実写に近い画作りを目指す
セリフだけでなく、キャラクターの表情や仕草からもその気持ちが伝わってくることに驚かされる。演出面でのこだわりを大橋監督に尋ねると、実写に近い画作りを目指していたことを明かしてくれた。
「映像化するにあたり、日常をちゃんと描きたいという思いがありました。アニメーションならではのかっこよさというよりは、実写に近い方向です。音響監督の藤田(亜紀子)さんに絵コンテを見ていただいたのですが、その際に『実写みたいな感じですよね』と言っていただいて、その意志をちゃんと受け取ってもらったことに安心しました。モノローグも多用せず、雰囲気や画面の切り取り方で、キャラクターの心情を伝えたいと思っていました」
肉体的なつながりではなく、精神的な開放がクライマックス
物語の後半では、駿と実央が結ばれる重要なシーンがあるが、そこでもリアルさを追求したと大橋監督は語っている。
「駿と実央の心がどのように移ろっていくのか。セックスシーンは“普通”に見せたくて、突然、詩的になり、キラキラし始めるのではなく、ふたりのちぐはぐなやり取りや緊張感、一生懸命な初々しさをほほえましく観ていただけるといいなと思って描いています。肉体的なつながりは大きなできごとですが、私的にはその後の縁側で静かに話すシーンの方が、駿が精神的に解放され、救われるところなので、物語としてのクライマックスだと思っています」
沖縄の離島に広がる海や草花などの自然、光に色彩、音にいたるすべてが美しく丹念に描かれた本作。そのなかで展開される不器用な駿と実央のドラマに魅了され、知らず知らずのうちに温かい気持ちで見守りたくなってしまう。
取材・文/平尾嘉浩(トライワークス)
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