川崎市幸区のアパートで2009年、大家ら3人を刺殺したとして殺人罪に問われ、横浜地裁の裁判員裁判で死刑判決を受けた無職津田寿美年被告(59)が5日までに、東京高裁への控訴を取り下げ、刑が確定した。裁判員裁判の死刑確定は、2件目。
津田被告は4日、勾留中の横浜拘置支所を通じて、控訴を取り下げる文書を提出した。死刑判決後の先月28日に弁護団が接見した際、被告は当初「死刑判決は覚悟の上です」と控訴しない意向を示していたが、弁護団が「判決を検討する時間があってもいいのでは」と話し、控訴を受け入れていた。
一審で主任弁護士を務めた田中栄樹弁護士は「控訴審の判断を待たずに死刑判決が確定してしまうことは残念。津田被告なりのけじめのつけ方だったと理解している」とコメント。遺族の一人は、遺族代理人を通じて「本人が不満を持ちながら刑が執行されるのは意味がないと思っていた。罪を受け止める気になったのかと思う。気持ちに区切りをつけたい」とコメントした。
一審で裁判員を務めた男子大学生(22)は「考えて出した結論なので、受け入れてくれてほっとしている」と話した。
一審判決によると、津田被告は09年5月30日早朝、隣室に住む柴田嘉晃さん=当時(71)=を刺殺。駆け付けた柴田さんの妻の敏子さん=同(68)=と、兄でアパート大家の昭仁さん=同(73)=を殺害した。
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