著書『恋愛依存症のボクが社畜になって見つけた人生の泳ぎ方』(ヨシモトブックス)が好評発売中の須田仁之氏。現在、複数のベンチャー企業の役員・顧問を務める彼と、同郷の茨城県牛久(うしく)市出身で、本書の帯にコメントを寄せているフルーツポンチ・村上健志の対談が実現しました!
同郷というだけでなく、本業の傍ら小説を上梓した須田氏、芸人でありながら短歌や俳句を詠み一定の評価を得ている村上と、なにかと共通点の多い2人。話していくうちに、さらなる共通点が見つかったようで……。
村上健志(写真左)、須田仁之(写真右)
出典: ラフ&ピース ニュースマガジン
「“童貞魂”を大事にした」牛久でのモテない中・高生時代
須田「お互いに牛久出身ですよね。牛久で過ごした少年時代はどんな感じだったんですか?」
村上「僕はずっと目が悪くてメガネをかけてたんで、中学生の頃はいわゆる“イケてない中学生”でした。別に暗くはないしいじめられてもないですけど、女っ気もゼロでまったくモテないし……」
須田「高校時代は?」
村上「メガネからコンタクトにしたんです。進学校だったんで、ちょっと自信もついて。中学時代でも、親にお願いすればコンタクトにできたと思うんですが、メガネをかけてカッコ悪いことよりも、周りから“こいつ、コンタクトにしたらカッコいいと思ってんの?”と思われることの方が怖くて(笑)」
須田「わかります(笑)」
村上「“カッコつけてる方がカッコ悪い”と思ってたんで。高校では頑張ろうとしたんですけど、恋愛に対して大げさに考えちゃうというか……須田さんの本にもそういうシーンがあってすごく共感しました」
須田「一途になっちゃうみたいな。キモいやつですね(笑)」
村上「いわゆる“童貞魂”みたいなものを、むちゃくちゃ大事にしちゃって。“せっかく捨てるならとびっきりじゃなきゃ”と思って、結局高校時代も誰とも付き合わず」
須田「同感です。僕はフラれましたけど」
村上「僕はフラれることもできず……」
「すごい人になるしかない」と思い、芸人の世界へ
出典: ラフ&ピース ニュースマガジン
須田「大学は、やっぱり東京の大学に行きたかったんですか?」
村上「もし自分が中・高と充実してたら、きっとどこでもよかったと思うんです。けど、高校に入っても理想の自分になれなかったときから、“自分が変わる”っていう感覚がなくて、“自分はそもそも備えているはずなのに、周りが悪いだけだ”って環境のせいにしていて、“東京なら僕に見合うキレイな人がいるはず……”って」
須田「あぁ~、わかる(爆笑)! すげぇわかる!」
村上「そう思って、東京の大学を受けました」
――まさに須田さんの著書の内容と同じですね(笑)。
須田「で、大学に入ってどうだったんですか?」
村上「大学1年生のときに初めて女の子とデートをして、勇気を出して初めての告白もできました。フラれましたけど。その後、3年生のときにバイトで知り合った人と付き合って」
須田「大学のときに初めて女の子と付き合ったというのも、僕とまったく同じですね。芸人を目指したのはいつ頃なんですか?」
村上「大学時代ですね。大学時代の優越感って、“かわいい子と付き合ったことがある”みたいな“経験の有無”じゃないですか。だからこのまま就職して会社の人たちと自分を比べたときに、過去が幸せだった人の方が優越感があるんじゃないかって考えたら、“すごい人になるしかない”って思って」
須田「当てにいってるわけですね」
村上「で、4年生のときに映画学校に行くんです」
須田「僕と似てる。3年生の頃、コピーライター養成所に行きました(笑)」
村上「でも、その映画学校は僕には合わず……。結局、そこの同級生に“お笑い行かない?”って誘われて、東京のNSCに入りました」
須田「周りから“おまえ大丈夫?”みたいなこと言われませんでした?」
村上「そうですね。周りはみんな就活中だったんで。でも“おまえ大丈夫?”って言われることの優越感はありましたけどね。普通ではない、みたいな(笑)」
須田「普通のサラリーマンとは違うぞ、と。もうそこで舵を切られてるんですね」
お笑いとベンチャーは似ている!?
出典: ラフ&ピース ニュースマガジン
――本作には、まさに村上さんが選ばなかった「サラリーマンの世界」が描かれていますが、読まれてどんな感想を持たれましたか?
村上「まったく知らない世界ですけど、憧れと、絶対イヤだなっていうのと……」
須田「イヤですよ」
村上「実際やるとなったらイヤだと思うんですよ。でも、与えられるっていうことのラクさって言ったら失礼ですけど、あれほど“もうやるしかない!”という環境に放り込まれて」
須田「それはあります」
村上「“自分は何かできるかも”っていう感覚も削り取られて……」
須田「考えてるヒマないですからね。“奴隷”ですから、まったく自由はありません」
村上「だから、怖いけど“やってる感”はあるんでしょうね。僕はこれまでなにかをやり抜いたって思うことがそんなになくて。もちろん、芸人になってからはありますけど」
須田「芸人になって“やり抜いたな!”って感じたことってなんですか?」
村上「オーディションを受けて、だんだんテレビ番組の出演が増えてきたんですけど、ネタのストックも切れてきて。ネタを作らなきゃいけなんですけど、テレビに出られるようになった頃って女の子にモテだすんですよ。だから、いちばん遊びたい時期にネタを作んなきゃいけないのがめちゃめちゃキツくて……」
須田「なるほど、20代で成功してる起業家と同じだ。一発当てて、そこから上ってくみたいなところが、結構ベンチャーとお笑い芸人さんって似てますね」
――この本を読んで、芸人と起業家との間に似ているところを感じましたか?
村上「仕事内容はまったく違いますけど、芸人としてではなく個人的に、“ヒエラルキーのトップじゃない人の青春”っていう意味で共感しました」
――帯のコメントにも、「偉人ではないこの人の話なら聞きたいと思えた」と書かれてましたね。
村上「そうなんです。僕はちゃんと弱いし、正しくないことがたくさん載ってる方が好きなんですよ。だから須田さんの本はすっと入ってきたっていうか。信頼できるなっていうか…共感できましたね」
ベンチャーの世界でも「セレンディピティ」は大事
出典: ラフ&ピース ニュースマガジン
須田「村上さんは、俳句でも注目を浴びていますよね。そもそも、どういうきっかけで『プレバト!』に誘われるようになったんですか?」
村上「スタッフさんと知り合いだったんです。もともとNHKで短歌の番組をやらせてもらってたんで、その人に“最近俳句も始めたんです”って話して」
須田「短歌の番組はどうやって始まったんですか?」
村上「芸人の先輩とやってて、どうせやるならライブでやろうってことになって。そのうち、噂を聞いた番組スタッフさんがライブを観に来てくれたんです」
須田「そういう偶然でつながっていくんですね。結局ベンチャーって、すごく確率の低い“一発当てるゲーム”なんで、そういうセレンディピティ(=幸運な偶然を手に入れる力)みたいなものを掴むかどうかも重要で。もちろん、ベースがあったうえでそれを掴まないと上がれないんで、ご自身で動くことが重要なんですよね。ちなみに、短歌を始めたきっかけは?」
村上「偶然『サラダ記念日』を読んだんですよ。もちろん昔から知ってるけど、1冊全部を読んだことはないなと思って読んでみたら面白くて。それが4~5年前ぐらいですね」
須田「今さら(笑)」
村上「で、短歌って面白いなって思ってたら、先輩も偶然サラダ記念日を最近読んだらしくて」
須田「怖い(笑)」
村上「これは何かの巡り合わせかなって思って、3日後ぐらいに日帰りで一緒に旅行して親睦を深めて……。たまたまが重なるから、“これは導かれてる”っていう感覚で動きました」
須田「やっぱり行動力ありますね~!」
世界はもともと美しいし、そもそも愚かなんです
――須田さんは以前、IT業界にいながら啓発的なことが合わないとおっしゃっていましたね。
須田「イヤですね。上から目線でものを言ってくる人が多いんです。知らんがな、みたいな」
(一同笑い)
須田「30代が本格的な僕のITベンチャー時代なんですけど、結構エグいんですよ。SNSでマウンティングとってばっかで、虚栄心ばかりのなかなか醜い世界なんで。俳句とかをたしなんで、美しい心を取り戻したいなっていうのが今の気持ちです(笑)」
――俳句を詠むと、心の浄化作用があるんですか?
須田「(村上が以前)“色が増える”っておっしゃってましたよね。僕も色を増やしたいなって。すごくうらやましいです」
村上「僕もプロじゃないんであんまり偉そうなことは言えないですけど、超カッコつけて言えば、世界はもともと美しいし、そもそも愚かなんですよ。僕らの主観でそれを導き出すのではなくて、そもそもそういう世界を発見できるかっていう、いわゆる“客観視”が俳句や短歌では必要になってくる。その感覚で世の中に触れられると、優しくも美しくもなれるし、人が見すごすようなものにも物語性を感じられるようになるっていうことだと思うんです」
須田「なるほど……。村上さんは本は読まれるんですか?」
村上「短歌とか俳句を始めてからは、いわゆる文学作品も読むようになりましたね」
須田「じゃあ、ここ3~4年?」
村上「そうです。村上春樹さんの作品も読むようになったんですけど、面白くてもオチがないことがたくさんあるんですよ。でもそれを俳句を教えてくれてる人に話したら、“結局、現実にオチなんかない”って言われて。たとえば(村上春樹の作品で)、“あんなに引っ張ったのに、結局友達が自殺した理由がわからない”って物語があって。でももし、現実に僕の友達が自殺したとしても、その理由はきっとわからないままだと思うんです。見てきたものの場所に立たせるのが短歌や俳句のやり方なんで、そう思うと確かになぁって。気持ち悪いままでいいんだ、って思ったら面白くなって」
――村上さんは小説の執筆にも興味はあるんですか?
村上「いや~、憧れはありますけど……」
須田「やりましょうよ! 牛久文学というジャンルを作りましょう(笑)」
同郷や文筆業だけでなく、思春期の過ごし方やマインドセットなど、数多くの共通点が浮き彫りになった須田氏と村上。村上も絶賛する、“普通の人”の青春が描かれた小説「恋ボク」を、ぜひお手に取ってみてくださいね!
『恋愛依存症のボクが社畜になって見つけた人生の泳ぎ方』
出典: ラフ&ピース ニュースマガジン
著:須田仁之
刊行:ヨシモトブックス
価格:1,404円(税込)
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