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(鳥の鳴き声)
裕一の弟子として五郎の新しい生活が始まりました。
♪~
(五郎)すごい…。(裕一)う~ん…。
まあ 手直しとかはあるし編曲もあるんだけど大体は こんな感じでメロディーが降ってくる。
先生。うん?
コツは何ですか?
コツ… う~ん…。
あっ あっ…頭じゃなくて 心で感じること。
頭じゃなく 心。そう 心! うん!
そう… ここじゃなくて こっち。あっ!
そう こっち!あっ!うん?
あっ! あっ!来た? そう それ!それだよ それ それ それ!
あっ! あっ!そう そう そう! そう!
♪~
♪「泣いて 生まれて 響く命」
♪「きっと嬉しくて 笑っているんだ」
♪「僕らはきっと 出逢うでしょう」
♪「手を引き 背を押し 出逢うでしょう」
♪「きっといつか今日の日も意味を持って ほら」
♪「耳をすませば」
♪「星の見えない日々を 超えるたびに」
♪「互い照らすその意味を知るのでしょう」
♪「愛する人よ」
♪「親愛なる友よ」
♪「遠くまで 響くはエール」
出来ました。はい。
おっ! 名曲かも!
おお…。ハハハハ!(せきばらい)
これ… あ… あれだね あの…「赤城の子守唄」と同じかな。
あれ? もう一回やってみます。
頑張って。はい。
行ってきます。(音)行ってらっしゃ~い!
♪~
おい…。
・(梅)ただいま。
こら~!
甘いものは ごはんのあとって言ってるでしょ!
んっ! もう! 梅 見とって。
(梅)食事のあとって言われたでしょう?
(華)今 食べたいの。いかんでしょう!
華さん おまんじゅうを賭けてにらめっこしましょうか。
いいよ。
(2人)笑ったら駄目よ あっぷっぷ!
フフフ… 負けた!
じゃあ これはごはんのあとに召し上がって下さい。
はい!
ああいう時は うまく興味をそらしてあげるといいですよ。
私 子守じゃないから。ほら その顔。
子どもが怖がっちゃいます。
もともと こういう顔です!
あいつ 何なの? 本当 失礼しとる!
(ため息)
ああいう時は うまく興味をそらしてあげるといいですよ。
1か月後には2作目を書き終えなければならない梅でしたが…。
ほら その顔。子どもが 怖がっちゃいます。
あ~ いかん! 締め切り 迫っとるのに!
んん~ 出てこ~ん!
走れ~ 走れ~!
片や 五郎の方は 作曲家の弟子というより華ちゃんの召し使いでした。
ヒヒ~ン!
・(華)ハイヤ~ ハイヤ~!・(五郎)ヒヒ~ン! ヒヒ~ン!
・(華)ハイヤ~ ハイヤ~!・(五郎)ヒヒ~ン! ヒヒ~ン!
・(華)五郎ちゃん もう一回。(せきばらい)
・(五郎)ヒヒ~ン!・(華)ハイヤ~ ハイヤ~!
・(五郎)ヒヒ~ン! ヒヒ~ン!もう!
・(華)走れ~ 走れ~!・(五郎)ヒヒ~ン! ヒヒ~ン!
パッカパッカ パッカパッカ…。
うるさ~い!
すいません。
(泣き声)
華ちゃん… びっくりしたね。
ほら… 泣かないで ほら…。
(泣き声)泣かないでよ…。
ただいま~。
ただいま。(小声で)お帰り。
うん? どうした?
(時報)
そっか… 程よい距離感を期待してたんだけどな~。
どうしよっかな~?
まずは話す機会を作ることだね。
お互いを知らないと 何も始まらないし。
ねえ… 五郎君の歓迎会する?
ああ… いいね。ねっ?
華は 恵さんにお願いしようかな。そうしよう。
では 新しく仲間になった五郎君と梅ちゃんに乾杯!
(鉄男)乾杯!よろしくお願いします!
あ~! まずは じゃあ そこそこうまいおでんを食べよう!
おい 「そこそこ」じゃねえ。何年 おでん屋やってると思ってんだ。
鉄男さんって 「福島行進曲」の歌詞書かれたんですよね?
おう。僕 あの歌詞 大好きなんです!
おっ! どこが?「サラリと投げたトランプに」ってとこが。
(鉄男)はあ~ おめえよく分かってんじゃねえか!よ~し ほら 食え!ありがとうございます!
もう離れたわ。
大丈夫。 僕が五郎を向こうに座らせっから。 任せて。
梅ちゃん!梅ちゃんさ おでんで何が一番好き?
ちくわです。ちくわね。 大将 ちくわ1つ。 五郎君は?
僕も ちくわ好きです!ちくわ? ちくわ?
何か あれだね 2人とも 気が合うね!フフフ…。
ねっ?おい ちくわ。えっ?
(鉄男)ちくわ。はい ちくわ。 はい どうぞ。 フフ…。
(鉄男)はい どうぞ。
何 今の? 何がしたいの?経験がなさすぎて何をどうしていいのか全く分かんない。私だって そうだよ。
何で 久志 来ないの?ちゃんと時間言ったよ…。
(久志)お待たせ。久志 もう遅い! 何してたの?
いや ごめん。来る途中にさ 昔の知り合いに…。
いや いいんだけどさ… うん?
五郎君?
あちらのお嬢さんは? 誰?
あ~ 梅ちゃん。 音の妹。ねえ 早速で悪いんだけどさ… えっ?
初めまして。 コロンブス期待の超大型新人スター歌手佐藤久志です。(鉄男)まだデビューすらしてねえだろ。
あっ そうだ…久志 梅ちゃんはね 作家なの。
この前ね 文藝ノ友の新人賞取ったんだよ!
文藝ノ友!何? そんなすごいのか?うん!
すげえよ! プロの登竜門だぞ!そうだよ!
久志 今日はね 2人の歓迎会なの!
…で この五郎君 弟子にとったの!
どうも。 僕はね常日頃から こう思ってたんだ。
昭和の時代は女性が どんどん活躍すべきだって。
ところで 君は東京は初めてかい?
はい。そう…。
じゃあ 僕が案内してあげる。
うん?
♪~
目にゴミでも入りました?
久志 久志 久志… 久志!ちょっと こっち来て!
ちょっと… 話を… 話を聞いてくれよちゃんと。
梅ちゃん いいよね。
モテる男は自分に興味を示さない女に恋心を抱いてしまう… さがでしょうか。
彼女にも 大きなちくわ。
もうやめて。 いつまで撮っとるの。
梅さんの晴れ姿を余すとこなく撮れと先生の指示ですから 僕は帰れません。
この日は 梅の新人賞授賞式でした。
(ノック)
社主が参りましたので こちらへどうぞ。
はい。
文藝ノ友新人賞関内 梅様どうぞ 中央へ。
はい。
(拍手とカメラのシャッター音)
おめでとう。2作目も楽しみにしていますよ!
ありがとうございます!(カメラのシャッター音)
(拍手)
では 関内様より 受賞のお言葉を。
作家になることを夢みて 女学生の頃からずっと この賞に応募し続けてきました。
お選び下さり本当にありがとうございます!
(拍手)
すごいな~。
すごいな。
このまま そこで執筆しようかと。そうですか ハハハ…。
これはこれは 幸先生!
(文子)関内さん この度は受賞まことにおめでとうございます。
あっ… ありがとうございます。
あの… 私のこと 覚えてますか?小学生の頃 一緒に本を読んだ…。少し前に手紙もくれましたよね?
ええ! 覚えてるわ。
私は いいと思わない。
この場所を譲るつもりないから。
結ちゃん?その名前は捨てたの。 二度と呼ばないで。
あの すいません…お話し中 申し訳ないんですが今度 うちの雑誌でお二人の対談を組みたいのですが。
喜んで。 あなたも いいわよね?はい。
ああ…。お写真 よろしいですか?
(文子)もちろんよ。 ほら。
こちらに。いや あの… ごめんなさい 私目立つのが あまり好きじゃないので。関内さん 写真を嫌がっては困ります。
あなたは 容姿がいいことも売りの一つなんですから。
ハハハハ… さあさあ 撮って撮って。
では 撮りますね。(カメラのシャッター音)
もう一枚 お願いします。
文子さんも 最近 落ち目だから。今回の新人 かわいいもんな~。
潰しにかかるぞ あの人。
く~っ 女の嫉妬は怖え~。
失礼します。
梅さん!フフフフ…。フフフフ…。
笑うな!
大丈夫ですか?ほっといて。
五郎は いつにも増して作曲が進まないようです。
五郎君 これ もう一回 読み直したら?
ありがとうございます。うん! 頑張って。
はい。
あの… ち… 力抜いて。はい。
あの 正座もやめよう。あっ…。
ねっ? 体をやわらかくして…。はい。
うわ~ きれい! でも…。
受賞のお祝いだから。
お待たせいたしました。
オムライスでございます。
一方 梅は久志とデートをしていました。