産経新聞は14日付で「弁護士を業務停止6カ月 「示談成立した」と偽り報酬受領 埼玉」として以下の記事を配信した。
埼玉弁護士会は14日、案件処理が成功したかのように装い不正に報酬を受け取ったなどとして、同会に所属する加藤善大弁護士(45)を業務停止6カ月の懲戒処分にしたと発表した。処分は9日付。
弁護士会によると、加藤弁護士は平成30年7月から9月にかけて、依頼された慰謝料請求案件で、依頼者に対し「示談が成立した」と虚偽の説明をして報酬約84万円を受け取るなどした。加藤弁護士は昨年5月にも2カ月の業務停止処分を受けている。
引用以上
加藤弁護士は二度目の懲戒処分であるが、最初の懲戒処分時は「心身ともに疲れ果てていた」ことから、職務を懈怠したような事を述べていた訳である。
【参考リンク】
全くやる気がございません!でも大した処分はしません! 加藤善大弁護士(埼玉)の懲戒処分の要旨
今回の業務停止6月の懲戒処分は、前回の懲戒処分による業務停止の前のことであるから「心身ともに疲れ果てていた」時期のはずだが、依頼者にまったく受任した事件が解決していないにも関わらず「示談は成立している」と申し向け、あたかも依頼を受けた事件が解決したように欺罔し、成功報酬金を詐取した事案であり、刑法上の詐欺罪に該当するような気がしないでもない。そんな懲戒事由であり、二度目の懲戒処分であっても半年のお休みで済んでしまうわけだから「弁護士の弁護士による弁護士のための弁護士自治」は、弁護士のためには有効に機能しているが、弁護士自治の信託者である国民の事に対する視点が無い事が、また確認できたわけである。
疑問であるのは、加藤弁護士が受任していたのが慰謝料請求案件であり、解決したのであれば相手方からの示談金が入金されるわけであり、その示談金から報酬を差し引いて依頼者に返金する流れであると思うわけだが、どのように依頼者に説明して成立もしていない示談についての成功報酬を支払いさせたのであろうか?加藤弁護士にはぜひ説明をお願いしたいものである。
職務懈怠で懲戒処分を受けた前歴がある加藤弁護士が報酬金詐欺を行ったような事案であり、自ら「心身ともに疲れ果てていた」と述べていた加藤弁護士が詐欺行為については疲れを感じず実行したことなどから鑑みれば、本人のためにも退会命令もしくは除名の処分が相当だったのではないだろうか。
加藤弁護士の業務停止を受けて、非弁屋・事件屋が同弁護士業停明けに加藤弁護士を「飼う」べく活動を開始することも予想されることからも、厳しい処分を下すべきではなかったかと思われるのである。