サルモネラ菌、ペントバルビタール、メラミン汚染…リコールが多いペットフード銘柄トップ5


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ちょうど今から1年前の今頃、ノースペット社の犬・猫用ササミ姿干し 無塩を食べた犬・猫に体調不良の症状が出、検査の結果サルモネラ汚染されていることが発覚したのを覚えているでしょうか?
消費者から報告があったにも関わらず、報告を真摯に受け取らなかった結果対応が遅れ被害が広まりました。

あなたはそのような会社からフードを選びますか?
「ブランドは同じでもリコールされていない商品を使っているから大丈夫」と考えますか?

さて、アメリカでは、FDAによって管理されている商品がリコールされるとFDA Enforcement Reportというレポートに記録されます。2012年から約8年のFDA Enforcement Reportのデータを参考に、どのペットフードブランドが一番リコールされているのかみていきましょう。あなたもよく知っているブランド・会社もあるはずです。

 

第5位   マース ペットケア

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約822,274 kgものドライフードと缶詰がリコールされ第5位。

2012年6月にはマース社のブランド、ペディグリーの缶詰が3種類リコールされました。リコールの理由は生産工程中にコンベヤーベルトのプラスチック片が混入し、喉に詰まらせ窒息のリスクがあるため、でした。Screen Shot 2020-09-03 at 4.03.36 PMhttps://www.clickondetroit.com/pets/2012/07/02/pedigree-recalls-canned-dog-foods/

2014年4月にマースはアイムス/ユーカヌバをプロクター・アンド・ギャンブルから買収しました。買収後間も無く、ナチュラペットEvo(エボ)キャットフードがビタミンの不足とミネラルの過剰の理由でリコールされました。

同年8月にはペディグリーのドライフードを「生産工程での金属片の混入」の理由でリコールしています。

ここに挙げた3つのリコールで、約822,274 kgものドライフードと缶詰がアメリカでリコールされ、マース ペットケアはリコールの多いペットフードブランド第5位となりました。

 

第4位   ネスレ ピュリナ ペットケア

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約2,216,489kgのドライフードと缶詰がリコールで第4位。

2012年5月に、ピュリナ ベテリナリーダイエットOM |肥満ケア猫用缶詰がチアミン(ビタミンB1)不足という理由でリコールされています。

2013年8月には、約47,008kg相当のピュリナワン チキン&大麦レシピ(成犬用)がサルモネラ菌汚染のためリコール。

2016年3月には、ネスレ ピュリナ社のベネフルウェットフードがラベルに記載されているよりビタミンとミネラル分が少ないという理由でリコールされました。

ベネフルを食べた犬が何頭も亡くなっており、3,000人以上もの飼い主が集団訴訟を起こしました。ベネフルのフードを食べた後に亡くなった犬を獣医が解剖した結果、体内で出血を起こしており肝臓機能にもダメージがみられ、それは「毒殺と一致する」とのことでした。

ネスレ ピュリナ社は事実関係を否定しています。しかし、FD Aが調査した結果サルモネラマイコトキシン(肝臓の病気や癌の原因にもなる)、エトキシキン(抗酸化剤、農薬として使用されている)、メラミン基準値を超える量混入していたということです。

2019年3月にはミューズウェットフードナチュラルチキンレシピグレイビー(猫用)がゴムの破片混入で窒息のリスクありという理由でリコールされました。

これらのリコールで約2,216,489kgのドライフードと缶詰がリコールされ、ネスレ ピュリナ ペットケアは第4位となりました。

 

第3位   ヒルズ ペットフード

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第3位は2012年から約2,870,825kgのドライフードと缶詰がリコールされたヒルズ ペットフードです。

2014年6月に、サイエンスダイエット(小型犬用)ドライフードがサルモネラ菌汚染でリコールされています

2019年1月には、危険な量のビタミンDが含まれている可能性があるとして犬用缶詰をリコールしています。

危険な量のビタミンDが含まれているにもかかわらず、それを明らかにせず販売しつつけたという理由で訴訟も起きており、約2,870,389kgの大規模なリコールへとつながりました。

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第2位   ダイヤモンドペットフード

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約11,240,684kgのドライフードのリコールで第2位になったのはダイヤモンドペットフードです。

ダイヤモンドペットフード社は独自のブランド以外にも他社ブランドの委託製造にも携わっています。

2012年の4月から5月にかけて、ダイアモンドペットフード社が生産しているうち11のブランド(・Chicken Soup for the Pet Lover’s Soul・Country Value・Diamond・Diamond Naturals・Premium Edge・Professional・4Health・Taste of the Wild・Apex ・Kirkland Signature ・Canidae)がサルモネラ菌汚染でリコールされています。同年の12月から2013年4月にかけて、ダイヤモンドペットフード社の製品のリコールが再度起きており、これらのリコールで約11,240,684kgのドライフードが回収されダイヤモンドペットフード社は第2位となりました。

2012年のリコールの際は、集団訴訟も起きましたが、ダイヤモンド社のフードを食べて病気になった犬の飼い主に対して750,000 ドル、日本円にして約8000万円(ドル=106.25円換算)の賠償金を払うことで和解に持ち込んでいます。

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第1位   The J.M. Smucker Company

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約41,776,853kgのフードのリコールで第1位になったのはThe J.M. Smucker Companyです。

スマッカー社はたったの約5年前―2015年3月―からペットフードビジネスに参入しているのにも関わらず、なんとリコール量ナンバーワンに輝きました。
ちなみにスマッカー社はMeow Mix®, Milk-Bone®, Kibbles ‘n Bits®, 9Lives®, Natural Balance®, Pup-Peroni®, Gravy Train®, Nature’s Recipe®, Canine Carry Outs®, and Milo’s Kitchen®, Rachael Ray™ Nutrish®を買収しています。ナチュラルバランスやネイチャーズレシピ はみなさんもご存知なのではないでしょうか。

2017年1月に9LivesTM, EverPet, and Special Kittyの缶詰をチアミン(ビタミンB1)不足という理由でリコールしました。
2018年2月には、ワシントン州のA B Cが独自に調査した結果、スマッカー社のGravy Train©の15種のうち9種からペントバルビタールが検出され、スマッカー社はリコール騒動が起きる前に自主回収を余儀なくされました。

しかし、のちにF D Aはフードにペントバルビタール汚染があったため、リコールと判断しFDA Enforcement Reportに記録しています。ペントバルビタールを含むフードを摂取した場合、眠気やめまい、興奮状態、平衡感覚の喪失、嘔吐(おうと)、眼球が上下に動く眼振などの症状を引き起こし、立ち上がれなくなったり、摂取量が多ければ昏睡状態に陥って死に至る可能性もあります(CNN.co.jp)。

ペントバルビタールは麻酔薬の一種ですが、動物の安楽死の際に使用されます。そんな薬品がフードに残留していたなんて、どんなお肉を使っているのか想像もしたくないですね。

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結果、約41,776,853kgものフードがリコールとなり第1位となりました。

そして、今回参考にさせていただいたTruth about pet foodさんのページには記載されていませんでしたが、2020年7月にスマッカー社のナチュラルバランス猫用缶詰がリコールされています。

この缶詰を食べた猫ちゃんたちに酷い副作用が出たという報告が相次ぎ、調査した結果塩化コリンの濃度が高すぎることが判明しました。高い濃度の塩化コリンを摂取すると、唾液過多を伴う吐き気、縮瞳、視力低下、下痢または嘔吐、あるいはより深刻な症状である歩行困難、筋痙攣、振動、不整脈、呼吸困難、心臓または呼吸器の障害、そして最悪の場合死亡することもあります。

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今日は2012年から約8年のFDA Enforcement Reportのデータを参考に、どのペットフードブランドが一番リコールされているのかみていきました。

 

あなたも聞いたことのある、あるいは使っている・使っていたブランドも数多くあったのではないでしょうか?

「ブランドは同じでもリコールされていない商品を使っているから大丈夫」と思っているあなた。もう一度よく考えてみてください。

商品一つ一つに各ブランドの覚悟、信念、消費者に対する態度が現れます。

サルモネラ菌汚染、ペントバルビタール汚染、メラミン汚染危険な濃度のビタミンD含有、プラスチックや金属片混入、、、などなどリコールの理由は様々です。

ヒルズのように、危険な濃度のビタミンD含有を知っていながら黙って販売を続けたり、ネスレ ピュリナのようにサルモネラ菌、マイコトキシン(肝臓の病気や癌の原因にもなる)、エトキシキン(抗酸化剤、農薬として使用されている)、メラミン汚染のフードを販売し集団訴訟まで起きている会社まであります。しかし、最終的には消費者が賠償金を支払われ丸め込まれているのが現状です。

このような管理のもと生産している会社に自分の子供の健康を信頼して託せますか?

私は自分で飼っている犬も猫も自分の子供だと思っています。声のない私の子供なのです。アメリカではよく”You are what you eat”(あなたはあなたが食べるものでできている)、といいますが、それはどの生き物、植物でさえも同じです。綺麗な水をあげればお花は綺麗に長く咲きます。逆に、添加物、化学薬品や菌などで汚染された水をあげれば病気もするし長生きもしないでしょう。
それは私たち人間もそうですし、犬も猫も同様なのです。

私たち飼い主には、声のない家族のために健康にいい食事を選んで与えるという責任があると私は思います。「健康にいい」ということがポイントです。「健康に良さそう」ではいけないのです。大きなブランドは莫大な広告費をかけて「健康に良さそう」というイメージを刷り込みます。しかし、「CMでよく見るから」「パッケージが綺麗だから」「有名なブランドだから」「周りのみんなも使っているから」「動物病院で売ってるから」「獣医さんに勧められたから」安全だということはないのです。

しっかり知識をつけて、自分で我が子の為の判断をしましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

参照:Truth about pet food