2010年01月07日
なぜHDDの回転軸の部分を押すと、壊れたHDDが読み込めるようになるのか
そういう質問を社内の人から尋ねられたので、このブログの昨日の記事を読んでいる人も疑問に思うかな、心配になりました。
この記事ではその辺のことを説明します。
といっても、ボクもHDDの設計をしているわけじゃないし、その道の専門家ではないので、ある程度、予想する部分もありますが、説明するなら、こんな感じです。
今回のハードディスクは、ハードディスク内部の磁気ディスク(プラッタ)が、規定の回転数まで上がらなかった、というのが故障原因でした。
もし、ハードディスクに電源が投入されたとき、プラッタと読み取りヘッドが固着して回転しない、という故障の場合、ハードディスクの裏面の制御基板上のスピンドルモータに電源を供給している回路が焼けます。(場合によっては炎を上げて燃えます)
過去に、そういう故障もいくつか経験しました。SCSIハードディスクに多いです。
HDDが燃えるという事例は、たぶん、ほとんどが「プラッタが回転しなかった」場合だと思います。
(この事例は過去に記事にしてますよ。)
で、ハードディスクに電源が供給され、無事にプラッタが回転し始めた後で、回転数が規定値に達しない、という故障の場合、その原因は間違いなく「軸受け」にあります。
つまり、回転し始めたプラッタの回転運動を阻害するものがあるので、回転数が上がらないわけです。
ハードディスクの場合、プラッタを上下に震動させずに回転させる必要があるので、軸受け構造はかなり精密に作られています。
通常、軸受けには、オイルベアリングを使うのが一般的ですが、ハードディスクの場合、10年前ぐらいから「流体軸受け」と呼ばれる、ベアリング構造ではない、オイルなどの流体をうまく使った軸受けが一般的になりました。
この流体軸受けを採用したハードディスクは軸受け部分の抵抗が少なくできるので、プラッタを高回転で回せるようになるんですね。
回転運動を続ける上で軸受け抵抗、言い換えると「回りにくさ」が少なくてすみます。
ところが、同時にハードディスクの動作時の熱源はスピンドルモータなので、その回転軸は常に熱にさらされることになります。
ハードディスクの運用時間が長くなるにつれ、軸受け部分のオイル(グリス)は熱せられ、劣化していきます。
劣化すると、当然、「回りにくく」なります。
ある部分は、流体だったオイルが固着して、回転運動を阻むようになっているかもしれません。
スピンドルモータは、プラッタの重みも手伝って、少々の回転運動の抵抗を打破することはできますが、軸受けのオイルの劣化によって、回りにくくなった回転軸が、スピンドルモータの力を上回ったとき、規定の回転数まで上がらない、という症状になります。
昔の機械なら、ここで油を挿せば、またうまく回転するようになるんですが、ハードディスクの軸受けは大変精密にできていて、基本的にはメンテナンスフリーなので、油を挿せるような構造ではありません。
つまり、軸受けのオイルが劣化して、回転数が上がらなくなったらそれで終わり、ということです。
今回のハードディスクの故障がそれでした。
ハードディスクは自分自身の基本情報を、プラッタに記録しているので、プラッタの回転数が上がらなければ、サーバ側に何も伝えられないんですね。
その結果、OS上ではI/Oエラーという結果になります。
で、今回はその軸受け部分を指で強く押したんです。
精密機器といっても、材質はアルミ合金なので、指で思いっきり押せば、少しはひずみます。
そのようなひずみを意図的に与えることによって、固着したオイルが変化したり、回転抵抗にならない部分に移動しないかな、と思って必死に押したんです。
で、結果的にそれが良かったみたいですね。
一時的にせよ、回転数が規定の10000rpmまで上がり、正常動作したんですから。
ハードディスクのスピンドルモータの発熱対策は色々なメーカーが思考を凝らしています。
それは、ここに書いたように回転軸の寿命を延ばすためなんですね。
もちろん、外部からの冷却も重要で、冷却がうまくできないサーバのハードディスクは、やっぱり寿命が短くなります。
ちなみに、SCSIハードディスクの場合、代替セクタが用意されているので、障害が発生するのは機械構造の部分になりますが、IDEやSATAハードディスクの場合、故障の一番の原因は不良セクタです。
なので、IDEやSATAハードディスクの故障時には回転軸を押しても、あまり効果がありません。
ご注意を。
この記事ではその辺のことを説明します。
といっても、ボクもHDDの設計をしているわけじゃないし、その道の専門家ではないので、ある程度、予想する部分もありますが、説明するなら、こんな感じです。
今回のハードディスクは、ハードディスク内部の磁気ディスク(プラッタ)が、規定の回転数まで上がらなかった、というのが故障原因でした。
もし、ハードディスクに電源が投入されたとき、プラッタと読み取りヘッドが固着して回転しない、という故障の場合、ハードディスクの裏面の制御基板上のスピンドルモータに電源を供給している回路が焼けます。(場合によっては炎を上げて燃えます)
過去に、そういう故障もいくつか経験しました。SCSIハードディスクに多いです。
HDDが燃えるという事例は、たぶん、ほとんどが「プラッタが回転しなかった」場合だと思います。
(この事例は過去に記事にしてますよ。)
で、ハードディスクに電源が供給され、無事にプラッタが回転し始めた後で、回転数が規定値に達しない、という故障の場合、その原因は間違いなく「軸受け」にあります。
つまり、回転し始めたプラッタの回転運動を阻害するものがあるので、回転数が上がらないわけです。
ハードディスクの場合、プラッタを上下に震動させずに回転させる必要があるので、軸受け構造はかなり精密に作られています。
通常、軸受けには、オイルベアリングを使うのが一般的ですが、ハードディスクの場合、10年前ぐらいから「流体軸受け」と呼ばれる、ベアリング構造ではない、オイルなどの流体をうまく使った軸受けが一般的になりました。
この流体軸受けを採用したハードディスクは軸受け部分の抵抗が少なくできるので、プラッタを高回転で回せるようになるんですね。
回転運動を続ける上で軸受け抵抗、言い換えると「回りにくさ」が少なくてすみます。
ところが、同時にハードディスクの動作時の熱源はスピンドルモータなので、その回転軸は常に熱にさらされることになります。
ハードディスクの運用時間が長くなるにつれ、軸受け部分のオイル(グリス)は熱せられ、劣化していきます。
劣化すると、当然、「回りにくく」なります。
ある部分は、流体だったオイルが固着して、回転運動を阻むようになっているかもしれません。
スピンドルモータは、プラッタの重みも手伝って、少々の回転運動の抵抗を打破することはできますが、軸受けのオイルの劣化によって、回りにくくなった回転軸が、スピンドルモータの力を上回ったとき、規定の回転数まで上がらない、という症状になります。
昔の機械なら、ここで油を挿せば、またうまく回転するようになるんですが、ハードディスクの軸受けは大変精密にできていて、基本的にはメンテナンスフリーなので、油を挿せるような構造ではありません。
つまり、軸受けのオイルが劣化して、回転数が上がらなくなったらそれで終わり、ということです。
今回のハードディスクの故障がそれでした。
ハードディスクは自分自身の基本情報を、プラッタに記録しているので、プラッタの回転数が上がらなければ、サーバ側に何も伝えられないんですね。
その結果、OS上ではI/Oエラーという結果になります。
で、今回はその軸受け部分を指で強く押したんです。
精密機器といっても、材質はアルミ合金なので、指で思いっきり押せば、少しはひずみます。
そのようなひずみを意図的に与えることによって、固着したオイルが変化したり、回転抵抗にならない部分に移動しないかな、と思って必死に押したんです。
で、結果的にそれが良かったみたいですね。
一時的にせよ、回転数が規定の10000rpmまで上がり、正常動作したんですから。
ハードディスクのスピンドルモータの発熱対策は色々なメーカーが思考を凝らしています。
それは、ここに書いたように回転軸の寿命を延ばすためなんですね。
もちろん、外部からの冷却も重要で、冷却がうまくできないサーバのハードディスクは、やっぱり寿命が短くなります。
ちなみに、SCSIハードディスクの場合、代替セクタが用意されているので、障害が発生するのは機械構造の部分になりますが、IDEやSATAハードディスクの場合、故障の一番の原因は不良セクタです。
なので、IDEやSATAハードディスクの故障時には回転軸を押しても、あまり効果がありません。
ご注意を。