川崎市幸区のアパートで2009年、大家ら3人が殺害された事件で、殺人罪に問われ、裁判員裁判で審理した横浜地裁が死刑を宣告した無職津田寿美年被告(59)の弁護団が29日、主に量刑不当を理由に東京高裁に控訴した。
主任弁護人の田中栄樹弁護士は「死刑は重すぎる」と説明。「被告が自宅アパートの隣室に住む柴田嘉晃さん=当時(71)=からドアの開閉音などで長年嫌がらせを受けてストレスを蓄積、爆発させた」と弁護側は主張していたが、判決が認めなかったという事実誤認も控訴理由と述べた。
一審弁護団は控訴審を担当しないという。
弁護団によると、判決当日と28日に被告と接見。被告は当初、「死刑判決は覚悟の上です」と控訴しない意向を示していたが、弁護団が「一審の弁護人として控訴する。(控訴審を通じて)ほかの弁護士と判決を検討する時間があってもいいのでは」と話すと、同被告は「分かりました」と述べたという。
横浜地裁の一審で裁判員を務めた男子大学生(22)は控訴を受け、「控訴審の結果には注目している」と話した。
判決によると、津田被告は柴田嘉晃さんの立てるドアの開閉音に悪感情を募らせ、09年5月30日早朝、柴田さんを刺殺。駆け付けた柴田さんの妻の敏子さん=同(68)=と、兄でアパート大家の昭仁さん=同(73)=を刺殺した。
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