川崎市幸区のアパートで2009年、大家ら3人が殺害された事件で、殺人罪に問われた無職津田寿美年被告(59)の裁判員裁判判決で、横浜地裁(秋山敬裁判長)は「3人を殺害した結果は誠に重大」として、求刑通り死刑を言い渡した。裁判員裁判の死刑判決は6人目。県内では昨年11月、強盗殺人罪などに問われた被告(33)=死刑確定=に次いで2人目となった。
判決は、冒頭に主文で死刑が告げられ、最高裁判決が示した死刑選択の基準「永山基準」に従って検討したと説明した。
秋山裁判長は、隣室に住んでいた柴田嘉晃さん=当時(71)=と現場に駆け付けた大家らも殺害したことについて「無抵抗な被害者を強い力で突き刺すなど執拗(しつよう)かつ残忍」、「遺族が極刑を望むのも当然」と述べた。
弁護側が酌量の余地があると主張した動機や経緯について、判決は「嘉晃さんの立てるドアの開閉音で悪感情を募らせ刺殺した」とし、「転居を申し込むなど被告なりの努力はあったが、嘉晃さんの対応に殺害されるような落ち度があったとは言えない。ほか2人は動機らしい動機もなく殺害した」と認定。「事件の経緯など被告の有利な事情を考慮しても、死刑はやむを得ない」と結論付けた。
判決によると、津田被告は09年5月30日早朝、自宅アパートの隣室などで、柴田嘉晃さんと妻の敏子さん=同(68)=、柴田さんの兄でアパート大家の昭仁さん=同(73)=を刺殺した。
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◆永山基準 4人射殺事件の永山則夫元死刑囚(1997年に執行)に対する判決で、最高裁が83年に示した死刑選択基準。(1)事件の性質(2)動機(3)犯行態様=特に殺害方法の執拗(しつよう)性・残虐性(4)結果の重大性=特に被害者数(5)遺族の被害感情(6)社会的影響(7)被告の年齢(8)前科(9)犯行後の情状―を総合考慮した上で、刑事責任が誠に重大で、罪と罰の均衡や犯罪予防の点からも極刑がやむを得ない場合に死刑選択が許される、とした。
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