子
更新: 2019-09-10 22:10:00
チャレンジ前の私の血管年齢は、実年齢よりも7歳若い42歳。そして、10日後に再測定してみると、さらに3歳若い39歳と、実年齢から10歳も若い結果が出たのです。体調の変化はほかにもあります。血行がよくなったのでしょうか、首や肩のこりが軽減。うれしかったので、ブログで報告したほどです(笑)。【体験談】早見優(タレント)
更新: 2019-09-10 22:10:00
独身時代はほとんど食べ物に気を遣っていなかった私でも、家族ができれば話は別。なるべく人工添加物などが使われていない、体にいい食べ物を食卓に並べるようにしてきました。自然に食べ物へ関心を持つようになったわけですが、近年私の心をとらえて離さないのが「タマネギ」です。【体験談】志穂美悦子(フラワーアクティビスト)
更新: 2019-09-10 22:10:00
「みそ汁に酢を入れたら、酸っぱくなるのでは」と心配するかたもいるでしょう。でも、お椀1杯のみそ汁につき、小さじ半分程度の酢なら、酸味はほとんど感じません。今回、酢みそ汁に初挑戦するかたがたのために、お勧めの具材や、作り方のコツをご紹介しましょう。【解説】庄司いずみ(野菜料理家)
更新: 2019-09-10 22:10:00
私は鍼灸師で、日本で一般的に行われている鍼灸治療のほか、「手指鍼」を取り入れた治療を行っています。手指鍼はその名のとおり、手や指にあるツボを鍼などで刺激して、病気や不調を改善する治療法です。【解説】松岡佳余子(アジアンハンドセラピー協会理事・鍼灸師)
更新: 2020-04-27 10:34:12
腱鞘炎やバネ指は、手を使うことが多いかたなら、だれもが起こす可能性のある指の障害です。バネ指というのは、わかりやすくいえば、腱鞘炎がひどくなったものです。腱鞘炎も、バネ指も、主な原因は指の使いすぎです。痛みやしびれを改善する一つの方法として、「手首押し」をご紹介します。【解説】田村周(山口嘉川クリニック院長)
更新: 2020-03-23 10:16:45
筋肉がこわばると、体を支えている骨格のバランスがくずれて、ぎっくり腰を起こしやすくなります。ぎっくり腰に即効性があるのが、手の甲にある「腰腿点」(ようたいてん)という反射区を利用した「指組み」治療です。この「指組み」のやり方をご紹介します。【解説】内田輝和(鍼メディカルうちだ院長・倉敷芸術科学大学生命科学部教授)
更新: 2020-03-02 10:09:34
慢性的な首のこり、こわばり、痛みといった首の不調を感じたら、早めに、まずは自分でできる首のケアを行うことが大切です。【解説】勝野浩(ヒロ整形クリニック院長)
更新: 2020-02-25 10:06:07
首がこったとき、こっている部位をもんだり押したりしていませんか? 実は、そうするとかえってこりや痛みを悪化させてしまうことがあります。首は前後左右に倒したりひねったりできる、よく動く部位です。そして、よく動くからこそ、こりや痛みといったトラブルを招きやすいのです。【解説】浜田貫太郎(浜田整体院長)
更新: 2020-02-17 10:18:14