続・漢字1文字で表現できる外来語まとめ

漢字一文字で外来語を表現できる漢字のうち4-6画までをまとめます。基本的に並びは部首順となっております。ユニコードを含むので、ユニコードフォントが必須です。現在、仮公開中です。

更新日: 2012年11月23日

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【裇】シャツ

http://www.unicode.org/cgi-bin/GetUnihanData.pl?codepoint=88C7&useutf8=true
広東語でTシャツを意味する方言字で、英語“shirt”と発音が近い《恤》[シュツ seot1]を省略した《血》が声符となっています。
ほとんどの語学書では《恤》で代用されることがあります。

―用例―
・【T裇】ティーシャツ

【裟】サープリス

〈袈裟〉という熟語のためにある字で、タンゴリンにある【裟】の字の英訳では“Buddhist surplice”となっています。
【袈】はキリスト教でたとえるとカソックに該当し、【裟】はカソックの上に重ね着する法衣であるサープリスに該当するということになるようです。

【裙/帬/裠】①スカート. ②エプロン

出典相原茂『講談社中日辞典(第2版)』(講談社)

①中国語でスカート全般を表す字で、日本語でも当て字として使用されることがあります。

②英語“apron”の中国語訳に〈圍裙〉(簡体字では〈围裙〉)があり、それを略したものとなっていて、ユニコード英語訓読にも含まれています。

【裲】ウエストコート, チョッキ

本来の日本語では打掛を意味する字ですが、チョッキ・胴衣を意味する英語“waistcoat”がユニコードの英語訓読に含まれています。

【裳】チマ

出典『新潮日本語漢字辞典』(新潮社).

①韓国語〈치마〉[chima] に由来する外来語で、朝鮮半島の伝統的な女性用民族衣装の巻きスカートを意味しています。『新潮日本語漢字辞典』などで正式な訓読みとして認められている当て字で、結構使用されています。

―用例―
・【裳襦】チマチョゴリ

【褂】ジャケット, オーバーコート

英語“jacket”と“overcoat”がユニコードの英語訓読に含まれている字で、それぞれ外套を意味しています。

【褐】ブラウン

英語“brown”で表される色の日本語名称のひとつで、黒みのある茶色を表しています。

【褥】クッション

椅子に敷く座布団を意味する英語“cushion”の外来語当て字で、本来の訓読み[しとね]の英訳です。基本的に〈座褥〉がクッションの漢字表記として用いられるのですが、典拠の昭和初期に発表された詩では、【褥】単独が当て字として使用されています。

【褲/裤】①ズボン, スラックス, パンツ. ②ゲートル

出典①愛知大学中日大辞典編纂所『中日大辞典(第三版)』(大修館書店)、②川本邦衛『詳解ベトナム語辞典』(大修館書店)

①現代中国語でズボンを表す字で、スラックスは英語“slacks”からの借用語で、パンツは英語“pantsで、ズボンの意味です。
②ベトナム語では帯状の脚絆の意味として使用され、読みは khố [コー] です。ゲートルとはフランス語“guêtre”に由来する外来語です。

【褶/襵】プリーツ

出典依藤醇ほか『中日辞典(第2版)』(小学館)

現代中国語で衣類の[ひだ]や[しわ]を意味する字で、『漢字源(改訂第五版)』にも【襵】が親字としてプリーツが意味欄に記載されています。

【襄】ジョー

英語の男性名 Joseph を略した“Joe”の当て字で、明治時代に英語風の名前としてよく付けられていたり、改名した人もいます。
故・市川森一さんの小説(講談社・刊)及びそれをもとにしたNHKのドラマ『蝶々さん』に〈襄・フランクリン〉という登場人物が登場ています。

【襖/袄】コート

出典川本邦衛『詳解ベトナム語辞典』(大修館書店)

ベトナム語でコートを意味する漢字。アオザイ áo dài のアオの字で、ベトナム語のチュノム表記ではコート類は先頭に【襖】の字が付加されます。

【襞】プリーツ

[ひだ]を意味する英語“pleat”の外来語当て字で、日本語では常に複数形になっているのが特徴です。

【襟/衿】カラー

[えり]を意味する英語“collar”に由来する外来語による当て字。〈高襟〉と書いてハイカラと読む例も見られるほど歴史のある当て字となっています。
ちなみにホワイトカラーの場合は【領】を使用し、〈白領〉と書きます。
なお、“襟カラー”という和語・外来語による重複表現も見られます。

―用例―
・【折襟】ギリーカラー
・【立襟】スタンドカラー
・【高襟】ハイカラ

【䙦】パジャマ

http://www.unicode.org/cgi-bin/GetUnihanData.pl?codepoint=4666&useutf8=true
石川県金沢市の創作漢字コンクールの受賞作品のひとつで、ころもへんに夢でパジャマの字があり、これと同型の漢字が既に存在しているので字形の衝突が起こったようです。
夢の字の上の本来のくさかんむりは左右が相反した形状で4画になっていて、創作漢字のパジャマはプラス状の形状が2つ並んだものとなっていました。
ちなみにパジャマは英語で“pajamas”となっていますが“pyjama”という綴りもあります。

【襦】①チョゴリ. ②ジュバン

出典①『新潮日本語漢字辞典』(新潮社). ②上田万年, 岡田正之, 飯島忠夫他『大字典』(講談社)

①韓国語〈저고리〉[jeogori] に由来する外来語で、朝鮮半島の伝統的な女性用民族衣装を意味しています。『新潮日本語漢字辞典』などで正式な訓読みとして認められている当て字です。

②ポルトガル語“gibão [ジバン]”に由来し、当て字〈襦袢〉が知られています。
『大字典』(講談社)で単独の場合でも訓読みとして認められています。

【襪/袜/韈/韤】ソックス

【襪】は[しとうず]という訓読みがあり、現代日本語で靴下に該当する単語となっています。それを“socks”と英訳した外来語当て字も稀に見られます。
現代中国語では〈短襪〉(簡体字表記は〈短袜〉)、韓国語漢字表記では〈洋襪〉(ハングル表記は〈양말〉[yangmal ヤンマル])がソックスの意味を表します。

【襫】レインコート

http://www.unicode.org/cgi-bin/GetUnihanData.pl?codepoint=896B&useutf8=true
英語“raincoat”がユニコードの英語訓読に含まれている漢字で、本来は雨よけに使用する簑の一種を示しています。

【襷】サッシュ

リレーや選挙などで使用する[たすき]の英訳が“sash”となっています。出典元のウィキペディア日本語版では宣伝用の襷の別名として紹介されていて、当て字用例がないのですが便宜上参考として取り上げておきます。

【襲/袭】レイド

出典円谷プロ, CBC『ウルトラマンネクサス』#1

出典元のサブタイトルで〈夜襲―ナイトレイド―〉という用例が見られます。
急襲や襲撃を意味する英語“raid”に由来しています。

―用例―
・【空襲】エアレイド

【襯/衬】シャツ

出典小林信明『新選漢和辞典(第七版2色刷)』(小学館)

英語“shirt”に対応する漢字のひとつ。漢和辞典では訓読みではなく、意味欄に記載されていることが多いです。

【襻】ループ

日本語の訓読みは[くみひも]を示す字で、中国語ではループ loop の意味を持っています。ループ状になっているものを表すようです。

【䙱】ワンピース

出典藤堂明保, 松本昭, 竹田晃, 加納喜光『漢字源(改訂第五版)』(学習研究社)

http://www.unicode.org/cgi-bin/GetUnihanData.pl?codepoint=4671&useutf8=true

『漢字源(改訂第五版)』で意味欄に“ワンピースの類が”取り上げられています。ワンピースは上下続きの服を意味する英語“one-piece”に由来する外来語で、上下続きのスカート付き女性服のことです。

にし, おおいかんむり【襾/覀/西】

【襾/覀】①カバー. ②ウェスト

①覆いを意味する英語“cover”に対応する漢字のひとつで、おおいかんむりという部首名を英訳した場合の説明に使えそうです。

②ユニコードの部首名では、冠になった形状が【西】に似ているため WEST が採用されています。

【西】①ウェスト. ②スペイン

出典学研辞典編集部『13か国語でわかる新・ネーミング辞典』(学習研究社)

①地名などで西の英訳“west”で当て字にする例が多いです。

②スペインの漢字表記〈西班牙〉の先の【西】を略語としたもので、スペイン語関連の書籍に多く見られます。

【覆/覄】カバー

覆いを示す英語“cover”による外来語当て字で、布やビニールなどの薄いもので覆うものを指しています。
ちなみに中国の簡体字では複や復と共に【复】に統合されていた時期があり、第二次簡化字方案ではおおいかんむりの下を《伏》と置き換えた独立した二簡字が草案当初には無かったが追加され、廃字となった後、正字【覆】に戻されました。シンガポールでも中国の簡体字を公式採用する以前は略字【覄】が採用されていました。

【覇/霸】ボス

首領・親玉を意味する英語“boss”に該当する漢字で、中国語では悪人のボスの意味として使用されています。中国語では、上部があめかんむりのものが正字となっています。