【当て字】漢字1文字で表現できる外来語まとめ【カタカナ訓読み】

たった一文字で外来語を示すことができる漢字をまとめます。原則的に日本語の訓読みが中心ですが、中国語訳のものも一部含みます。基本的に並びは部首順となっております。ユニコードを含むので、ユニコードフォントが必須です。

更新日: 2013年12月12日

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【諧/谐】ユーモア

フランス語“humour”及び英語“humor”に由来する外来語に該当する漢字で、一般的には〈諧謔〉でユーモアの意味となります。
ちなみにユーモアは〈幽黙〉(中国語では〈幽默〉[yōumò ヨウモー])という当て字もあります。

【諱/讳】タブー

中国語では[いみな]という“口に出してはいけない本名”の意味から転じて、忌避すべき言葉を示す英語“taboo”に該当する意味を持つようになった字です。

【諺/谚】①マキシム. ②プロバーブ

①格言・金言・箴言を意味する英語“maxim”より。意味が近い[ことわざ]を表す漢字で当て字にしたものです。

②[ことわざ]を英訳した“proverb”がユニコードの英語訓読に採用されています。

【謎/谜】①エニグマ. ②ミステリー. ③パズル. ④クイズ

出典①②笹原宏之『当て字・当て読み漢字表現辞典』(三省堂)、④依藤醇ほか『中日辞典(第2版)』(小学館)

①古典ギリシャ語“αἴνιγμα”に由来する英語“enigma”を借用して当て字にしたもの。当て字頻度の高い字で、この場合、不可解な[なぞ]のニュアンスがあります。

②不思議や神秘を意味する英語“mystery”に由来していて、この場合は古代文明など太古からの[なぞ]のイメージに近いです。

③なぞ解きを意味する英語“puzzle”がユニコードの英語訓読に含まれています。これはとんちを外来語にしたニュアンスのようです。

④中国語での意味のひとつで、“quiz”のことです。なぞなぞを外来語で表現したものとして、当て字に使用できそうです。

【謡/謠】①デマ. ②フォークソング, バラッド

出典①鎌田正, 米山寅太郎『大漢語林』(大修館書店)

①扇動や悪い噂を意味する英語“demagogue”に由来する外來語で、ほとんどの漢字辞典で意味欄に記載されていますが、正式な訓読みに認められていません。言葉で揺さぶる意味らしいようです。

②いずれもユニコードの英語訓読に含まれていて、前者は民謡を意味する英語“folksong”、後者は歌謡曲を意味する英語“ballad”に由来しています。

【譚/谭】ストーリー

物語やお話を意味する英語“story”より。厳密には〈冒険譚〉と書いてストーリーと読む当て字があるのですが、単独でも当て字にできそうです。
ユニコードの英語訓読では“story”ではなく“talk”となっていますが、実際の字義のニュアンスと異なるようです。

【譜/谱】スコア

楽譜を意味する英語“score”に該当する字で、楽譜だけでなく野球のスコアにも該当しています。

【警】①ポリス. ②アラート, アラーム

①警察を略した【警】が英語“police”の外来語当て字として使用されることがありますが、ユニコードの英語訓読には採用されていないようです。

②警報を意味する英語“alert, alarm”がユニコードの英語訓読に含まれていますが、警報の略語としてはあまり見られないようです。

【護/护】プロテクト, ガード

英語“protect”と“guard”に該当する漢字で、前者は保護、後者は守護を意味しています。後者で外來語当て字読みにすると強い意味合いがあるようです。

【讔】①リドル. ②ジャーゴン

http://www.unicode.org/cgi-bin/GetUnihanData.pl?codepoint=8B94&useutf8=true
①なぞなぞを意味する英語“riddle”に該当する漢字ですが、ユニコードの英語訓読には採用されていません。ちなみに日本語の訓読みも“なぞ”です。

②本来の意味である隠語の英訳“jargon”は、他にも業界用語などの専門用語を意味しています。隠語の《隠》が声符になっている会意形声文字で、ごんべんが《語》の省略形となっています。

【讖/谶/䜟】プロフェシー, オーメン

英語で予言・預言を意味する“prophecy”と予兆・前兆を意味する“omen”に対応する漢字です。本来は予言書を意味する字です。

【讙】チア

応援や声援、喝采を意味する英語“cheer”がユニコードの英語訓読に採用されています。騒がしい意味があるので、派手な声援を意味しているようです。

たにへん【谷】

【谷】バレー

[たに]を英訳した“valley”がそのまま外來語当て字になっている例が見られます。ユニコードの部首名も VALLEY です。
中国語ではアメリカのシリコンバレーの訳字として、シリコン=硅とバレー=谷、と直訳した〈硅谷〉となっていて、日本の東京都渋谷区も、ビター→ビット=渋とバレー=谷を組み合わせた〈ビットバレー〉というIT企業集積地運動が行われていたこともありました。

―用例―
・【硅谷】シリコンバレー
・【渋谷】ビットバレー

【谺】エコー

こだま・山彦を意味する英語“echo”に由来する外來語で、たにへんが山をイメージしています。
当て字としては他にも山彦から転じて反響や響きの意味も表している例も見られます。

【䜮】ディープバレー

http://www.unicode.org/cgi-bin/GetUnihanData.pl?codepoint=472E&useutf8=true
深い谷を意味する英語“deep valley”を表す字。CJK漢字拡張-Aに見られる字で、使用頻度は極端に少ないです。

まめへん【豆】

【豆】ビーン, ビーンズ, ピース

マメ類を意味する英語“beans”と“peas”に由来する外來語で、当て字も結構多く見られ、ピースはエンドウ豆やグリーンピースの類、ビーンズはその他の豆類の当て字に見られるようです。ユニコードの部首名は BEAN です。

―用例―
・【緑豆】グリーンピース
・【小豆, 紅豆】レッドビーン
・【珈琲豆】コーヒービーンズ
・【大豆】ソイビーンズ

【豇】キドニービーン

http://www.unicode.org/cgi-bin/GetUnihanData.pl?codepoint=8C47&useutf8=true
日本語の本来の訓読みが[ささげ]になっている字です。英語“kidney bean”に該当する字で、マメ目マメ科インゲンマメ属のインゲンマメを意味しています。ユニコードでは“small kidney bean”と解釈していて、小さなインゲンマメを表しています。

【豊/豐/丰】①リッチ. ②プレンティ

①[ゆたか]を英語“rich”で直訳した外來語当て字で、豊富なことを表しています。

①豊富・豊穣を意味する英語“plenty”がユニコード英語訓読に含まれています。

【豌】グリンピース, ピース

訓読みが[えんどう]となっている字で、マメ目マメ科エンドウ属のエンドウマメの未熟の豆が“green pea”で、成熟した豆が“pea”となっています。ユニコードの英語訓読では後者の複数形“peas”のみ採用されています。

【䝁】レンティル

http://www.unicode.org/cgi-bin/GetUnihanData.pl?codepoint=4741&useutf8=true
マメ目マメ科ヒラマメ属に属するレンズマメの英語名“lentil”から。ユニコードでは“a kind of wild leguminous plants; wild green lentils「野生のマメ科の一種で、野生の緑レンズマメ」”と解釈されています。
CJK漢字拡張-Aは知られていない漢字が多いため、英語訓読が解説文のように長くなっています。

【䝄】カウピー

http://www.unicode.org/cgi-bin/GetUnihanData.pl?codepoint=4744&useutf8=true
マメ目マメ科ササゲ属のササゲを意味する英語“cowpea”がユニコードの英語訓読に含まれています。香港の文字コードにのみ見られる漢字で、広東語のみに使用されていると思われます。

いのこへん【豕】

【豕】ピッグ, ボアー

ユニコードの部首名はブタの象形文字であることにちなんで PIG となっていて、ブタを意味していますが、日本語の[いのこ]はイノシシの子の意味なので、ユニコード英語訓読では“boar”も含まれています。

【豚】①ピッグ. ②ポーク

①[ぶた]の英訳“pig”より。外来語当て字としては皮革産業系で多く見られます。ユニコードの英語訓読では“small pig”と解釈されていて、子ブタを示しています。

②ブタ肉を意味する英語“pork”より。食品関連で当て字が見られます。にくづき=肉と豕の会意文字なのでわかりやすいです。

【象】①エレファント. ②アイボリー. ③フィギュア

①英語“elephant”に由来する外来語当て字で、文字通り[ゾウ]のことを意味しています。

②英語“ivory”がユニコードの英語訓読に採用されていて、象牙のことを意味しています。象牙を略して象とし、アイボリーと当て字にする例も少ないながらもあるようです。

③物の形状を意味する[ショウ]に該当する“figure”がユニコードの英語訓読に含まれています。中国語簡体字では当初【像】が象と統合されていたのですが、二簡字で像が別の略字に置き換えられ、二簡字廃止後は像と象が従来通りの別字となりました。

【豦】①ワイルドボア. ②ファイト

http://www.unicode.org/cgi-bin/GetUnihanData.pl?codepoint=8C66&useutf8=true
①ユニコードの英語訓読では“wild boar”が見られ、野生のイノシシの意味となっています。

②日本語の本来の訓読みは[やめない]ですが、ユニコードでは戦う意味と解釈されています。虎とイノシシが戦っているさまを表しているような会意文字で、イノシシが虎と戦うことをやめないことのようです。

【豪】①オーストラリア. ②ブレイブ

①オーストラリアの漢字表記〈濠太剌利〉の【濠】が本来の略称だったのですが、戦後の当用漢字制定後に【豪】が新たな略称として制定され、現在の日本で定着しています。

②勇敢や勇者を意味する英語“brave”がユニコードの英語訓読に含まれています。剣豪や豪傑などの響きが強いです。

むじなへん【豸】