2020年9月13日
椎間板の再生医療?
元々衆議院議員をしていまして、臨床では厚生労働省や研究では文部科学省の官僚の方々と意見交換をしていました。今でもその関係で役人の方々と意見交換をしています。さて、神戸大学医学部ラグビーの先輩である山中伸弥先輩のiPS細胞の研究がノーベル医学生理学賞を受賞したことをきっかけに再生医療という言葉はかなり世間に浸透していると思います。しかしながら、その再生医療も言葉が一人歩きして、何でもかんでも再生医療や再生という言葉を使って、さも有効であるような宣伝をする医療機関が後をたちません。患者の皆様方には充分に気をつけてください。その見分け方についてお話しをさせて頂きます。山中先輩の功績により、2013年に再生医療医療等の法案が出来上がった後は、本来は再生医療という言葉は再生医療委員会を通して、承認を経てからの厚生労働省の届出や承認が必要です。再生医療の法案ではiPS細胞に関連するものが1類、幹細胞に関連するものが2類、細胞治療に関連するものが3類となり、それぞれに承認や届出が必要となります。逆に言うとこれらの承認を経てない再生医療や再生と言う言葉は全て偽物で危険が伴います。ちなみに当院でPLDDと共に行っているNKT細胞標的治療はNKT細胞という免疫細胞を用いているので再生医療委員会の承認を経て第3類として認められています。はっきり申し上げて現在ではまだ椎間板を含め軟骨の再生は臨床ではまだ研究段階です。山中教授のiPS細胞を用いての軟骨の再生医療には私はかなり期待をしていまして、もう少しの段階です。しかも椎間板ヘルニアは脊椎と脊椎、つまり骨と骨との間が狭くてなってはみ出した部分が神経を圧迫しているのにその部分にインプラントや異物を入れるのであれば従来の固定術のようにヘルニアがはみ出した椎間板を取り去る必要があります。悪くなった椎間板を取り去ったあとインプラントを入れるのはわかりますが、よくわからないインプラントになるという液体を入れるとボリュームがさらに増え悪化するばかりで当院にもその相談が絶えません。もし軟骨が復活するのであれば膝の軟骨もその薬剤で治せるはずなのにその報告がありません。私はPLDDだけにこだわるわけではなく、症例によっては内視鏡を含め切開手術をお勧めする場合もあれば、薬剤によって椎間板のボリュームを減らすヘルニコアもお勧めする場合もあります。いま椎間板を再生させたり、修復させる薬剤はありません。けれども、最近、椎間板ヘルニアの治療もネットを見ていると無法地帯となっていまして、厚生労働省もネットパトロールを立ち上げましたが追いついていません。皆様重ねて申し上げますが、充分にお気を付けてください。