COVID-19発症1カ月後に再検査が必要な可能性
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後に、体からウイルスが完全に排出されるのには1カ月以上かかることもあることが報告された。イタリアの保健サービス組織であるAUSL(Azienda Unita Sanitaria Locale)のFrancesco Venturelli氏らの研究によるもので、詳細は「BMJ Open」9月2日オンライン版に掲載された。この結果を基に、著者らは「COVID-19患者は、罹患後4週間以上経過してから再検査を受ける必要がある」と述べている。
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この研究は、イタリア北部のレッジョ・エミリア(人口53万2,000人強)の居住者のうち、2月26日~4月22日に鼻咽頭拭い液のRT-PCR検査で陽性と判定され自覚症状のある全てのCOVID-19患者を対象に行われた。対象者数は4,538人で、そのうち1,259人は前記の期間中にPCR検査が少なくとも1回陰性となり、465人が死亡した。
全体の1,162人は、診断から30日以上追跡可能だった。それらの患者には、最初の検査から14.7±10.4日後に2回目の検査、その14.0±8.0日後に3回目の検査、さらに9.2±4.1日後に4回目の検査が行われていた。
この1,162人中、60.6%に当たる704人が追跡期間中に、PCR検査の結果が陰性になった。陰性になるのに要した期間の中央値は、診断から30日(四分位範囲23~40日)、発症からは36日(同28~45日)だった。また、検査結果が陰性となり、その後の検査で再び陰性が確認されたのは78.7%だった。このことから、陰性判定の5分の1強は偽陰性であることが示唆された。
これらの結果からVenturelli氏は、「COVID-19から臨床的に回復したと判断される人に対し、ウイルス拡散リスクのない不必要な隔離を避け、かつ、感染リスクの存在する期間を特定することの重要性が、明確に示された」と述べている。
今回の研究では、PCR検査の結果が陰性になるのに要する期間が、年齢やCOVID-19の重症度によって異なることも明らかになった。例えば50歳未満では発症から陰性になるまでの期間の中央値が35日(四分位範囲26~44)なのに対し、80歳以上では38日(同28~44)だった。重症度に関しては、入院を要さなかった場合の中央値は33日(同25~41)に対し、入院患者では38日(同30~47)だった。年齢と性別で調整後、診断から1日経過するごとにオッズ比1.16(95%信頼区間1.06~1.26)の割合で陰性判定が増えることも分かった。
Venturelli氏は、「隔離終了の要件を『再検査で少なくとも1回陰性となること』としている国においては、発症から30日後が最も効率的で安全な再検査のタイミングではないか」と提案している。米ニューヨーク大学ランゴン医療センターのMarc Siegel氏は、再検査の時期が重要であるというVenturelli氏の主張に同意を表し、「初回の検査から1カ月後に再度検査を受けるよう、患者に伝えている」と述べている。
なお、COVID-19からの回復者に再検査を勧めることに関連して留意すべき事項として、COVID-19の新規発症疑いのある患者の検査機会を奪ってはならないことが挙げられる。「検査キットはいまだに不足しており、十分な検査体制が整うまで、再検査を大規模に行うことを控える必要がある」と同氏は指摘している。
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